あの頃の会いたくない自分 ~ 『フランシス・ハ』


たとえば、キミは27才の女子。
ちょっとした夢を持って都会へ出てきたんだよ。

夢をかなえたい。
大都市なら、やりたいことの就職先なんてなんぼでもあるし、
つなぎのアルバイトだって見つけられる
って思ったんだったよね。

でも、やりたいことをやれる会社に入ったはいいけど、
もう何年も使いっぱしりばかりで、
夢のまわりをうろうろしているだけ。

それどころか、最近の上司のキミを見る目は、
腐ったみかんでも見るかのようだよね。
考えたくもないけど、いつ辞めろと言われるかびくびくの毎日だろ。



この前、キミは彼氏と別れてしまった。
彼氏のベッドで一緒に寝てた時、
「そんな仕事やめちまって、オレと結婚しよう」
なんて言われて、腹が立ったんだろ?

でも、惜しいことしたよなあ。
けっこういいやつだったんだよね。
もうこの先、同じ年頃であんないい人と出会えるのかな。

001彼氏.jpg



キミとルームシェアしてたマリちゃん、
突然、結婚することになったんだってねー。
キミたちって、レズなのかと思っていたよ。

だって、前に合コンした時も、
「よっぽどの男じゃないと、興味湧かなーい。
成功するまで、私たち一緒に暮らそうねー」
なんて言ってたから。

それで、居候してたキミのほうがアパートを追い出された、
というわけか。

002友達.jpg



夢をかなえたい、って言ったって、27だしさ、
結婚だってしたいのか、したくないのか?
そろそろ、はっきりしないといけないのかもしれないね。

いまのままだと、良くも悪しくも、どこにも “キミ” がいない。
みんな、“若さ” とか、“大きな夢” とかを脱ぎ捨てて、
キミを置き去りにしていく。

世の中って、“ダメ” を受け入れられないやつが、
“ダメ人間“ の烙印を押されるんだよ。



先月、突然アラスカに行って来るって言ってたけど、
あれは、なんだったんだよ。

で、会社辞めて、新しい仕事見つけたんだって?
よかったじゃん。
新しいカレはできた?
え、好きな人はいるって。

うん、次の自分を創りつつあるんだね。
いちから出直しかあ。
とにかく、おめでとう、
まあまた、いろいろ壁にぶち当たると思うけどさ・・・



*******************************************************************

・・・ってな感じの時期ってなかった?
仕事も恋も、なんだか思うようにいかねーな、
英会話学校にでも行って、職でも変えようかなー、なんてこと。

この映画は、そんな、大なり小なり誰でも通り過ぎる、
若者から大人への転機のようなものを描いた作品なんだなー。

主人公の、やることなすことうまくいかないいま。
映画ではちょっと珍しい “ダメ女” を描いた作品。
『もらとりあむタマ子』のアメリカ版、って感じかな。

きれいなモノクロで、ダメ男を描いた『コーヒーをめぐる冒険』と
似てなくもないけど、社会派ではないなあ。
昔のヌーベルバーグ映画の匂いがぷんぷんするねー。

あっちこっちの評で書かれているけど、
主人公の名前 “フランシス” は、
フランソワ・トリュフォーからとったんだろうね。

音楽がかっこいい!

ふふふふ
は? って思わせるエンディングをどう捉えるかは、
キミしだいなんだなー。



003駆ける.jpg





004ポスター.jpg

●フランシス・ハ(FRANCES HA)
2012 アメリカ
上映時間:86分
監督:ノア・バームバック
脚本:ノア・バームバック、グレタ・ガーウィグ
製作総指揮:フェルナンド・ロウレイロ、ロウレンソ・サンターナ
製作:ノア・バームバック、スコット・ルーディン、ロドリゴ・テイクセリア、リーラ・ヤコーブ
撮影:サム・レヴィ
編集:ジェニファー・レイム
プロダクション・デザイン:サム・リセンコ
音楽監修:ジョージ・ドレイコリアス
主題歌:デヴィッド・ボウイ『モダン・ラブ』
キャスティング:ダグラス・アイベル
配給:エスパース・サロウ(提供 新日本映画社)
出演:グレタ・ガーウィグ、ミッキー・サムナー、アダム・ドライバー、マイケル・ゼゲン、
   パトリック・ヒューシンガー、マイケル・エスパー、シャーロット・ダンボワーズ ほか
受賞:テルライド映画祭(2012)プレミア上映
   第71回ゴールデングローブ賞
   ミュージカル・コメディ部門 主演女優賞ノミネート(グレタ・ガーウィグ)







“ 水曜日の午後 “ / Stardust Revue




コメント

非公開コメント

おはようございます。

つかりこさんの映画紹介
最高です。こんな感じで紹介されたら、観たくなると思います。
若かりし頃、ダメダメ時代を思い出しました。


あの時があったから、今があるのかしら?としみじみ。
27歳の頃、必至で生きていたかも・・・
無責任に。

このような紹介は、私の脳みそに優しいと思います(*^_^*)
今後も、期待しています。

うまいっ!

いきなり映画のあらすじから始まると、
ついつい読み惹かれますね。
つかりこさんってホント天才だー☆

モノクロなんですね!
オールドムービー好きにとっても嬉しい映画♪
どんな音楽なんだろう?
聴いてみたいなぁ~♪


駄目だっていいじゃないか

 努力すれば夢はかなう。諦めなければ夢はかなう。テレビじゃ猫も杓子も言ってるけど、大っ嫌いです、こういうの。まるで夢を諦めた人は落伍者だって言わんばかりじゃないですか。そうじゃないと思うんだよね。どんなに努力したって手にできなかった人は大勢いるんだよ。そして世の中は夢を諦めた人達が一生懸命支えているんだよ。勿論、諦めずに夢を手にした人は立派だよ。でも諦める勇気を持ってた人達だって負けないくらい立派なんだよ。私はそう思うんだわ。

こんばんは。

これはレンタル予約してあるので楽しみに到着を待ちます。

観たら感想書きますね!

Re: おはようございます。

Miyuさん、コメントありがとうございます。

> つかりこさんの映画紹介
> 最高です。こんな感じで紹介されたら、観たくなると思います。
> 若かりし頃、ダメダメ時代を思い出しました。

↑二人称的な文体にチャレンジしてみました。
おもしろがっていただけて、とてもうれしいです。
ありがとう!

> あの時があったから、今があるのかしら?としみじみ。
> 27歳の頃、必至で生きていたかも・・・
> 無責任に。

↑この映画の、エンディング=何を言いたいのか
って、けっこう微妙で、これを観た人にゆだねられているんだと思います。
つまり、この映画の主人公も、後になってあの頃の自分は、いまの自分にとって
何だったのか、って気づくのだと思います。

「無責任に。」といま解釈できているんですから、
きっといまのMiyuさんの血肉になっているのだと思いますよ。

> このような紹介は、私の脳みそに優しいと思います(*^_^*)
> 今後も、期待しています。

↑応援ありがとうございます。
今後ともどうぞよろしくですー。

Re: うまいっ!

ももこさん、コメントありがとうございます。

> いきなり映画のあらすじから始まると、
> ついつい読み惹かれますね。
> つかりこさんってホント天才だー☆

↑あ、映画の内容に似てはいますが、まったく同じではないんですよ。
ストーリーがバレないように、日本人向けに書いてみました。
僕は女性ではないので、女子の心情をうまく捉えているかどうか
自身はないのですが、ほめていたたいて、とてもうれしいです。
ありがとうございます。

> モノクロなんですね!
> オールドムービー好きにとっても嬉しい映画♪
> どんな音楽なんだろう?
> 聴いてみたいなぁ~♪

↑かっこいいというのは、かっこいい曲というよりは、
フランスの昔のヌーベルバーグ映画の映画音楽と
デビッド・ボウイなどのポップロックをうまく混ぜたやり方が
かっこいい、って感じです。
古い+新しい、って感じかな、わかりずらいよねー。

Re: バニーマンさん、コメントありがとうございます。

> こんばんは。
>
> これはレンタル予約してあるので楽しみに到着を待ちます。
>
> 観たら感想書きますね!

↑了解でーす。
待ってまーす。

Re: 駄目だっていいじゃないか

おー!miss.keyさん、コメントありがとうございます!

>  努力すれば夢はかなう。諦めなければ夢はかなう。テレビじゃ猫も杓子も言ってるけど、大っ嫌いです、こういうの。まるで夢を諦めた人は落伍者だって言わんばかりじゃないですか。そうじゃないと思うんだよね。どんなに努力したって手にできなかった人は大勢いるんだよ。そして世の中は夢を諦めた人達が一生懸命支えているんだよ。勿論、諦めずに夢を手にした人は立派だよ。でも諦める勇気を持ってた人達だって負けないくらい立派なんだよ。私はそう思うんだわ。

↑おっしゃる通りだと思います。

あの、そういうお考えでしたら、きっとこの映画を楽しめると思いますよ。

この映画は、ダメダメなイタい20台後半の主人公を全然、落伍者だと決めつけていないし、
かといってよくある「夢に向かって、再生ハッピーエンド」を描いてもいないんです。
(あー、50%くらいネタバレさせてしまったかな)
そこが、この映画の秀逸なところなんです。
はい、この映画、上記のmiss.keyさんとおんなじ考えを持った人たちが
つくったんですよ、ぜったい。

百聞は一見に如かず、よかったら、ぜひ観てみてください。

アメリカ映画なんですね〜。 ぱっと見、ヨーロッパ映画かと思いました。
86分と短いし、知らない役者さんばかり(私には)ってとこもいいですね。

20代中盤・・・自分の人生の中で一番キライな時代です。

Re: さとちんさん、いつもありがとうございます。

> アメリカ映画なんですね〜。 ぱっと見、ヨーロッパ映画かと思いました。
> 86分と短いし、知らない役者さんばかり(私には)ってとこもいいですね。

↑ですよねー。
キャストやクルーのクレジツトを見ると、
ドイツ系の人が多いように思われますので、
ヨーロッパ風な映画なんでしょうね。

それと、この映画は、映像も音楽もヌーベルバーグ映画のオマージュ、
とくにフランソワ・トリュフォーの作品をリスペクトしていると
思われるので、そもそもヨーロッパ調につくろうとしたんでしょうね。

> 20代中盤・・・自分の人生の中で一番キライな時代です。

↑でしょ?
以前にどっかで書いていましたよね?

だったら、この映画を観ると、イヤな時代を思い出して
落ち着かない気分になるかもしれませんね。(笑)

他の女性の評を読むと、「共感できるわー」というのばかりでなく、
「不愉快な気分になる」というのもあったんですよ。
あまりに共感できると、仕事や、恋や結婚や、お金や、友達関係などで
おどおどしてた時代を思い出して、不快な気分になるかも。

しかもこの映画、アメリカ映画お決まりの “再生感” が薄いんです。
それは、ラストシーンを観た後、ポスターのコピーを読むと
何を狙った作品かわかると思います。

だいぶん説明しちゃいましたねー。
このレスをバニーマンさんが観る前に読まないことを願うばかりです。(笑)

ま、評価はけっこう高いのですが、そんなに大そうなものでもないです。
イヤな気分になってまで、観る必要もないかもねぇ。
じゃ、紹介すんなってかあ(汗)

おはようございます
共感できそうな映画だなと思いました

Re: ネリムさん、コメントありがとうございます。

> おはようございます
> 共感できそうな映画だなと思いました

↑おー、そうですか。

制作に主演の女性がかかわっているので、
25くらいから30才くらいまでの時期の女性の立場や心の動きを
うまーく捉えた作品なのではないかと思います。

男の僕にだってありましたよ、
「仕事、いつまでもこういうて状況でいいのか?」とか
「いくらなんでも、そろそろ結婚しないとやばいよなあ」とか
考えた時期が。

よかったら、観てみてくださいなー。

ふふふふ

おいてけぼりだって、一度でも「夢」や「若さ」を持てた人間は、ダメじゃない。
最初から何も持てない人も大勢いるのさ。

>ふふふふ
は? って思わせるエンディングをどう捉えるかは、
キミしだいなんだなー。

ううっ。つかりこさんがそうおっしゃるとは、観たくなるじゃあないですかっ。
ふふふふ、がポイントですね。

Re: ふふふふ

きたあかりさん、コメントありがとうございます。

> おいてけぼりだって、一度でも「夢」や「若さ」を持てた人間は、ダメじゃない。
> 最初から何も持てない人も大勢いるのさ。

↑僕もそう思います。
夢を持つこと自体が大切で、
叶うことが一番大切なことではないような気がします。
たぶん、世の中の人のほとんどが
ちゃんと夢を叶えられないでいるのだと思うからです。

また、年齢もあまり関係なくて、いま何かこうしたいと願うことがあれば
それが夢であり、誰かが言っていましたが、夢を持っていれば何歳であろうと
青春なのだと思います。(照れるわー)

> >ふふふふ
> は? って思わせるエンディングをどう捉えるかは、
> キミしだいなんだなー。
>
> ううっ。つかりこさんがそうおっしゃるとは、観たくなるじゃあないですかっ。
> ふふふふ、がポイントですね。

↑エンディング命の作品と言えるかも。
バッドエンドと捉えるか、パッピーエンドと捉えるかは
観る人しだいだろうあ、って思います。

まあ、ネガティブなことばかり起こるストーリーなので、
体調のいい時にでも。(汗)

観ました!

観ました!
きたあかり日記の記事にさせてくださいマセ。
とても心に残る映画で、今までにない映画で。
紹介して頂き、ありがとうございます。
つかりこさんの名前出しちゃうかも。
よろしくお願いいたします( ・∇・)

Re: 観ました!

きたあかりさん、コメントありがとうございます!

> 観ました!
> きたあかり日記の記事にさせてくださいマセ。
> とても心に残る映画で、今までにない映画で。
> 紹介して頂き、ありがとうございます。
> つかりこさんの名前出しちゃうかも。
> よろしくお願いいたします( ・∇・)

↑おー、これイキましたかあ!
なかなか、変わった作品でしょ?
だめだめ女子を描いているので、
自身のいやなところをいじくられる気持ちになるのか
「キライだ」という人も多いようです。
これに興味を抱かれるきたあかりさんは、さすがの映画好きだと思いました。

僕の名前は、ご遠慮なくナンボでもお使いください。
悪口書くなよー