SW、もう一つの魅力 ~『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』


もう、1カ月以上も経っちゃった。
封切られて1週間くらいの頃に観てきたよ、
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』。

世間では賛否両論、侃々諤々だねー。
ま、内容はちょっと横に置いとくとして・・・
僕はシリーズが封切られる度に、
いつも思い出すことがあるんだよね。



タイトルの見事さ

職業柄、映画の宣伝はもとより、作品のタイトルなんかも
気になるんだなー。

プロモーション大国のアメリカ映画のタイトルは
うまいものがたくさんあるけど、
中でもスター・ウォーズは、ピカイチだよ。

それは、"韻" と "字面"

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口に出して発音してみると・・・
「ス」で始まって「ー」って伸ばして、さらに
「ー」って伸ばして「ス(゛)」で終わっている
でしょ?

ス〇ー・〇ース(゛)

徹底的に韻を踏んでいるんだよ。
上から読んでも、下から読んでも「山本山」みたいなもん。

それから、字面で見てみると・・・

S〇AR 〇ARS

「S」から始まって、「S」で終わっているでしょ?
その中にきれいに「〇AR」が2つ並んでいる。

やっぱり、左から読んでも、右から読んでも「山本山」。

音的にも、見た目的にも、
逆さ言葉のように几帳面な配列になっているんだね。
たった2つの単語の羅列に、これだけのシャレが
詰まっているという見事さなんだな。

タイトルのうまさ、
これもまたSWの魅力の一つなんだなー。



アメリカのカルチャーやコマーシャリズムの世界では、
"韻を踏む" というのがよく行なわれるけど、
近年、僕がお見事!と思ったのはコレ!

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インテル、インサイド」・・・ということで、
短い単語2つで、「イン」で韻を踏んでいるんだね。

それだけなら、まあね、ということになるけど、
僕がすごいと思ったのは、日本のコマーシャルのこと。
いまは、全然流れていないけど、
WindowsマシンのテレビCFで最後にぶらさがりで
このインテルのロゴが出てきてたでしょ?

その時に、伊武雅刀さんか誰かの声で、
「インテル、入ってるって言うんだよね。
それそれ!それがお見事なところ。

英語では、「イン」で韻を踏んでいるので、
日本語に訳してもなんとか韻を踏みたいところで、
「テル」で韻を踏んだんだね。

音のダジャレを共通化するのが困難な日本語と英語だけど、
これはお見事!言葉の意味も韻も、きれいに翻訳された
傑作の一つだと思うなー。



・・・で、肝心の映画の感想はどこへ行ったんだよ、
ということになるけど、まあ、いろんな人が
いろいろ書いているので、ちょこっとだけ。

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●クォリティは申し分なし
映像&音楽のクォリティ、チャンバラアクション、編集技
などなど制作上のアラは、まったくないと言ってもいいかも。
CGを駆使した映画は、ここまできた!って感じだな

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●ますます時代劇?
CG映画がものすごく発達してしまって、
CG+宇宙+戦闘 という図式の映画もたくさん作られてしまって、
スター・ウォーズのおもしろさやスター・ウォーズらしさ
というものが薄れてしまったんだろうね。
だから、今作は制作者は「CG+宇宙+戦闘」より
登場人物の内面・・・正義とか、ダークサイドとか、葛藤とか、
隠遁とか・・・に重心を置いた作風になっている
のだと思う。
まるで、日本の時代劇の精神性みたいなところをつついてる印象。

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●まったく新しいスペースファンタジーへ
ダースベイダーがいなくなり、ソロがいなくなり、
歴代のジェダイがいなくなり、レイア姫がいなくなり・・・
かつてのスター・ウォーズを表わすものは何もなくなってしまい、
新しいダークサイドとジェダイ役の二人だけが残った。
映画としての「CG+宇宙+戦闘」の新鮮さもなくなったいま、
ミレニアム・ファルコンはどこへ行くんだろう?

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●それでも知りたい謎
レイはジェダイなのか?
なぜ、ジェダイの技を身につけているのか?
誰の子なのか?
・・・だからやっぱり、次作も観てしまうんだろーなー。

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こたつのある映画館

ウチから徒歩ですぐのところに、映画館があってね。
よくある、駅前商業ビルの中に入っているシネコン。
テアトル系の「新所沢レッツシネパーク」っていうんだけどね。


元々、150席くらいのスクリーンが1つと
100席くらいのスクリーンが2つの小さいシネコンでさ、
ご想像通りの薄暗いピンボケ映像とチープなサウンドでね。
近くてめっちゃ便利なのに、1度しか行ったことなかったんだわ。

これが、ちょうど1年ほど前にリニューアルしたんだよ。
「きれいになった」って評判だったので行ってみたんだけど・・・

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したっけ、豪華なマッサージチェアのような電動リクライニング席が
数席あってね、1,800円だっけか、これが一般の席と同じ値段。

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一般の席だって、肘置きが隣の席と一体になっていなくて
横幅ゆったりのヘッドレスト付きの単体チェアなんだよ。

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やー、驚いたねー。
キャパは小さめだけど、こんなにゆったり座れる映画館は初めて!
生まれてこれまでで、No.1の快適さだったよ。
スター・ウォーズをこのミニシアターのようなとこで観るのは
少しはばかられたけど、サラウンド5.1の音も、
デジタルの映像もかつてとは違う超高品質だったよ。

さらに驚いたのは、最前列がネットカフェのフラットシートみたいな
ボックス席になっている
んだなー。
まあ、寝てまうかなー?って危惧もあるけど、
これが、1席4,000円なんだそうだ。
●大人1人+子供3人
●大人2人+子供2人
●大人3人+子供0人
●大人0人+子供4人
・・・これ以下の人数で使って4,000円。
なるほどー、子供がいっぱいいる場合はワリとお得なのね。

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それで、昨日テレビのニュースを観てたら、
ここんちが出てきてさ、
いま、こたつを置いているんだってさ!
うーわー、僕の場合、寝てまう危険性ますますアップですわー。

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なんだか宣伝っぽくなってしまったけど、
とてもおもしろい映画館だと思うので、ま、いいっかー、
クチコミということで。





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●スター・ウォーズ/最後のジェダイ(Star Wars: The Last Jedi)
2017 アメリカ
上映時間/152分
監督/ライアン・ジョンソン
製作/キャスリーン・ケネディ、ラム・バーグマン
製作総指揮/J・J・エイブラムス、ジェイソン・マクガトリン、
      トム・カルノースキー
製作会社/ルーカスフィルム
原作/ジョージ・ルーカス『スター・ウォーズ』
脚本/ライアン・ジョンソン
撮影/スティーヴ・イェドリン
編集/ボブ・ダクセイ
音楽/ジョン・ウィリアムズ
美術/リック・ハインリクス
衣装/マイケル・カプラン
視覚効果監修/ルイ・モラン
配給/ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
出演/マーク・ハミル、キャリー・フィッシャー、アダム・ドライバー、
   デイジー・リドリー、ジョン・ボイエガ、オスカー・アイザック、
   ドーナル・グリーソン、ケリー・マリー・トラン、ローラ・ダーン、
   ベニシオ・デル・トロ、フランク・オズ ほか







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2049年にオムライスはない ~『ブレードランナー2049』


11月の最終週だっけなー、『ブレードランナー2049』を観てきたよ。

もう、ロードショウとしての公開が終わりに近づいていた頃
だったんだけど、まだ新宿ピカデリーでやっていたんだな。
まだいい画質と音で観られる、というわけで、
ネットで予約を入れて新宿へGO!



おっと、その前に、せっかく新宿へ行くんだし、
予約した時刻まで時間があるので、食事でも、
・・・というわけで、久しぶりに「はやしや」へ行こうぜー!
ということに。

「はやしや」は、昭和24年というから1949年かあ、
東京が焼野原となった終戦4年後に創業された
「三平食堂」
のいまの姿なんだな。


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僕はもちろん「三平食堂」を知らないんだけど、
当時は新宿の駅前に燦然と輝くビル(いまと同じ)で、
和洋中なんでも食べさせる大食堂だったんだそうだ。

終戦4年後というと、新宿伊勢丹は戦前からすでにあって、
終戦とともに進駐軍に接収されていたところへ、
晴れて営業再開された年なんだそうだ。

進駐軍による戦後処理も進んで、ガチガチだった管理も
ゆるくなってきた頃なんだろうな。
少しずつ敗戦国日本の経済活動も動き出したようす。
そういう風を、創業者の小林平三さんはキャッチしたというわけだ。

それまでは、新宿は闇市のメッカ。
まあ、元々、なんにもなくなっちまった下町に替わって
庶民の生活を支えてきたエリアと言えなくもないわけだね。

「三平」は、洋食の「はやしや」の他に、
同じビルに居酒屋やゲーセン、地下に「三平ストア」という
食品スーパー
も営んでいるんだよ。

成城石井とか明治屋とかみたいな高級スーパーじゃなくて、
フツーのスーパー
生鮮もあるし、新宿の繁華街で惣菜とサンドイッチで、
ワンコインで昼ごはん、なんてこともできちゃう。

デパ地下や高級な食品店やコンビニが山ほどある新宿だけど、
フツーのスーパーは珍しいよねぇ。
それが、歌舞伎町一番街入口やゴジラ通り入口の、
靖国通りをはさんだはす向かいにある
んだからねー。

僕が東京に出てきて40年近く経って、その間に
新宿の東口から歌舞伎町までのエリアも目まぐるしく
新陳代謝してきたけど、この7階建てだか9階建てだかの
古いビルだけは全然変わっていないなあ。
(中身はちょこちょこ変わったり、内装をリフォームしているみたいだけど)
昭和の激動の新宿をずっと眺めてきたんだねー。



さてさて、エレベーターで5階へ。

おっと、ワインリストなんておしゃれな展開も。

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でもほらほら、ショーケースのサンプルなんかがあったりして、
昭和の食堂でしょ?
洋食屋というより、昔のデパートのファミリー食堂だよね。

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お子様ランチやホットケーキはないけどね。


しっかし、安い!
建物が自前で、原価も償却しちゃっているから
地代家賃が価格に乗っからないからなんだろうね。

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これは、洋食屋の値段じゃないね、定食屋。
いや、定食屋より安いかも。
してみれば、ワインリストというのがとってもちぐはぐというか、
うれしいというか。


店内は、リニューアルされているのかな?
ボロいということはなくて、わりと上質な洋食屋然としてる。

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窓から眺めれば、向いは歌舞伎町のメインストリートの入口
ちょっと前まではドンキはなかったよな。
真下の通りは靖国通り
昔は、ここを都電(路面電車)が走っていたんだよ。

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たのんだのは、ツレがビフカツ定食
サラダ、ご飯、味噌汁、漬物、ドリンク付きで980円(税込)。

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僕がたのんだのは、もちろんオムライス、690円(税込)

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中身は鶏肉と玉ねぎが中心で、ケチャップが中も外もたっぷり。
うん、典型的な昔の洋食屋のオムだねー。
街のなんでも食堂の、ケチャップライスをガッツリ炒め尽くした
“中身焼きめし系” のオムも好きだけど、
こういうのもいいねー。



よっしゃ、お腹もふくれたし、いざピカデリーへ!

途中、村上春樹さんの小説にも出てくるジャズ喫茶「DUG(ダグ)」が。

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ピカデリー、とうちゃこ。

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映画の内容については、ストーリーに関わることは書くまい、と思う。
2時間43分という長さだけど、なるほどよくできたハナシ。


●前作の後の時代設定
前作は、大きな戦争があった後の地球が描がれていて、
紛争に関わった白人の人口が少なくて、
アメリカの都市でもアジア人が多く、環境は劣悪化していて
常に酸性雨が降っている街だった。

今作は、さらに時代が進んでいて、
環境破壊がさらに進んで、深刻な食料危機まで発生している。
2022年には、アメリカ西海岸で大規模な核爆発が起こって、大停電が発生。
あらゆる電子機器の磁気記録やプログラムがすっとんでしまった、という状態。

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前作に登場したレプリカントは、タイレル社の「ネクサス6型」だったけど、
今作では、その後にさらに進化した「ネクサス8型」の登場と
タイレル社の消滅を経て、ウォレス社がさらにさらにヒトに近く、従順で、
強く、寿命の制御もできる「ネクサス9型」を製造開始
AIの発達なんかも当然進んでいるという設定だね。

大規模な核爆発の後のロサンゼルスでは、ヒトよりむしろレプリカントの
ほうが人口が多いんじゃないかという状態だな。
そして、前作の街のごちゃごちゃ感に対して、今作は街の空虚感というか
寂寥感、孤独感が強く表現されている
と思う。


●前作の続きのストーリー
前作では最後に、ヒトであるデッカードと、反乱を起こす可能性のある型の
レプリカントであるレイチェルが一緒に逃亡して終わったけど、
今作はその後二人はどうなったのかがわかって、
そして、それが元になって、上に書いた世界のもとで
人類の存亡にも関わるかもしれない問題が発生する

というストーリーなんだよ。

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ここまで僕が書いたことは、映画の中ではあまり説明されていないので
ネタバレというより、前知識として知っていた方が
より今作を楽しめるんじゃないかと思ってさ。
逆に言うと、前作の内容や時代背景を今作の背景として知っていないと
今作はあまり楽しめないといえるだろうなあ。
アメリカでも、メガヒットとはならず、観客も35才以上の男性が多い
というのは、そういうことが原因なんだろうね。

これはねー、賛否両論はっきりと分かれる映画だねー。
僕は好きだけど。


●映像がバツグンに美しい
『ボーダーライン』、『メッセージ』に続いて作られたこの作品、
いま一番ノッている監督のひとり、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督なんだね。
映像は、前作をはるかに超えた美しさだなー。
これ見よがしでないCGも申し分なし。
でもね、それゆえに失われたものがあるかもしれないなあ。
前作のあの雑巾の臭いのしそうな空気感や、
雑踏の中に散りばめられた闇の深さなどなど。
美し過ぎるんだなー。
まあ、大規模な核爆発の後のロサンゼルスという設定だから、
人も機械も建物も減っちゃってて、無機質な空気感が
ふさわしいのかもしれないけど。

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ゆえに、前作とは全然違った映像のタッチだと思う。
美し過ぎ、カットが決まり過ぎ。
それと、この監督はアクションシーンの撮り方があまりうまくないのかな?
前作のような緊張感や激しさが弱かったような気がするなあ。
それから、主役のK(ゴズリング)が室内で一人でいたり、
ホログラフィのジョイとのダイアログのシーンは
前作の室内のように「暗がり」っぽくしてほしかったなあ、
ホームドラマじゃないんだから。


●レプリカントがより高品質になれば・・・
レプリカントがさらにヒトっぽくなっていたね、
物理的にもプログラム的にも。
これは、映画的には大きなジレンマが生じるよね。
だって、体の組織や動きや、思考や感情やがより人間的になれば
それはもはや人間、もしくはめっちゃ強い人間でしょ?
そうすると、レプリカントであるがゆえのもどかしさや
切なささえも知ることのできない切なさとか、
抑圧・制限されている悲しさとかが表現しずらくなる
もんね。
そこんとこ、もっともっとうまくやってほしかったなあ。
前作は、デッカードとの戦いの最後でそれらが存分に表現されていて
泣けるほどの “レプリカント悲哀” が表現されていたのに。

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●フィロソフィはそのまま
ヒトとレプリカントはどこが違うのか?
ヒトはどう生きるべきか?
ヒトのアイデンティティとは何か?
ヒトの尊厳とは?・・・・
やっぱり、そんなことを考えさせるハナシだね。


●次回作の予感
次回作が作られたとしても、なんら不思議じゃない終わり方だなー。
なぜなら、これまで “ヒトとレプリカント” という主題でやってきたけど、
今作ではさらに新しい方向へと展開してしまったからねー。

それが何か、は言えない。
なぜなら、それは、「そもそも、なんでブレードランナー
(反乱レプリカントの処刑人)という職業があるのか?」、
「ヒトはなぜ、ネクサス6~8までを全部処分したいのか?」、
「前作のタイレル社は何を狙いとしていたのか?」
なんて大きな疑問の
答えを言ってしまうことになるからねー。

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んー、これは次回作をブレードランナーの世界観&哲学で作るのは
難しいかもしれないなー。
そんな気がしてきたわー。



ちなみに、僕はワーナー・ブラザースに雇われた
レプリカント・・・ではない。





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●ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)
2017 アメリカ
上映時間/163分
監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ
製作会社/ワーナー・ブラザース、アルコン・エンターテインメント、コロンビア映画、
     スコット・フリー・プロダクションズ、トリドン・フィルムズ、
     16:14 エンターテインメント、サンダーバード・エンターテインメント
製作総指揮/リドリー・スコット、ティム・ギャンブル、フランク・ギストラ、
      イェール・バディック、ヴァル・ヒル、ビル・カラッロ
原作/フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
原案/ハンプトン・ファンチャー
脚本/ハンプトン・ファンチャー、マイケル・グリーン
撮影/ロジャー・ディーキンス
編集/ジョー・ウォーカー
音楽/ハンス・ジマー、ベンジャミン・ウォルフィッシュ
音楽監修/デバ・アンダーソン
視覚効果監修/ジョン・ネルソン
美術/デニス・ガスナー
衣装/レネー・エイプリル
配給/ワーナー・ブラザース(米)、ソニー・ピクチャーズ(世界)(日)
出演/ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、
   シルヴィア・フークス、ロビン・ライト、マッケンジー・デイヴィス、
   カーラ・ジュリ、レニー・ジェームズ、デイヴ・バウティスタ、
   ジャレッド・レト、エドワード・ジェームズ・オルモス、ショーン・ヤング ほか







♪ Live at The Greek Theater, Los Angeles, 1979 / Yellow Magic Orchestra

クリックしたらYouTubeにジャンプ



♪ "Blade Runner" End Titles / Vangelis





♪ Chariots of Fire / Vangelis




邦題、いいねぇ ~『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』


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これは、緻密に書かれた文芸作品って感じだなー。

ジョン・アーヴィングの『熊を放つ』とか、
『ホテル・ニューハンプシャー』、
ティム・オブライエンの『ニュークリア・エイジ』、
レイモンド・カーヴァーの短編群のような
肌ざわりの物語じゃないだろうか。

日常にホントにありそうなシュール。
日常に散りばめられたメタファー

村上春樹さんが翻訳を手がけた系。



その男は、何一つ不自由なく育ったんだな、たぶん。
いい学校を出て、素敵な女性と結婚して、
コネで金融会社に就職して、
仕事も優秀で、将来も嘱望されているエリート。

でも、なんとなく変な人間。
奇妙な行動を起こしたり、狂暴で危ないやつだとかではなくて、
とてもインテリでちゃんとしているんだけど、
なんのひっかかりもない人間。

んー、他人にもツレあいにも全然興味がないというか、
自分がいま目の前にしていることにしか興味がないというか。
流しが水漏れしてたり、冷蔵庫が壊れていたりしても、
何の感慨も行動も起こらない。
そう、ココロがない
ただ、粛々と寝て、起きて、ピシッと仕事をする繰り返し。

どうしてそうなってしまったのか、劇中では描かれていんないだよ。
自閉症的なものなのか、すっかり仕事の忙しさや都会のシステムに
浸かってしまって、いつの間にか無感情にロボットのように
機能するだけになってしまったのか。

奥さんとも日常的に会話が噛み合わない。
まるで、倦怠期まっただ中の夫婦。
いや、それは違うな。
この男の方が、奥さんに興味がないみたいで、
奥さんの方は彼にやさしい
からだ。



ところがある日、突然、事故で奥さんが亡くなってしまう。
でも、この男は全然悲しくないんだな。

ただ、いままであたりまえのようにそこにあったものが
突然なくなって、自分でも何だかわからない「空虚感」
みたいなものに包まれてしまう。
それからは、いよいよ “ココロ、どこにもあらず” で、
仕事もプライベートも、上っ面になってしまう。

ところが、自分のある奇妙な行動がきっかけになって、
少しずつココロを取り戻していくんだな。
ひょんなきっかけで出会ったシングルマザーとその子供が
触媒
になって、恋とか、悩みとか、反抗心とか・・・
思い出していくかのように。

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で、その子供と非現実的な行動を繰り返していくうちに、
奥さんがどんなに自分を愛していたのか、
自分が奥さんをとても愛していたのに、
何の愛情表現もして来なかったことに気づくんだな。

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・・・そうそう、このハナシは、西川美和監督の『永い言い訳』
とそっくりだよね。

あまりうまくいっているとは言えない夫婦が、
奥さんが亡くなって、第三者が触媒になって、
男は奥さんをもっと愛さなかったことを後悔する。

野暮だけど、ちょっと調べてみた。
西川美和さんが小説の『永い言い訳』を発表したのが、2015年2月25日。
この映画が封切られたのが、2015年(アメリカ?日本?何月何日?)
映画の『永い言い訳』が封切られたのが、2016年10月14日。
・・・だから、どっちがどっちの影響を受けたのか、わからん!
発表された時期まで、そっくりときたかあ。



劇中で、奥さんが生前に書いたこんなメモが出てくるんだよ。

「If it's rainy, You won't see me, If it's sunny, You'll Think of me.」
もし、今日が雨ならあなたは(このメモに気づかず)私に気づかないけど、
もし晴れなら、私のことを想ってくれるよね。


ううう、なんてせつなくて、悲しい愛の言葉。(泣)
彼女が恋人なら「なんてかわいいやつ」ってことになるんだろうけど、
ツレアイに言わせちゃいけないよな。

なんで、雨なら気づかず、晴れなら気づくのかは
観ればわかる、というやつだなー。



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それから、エンドロールを最後まで観ると、
こんなのが出てくるんだよ。

「Warmest regards David C. Mitchell」
心を込めて 敬具 - デイビッド C.ミッチェル

デイビッド C.ミッチェルとは、この映画の主人公の男の名前かな。
ん、手紙?
この映画を観ている人宛てってこと?

んーーー、そうか、主人公から僕に・・・
近頃、流されていやしないか?
ココロが鈍ってやしないか?
キミは、心からツレや子供を愛しているのか?
おもいやりに満ちた生活を体現しているのか?
そんな問いかけをくれている映画なんだろうなー、って思った。

お子ちゃまには無理な映画だなー。





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●雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(Demolition)
2015 アメリカ
上映時間/101分
監督/ジャン=マルク・バレ
製作/リアンヌ・ハルフォン、ラッセル・スミス、モリー・スミス、
   トレント・ラッキンビル、シドニー・キンメル、ジャン=マルク・バレ
製作総指揮/サッド・ラッキンビル、エレン・H・シュワルツ、カーラ・ハッケン、
      ブルース・トール、ネイサン・ロス、ジョン・マルコビッチ、
      ジェイソン・ライトマン、ヘレン・エスタブルック
脚本/ブライアン・サイプ
編集/ジェイ・M・グレン
音楽監修/スーザン・ジェイコブス
美術/ジョン・ペイノ
衣装/リア・カッツネルソン
出演/ジェイク・ギレンホール、ナオミ・ワッツ、クリス・クーパー、
    ジューダ・ルイス、C・J・ウィルソン、ポリー・ドレイバー ほか







♪ Mr Big / FREE





♪ Touch Me I'm Going To Scream Part II / My Morning Jacket





♪ Warmest Regards / Half Moon Run



↑ 3曲とも、この映画の挿入歌だよー。


ジジイの頑固には訳がある ~『幸せなひとりぼっち』


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どこの国にでもいる偏屈ジジイのハナシだなー。
ほら、いるよね?
車両侵入禁止の路地へうっかり車で入ったら、
家から飛び出してきて怒鳴るジジイとか、
ゴミ置き場で突っ立っていて、ひとのゴミの分別を確かめて
怒っているジジイ(ババアか?)。

このオーヴェじいさんもそんなジジイなんだな。
でも、ちょっと頑固過ぎるし、いちいち人のやることに
文句ばかりつける。
言っていることは正しいのだけど、ちゃんとやるべきことを
ちゃんとやれない人を見下しているかのような態度終始。

だから、友達など一人もいない。
根がまじめすぎるほどの直球人間だから、
正誤あやふやな他人や制度と折り合いをつけることができないのだ。
町内の嫌われ者のジジイ。

でも、彼がそんなふうになってしまうのには、
いくつもわけがあったんだな。
そして、彼は彼のやり方を通し続けて、嫌われ者でよかったんだ、
彼は孤独だったかもしれないけど。

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若い頃、おっさんやおばはんに説教を受けて
「もう、そんな時代じゃない、過去の人は黙ってろ」って
思ったことない?

そして近年、若いもんと対峙して
「価値観がどんどん変わっていくけど、こればっかりは昔もいまもない、
間違っていることは間違っているのだ」
って思ったこともない?

若い頃、「うるさいなー、古いんだよ」と思っていたことが
しばらく経って「ああ、あの時あの人が言っていたことは正しかった」
って思うことがいくつもあって、それを教訓にしていま、
子供や後輩に対して「経験上、これはこういうもんだぜー」なんて言って、
「うるさいなー、古いんだよ」と思われている自分がいるんだよなー。


そして、子供や後輩たちには、しばらく経って
「ああ、あの時あの人が言っていたことは正しかった」
って思ってくれるに違いない、と思いたい。

そう、そんなことが繰り返されていることに、
トシを食ってくればわかるもんなんだなあ、
ってことがわかってきたよ。

その時代に、
若いもんにだけ見える未来と、ジジイ、ババアにしか見えない理性とが
ぶつかりあって、先見と経験が混じり合って、
次の時代が創られていく
んだよなあ、ってこの映画で考えさせられたよ。

どっちか一方だけではだめ。
ジジイには孤独を買って出てでも、ジジイの役割というものが
あるんだなあ、って。

よーし、オレも頑固ジジイにならなくちゃー。

『幸せなひとりぼっち』って、邦題だけど、
幸せって誰のことなのか、映画を観るとわかるかなー。
まあ、ジジイ向けの作品だけどねー。

原作は、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに
77週連続で載った小説。

トム・ハンクス主演で、ハリウッドリメイクされることなったそうだ。

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●幸せなひとりぼっち(En man som heter Ove/A MAN CALLED OVE)
2015 スウェーデン
上映時間:116分
監督/ハンネス・ホルム
脚本/ハンネス・ホルム
原作/フレドリック・バックマン
製作/アニカ・ベランデル、ニクラス・ビークストレム・ニカストロ
製作総指揮/フレデリク・ビークストレム・ニカストロ、ミカエル・ユルト
撮影/ギョーラン・ハルベリ
編集/フレドリック・モルヘデン
音楽/ガウト・ストラース
メイクアップ/ラブ・ラーソン、エヴァ・フォン・バー
配給/アンプラグド
出演/ロルフ・ラッスゴード、バハー・パール、フィリップ・バーグ、
   イーダ・エングヴォル、カタリナ・ラッソン ほか
受賞:ゴールデンビートル賞(スウェーデンのアカデミー賞)
   ・主演男優賞/観客賞 ダブル受賞
   第89回アカデミー賞
   ・外国語映画賞/メイク・ヘアスタイリング賞 ノミネート 







♪ Out Of The Ghetto / Isaac Hayes





♪ Out of the Ghetto / Donald Fagen





♪ Slinky Thing / Donald Fagen




岡田節のルーツ ~『ちゅらさん』(第25話~40話)


◆ちゅらさん

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2001 日本
●脚本/岡田惠和
●演出/榎戸崇泰、遠藤理史、大友啓史、渡辺一貴、藤井靖、高橋練、堀切園健太郎
●出演/国仲涼子(少女時代 - 浦野未来)、平良とみ(ナレーション兼任)、堺正章、
    田中好子、ゴリ、山田孝之、小橋賢児、丹阿弥谷津子、菅野美穂、村田雄浩、
    余貴美子、鮎川誠、肥後克広 ほか



NHKの朝ドラ『ちゅらさん』の続きを観たぜー。
DVD全13本の3本目。
第5週~第6週(第25話~40話)かなー。

『ちゅらさん』のDVDは、レンタル屋さんでもVol.の最初のほうが
品薄みたいで、予約を入れといてもなかなか順番が回って来なかったよー。
(在庫がないと、僕の予約リストの次のタイトルを送って寄こす)
2枚目からなんと1年くらい経っているんじゃないかな?
13本観切るのに何年かかるのよー?

やー、でも、やっぱりおもしろかった!
で、30話目くらいからえりぃが家出して東京に行っちゃうんだけど、
住むことになったアパートに行ってびっくり!
なんと、これは『ひよっこ』ではないか!?
なんたって、岡田惠和(おかだよしかず)脚本だもんね。

いや、『ひよっこ』は昭和の “和” な感じのアパートだけど、
『ちゅらさん』は『すいか』みたいな “洋” な感じではある。
だけど、玄関から入ってすぐのとこで大家のおばはんが寝てるし、
住人の一人の菅野美穂がどっかで観たことある感じ!

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この人、メルヘン作家だかで、
いつも部屋に籠って原稿書いているんだけど、
えりぃのことを気にしてるうちにネタにしてしまうんだよ。
ほら、『ひよっこ』のアパートの住人の漫画家志望の
二人みたい
でしょ?

その上、性格がサバサバで冷たい感じが
まるで『ひよっこ』のシシド・カフカ!
一人で、あの漫画家たちとシシド・カフカを合わせたような
キャラなんだな。

『ちゅらさん』を観たことがある朝ドラファンは、
『ひよっこ』を観て、ふふーん、って
鼻を鳴らしてたんじゃないかと思ったよ。

「お前、今頃気づいたのかあ」って言われそうだけど、
『ちゅらさん』、いま観てるとこなんだから、許してちょー。

あ、そういえば、岡田惠和さん脚本のドラマ『ユニバーサル広告社』
ってのが始まったねー。
原作は、荻原浩っていう人の小説みたいだけど。

004ユニバーサル広告社.jpg

これまた、沢村一樹、和久井映見、三宅裕司、やついいちろう
なんかの『ひよっこ』メンメンで固められた
ヒューマンコメディなんだな。

“岡田惠和ブランド”、確固としてきたねー。





♪ Best Friend / Kiroro