ゆらゆら草

もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。

ふかいことをおもしろく ~ 『吉里吉里人』  


001ブックカバー.jpg

●『吉里吉里人』
井上ひさし(いのうえ・ひさし)
1981年 新潮社
※イラスト:安野光雅



初版の発刊は、1981年かあ。
思い出すなあ、あの頃。

友達に、なまらおもしれーぞ、って勧められて読んだんだっけ。

本屋で現物を目にした時は、ビビッたよ。
だって、ハードカバーのいわゆる単行本サイズで、800ページ以上もあったんだよ。
背表紙の厚さを見ると、辞書並み!
しかも、中を開いてみるとなんと、ページの文字組みが2段組み!
当時の僕は、1冊でこんなに分厚い本は見たことがなかったんだな。

「えーっ、これホントに読めんの?どんだけ日にちがかかるんだろ」、
なんて不安になったんだけど、別の友達も、あれはおもしろい!って
言っていたのを思い出して、思い切って買ったんだったなー。

でも、読み出したらけっこうスイスイ行ける。
しかも、ものすごくおもしろい。
おもしろい、というのは、ストーリーに惹きつけられるという意味でもあるけど、
主にゲラゲラ笑える、という意味。
1週間くらいで、バーッと読んじゃったなあ。

あ、いまは文庫で上・中・下で出てるねー。
それぞれ、500ページくらいあるけど。(笑)



ストーリーを簡単に書けば・・・
東北にある「吉里吉里(きりきり)」という村が、
日本国から独立しようとするハナシだよ。

吉里吉里村は、岩手県に実在する地名だけど、
どうも地理的にはズバリそこにハマるわけではなく、
その近辺の架空の村という設定になっているみたい。

002駅名.jpg


その吉里吉里が、ある日突然、独立宣言をするんだけど、
独立するための準備や体制を整えたり、日本国からの妨害などがあったりして、
いろいろなことが起こるといった内容だね。
それが、実にユーモラス、かつアイロニックに展開するんだなー。

第33回読売文学賞、第13回星雲賞、第2回日本SF大賞を受賞。
“SF“ って言っても、この小説の場合は、スターウォーズみたいな
“Science Fiction(空想科学小説)“ じゃなくて、
社会的なテーマを語るという意味で、“Speculative fiction(思弁的創作)”
というジャンルに入るのかな、この小説は。
違うかなあ?
要は、科学とか宇宙じゃないけど、ファンタジーってこと。
SFの定義って、難しいんだよな。

なんか、難しそうな感じになっちゃったけど、全然そんなじゃないよ。
全篇おもしろおかしい、マンガみたいなハナシ。
終始、笑わせてくれるんだよ。



この小説の笑えるポイントは、3つあると思う・・・
一つ目は、方言をいじくり倒した “言葉遊び”
東北弁を標準語に訳してすっとぼけたりして、これはホントおっかしい。
でも、ちょびっと知的な遊びって気がするのが、井上ひさし節なんだろね。

二つ目は、登場人物のキャラのおもしろさ。
さすが、演劇の世界で長いこと活躍してきただけのことはあるね。
キャラクターの設定は明確で個性的。
みーんな、愛すべき変な人なんだなー。

三つ目は、含み笑いさせられるブラック・ジョーク
日本国に反抗して独立しよう、ってんだから、
おのずと日本の政府や、制度や、行政なんかをおちょくることになるわけ。
欧米風の風刺画を連発して見せられるようなおかしさもあるんだね。

で、腹を抱えながら読んでいくことになるんだけど、
だんだんと「んー、このハナシはそれほど荒唐無稽でもないかなー」、
なんて気になってくるから、コワイよねー。
“ふかいことをおもしろく“ の井上爆弾が炸裂するんだなー。

沖縄米兵少女暴行事件や米軍用地特別措置法問題などがあった '90年代後半に、
沖縄でこの本のリバイバルブームがあったらしいよ。
「日本政府が非協力的なら、我々は独立しようぜ」という気運があったんだよね。
いや、今でもあるのか。



これを読んだからって、「日本だって、アメリカから独立しようぜ」とか
「政権、変えようぜ」なんて気になるわけがないじゃん。
ひたすら、笑って読みましょうや。
・・・ってか







“ Stop Whispering “ / Radiohead





“ Inside Looking Out “ / Grand Funk Railroad




コメント

高校生の時だったでしょうか。(当時の私としては)値段の高さにびびりながらも、思い切って買って、読み始めて、面白くて、一気に読んでしまいました。私が東京へ出てきたのはちょうど「こまつ座」を立ち上げたくらいの時期でしょうか。井上が生きている間に、もっと彼の芝居を観てみたかったです。

魔笛 #- | URL
2015/08/17 07:51 | edit

あ~ありましたね。
厚さに圧倒されいまだに未読です(^_^;)。

>あ、いまは文庫で上・中・下で出てるねー。
>それぞれ、500ページくらいあるけど。(笑)

100ページ/時間ぐらいで読める体力がある時ならいいのですが、
いまだとそうとう苦しいな~・・・。
老眼も酷いし・・・(^_^;)。

そんな言い訳は兎も角、今こそ読むべき作品かもしれませんね。
当時もかなり話題になりましたが、スコットランドの独立問題が起きた時、
沖縄県人の血を引く佐藤優氏が、沖縄の独立問題と絡めて、この本のことを
取り上げていましたね。
笑えるけど考えさせられる一冊なんですね、って読んでもいない人間が言うのもナンですけど。

バニーマン #- | URL
2015/08/17 20:47 | edit

Re: 魔笛さん、コメントありがとうございます!

魔笛さん(http://daisuki708.blog.fc2.com/)いらっしゃいませー。

> 高校生の時だったでしょうか。

↑ははは、僕はオンタイムでハタチくらいでした。
トシがバレちゃいますね。

(当時の私としては)値段の高さにびびりながらも、思い切って買って、読み始めて、面白くて、一気に読んでしまいました。

↑そうそう、本の厚さにもびびりましたが、当時は一冊2,000円ほどもする
小説なんてなかったですもんね。
ホントに「辞書かよ」って思ったもんでした。
ビンボー学生だった僕には、そういう勇気も必要な買い物でした。

> 私が東京へ出てきたのはちょうど「こまつ座」を立ち上げたくらいの時期でしょうか。
> 井上が生きている間に、もっと彼の芝居を観てみたかったです。

↑「こまつ座」は、いまでも公演しているんですねー。
昔、まわりに演劇大好き女子がいたおかげで、名前は知っているのですが、
僕は一度も見に行ったことがないんですよ。
それどころか、どこの劇団であろうと、演劇を観に行ったことがあまりないんです。
なんでかわかりませんが、とても疎いんですよ。

これまで観たのは、「夢の遊民社」と「第三舞台」と、
劇団員の友達のやつを中野や新宿で、といった感じで5・6回程度です。
いまなら、お笑い系ですが「大人計画」とか行ってみたいですね。

唐十郎などは、戯曲も舞台もほとんど知らないというザマです。
酔っぱらって花園神社の境内で寝たことはあるのですが。

あ、唐十郎の愛人だったというお女将さんは、知り合いでしたよ。
新宿ゴールデン街のそばにある「小茶」というカウンター居酒屋のばあさんです。
'96年に亡くなってしまいましたが、劇団員や作家の熱いハナシを無言で聞いている
姿をいまでもはっきりと思い出します。

ハナシが逸れてしまいましたね、すみません。

つかりこ #- | URL
2015/08/17 21:24 | edit

私もチョービンボー学生だったので読んでいません。
こういうベストセラーって時期を逃すとなかなか後から手に取りませんが
そうですか文庫本で出ていますか、上・中・下・・・
長いのは映画も本も苦手だけど読んでみたいな〜。
「・・みたいな〜。」が最近多すぎて、、、どうしたもんだろ。

さとちん #- | URL
2015/08/18 07:41 | edit

Re: さとちんさん、コメントありがとうございます。

> 私もチョービンボー学生だったので読んでいません。
> こういうベストセラーって時期を逃すとなかなか後から手に取りませんが
> そうですか文庫本で出ていますか、上・中・下・・・
> 長いのは映画も本も苦手だけど読んでみたいな〜。
> 「・・みたいな〜。」が最近多すぎて、、、どうしたもんだろ。

↑「・・・みたいな~」、溜まりますよねぇー。
僕の映画の「観なくちゃメモ」は、この3年で数百も溜まっています。(笑)
毎日のように観て、2年半で600本近く観てるのに、です。

ブログって、映画や本や食べ物なんかのおすすめというかレビューが多いので、
「・・・みたいな~」の量がハンパじゃないですよね。
もう、一生かかっても時間が足りない、って絶望的な気分になっちゃいます。(笑)
でも、ぼちぼち行くかあ。

つかりこ #- | URL
2015/08/18 19:09 | edit

Re: バニーマンさん、コメントありがとうございます。

> あ~ありましたね。
> 厚さに圧倒されいまだに未読です(^_^;)。
>
> >あ、いまは文庫で上・中・下で出てるねー。
> >それぞれ、500ページくらいあるけど。(笑)
>
> 100ページ/時間ぐらいで読める体力がある時ならいいのですが、
> いまだとそうとう苦しいな~・・・。
> 老眼も酷いし・・・(^_^;)。

↑僕も最近、少し薄暗いと文庫本の文字もやばい感じになってきました。
この本は、たぶん「体力」はいらないと思いますよ。
文章はとても平易で、すらすら行けます。
長いけど、間違いなくどんどん読めますよ。

> そんな言い訳は兎も角、今こそ読むべき作品かもしれませんね。
> 当時もかなり話題になりましたが、スコットランドの独立問題が起きた時、
> 沖縄県人の血を引く佐藤優氏が、沖縄の独立問題と絡めて、この本のことを
> 取り上げていましたね。
> 笑えるけど考えさせられる一冊なんですね、って読んでもいない人間が言うのもナンですけど。

↑あ、そういうこともあったんですねー。
独立するためのバイブルになるとは思えないですが、
実は、そういう気分だけは高まるかもしれませんね。
それでも、そんなに考えさせられるというほどのもんでもないですかねー。
よかったら、ぼちぼち読んでみてください。

つかりこ #- | URL
2015/08/18 19:27 | edit

よみはじめた

つかりこさんの記事を読んで
「これは絶対読みたい!」
と思い、昨日、市民図書館で借りてきました。

いやあ、厚い!重い!そして、字がちっちゃい!
読めんのかと思いましたが、つかりこさんのおっしゃるとおり、スイスイいけますね。
わはははっ
と笑えるし。

目がついていかず、まだまだ読了までは遠いですが、楽しみながら読みたいと思います。

きたあかり #- | URL
2015/08/26 15:49 | edit

Re: よみはじめた

きたあかりさん、コメントありがとうございます!

> つかりこさんの記事を読んで
> 「これは絶対読みたい!」
> と思い、昨日、市民図書館で借りてきました。

↑おー、なんかとてもうれしいです。
別に、井上ひさしさん関係や新潮社から
お金をもらったりしているわけじゃないんですけどね。(笑)

方言の解説みたいなのがたくさん出てきて、
「ある、ある」とか「そっかあ」って感じで笑えるでしょ?
北海道弁もかなり東北弁が混じっているので、
爆笑したのを覚えていますよ。

> いやあ、厚い!重い!そして、字がちっちゃい!
> 読めんのかと思いましたが、つかりこさんのおっしゃるとおり、スイスイいけますね。
> わはははっ
> と笑えるし。

↑厚いでしょ?
中身は超お笑いなんだけど、読んでるとこを見てまわりの人が、
「スゲーの読んでますねー」って言ってくれそうで、
はったりのきく本ですよね。(笑)

それから、東北自慢したくなる。
吉里吉里に行ってみたくなりますよね。

> 目がついていかず、まだまだ読了までは遠いですが、楽しみながら読みたいと思います。

↑僕は、途中、すっとばして読みたくなりましたが、
ゆっくーりどうぞ。
いつか、感想を聞かせてくたさいねー。

つかりこ #- | URL
2015/08/27 01:17 | edit

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