店名はイタリア語だけど、ザ・蕎麦屋 ~ 蕎麦『ぐらの』



なんかの用で出かけて、川越街道のふじみ野市あたりを車で走っている時に
偶然見つけたお店だよ。

街道沿いに縦長のでっかい看板が嫌でも目に入るから、
こりゃ、よくある和食ファミレスかな、と思ったんだけど、
「手打ち石臼挽 そば」って書いてあるから、ぐっと引き寄せられてしまった。
その時お腹が空いていたのかいなかったのか覚えてないけど、
まあ、チェーン店でもいいか、と思って入ったんだっけか。

ぐらの_外観

外観は直線が生かされたシャープな印象の和風家屋で、
内装は生木のトーンが印象的な古民家造り、って感じかな。
切り出した大木の一枚板で作られたテーブルやイスがなんとも贅沢。
梁や天井、あがりの床、窓枠、柱なんかも木目が生きている。

ぐらの_店内

天井が高い!
5mはあるかもしれない天井には、大きな天窓が5~6カ所も。
ベランダ側には、ヒノキの塀で囲まれた庭があって、
屋根からも窓からも、自然光がふんだんに取り入れられるように造られているんだなー。
中にいると、まるで高原リゾートの別荘!
ここが主要幹線道路沿いの町中であることを完全に忘れさせてくれる。

それでも、街道沿いで、大きな看板があって、店の前に広い駐車場もあるし、
“ぐらの” なんて店名だし、典型的なドライブインスタイルの
ランチ&晩ご飯向きの蕎麦レストランだろう、
って思っていたんだけど、全然違った。

たのんだものが出てくるまでの間、
酒ではなく、テーブルの上にあった小冊子を眺めていると、
どうもこの店は、“新そば会” という団体に属していることがわかった。
会員の顔ぶれを見ると・・・
北は「竹老園東家」から東京の “藪御三家”、“砂場三大店”、“更科二大店”、
西の「尾張屋」、沖縄の「美濃作」まで、老舗&名店がずらり。

“新そば会” がどんな組織なのか僕にはわからないんだけど、
ココがフツーの蕎麦屋じゃなくて、
そうとうなこだわり系の店なんだということに気づいたんだよ。

メニューを見ると、冷たい蕎麦、ぶっかけ系、あったかい系と
基本とバリエーションをほぼ押さえてあるね。
本物の蕎麦屋だ!

ぐらの_蕎麦メニュー

基本的に車で来るはずの店だから、お昼のメニューもしっかり練られているね。
ボリュームもバリエーションも豊かで、CPもバッチリ!
土日は中休みなし、というのもすばらしい!

ぐらの_お昼の品書

たのんだのは、このお昼のメニューの「天丼セット」のせいろ中もり1,310円也。

ぐらの_天丼セット

入口に「本日の蕎麦/福井県産・丸岡在来種、北海道産・キタワセ、茨城県産・常陸秋」
とあったので、花番さんに「このもりは、どこのですか?」と聞くと、
「ちょっと待っててください。板さんに聞かないとわからないんです」と言って、
少し経って戻ってきて「ヒタチアキです」とのこと。
これって、客が品種を指定しないと、本日の3種から店主が気分で決めるということ?
ココには、せいろの他に極太の田舎もあるのに、
2×3でどんなオペレーションをしてるのか、そのすごさに驚いてしまうな。

ぐらの_石臼挽せいろ

麺をよく見ると、ただの微粉じゃなくて、微妙につぶつぶが混じってるよ。
石臼を使った、自家製粉らしい見映えだねー。

ぐらの_石臼挽せいろアップ

食べてみると、なるほど。
常陸秋らしいって言うのかな、濃い香りと味が口の中に広がる。
うん、やっぱりうまい!

天丼はどんなだろう。
フタを開けてみると、おー、なるほど、これは蕎麦屋の天ぷらだねー。
衣を多めにフワッとつけて、かけ汁にも天丼のつゆにも負けない揚げ方のやつ。
しっぽに包丁を入れた、中ぶりの海老が2匹だよ。
食べてみれば、おーっ、これは上等な車海老だ!プリプリ!
ふんわり、もっちり炊けたごはんに、東京風の濃いめのつゆが適量。
んー、うまいわ。
「天ちら」もメニューにあるから、おか天の場合どんな衣のつけ方なのか、
興味が湧いてきたね。

ぐらの_天丼

うん!申し分ないっしょ。
すばらしいお店だねー。

しっかし、ココは夜はうまくいってるんだろうかな?
リゾート気分のお洒落な空間も蕎麦も、これだけのハイクォリティなんだから、
太くてうまいと評判の「田舎」も食べてみたいし、
お酒をちびちびやりながら、蕎麦前メニューの「かも焼き」や「そばみそ」、
「ニシンの甘煮」、「だし巻き玉子」なんかも食べてみたいんだけど、駅から遠いよねぇ。
東武東上線の「鶴瀬」からも「ふじみ野」からも、
歩いたら25分くらいかかるかなあ。
お昼は、豊富で楽しいメニューで大人気なんだろうけど、
他人事ながら心配になってしまう。
もったいないな、って。

ぐらの_ツマミメニュー

ちなみに、店名の「ぐらの」とは、
「grano saraceno」(グラーノ・サラチェーノ)= サラセン人の穀物 = 蕎麦のこと。
そういえば、イタリアの蕎麦の品種に、サラセン種というのがあったな。
ご店主は、蕎麦は日本だけでなく世界中の人が食べていることをとらえて、
世界の食文化に寄与していきたい、という気持ちからイタリア語で店名をつけられたとのこと。


そうそう、僕はついこの前まで、蕎麦って、日本人が世界で最も多く食べてるんだろうな、
と思っていたんだけど、これが違ったんだなあ。
世界で最もたくさん蕎麦を食べている国って、どこか知ってる?

<玄蕎麦生産量 世界ランキング>

① ロシア(100万トンくらい)
② 中国(80万トンくらい ※内モンゴル自治区含む)
③ ウクライナ(16万トンくらい)
④ フランス(12万トンくらい)
⑤ アメリカ(8万トンくらい)
⑥ ポーランド(7万トンくらい)
⑦ ブラジル(5万トンくらい)
⑧ 日本(2.5万トンくらい)


・・・正解は、ロシアでした。
なんと、日本の40倍も生産してるんだよ!
しかも、上位15位くらいまでにウクライナやカザフスタン、
ベラルーシなどの旧ソ連の国がたくさん入っているから、
蕎麦は北方ユーラシアの国々の主食といってもおかしくないほどの量だな。
寒くて痩せた土地でもよく育つ、って言われるもんね、蕎麦は。

しかも、フランスやイタリアなどの美食の国でも、ムシャムシャ食ってるし、
ポーランドやチェコなどの東欧の国でも、ワシワシ食ってる!

それから、インドやネパールやブータンなどのヒマラヤ諸国も日常的に食べてるし、
アメリカやカナダなどの北米も、最近は健康食として人気。

つまり、日本より蕎麦を食べている国がたくさんあるってわけだ。
知らなかったねー。

でも、ロシア料理の蕎麦なんて聞いたことないよね、世界一食べているのに。
でも、それは知らなかっただけで、ホントに毎日のように食べられているんだよ。
一番多い食べ方は、「蕎麦粥」
ロシアではカーシャと呼ばれているそうだ。
丸ヌキか挽き割りにした実にバターや牛乳、スープなどを入れて茹でたもので、
肉やニシンや時にはキャビアなどのお好みの具を入れて作る。
当のイタリアでも、ブラック・ボレンタ(貧民粥の意)という蕎麦米のお粥が有名。
このお粥というか雑炊というかが、世界で最もポピュラーな蕎麦の食べ方だったんだ!

カーシャ
カーシャ

その次に多い食べ方が、パンケーキ or クレープ方式。
ロシアではブリヌイ。フランスではガレットブリニ
ヒマラヤ諸国ではロティチャパティナン
アメリカやカナダではパンケーキ

ガレット
ガレット

変わったところでは・・・
中国やヒマラヤ諸国では酒の原料
ポーランドではピロシキプリン
イギリスやチロル地方の蕎麦すいとんマスの蕎麦粉詰め
中国の餃子の皮すいとん蕎麦がき蕎麦煎餅
イタリアではもちろんパスタニョッキ
「ピッツオケリ」というミラノの料理は有名。
などなど・・・・

ピッツオッケリ
ピッツオケリ

なんだ、世界中で蕎麦は食われていたのだ!
しかも、お粥か雑炊、クレープ、パンケーキ、というのが世界の主流だった。
麺に加工して食べるのは、日本はじめ中国、韓国、ブータン、イタリアちょびっと
だけらしいんだね。

『ぐらの』さんは、バリバリジャパニーズな蕎麦屋さんだけど、
今後、イタリア系の料理も出すようになるのかな?


●蕎麦『ぐらの』
埼玉県ふじみ野市大井816-4
049-264-0337
11:00~15:00、17:00~21:00(土日は通し営業)
ランチ営業、日曜営業
定休日/火曜日(祝日のときは翌日)


コメント

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いろいろありますね

新そば会、美味しい店が揃っていそうですね。
食べ歩く参考に良いかもしれません。
寒さに強いそばは、旧ソ連圏が主体だったんですね。小麦とそばと両方の生産大国ですね。
いや、それにしても世界で最もポピュラーな蕎麦の食べ方は目から鱗ですね。
蕎麦は、日本式が主なような気がしてしまっていました。

Re: いろいろありますね

takaki11さん、コメントありがとうございます!

この記事、ブログを始めて半年くらいの頃のものなんですが、
どんどん過去ログに埋もれていってしまって、
かなり気合を入れて調べて書いたのに、
さみしい思いをしていたんです。
takaki11さんに読んでいただけて、超うれしいです。
ありがとうございました!!