近頃、忘れられてません? ~ 『忘れないと誓ったぼくがいた』


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もしキミが「タイプ!」という人と出会って、仲良くなって、
「名前教えてくれる?」って聞いた時に相手に・・・

「忘れない?」
「忘れないなら、教えてあげる」


って言われたら、どう思う?

すごい言葉だよね。
深い。

人は、かつての恋人のやさしさや、友達のおもいやりや、
親の愛情や、同僚の誠実さなんかを少しずつ忘れていく。
覚えていることでさえ、その鮮烈さがだんだんと薄れていく。

会社で、いつもぽつんと仕事をこなしている人。
学校にいても下校しても、ぼっちの人。
好きな人を遠くから眺めているだけの人。

そういう人は、ひょっとすると名前を忘れられている人なのかもしれない。
“存在“ を忘れられているという意味のたとえとしての “名前”。



この映画は、元ももクロの早見あかりと、
UA(ウーア)の息子でいま売り出し中の村上虹郎を主役にした、
アイドル映画なんだよ。
演技もすごくうまいとは思えない。
お金も時間もかけず、ぱぱっと撮ったらしい。
けど、観てから日にちが経っても妙に記憶に残っているので、
記事にしてみたんだよ。



<あらすじ>

ヒロインの織部あずさ(早見あかり)は、某高校の生徒なんだけど、
教室で誰かと接するたびに、「キミ、誰だっけ?」と聞かれるんだな。
自分のことをちゃんと説明して納得を得ても、次の日にはまた「誰だっけ?」。
めんどくさいから、教室の片隅で気配を消して生活しているんだよ。

家でも同じ。
親も娘がいることは認識しているんだけど、
誰だかはっきりしないので、ぼんやりと一緒に暮らしているようすだ。

そう、数時間経ったら、
まわりの人がみーんな、彼女のことを忘れてしまうんだな。

『博士の愛した数式』や『リピーテッド』みたいな、
“1日経ったら、自分がまわりのことをすべて忘れる“
というのはいくつもあるけど、これはその逆なんだよ。

タイムループものやタイムスリップものでもない。

ある日、同じ高校の男子・タカシ(村上虹郎)はあずさに恋をしてしまう。

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「絶対忘れないなら、名前を教えてあげる」

その日から、タカシは “彼女を忘れない” ための記録を残し始めるのだ。
リセットされた記憶に、たくさんの記録をインプットしなおす毎日が続く。

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またある日、ちょっとしたきっかけで、
タカシは大変な “記録” を見つけてしまう。

・・・そして、想像を裏切る結末。



その人と過ごした時間を忘れるということは、
その人が存在していたことを消してしまうこと、
その人を愛するのをやめるということだ

とこの映画は言っているような気がするな。

同時に、
誰もが “自分が忘れられている寂しさ“ をかかえて生きている
んだろうなとも思った。

自分は、大切な人と大切にすべきことを忘れていやしないか、
そのことで、かけがえのない人を深く傷つけていやしないか。


なんてことを考えさせられる「深い・青春アイドルもの」であった。





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●忘れないと誓ったぼくがいた
2015 日本
上映時間:94分
監督:堀江慶
脚本:堀江慶、おかざきさとこ
原作:平山瑞穂
製作:吉田正大
プロデューサー:椋樹弘尚、渡辺尊俊
CO.プロデューサー:由里敬三
製作会社:beachwalkers.
撮影:板倉陽子
編集:村上雅樹
照明:緑川雅範
録音:石貝洋
美術:高橋俊秋
スタイリスト:小里幸子
ヘアメイク:百瀬広美
音響効果:岡瀬晶彦
助監督:佐野友秀
製作担当:中山泰彰
音楽:三枝伸太郎
主題歌:クリープハイプ『2LDK』
制作会社:ジャンゴフィルム
配給:日活
出演:村上虹郎、早見あかり、西川喜一、渡辺佑太朗、大沢ひかる、山崎樹範、
   二階堂智、ちはる、池端レイナ、ミッキー・カーチス ほか





“ High & Dry ” / Radiohead



コメント

非公開コメント

むらじゅんの息子

アイドル映画と言えども、結構渋い選択ではないでしょうか?
と言いたくなるチョイスですね。
って、まったくこの作品のこと知りませんけど(^_^;)。

村上虹郎は一度ぐらいは見たことがあるかもしれませんが、
2枚目の写真だと父親に似ているかなと思いましたが、ポスターの写真は
母親に似ているのかなと。当たり前といえば当たり前ですね・・・苦笑。

早見あかりはももクロ時代を全く知らないので、女優さんが本業だと思っていました。

あらすじを聞くとちょっと興味をそそられる作品ですね。

つかりこさんの文章で泣いちゃいそうじゃないですか!
忘れられるアタシ。でも、相手もそう。
そうやって、時は過ぎて、いつかは無に。
寂しいね。
でもきっと、誰しもがそうなんだね。
じ~ん(ノ_・,)

おはようございます。

つかりこさんの解説で、深い意味を感じました。
人間は、忘れる特技を持っていますが、それは癒すことでもあり、実は悲しいことでもあるのでしょうか。

悲しく、苦しい記憶は、薄れた方がいいと思います。
忘れたくないのに消えて行く記憶の方もいます。


どんな活躍をした方でも、よほど歴史にでも残らない人間以外は、忘れ去られて行きます。
生きていたことさえも。

忘れることで、悪の歴史を繰り返す場合もありますよね。

悩ましいです。

過去に生きるより、今、この瞬間を大切に生きることも重要でしょうね。
今が一番、と言える人生を送りたいものです。




この女の子、どっかで見たことある・・と昨日から思っていたのですが
やっと思い出した!
うちの娘が、「新津保建秀×早見あかり 写真集」を持っていました。
女子が女子の写真集を持つんだ?と思いましたが
見てみると確かに良い写真だったし、すごくピュアなかんじの子だと思ったのと
元ももクロと聞いてへぇ〜という意外性とで
記憶に残ったんだと思います。
こんな映画にも出ているのですね。

> 観てから日にちが経っても妙に記憶に残っている
人の印象や記憶に残るってのも芸能人的には一種の“才能”みたいなものかしら?

こんにちは。
ラスト3分スッゴく気になります。
見たいけど見ないな。
だって忘れちゃうから、って思いました。。。

心にしみました・・・

ほうほう。この映画何かくるものがありそうですね。
特に、つかりこさんの記事が素晴らしいのだと思いますが、何か熱いものを感じます。

「その人と過ごした時間を忘れるということは、
その人が存在していたことを消してしまうこと、
その人を愛するのをやめるということだ」

なるほど~ですね。
心にしみる文章です。

ああ、この監督、「ベロニカは死ぬことにした」の監督じゃないですか!!
「nigiri」って作品も面白いですよ(^_-)-☆

Re: むらじゅんの息子

バニーマンさん、コメントありがとうございます。

> アイドル映画と言えども、結構渋い選択ではないでしょうか?
> と言いたくなるチョイスですね。
> って、まったくこの作品のこと知りませんけど(^_^;)。

↑僕も、このテの映画はすすんでは観るほうではないのですが、
誰かの絶賛とかおすすめとかを見て、“観なくちゃメモ” に
入っていたりするとちょいちょい観るんですよ。

> 村上虹郎は一度ぐらいは見たことがあるかもしれませんが、
> 2枚目の写真だと父親に似ているかなと思いましたが、ポスターの写真は
> 母親に似ているのかなと。当たり前といえば当たり前ですね・・・苦笑。

↑3人の写真を見比べると、目鼻はUA、あごのカタチはムラジュンにそっくりですね。

> 早見あかりはももクロ時代を全く知らないので、女優さんが本業だと思っていました。

↑僕もももクロ時代を知らないです。
いまも、歌手としての彼女は観たことがないですねー。
映画やテレビには、よく出ていますよね。

> あらすじを聞くとちょっと興味をそそられる作品ですね。

↑でしょ、これは僕も、役者の誰かが好きで観たのではなくて、
あらすじを読んで観ることにしたはずでした。
なかなかのテーマだと思ったら、原作の小説があって、
元はちゃんとした文芸作品なんですね。
こういうと大変失礼だし生意気ですが、
配役や映像の空気の作り方は、もっとこの作品のテーマに迫る
やり方があったのではないかと、“惜しい!” 作品だと思っています。
まあ、映画って売るための苦心が絶えないものだと思いますが・・・
気が向いたらご覧になってください。

Re: きたあかりさん、コメントありがとうございます。

> つかりこさんの文章で泣いちゃいそうじゃないですか!
> 忘れられるアタシ。でも、相手もそう。
> そうやって、時は過ぎて、いつかは無に。
> 寂しいね。
> でもきっと、誰しもがそうなんだね。
> じ~ん(ノ_・,)

↑きっと、そういうものなんでしょうね。
でも、少しでも誰かのプラスの記憶になれたらと、
願いながら生きるのがいいんでしょうね。
(なにものだ、オレは)

Re: さとちんさん、コメントありがとうございます。

> この女の子、どっかで見たことある・・と昨日から思っていたのですが
> やっと思い出した!
> うちの娘が、「新津保建秀×早見あかり 写真集」を持っていました。
> 女子が女子の写真集を持つんだ?と思いましたが
> 見てみると確かに良い写真だったし、すごくピュアなかんじの子だと思ったのと
> 元ももクロと聞いてへぇ〜という意外性とで
> 記憶に残ったんだと思います。

↑お子さん、新津保建秀のほうに興味があったのでは?
調べたら、アーティストか何かですよね?
まあ、早見あかりが好きでも、なんら問題はないのですが。

> こんな映画にも出ているのですね。

↑観てないですが、ちょっと評判になった『百瀬、こっちを向いて。』
という映画の主役ですね。
朝ドラ『マッサン』にも出ていましたね。(マッサンの妹)

> > 観てから日にちが経っても妙に記憶に残っている
> 人の印象や記憶に残るってのも芸能人的には一種の“才能”みたいなものかしら?

↑タレントには、大事な資質ですよね。
この人の顔は、やはり一度見ると記憶に残りますよねー。
ド迫力の目鼻立ちだと思います。
唇はすごく初々しいんですが、全体的には「般若」っぽくありません?
あ、いや、好きだからこそのいじくり、ということで。(汗)

Re: おはようございます。

Miyuさん、コメントありがとうございます。

> つかりこさんの解説で、深い意味を感じました。
> 人間は、忘れる特技を持っていますが、それは癒すことでもあり、実は悲しいことでもあるのでしょうか。
>
> 悲しく、苦しい記憶は、薄れた方がいいと思います。
> 忘れたくないのに消えて行く記憶の方もいます。
>
>
> どんな活躍をした方でも、よほど歴史にでも残らない人間以外は、忘れ去られて行きます。
> 生きていたことさえも。
>
> 忘れることで、悪の歴史を繰り返す場合もありますよね。
>
> 悩ましいです。
>
> 過去に生きるより、今、この瞬間を大切に生きることも重要でしょうね。
> 今が一番、と言える人生を送りたいものです。

↑“いま” が一番大切なのだと思いますが、
いまって、過去から未来へつながっているものの途中なのだと思います。
過去から学び、未来を想定することで、いまを充実できるのではないかと。
よくない過去と、よくない未来予想図しか見えないいま、
若者たちは希望を失っているように思えます。
僕らが子供たちにしてあげられることはないかと思うことがしばしばです。
(なんか、しんみりしてしまい、すみません)

嫌なことや悪い思い出や予想だけを忘れられればいいんですがね。

Re: ミームさん、コメントありがとうございます。

> こんにちは。
> ラスト3分スッゴく気になります。

↑気になるでしょ?
ハナシの途中で察しのいい人は感づくかもしれませんが、
「おー、なるほどー」って思わされますよ。
それで、最後は想像と違う終わり方だと思います。
よくある、タイムループのようなSF的なオチもないんですよ。
ますます、気になるでしょ?(笑)

> 見たいけど見ないな。
> だって忘れちゃうから、って思いました。。。

↑うまい!
ざぶとん一枚ですー。
いったん忘れといて、縁がありましたら、ご覧くださいなー。

最近物忘れが・・・^^;

大切な人に名前忘れられると想像しただけで、
ちょっぴり切なくなりますね・・・

名前は忘れられたとしても、
一緒に過ごした温もりだけは、
ぼぉ~っとでも憶えていて欲しいなぁ~
って、別れたこと前提で話してますね^^;

映画の内容も忘れるの得意です!(えっへん!)(笑)

Re: 心にしみました・・・

ちょい若おやじさん、コメントありがとうございます。

> ほうほう。この映画何かくるものがありそうですね。
> 特に、つかりこさんの記事が素晴らしいのだと思いますが、何か熱いものを感じます。
>
> 「その人と過ごした時間を忘れるということは、
> その人が存在していたことを消してしまうこと、
> その人を愛するのをやめるということだ」
>
> なるほど~ですね。
> 心にしみる文章です。

↑この映画は、バリバリの恋愛青春モノに見えるし、
実際そういうストーリーですが・・・

忘れられてしまう(無視される)と言うことは、
自分の存在が消えてしまうこと

・・・というような、他人との関わりと自分のアイデンティティの関係とか
たくさんの人間がまわりにいるのに孤独だとか
そんなことを考えさせられる映画だな、って勝手に思っています。
小説の原作を読んでいないので、何とも言えないのですが、
作者は恋愛ものの衣をかぶせて、そんなことを言いたいのではと
勘ぐってみたわけです。
もっとシュールなタッチの映像と音楽にすればよかったのに、
と「惜しいなあ」と思っています。
まあ、そうやると売れないのかもしれませんが。

まあ、気が向いたら観てみてください。

Re: ポニャトフスキ(河井継之助 さん、コメントありがとうございます!

> ああ、この監督、「ベロニカは死ぬことにした」の監督じゃないですか!!
> 「nigiri」って作品も面白いですよ(^_-)-☆

↑そうです!『ベロニカ・・・』の監督です。
あの監督の「青春恋愛モノ」です。
意外でしょ?

『握』、YOUTUBEで失礼でしたが、観ましたよ。
これは、テレビドキュメンタリーみたいな内容でしたが、
日本人の僕でも知らないことがたくさんあり、
外国人向けにもサイコーな作品ですよね。
あー、寿司が食べたくなってしまった。

ポニャさん、外食だけでなく、映画に詳しいですねー。
今度、「映画とオムライスの旅」で、記事にしてくださいなー。

Re: 最近物忘れが・・・^^;

ももこさん、コメントありがとうございます。

> 大切な人に名前忘れられると想像しただけで、
> ちょっぴり切なくなりますね・・・
>
> 名前は忘れられたとしても、
> 一緒に過ごした温もりだけは、
> ぼぉ~っとでも憶えていて欲しいなぁ~

↑劇中では、彼女のまわりの人たちはもちろん、
彼も名前だけでなく一緒に食べたりカラオケしたりしたことも、
来週に約束したことも忘れていくんです。
彼は、「僕だけは彼女のことはほんの少しだって忘れない」という
気持ちで一所懸命忘れないように工夫するんですよ。
その一所懸命さが彼女を愛する気持ちの強さなんでしょうね。

彼ばかりではなく、みんなが彼女の存在を忘れていく、というのは、
人の孤独ってそういうところからくるんだろうな、って
考えさせられました。
一見、さらっとした若者向けの映画に見えますが、
思い出したら観てみてくださーい。

> って、別れたこと前提で話してますね^^;

↑別れていないのに、忘れられるというのは、
もっとつらいですよねぇ。
この映画は、そんな寂しさの漂った作品ですわー。

> 映画の内容も忘れるの得意です!(えっへん!)(笑)

↑そうそう!
僕は、だいたい1日1本観ますが、タイトルも中身も
すぐに忘れてしますます。
最近やばいですわー。(汗)
ヘソに力を入れて観るようにしましょう、おたがいにね!

こんにちは

何だか不思議な話ですね。
ここにずっといるのに、忘れられちゃう。
それは切ないだろうなあ。
自分一人でも楽しく生きられるようでいて、誰の記憶にも残らないって、
氷河の上に取り残されたような寂しさかな〜。

目の前にいる大切な人、大切なこと、それを忘れないように。
それがほんとに大事ですね。

好むと好まざるとに関わらず

こんにちは。
自分の存在が忘れられてしまう不安、こーゆーのは母になったらなくなりましたわ。
少なくとも子どもが親のことを忘れることはないよな、と思ったので。
と同時に、だから『母は強し』なのかな、とも思いました。

Re: こんにちは

里花さん、コメントりがとうございます。

> 何だか不思議な話ですね。
> ここにずっといるのに、忘れられちゃう。
> それは切ないだろうなあ。
> 自分一人でも楽しく生きられるようでいて、誰の記憶にも残らないって、
> 氷河の上に取り残されたような寂しさかな〜。

↑映画では、具体的に、名前とか彼女と過ごした楽しい思い出などを
忘れてしまうのですが、これは恋愛だけのハナシでなくて、
都会に住む僕らが、たくさんの人の中で過ごしていて
「気にもしない人」とか「嫌いなので関わらない人」とか、
そういう存在感のない、もしくは存在を否定したい人とのかかわりを
メタファーとして表現しているのではないかと思いました。

映画では、忘れないことを恋人への「愛」と表現されていますが、
僕らの日常の中では、自分が関わる人への「尊重」とか「理解」と
置き換えられるような気がして、この作品が単なるヤングの恋愛モノ
ではすまされないものに感じたんですよ。

僕らは、たくさんの人に理解・尊重されずに、氷河の上に取り残されながら、
幾人かの人と手をつなぎながら生きていくようなもの。
そんな感じ。

> 目の前にいる大切な人、大切なこと、それを忘れないように。
> それがほんとに大事ですね。

↑それが人を愛するということ、とこの映画(小説)は言っていますねー。
最初から最後まで、多分に比喩的なファンタジーなんですね。

Re: 好むと好まざるとに関わらず

ケフコタカハシさん、コメントありがとうございます。

> こんにちは。
> 自分の存在が忘れられてしまう不安、こーゆーのは母になったらなくなりましたわ。
> 少なくとも子どもが親のことを忘れることはないよな、と思ったので。
> と同時に、だから『母は強し』なのかな、とも思いました。

↑その通りなのだと思います。
生物学的にも、「母」はより良い環境で子供を生んで育てるために、
忘れられない(尊重される)ように生きてきて、
子供を生んでからは子供に忘れられず(感謝されて)
生きていけるのだと思います。

男は使い捨てなので、アクティブじゃなくなったら、
覚えている(尊重する)人は一人もいなくなるのでは?
できるだけ、そうならないように頑張らなくちゃ、
ってびくびく頑張っています。(笑・汗)