美しくて、悲しくて、尊い ~ 『草原の実験』


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旧ソ連邦の一つ、カザフスタンのハナシ。
日本列島が何個も入りそうなだだっ広い平原に、
ぽつんと一軒の家がある。

子供でも女でもない少女と、その父親の二人だけ。


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土地なんて気が遠くなるほどあるのに、
遠慮したかのように、必要十分なだけ確保して
きちんとスクエアな人為的なスペースに住んでいる。
広大な自然の中では、人間の欲望なんてたわいものないものだ
とでもいうようなたたずまい。


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埃っぽい風景と、粗末な家や家具。
一切の自我も感じさせない、素直過ぎる少女。
モンゴル系の顔つきで、図体がでかくて愚鈍な感じの親父。
あまりにも不器用で退屈な恋。


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その変哲のないシーンの一つ一つの意味が、
あの衝撃的なラストシーンを迎えて一変する。

埃っぽい風景は、美しい大地の静かな息遣いに。
実は、ナチュラルで心あたたかな美少女、
誠実で力持ちで男らしいお父さん。
あたたかく、純粋に恋を育むということ・・・



なんて美しい、自然と人たち “だった” んだろう。



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セリフがゼロの映画だよ。
無声映画ではないんだな。
物音は全部聴こえるし、音楽も入る。
セリフだけがないんだよ。
だから、睡魔に勝てない人には観るのむずかしいかもなあ(笑)。

事実に基づいた映画だそうだ。
アンドレイ・タルコフスキーの『サクリファイス』を思い出したよ。
ロシア人は、こういう作り方が好きなのかな?

映像が も・の・す・ご・く 美しいわー。
ヒロインのエレーナ・アンも、
「かわいい」のではなく「色っぽい」のでもなく、
そう、美しい。

原題の意味は、翻訳ソフトで訳すと「テスト」。
そう、邦題に入っている「実験」ということだな。
“セリフのない実験的な映画”、という意味かと思い込んで観たんだけど、
んーー、そうではなかったやー。


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●草原の実験(Испытание(Ispytanie))
2014 ロシア
上映時間:97分
監督:アレクサンドル・コット
脚本:アレクサンドル・コット
製作:イゴール・トルストゥノフ、セルゲイ・コズロフ、アンナ・カガルリーツカヤ
撮影:レバン・カパナーゼ
音楽:アレクセイ・アイギ
音響:フィリップ・ラムシーン
編集:カラリーナ・マチェーフスカ
美術:エドゥアルド・ガルキン
衣装:エドゥアルド・ガルキン
配給:ミッドシップ
出演:エレーナ・アン、ダニーラ・ラッソマーヒン、カリーム・パカチャコーフ、
   ナリンマン・ベクブラートフ=アレシェフ ほか
受賞:第27回東京国際映画祭(WOWOW賞、最優秀芸術貢献賞)
   第25回キノターヴル映画祭(最優秀作品賞、最優秀撮影賞)
   第13回プネー国際映画祭(監督賞、観客賞)
   第28回ニカ賞(最優秀音楽賞)
   第51回アンタリア・ゴールデンオレンジ映画祭(最優秀作品賞)







♪ Minuet and Trio in G, K1 / Wolfgang Amadeus MOZART


映画とは何の関係もありません


Comment

この映画、大好きです。
大好きですがすごく恐ろしい。
こういうことはいくらでもあったわけで、
それを、ここまで美しい作品にしたのもすごいですよね。
  • 2016/10/20 11:10
  • びー
  • URL
セリフゼロで衝撃のラストで実験?
美しい、自然と人たち “だった”?
“だった”?
“だった”って??きゃ~(`・ω・´)

意味深ですね~、見たくなりました。大丈夫です。寝ません。たぶん。
TUTAYAにあるかなぁ。
  • 2016/10/20 17:00
  • きたあかり
  • URL
観たい!観たい!観たい!
ぜったい観るぞ〜!
97分だし、私もだいじょうぶ、寝ないと思う。たぶん。
GEOにあるかなぁ。
こんばんは。

観たいと思っている映画の一本です。

僕にとって、唯一の難点はロシア人がつっくていること・・・
寝ちゃうことが多いんですよね(笑)

そんな広い草原があるなんて!
想像なんてできません。



>なんて美しい、自然と人たち “だった” んだろう。

だった・・・ってことは・・・∑( ̄ロ ̄|||)
私は怖がりなので、たぶん観れません。



セリフ覚えなくていいのはラクですね^^;







  • 2016/10/21 15:09
  • ももこ
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このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • 2016/11/10 13:44
Re: びーさん、コメントありがとうございます。
> この映画、大好きです。

↑あ、そうだったんですね。
んーと、記憶に薄いのですが、
僕は、この映画を別の映画のディスクに入っていた予告編で観たはずですが、
ひょっとしたら、びーさんの記事を読ませていただいて観ようと思った
のかもしれませんね。
そうだったとしたら、お礼申しあげます。
ありがとう!

> 大好きですがすごく恐ろしい。

↑先日、大西さんが宇宙ステーションから帰還した場所も
カザフスタンでしたねー。
あそこは、地図で見てもめっちゃだだっ広いので、
「落っこちて系」は、カザフと決まっているんでしょうか?(苦)

映画のトーンが物静かで、観方によっては「いつか何か起こるのでは?」
という緊張感というかサスペンス感が漂っているかもしれませんね。

> こういうことはいくらでもあったわけで、
> それを、ここまで美しい作品にしたのもすごいですよね。

↑映像はものすごく美しいのですが、
お父さんや知人や若い男子、風景そのものが
美男子だったり、カナダの湖みたいな絶景だったりしないのが
この映画のミソで、物語のリアリティや悲しさを倍増させていると思います。
こういうことが、何度も行なわれたんでしょうかね?
知らなかった。
  • 2016/11/10 17:23
  • つかりこ
  • URL
Re: きたあかりさん、コメントありがとうございます。
> セリフゼロで衝撃のラストで実験?
> 美しい、自然と人たち “だった”?
> “だった”?
> “だった”って??きゃ~(`・ω・´)
>
> 意味深ですね~、見たくなりました。大丈夫です。寝ません。たぶん。
> TUTAYAにあるかなぁ。

↑静かで、まあ眠くなる可能性90%です。
クライマックス一発勝負です。
おもしろいか?と聞かれれば、おもしろくないです。(笑)
まあ、気が向いた時にでもどうぞ。
  • 2016/11/10 17:27
  • つかりこ
  • URL
Re: さとちんさん、コメントありがとうございます。
> 観たい!観たい!観たい!
> ぜったい観るぞ〜!
> 97分だし、私もだいじょうぶ、寝ないと思う。たぶん。
> GEOにあるかなぁ。

↑もう観ちゃいました?
たぶん、カザフスタンのフツーの人の静かな暮らしを描いているのだと思いますが、
とてもつまんないです。
でも、ラストを迎えて、そんな静かでフツーなことが
とても愛おしくなります。
そんな映画です。
僕はTSUTAYAで借りて観ました。
  • 2016/11/10 17:31
  • つかりこ
  • URL
Re: バニーマンさん、コメントありがとうございます。
> こんばんは。
>
> 観たいと思っている映画の一本です。
>
> 僕にとって、唯一の難点はロシア人がつっくていること・・・
> 寝ちゃうことが多いんですよね(笑)

↑あ、それならたぶん寝てしまいます。(笑)
まあ、観るものがない時にでも、お気楽にどうぞ。
つまんなくても、怒んないでねー。(汗)
  • 2016/11/10 17:33
  • つかりこ
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Re: ももこさん、コメントありがとうございます。
> そんな広い草原があるなんて!
> 想像なんてできません。

世界最大の「海なし国」だそうです。
国土の面積が日本の7倍なのに、ほとんどが砂漠か草原
(といっても荒地みたいなステップ)なので、
日本の7倍もある草原ということになりますねー。

> >なんて美しい、自然と人たち “だった” んだろう。
>
> だった・・・ってことは・・・∑( ̄ロ ̄|||)
> 私は怖がりなので、たぶん観れません。

↑うん、でも血や内臓が出るとか、
おっかないゴーストが現れるというようなことはないです。
それより、観た人から「つまんねーじゃないか」って
怒られる僕はコワイ。

> セリフ覚えなくていいのはラクですね^^;

↑ですねー。
主役の女の子は、まったくの素人でいきなり映画にでたので、
ラクだったかもしれませんね。
でも、ベテランの俳優とかには、難しいと感じられるやり方かもしれませんね。
  • 2016/11/10 17:50
  • つかりこ
  • URL
Re: とんとんとん!
鍵コメさん、あたたかなお心遣い、ありがとうございます!
僕は生きてますよー。
出張が多くて、無駄な時間ばかりが過ぎていくんですよう。
なかなか更新に手がつきませんが、やめたわけではないんです。
これからも、ボチボチお付き合いくださいませー。
ありがとう!
  • 2016/11/11 18:15
  • つかりこ
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