ゆらゆら草

もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。

近所に引っ越したくなる店 ~ 『松むら』  



いやー、実にいい蕎麦屋だなあ
紋切りな言い方だけど、“隠れた名店”というのはこういうのを言うんだろうなー。

『松むら』は、JR武蔵野線の東所沢駅の北側に出て、
徒歩で10分くらいのところにある。
東所沢は、駅前の通りやそれと交差する通りに面してちょびっと
商店やファミレスがあるくらいで、ほぼ完全な住宅地。
昼も夜も静かなところ。

まず、この静かなところがいいね。
場所柄、平日の昼下がりにサボリ酒、というわけにはいかないロケーションだけど、
休みの日の昼下がりや夕べの蕎麦屋酒には、この静けさはもってこい。
のんびり、時間を忘れさせてくれるにちがいないなー。

01松むら_入口

よくある “一軒家改造型”
入口の感じもいい。
入る前にメニューが見られるのも親切だね。

店内のレイアウトは・・・
2人掛けのテーブルが2つと4人掛けのテーブルが2つ、
それと、詰めて座れば8人着ける座椅子付きこあがりが1つだから、
15~16人も来ればいっぱいになる小ぶりな店だ。

でも、内装はよく練られた造りだね。
柱やあがり、壁の一部は生木で清潔な感じだし、
壁の色は日本の伝統色の “紅” というやつだな、ベージュがかったうすいピンク。
食欲を増進させる色なのかな。

テーブルやいす、座椅子などはこげ茶色の和モダンで統一されているし。
日本酒の一升瓶がきれいに置ける、壁にはめ込まれた棚もこげ茶仲間だ。
もちろん、最新型の電動石臼も稼働中。
うん、緻密な計算で造られた店内、完璧。

たのんだのは、ランチメニューの「かき揚げセット(自家製豆腐付)」850円
「淡雪そば(とろろ)」850円、安い!
あったかいメニューには、いかにも江戸的な「深川そば(浅利)」というのもあって、
それも食べたいんだけど、そんなには食えないので次にとっておこう。

02松むら_手作り豆腐

最初に出てきたのは、かき揚げセットの「自家製豆腐」。
メニューを見るとランチタイム以外では、450円の一品料理だから得した気分。
かえしではなく、生醤油でいただく。
きざみ葱のほんわり具合と白と青の混ざり具合が芸術的でしょ?

車で来たので酒が呑めないのが残念だけど、
メニューはいちおう見てみるのだ。

03松むら_金鶴

ココのご主人はどちらかというと冷酒が好きなのかな。
概してすっきり系のラインナップだね。
でも、「金鶴」というのは珍しい!
僕は、佐渡島出身の知人に地元から持って帰ってきてもらったのを呑んだことがあるんだけど、
そういう方法以外では本州では手に入りにくい酒だ。
アル添ありの本醸造だけど、冷やで呑むと新潟系端麗辛口とは違ってかすかな甘味が感じられて、
どんな料理にでも合いそうな味が魅力なのだ。

当然、焼き味噌や板わさ、お新香、出し巻き玉子、にしん、鴨などの蕎麦屋らしい肴もあるし、
天ダネもひととおりあるから、蕎麦屋酒もそそられるねー!
夜にじっくり呑みたければ、リーズナブルなコースメニューも。
家から遠いし、会社帰りの通り道でもないのがホントに残念だ。

04松むら_かき揚げ

次に出てきたのは、やはり、かき揚げセットの「かき揚げ」。
これは、めっちゃおもしろいぞ!
めっちゃめちゃサクサクなのだ。
箸ではしっこをちぎろうとすると、その部分が文字通り “崩壊” する!
けっこう崩壊系のかき揚げは多いけど、ココの崩壊ぐあいはフツーじゃないな、こりゃ。
天つゆも用意されているんだけど、どうやってそれにつけるんだろう。
桜海老と粉が想像以上に崩れて食べにくいけど、歯ごたえはサックサクのサックサクだ。
生まれて初めての食感!
なんにもつけなくても、これは香ばしくてすごくうまいぞ。
しっかし、どうやって作っているんだろうね、これ。

05松むら_かき揚げアップ

これが、ランチメニュー限定だから憎たらしい。
ん?手作り豆腐とこのかき揚げとざる蕎麦で、850円だよな。
ものすごく安くないかい?
都内だったら、このかき揚げだけでも850円するんじゃないかなあ。

いよいよ、蕎麦の登場。
「本日の蕎麦・北海道産キタワセ種」と店内に貼ってある。
“ざるの裏返しもり” で出てきたよ。

06松むら_ざるそば

あれっ?違う。
実は、ココに来たのは2度目で、この前もキタワセだったのに見た感じが全然違うのだ。
この前はいわゆる微粉というやつで、丸抜きのニ八あたりの色でつるんとしたやつだったはず。
今回も同じキタワセのざるなのに、こりゃ粗挽き

07松むら_ざるそばアップ

よく見ると、これはただの粗挽き粉じゃなくて、
微粉に、殻まで挽きぐるみにした粗挽き粉をブレンドしたものじゃないかと思う。
つぶつぶしてるだけでなく、つるつるにつぶつぶが混じってる感じだからだ。

08松むら_ざるそばアップ

品種の表示と粗挽き
この店も、日々最新トレンドを研究してるんだな、って感心させられる。
ちなみに、ココはキタワセのほか、茨城県産「常陸秋」福井県産「丸岡在来種」
かわるがわる提供しているようだね。

食べてみると、香りは少ないけど、
固からずやわからずのしなやかなコシと蕎麦の旨味がガツンとくる。
粗挽き粉一色じゃないはずなので、つるつる感もバッチリある。
何よりも、麺が長い!
これはお見事だねー。
クォリティが高い、高い、値段が安い、安い。

09松むら_淡雪そば(とろろ)

次は「淡雪そば」!
ありゃー、きれいだねー。
冬の故郷を思い出しちゃうなー。
降ったばかりの雪の上におしっこをひっかけて、
その上にうっかり焚き木を置いてしまった、って感じ。

うそうそ(食べ物なのに下品だなあ)。
これは、もはやアートだね。
アバンギャルドなシルクスクリーンアートかオブジェ。
ここまでやるか!って感じ。

まっ白なのは、メレンゲではなく大和芋だけど、これはフツーの作り方じゃないな。
おろし金でおろして、すり鉢とすりこぎですっただけじゃないだろ。
泡だて器かフードプロセッサーで、少しホイップしてるみたいだな。
それで、大和芋以外、玉子や出汁は入れていないと思う。
入っていたとしても、うすーい出汁だろうな。
だから、まっ白なんだ。

10松むら_淡雪そば(とろろ)アップ

黄色いにょろにょろペインティングは、お察しの通り卵黄。
赤いのはそう、クコの実だね。
なんだかやばい感じの毛のようなモノは、とろろ昆布に決まってる。
薄削りのやつを、指で少しこよりにしてるかもしれないな。

表面は、昨晩薄く雪が積もった勇払原野のようにしんとしてる。
でも、雪の下には、春を待ち焦がれた夏秋の実りが、
熱いエネルギーを持て余して地表に出て来たがっているのだ。

なら、掘り出して食ってやろうじゃないか、
と誰にも侵されていない雪原に箸を突っ込んで蕎麦をつまみ上げて、
ずるっと一気にすすり込んでみる。

おーっ、混じり気のない大和芋の新鮮な風味と、上質な醤油と出汁の旨味と、
温められて立ち上がるキタワセの香りが、次々と口の中にきらめく。
そして、それらが融合した新しい香味が後からやってくる。
視覚だけでなく、味覚もアートなんだなあ。

僕は、この店に完全にやられてしまった。
まわりの静けさも含めて、隅から隅までさりげなく上質。
それが、うれしさと安心感になって寛がせてくれる。
のんびりしながらも、「仕事ってのは、こうでなけりゃだめなんだ」、
ということを思い出させてくれる。

いい蕎麦屋って、ココみたいに創造力をこちょこちょしてくれるとこなんだろうな、きっと。


●『松むら』
04-2944-5787
埼玉県所沢市東所沢2-8-16
11:30~14:30 (L.O.14:00)
17:30~21:30(L.O.21:00)
定休日/月曜日


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