森から出てサルはヒトになった ~『はじまりへの旅』


森で生活する家族のハナシ。

日本では珍しいんだろうけど、
アメリカとかではけっこういるらしいんだよね、
こういう人たち。

ダメな政治や、悪い思想、間違った社会や狂った制度、
いやなヤツひどいヤツ・・・
思えば、世の中には人がまっとうに生きていくのに
邪魔なものがたくさんだよなあ。

ぼけっとしていると、ストレスのヤイバにズタズタに
傷つけられてしまう。
アメリカあたりでは、それを避けるために
人里離れたところで家族だけとかコミュニティを作って
自給自足生活する人がけっこういるんだそうだ。
さすがは、ストレス社会の世界代表。

この物語の家族もそのクチ。
上に挙げたような、世に散乱する “人の悪意” や “社会悪” を避けて
子供たちを育てるために、森の中で暮らすことに決めた
夫婦とその子供たちのハナシなんだよ。

どういうきっかけで、そうすることにしたのかは言わない。

001森の生活.jpg


森で暮らす、と言ったって、
軽井沢の別荘で暮らすのとはワケが違うわけ。
野菜は直栽培するか採取に出かけなきゃならないし、
タンパク質は家族で狩りをして、
自分たちで解体して食べなきゃならない。

002ランニング.jpg


進む道に障害があれば、命がけで崖を上ったりもする。
その技術と体力を身に付けるために、命がけで訓練したりもする。
自然の中で生きるとは、そういうことなのだ。

でも、食う寝るだけなら原始人と同じだから(たぶん)、
選りすぐりの思想書や哲学書、科学の本なんかも読んじゃうし、
良質な音楽なんかも聞いたり演奏したりもする。

いやな国や、社会や、悪人、邪悪な思想や感情とおさらばして、
つまり、家族以外の人や文化と接することがなくたって、
たくましく&リッパに子供たちは育っちゃっているんだな。

ところが、あることがきっかけで、
この家族は都会に住む親戚の家へ行くことになるんだな。
そうそう、それで森の生活で不足していることが
浮き彫りになるんだよ。
この辺は、ちょっとコミカルかな。

003教会で.jpg


そう、それはほとんど生まれて初めて
自分たちと違う考えを持った人と接したり、
赤の他人と過ごしたりするということ。

それは、これまで経験することのなかったわくわくや
うきうきであるけれど、自分が傷ついたり、相手を傷つけたり
することでもあるんだよね・・・。

でもね、ヒトが生きるなんてことは、
楽しい、美味しい、気持ちいいことと一緒に、
いやなことや、辛いこと、悲しいこと、アタマにくること
とも折り合いをつけていくということだよね。
自分のあっちこっちを磨きながら、
体のあっちこっちに傷も作っていくってことだよね。

時には傷が深すぎて、ホントに早めに死んじゃう人もいるけど、
そうならない範囲で、自分のチカラでピカピカとグサグサの
バランスをとっていくってことじゃないだろうか。

傷を負わせないようにすることではなくて、
負傷が多すぎてダメになりそうな時に唯一助け合えるのが
家族なんだろうな。

004タンバリン.jpg





005ポスター.jpg

●はじまりへの旅(Captain Fantastic)
2016 アメリカ
上映時間/119分
監督/マット・ロス
製作総指揮/ニミット・マンカド、デクラン・ボールドウィン
製作/モニカ・レヴィンソン、ジェイミー・パトリコフ、シヴァニ・ラワット、
   リネット・ハウエル・テイラー
製作会社/Electric City Entertainment、ShivHans Pictures
脚本/マット・ロス
撮影/ステファーヌ・フォンテーヌ
編集/ジョセフ・クリングス
音楽/アレックス・サマーズ
音楽監修/クリス・ドーリダス
美術/ラッセル・バーンズ
衣装/コートニー・ホフマン
配給/Bleecker Street(米)、松竹(日)
出演/ヴィゴ・モーテンセン、フランク・ランジェラ、キャスリン・ハーン、
   スティーブ・ザーン ほか
受賞/富川国際ファンタスティック映画祭
   ・Save Energy, Save Earth Film Award
   カンヌ国際映画祭
   ・「ある視点」部門 監督賞/マット・ロス
   Deauville American Film Festival
   ・観客賞
   ・審査員賞
   IndieWire Critics Poll
   ・主演男優賞/ヴィゴ・モーテンセン
   Karlovy Vary International Film Festival
   ・観客賞
   Nantucket Film Festival
   ・観客賞 第2位
   Rome Film Festival
   ・BNL People's Choice Award
   サンディエゴ映画批評家協会賞
   ・主演男優賞 次点/ヴィゴ・モーテンセン
   サテライト賞
   ・主演男優賞/ヴィゴ・モーテンセン
   Seattle International Film Festival
   ・Golden Space Needle Award for Best Film







♪ 桜・咲くころ / 押尾コータロー







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Comment

バニーマン | URL | 2018.03.07 19:25
こんばんは。

これは知っていますが未見です・・・
って、ホントに最近映画もTVドラマも観ていないし、
以前に観た作品のブログへのアップも滞っています(^_^;)
いかん、いかん・・・

僕の問題はさておき、M・ナイト・シャマランのヴィレッジとかと内容は
ともかく、閉ざされた世界という設定は同じなんですかね。

かつての日本の鎖国や、世界一幸福な国のブータンや、とても幸福とは
思えないどこかの国々も、そもそもの発想は外からくるいろんな意味での
刺激から自国民や家族を守るためだったわけですが、独裁者であれ良い
意味での保護者であれ、彼等の都合だけで、その結果って、やっぱり開放
されていたほうがいいのかどうか・・・?

アメリカの様に一見開放的な国でも、ものすごい監視国家であってりするわけで、
なんだかな~というかんじではありますね。

すみません、まとまりのない話で(^_^;)

この映画は、そこから飛び出した人たちの話ですよね?
つかりこ | URL | 2018.03.07 20:20
> これは知っていますが未見です・・・
> って、ホントに最近映画もTVドラマも観ていないし、
> 以前に観た作品のブログへのアップも滞っています(^_^;)
> いかん、いかん・・・

↑なんだか最近、お忙しそうですね?
世の中、一部の業種を除いて景気が良くなくていけませんねー。
まあ、ぼちぼちいきましょうやー。

> 僕の問題はさておき、M・ナイト・シャマランのヴィレッジとかと内容は
> ともかく、閉ざされた世界という設定は同じなんですかね。

↑ああいう、ガチガチのコミュニティとは違って、この家族だけの森の生活です。
それと、森の生活の厳しさは描かれていますが、シリアスでネガティブな
イメージではなくて、アクティブな感じす。
「家族でアドベンチャー」って感じ、森にいる間は。
森の外に出てからは、コミカルな感じです。

> かつての日本の鎖国や、世界一幸福な国のブータンや、とても幸福とは
> 思えないどこかの国々も、そもそもの発想は外からくるいろんな意味での
> 刺激から自国民や家族を守るためだったわけですが、独裁者であれ良い
> 意味での保護者であれ、彼等の都合だけで、その結果って、やっぱり開放
> されていたほうがいいのかどうか・・・?

↑鋭いところです。
この作品も、家族のハナシなので、政治とか経済とかのような大袈裟なことでは
ないですが、子供たちのことを慮るがゆえの「保護主義」や
父親のある意味「独裁的な思想統制」や「強制的な訓練」とかの
可否を問うている作品には違いないです。
人が立派に育つために「必要なものだけを」、「徹底的に教え込む」、
まったく既存社会に触れないことでさまざまな「毒」を遮断する。
親は、それでいいのだ、と信じているんですね。
親から教わること以外不必要なんですよ、外に出て「異端」と接することがないから。

> この映画は、そこから飛び出した人たちの話ですよね?

↑そうそう。
でも、自発的に飛び出すのではなくて、あることがきっかけで
外に以下ざるを得なくなるという感じです。
それで、森の中の社会と接しないプリミティブな生活だけでは
人間だめなのかも、ということにさらされるのですが、
ではどうしたらいいの?の答えはこの映画は教えてくれません。

僕が屁理屈をコネちゃったし、邦題が『はじまりの旅』なんてオウギョウな感じなので
シリアスなものに感じちゃったかもしれませんが、これはコメディですねー。
爆笑ものではないですが、肩にチカラを入れて観るような作品ではないす。
(すんません、誤解を与えてしまって)

日本人にはピンと来にくい作品なのかもしれませんねぇ。
でも、海外では評価が高いということは、欧米は家の外で人と接することが
とても大変でストレスフルなことなんだということなんでしょうね。
結局、家族愛が救いなのですが、家の外で日々他人に打ちのめされてしまっている
欧米の人たちだからこそ大きな感動もって評価されたのではないでしょうか。

お父さん役のヴィゴ・モーテンセンは、『ロード・オブ・ザ・リング』の
アラゴルン役で有名ですが、『イースタン・プロミス』の
あのコワイ主演男優の男でっせー。
さとちん | URL | 2018.03.08 17:10
> シリアスなものに感じちゃったかもしれませんが、これはコメディですねー。
> 爆笑ものではないですが、肩にチカラを入れて観るような作品ではないす。
そうなんですね? これ、DVD借りようかと何度か取りつ戻しつした作品です。
つかりこさんの記事読んで観る気がフツフツと湧いてきました!

> 人が立派に育つために「必要なものだけを」、「徹底的に教え込む」、
> まったく既存社会に触れないことでさまざまな「毒」を遮断する。
> 親は、それでいいのだ、と信じているんですね。
> 親から教わること以外不必要なんですよ、外に出て「異端」と接することがないから。
うーん、どうやって繁殖するんだろうと思っちゃいましたよ。
誰と恋するんだろう? って最初に思ったワタシは、毒されていますかぁ〜〜〜?!
なんちゃって。 (>▽<;
家族だけの生活だなんて、それこそストレスフルな気がします。
そういった価値観をハナから親が決めてしまうってのは良くないですよねー。
話の最後はこの家族どうなっちゃのでしょうか? 観たいです。
ももこ | URL | 2018.03.09 18:38
一番最後の写真に惹かれました。いいですね~!
この女性は何をされているんでしょう?
しだれ梅の枝に手を伸ばしている?写真を撮っている?
とても味のある、いい写真ですね☆
つかりこ | URL | 2018.03.10 11:06
> > シリアスなものに感じちゃったかもしれませんが、これはコメディですねー。
> > 爆笑ものではないですが、肩にチカラを入れて観るような作品ではないす。
> そうなんですね? これ、DVD借りようかと何度か取りつ戻しつした作品です。
> つかりこさんの記事読んで観る気がフツフツと湧いてきました!

↑このハナシ、半分、監督の子供時代の実話をもとにしているらしいんですね。
だから、おとぎ話のようなハプニングがあるわけでもないし、
本文にも書きましたが、ストレスを避けて実際に森で暮らすとか、
日本人にはピンと来にくいものがあるような気がしますので、
「まあまあかな」と。(汗)

> > 人が立派に育つために「必要なものだけを」、「徹底的に教え込む」、
> > まったく既存社会に触れないことでさまざまな「毒」を遮断する。
> > 親は、それでいいのだ、と信じているんですね。
> > 親から教わること以外不必要なんですよ、外に出て「異端」と接することがないから。
> うーん、どうやって繁殖するんだろうと思っちゃいましたよ。
> 誰と恋するんだろう? って最初に思ったワタシは、毒されていますかぁ〜〜〜?!
> なんちゃって。 (>▽<;

↑おおーっ、言っちゃいましたねー。
まさに、そんな疑問がわきますよねぇ。
そんなんです、その辺がテーマにしたような映画なんですよ。

> 家族だけの生活だなんて、それこそストレスフルな気がします。
> そういった価値観をハナから親が決めてしまうってのは良くないですよねー。
> 話の最後はこの家族どうなっちゃのでしょうか? 観たいです。

↑まあ、予定調和的な終わり方なんですが・・・まあまあです。
つかりこ | URL | 2018.03.10 11:15
ももこさん、コメントありがとうございます。

> 一番最後の写真に惹かれました。いいですね~!
> この女性は何をされているんでしょう?
> しだれ梅の枝に手を伸ばしている?写真を撮っている?
> とても味のある、いい写真ですね☆

↑ありがとうございます!
最後の写真、技術的な芸当はないのですが、
いい写真ですよね?
自分でも、いいチャンスを撮れたなーって思ってます。
お褒めいただき、サンキューです。

で、その人、しだれ梅に寄って写真を撮っている・・・「じっちゃん」です。
だははははー
ジーンズにスニーカー、ジャンパーにニットキャップでリュックという
ヤングな格好ですが、とぼとぼ歩いていて相当なご年齢に見えました。
でも、僕のやつよりかなり高いカメラを手にしていましたわー。(汗)
僕もじいさんになっても、ああやって写真撮っていたいなあ、なんて
20年後の自分を見るような気持ちでシャッターを押しました。
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Author:つかりこ
北海道生まれ。広告制作会社勤務。スポーツ、飲み食い、音楽、読書、映画などなど、興味がゆらゆら。

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