ゆらゆら草

もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。

会話は注意深く読もう ~ 『ある過去の行方』


んー、これはいい映画だなあ。

バニーマンさんのとこで(「バニーマン日記」)レビューを拝見して、
こりゃおもしろそうだなー、と思って観たんだけど、やっぱりなかなかいい感じだったよ。

殺人だの、爆発だの、殴り合いだのは出て来なくて、
やれ結婚しただの、別離れただの、浮気しただのの、メロドラマ系のストーリーだけど、
「ミステリー」なんだね、これは。

次々と謎が出てきて、「なんでそうなったんだよー」って、ずんずん引っ張られてしまう。
・・・で、「おー、そうだったのかあ」って謎解きが展開されるんだけど、
例によって、最期までなんでかわからないまま謎が残るんだなあ。

そう、山田洋次監督のあの『小さいおうち』みたいな感じ。
最近は、ブログやツイッターやラインやフェイスブックの時代だから、
話題提供というか、クチコミでの盛り上がりを狙っているのか、
“謎が謎のまま終わる系“ が増えてきてる気がするなあ。

おまけに、「えっ、それってなんだっけ?」って感じで、
何度も観返したくなってしまうから、DVDやブルーレイの時代にもマッチしてるんだろうな。



<あらすじ>
※明らかにミステリーなので、まだ観てない方は、以下を読まないほうがいいかも。
 でも、観るつもりのない人は、読むと観たくなるかもねー。

イランに住む、主人公の男・アフマドはある時、
フランスに住んでる別居中の・マリーに呼ばれてテヘランからパリにやって来る。
離婚手続きをしたいとのことで、呼ばれたのだ。

001車の中.jpg

元々一緒に暮らしてた家に着くと、子供が3人になってる。
自分が結婚生活をしていた時は、女の子が2人だったのだ。
男の子が1人増えている。
会話の端々をつなぐと、元妻のマリーは
すでに新しい旦那(=その男の子の父親)と住んでるらしい。

その新しい男は、サミールといって、
不法滞在者のナイマを従業員として雇ってクリーニング店を営んでいる。
奥さんがいるんだけど、いまは植物状態になっちゃって入院中なんだよ。
こっちもまだ籍を抜いていない。
つまり、マリーとは不倫中ということだな。
ああ、そうか、それでアフマドは離婚手続きを迫られたというわけだ、とわかる。

002サミールとマリー.jpg

2人の娘のうちの長女のほうは、
最近は、学校が終わっても夜遅くまで家に帰って来ない生活を続けてる。
高校生だっけ?新しいお父さんと一緒に住むのがすんごくイヤなのだ。
多感な年頃なので、そういうのが許せないのだろうと思って観ていると、
どうもそれだけではない “重要な理由“ があるみたいだ。

新しい旦那・サミールの奥さんは、
ある出来事があって植物状態になったんだよ。



・・・おー、言えねぇ言えねぇ、もう言えねぇ。

いくつかの誤解、いくつかの想定外の展開がつながってここにあるいま。
もしその時、そっちじゃなくてこっちに転んでたらこうなったのじゃないか、って湧くいくつかの憶測。
そして、なんでそうなったのか、いまもわからないこと・・・。


ほら、原題はフランス語で『Le passe』、英語で『The Past』だからね。
なんせ過去のことだからさ、はっきりしない事実とわくわく広がる憶測と、
「あっ、そうか」ってわかることと、最期までわからないことが
組んずほぐれつになってるハナシ。
ほらほら、なんだかおもしろそうでしょ?


きっと、映画ファンをうならせるだろうな、と思うことは2つ。
1つ目は、脚本の妙だろうね。
この映画には、“回想録” というものがひとつもないんだよ。
つまり、観るとわかると思うけど、
ほぼ100%会話だけで過去の物語が語られていくのさ。
だから、スクリーンに展開する会話をしっかり注意深く聞く(字幕だから「読む」だな)ことになる。
そう、小説でも読むみたいにね。
会話の端々からいろんなことがわかったり、
やっぱりわからないということがわかったりするんだよ。(笑)

物語の冒頭では、空港の窓越しで会話する二人の声さえも聞こえなかった。(笑)
何が疑問なのかさえも疑問のまま観ながら、ぼそぼそ話を聞いていくうちに、
「あ、そうなのか」、「えっ、そうだったの?」って感じで、
少しずつハナシが見えてくる仕立てになっている
のさ。
それで、見えてきた疑問が疑問と憶測のまま終わるんだから、
ブログに書かずにいられないってわけ。(笑)
脚本を注意深く、巧妙に書いていかないとこういうやり方は成功しないだろうと思う。
脱帽

「観る人を選ぶ」と評している人がわりといるみたいけど、その辺のこともあるんだと思う。
字幕をじーっと読んでいると、すぐに眠くなる人もいるもんね。
僕は、「体調も選ぶ」と言っておくことにするねー。(笑)

それから、もう1つうならされることは・・・
この映画はフランス映画、または、フランス・イタリア・イラン合作ということになっているみたいだけど、
監督はじめスタッフ、キャストもほとんどイラン人で、
イラン映画と言ってもさしつかえない作品なんだな。

僕は知らなかったんだけど、監督のアスガル・ファルハーディーは、
『彼女が消えた浜辺』や『別離』という作品で、世界的にも有名な人らしいんだね。
イランと言えば、いまだ紛争地帯の一角をなしているので、
社会派でなくて、こんな人の心理をえぐるような作品を作る人がいるんだなー、
って驚かされたね。

003監督.jpg



全く社会派じゃないということもないんだね。
不法移民のことがやその家族のことが大きなテーマになっているような気がするし、
フランス社会のことや医療のことやスマホ社会のことも薄っすらと言っていると思えるな。

でも、やっぱりメインテーマは、
「夫婦愛」「親子愛」「家族愛」でしょ。
ミステリーだけど、意外な感動をもらえると思うよ。

残った疑問や憶測について、書きたくてしょうがないけど、やめとくわ。
愛する人と一緒に観て、あーだこーだ語り合ってくださいませー。
で、僕はなんで一人で観たのよ。



004親子.jpg





005ポスター.jpg

●ある過去の行方(Le passe)
2013 フランス・イタリア・イラン
上映時間:130分
監督:アスガー・ファルハディ
脚本:アスガー・ファルハディ
製作:アレクサンドル・マレ=ギ
撮影:マームード・カラリ
音楽:エフゲニー・ガルペリン、ユーリ・ガルペリン
製作会社:メメント・フィルム、フランス3シネマ、BIMディストリビュツィオーネ
配給:メメント・フィルム(仏)、ドマ/スターサンズ(日)
出演:ベレニス・ベジョ、タハール・ラヒム、アリ・モサファ、ポリーヌ・ビュルレ
   エリス・アギス、ジャン・ジェスタン、サブリナ・ウアザニ ほか
受賞:第66回 カンヌ国際映画祭(2013年)
   ・コンペティション部門/女優賞・全キリスト教会審査員賞
   ・パルムドール ノミネート
   第71回(2013年)ゴールデングローブ賞 外国語映画賞 ノミネート
   ダーバン国際映画祭 脚本賞
   オスロ 南からの映画祭 観客賞
   ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 外国語映画賞
   ワシントンD.C.映画批評家協会賞 外国語映画賞 ノミネート
   アジア太平洋映画賞
   ・作品賞 ノミネート
   ・脚本賞 ノミネート
   サテライト賞 外国語映画賞 ノミネート
   クロトゥルーディス賞
   ・作品賞
   ・監督賞
   ・助演男優賞
   ・オリジナル脚本賞







“ おなじ話 “ / ハンバートハンバート




Posted by つかりこ on  | 8 comments  0 trackback

8 Comments

Miyu says..."おはようございます。"
ちょっとっずれたことをば・・・
プロが映画紹介をされると・・・
う~ん、さすがですね。
参考にさせていただきます。

公開中の映画は、駄目ですよね。
→常識?を知らない少女???と言うことで・・・。
ブログでちょっとだけ紹介しちゃいましたが良かったでしょうか?
心配~


「愛する人と一緒に観て、あーだこーだ語り合ってくださいませ」

とありますが・・・いないので
孤独に1人で観ましょうか。

(*^_^*)(*^_^*)(*^_^*)



2015.07.02 06:36 | URL | #- [edit]
きたあかり says..."わ~観たい"
観る人を選ぶ?さらに、その人の体調さえも!
むつかしそ~。

観る人に選ばれそうもないし、体調にも自信が無いし、
愛する人と一緒にって言われても、、、どうしていいのかわかんないのですが、
ストーリーの端っこをちょっと読ませてもらったら、観たい気もする。

いや、気もするんじゃなくって、観たい。

だってつかりこさんが、疑問や憶測を「書きたくてしょうがないけど、やめとくわ」なんでしょ!もぉ思わせぶりぃ!

わ~どうしたら~(・o・)




2015.07.02 16:16 | URL | #- [edit]
バニーマン says...""
僕のブログの紹介ありがとうございます。

ねっ、なかなか面白い話だったでしょう。

ホント、脚本が見事でしたね。

>愛する人と一緒に観て、あーだこーだ語り合ってくださいませー。

語り合える状態ならいいんですが・・・。
喧嘩にならないことを祈ります(^_^;)。

不倫相手との関係とかは揉めそうですけど(笑)。

「“ おなじ話 “ / ハンバートハンバート」、初めて聴きましたが良い歌ですね。
何故か「佐野元春 / 二人の理由」を思い浮かべました。
2015.07.02 21:10 | URL | #- [edit]
さとちん says...""
これ観た〜い!
脚本がいい作品って一番望むところです。
脚本がよければ演技もカメラも後からちゃんと付いてくる気がします。
“観なくちゃメモ” に追加です☆

“おなじ話” あったかくてちょと哀しい歌ですね。
声が可愛い♡
2015.07.03 17:49 | URL | #- [edit]
つかりこ says..."Re: おはようございます。"
Miyuさん、コメントありがとうございます。

> ちょっとっずれたことをば・・・
> プロが映画紹介をされると・・・
> う~ん、さすがですね。
> 参考にさせていただきます。

↑おほめにあずかり、ありがとうございます!
読んでいただけて、とてもうれしいです。

でも、プロと言っても僕の場合、広告制作なので、
こういうレビューものの記事って、微妙に畑が違うんですよ。
こういう記事は一般敵には、エディトリアル・ライターとか
エディトリアル・デザイナーという肩書の人たちが作るんです。
そうすると、ほら、情報誌とか女性誌とかみたいな立派な記事ができあがるわけです。

僕のなんか、自分の好き勝手に、友達に語るみたいな文体で書いてるだけで、
プロのような簡潔で的確な文章とはほど遠いですよね。
まあ、意図的にそうしてはいるのですが、
こんな内容でもちょっとでも面白がってくれる方がとてもうれしいです。
ホント、ありがとうございます。

> 公開中の映画は、駄目ですよね。
> →常識?を知らない少女???と言うことで・・・。

↑広告作りの世界では、著作権や言っちゃいけないことなど、
法律やルールなどがとてもシビアです。
でも、ココはいち個人のサイトなので、公開中だろうが前だろうが、
発売中だろうが後だろうが、キホン、好き勝手やらせてもらっています。
もちろん、どこかからお金をもらって宣伝をしたり、
スポンサーの競合相手をけなしたり、なんてしがらみもまったくありません。

僕が公開中の映画の紹介をあまりやらないのは、
僕なんかよりずっと映画にくわしい方たちが、
あっちこっちでたくさんレビューを書かれているので、
僕の変なレビューは必要ないかと。(汗)

> ブログでちょっとだけ紹介しちゃいましたが良かったでしょうか?
> 心配~

↑え、僕のブログのことですか?
ちょっと、そちらにおじゃましてきますね。

・・・・・・・・・・・・・

あ、映画「アリスのままで」のことですね!
まだ、観てないんです。
評判の作品ですよね。

ふむふむ、おもしろそうですね。
アリスの言葉の引用に、ガッツリそそられます。
観たい!

しかも、とてもすばらしい記事ですねー。
ハプニング実話と、映画の紹介と、貴重な知識が
見事に一本につながっていますー!
んー、実はテクニシャンですね?
このこのーっ。


むふふふ、一人で観てもけっこうおもしろかったですよー。
2015.07.03 19:48 | URL | #- [edit]
つかりこ says..."Re: わ~観たい"
きたあかりさん、コメントありがとうございます。

> 観る人を選ぶ?さらに、その人の体調さえも!
> むつかしそ~。

↑観る人を選ぶ、というのは、展開が会話ばかりなので静かな感じ
(もちろんいろんなとこへ行きますが、回想シーンはないんです)、
ハナシがメロドラマ的なことだと思います。

体調を選ぶと言ったのは、字幕なので疲れていたりすると
眠くなるかもね、という意味でした。
すんません、わかりずらくて。

> 観る人に選ばれそうもないし、体調にも自信が無いし、
> 愛する人と一緒にって言われても、、、どうしていいのかわかんないのですが、
> ストーリーの端っこをちょっと読ませてもらったら、観たい気もする。
>
> いや、気もするんじゃなくって、観たい。
>
> だってつかりこさんが、疑問や憶測を「書きたくてしょうがないけど、やめとくわ」なんでしょ!もぉ思わせぶりぃ!
>
> わ~どうしたら~(・o・)

↑そうなんですよ。
『小さいおうち』と同じで、「あの彼女はホントにメールを読まなかったのか?」とか、
「この彼女はホントにメールを出したのか」とか、「何て書いたのか」とか
「なぜ彼を呼んだのか」とか、「彼は何を言おうとしたのか」とか・・・、
疑問がたくさんあって、それに対して「もし、こうだったら、彼女はこうしたのか」など、
憶測もぼろぼろ出てくるので、バシバシ書いて、観た人と意見交換をしたくてうずうずしてるんですが、
ネタバレするのでやめときました。(もうネタバレしたか?)
この記事が過去に埋もれたら、きたあかりさん、感想や意見をバシバシ書いてくださいなー。
2015.07.05 03:07 | URL | #- [edit]
つかりこ says..."Re: バニーマンさん、コメントありがとうございます。"
> 僕のブログの紹介ありがとうございます。
>
> ねっ、なかなか面白い話だったでしょう。
>
> ホント、脚本が見事でしたね。

↑はい、なかなかいい映画でした。
おかげさまで楽しませていただきました。
ありがとう!

> >愛する人と一緒に観て、あーだこーだ語り合ってくださいませー。
>
> 語り合える状態ならいいんですが・・・。
> 喧嘩にならないことを祈ります(^_^;)。
>
> 不倫相手との関係とかは揉めそうですけど(笑)。

↑はははー、そうですね、ヘタなことを語ると墓穴とかヤブヘビとかね。
夫婦どうしより、恋人同士とか、不倫関係などは、
自分たちの関係を見つめなおしたりしてねー。

> 「“ おなじ話 “ / ハンバートハンバート」、初めて聴きましたが良い歌ですね。
> 何故か「佐野元春 / 二人の理由」を思い浮かべました。

↑あ、これは、僕も去年だかおととしだか、どこかで耳にして、
やさしい歌なんだか、悲しい歌なんだか、不思議な曲だなあって感じて記憶してたんです。
その後、ちょっとずつ人気が上がってきたみたいで、
いまではテレビCMの歌を歌うくらいになったようです。
「ミサワホームの・・・♪探しに出かけましょ、ミ・サ・ワ・ホーム~」ってやつ。
2015.07.05 20:57 | URL | #- [edit]
つかりこ says..."Re: さとちんさん、いつもありがとうございます。"
> これ観た〜い!
> 脚本がいい作品って一番望むところです。
> 脚本がよければ演技もカメラも後からちゃんと付いてくる気がします。
> “観なくちゃメモ” に追加です☆

↑ならば、ぜひぜひ!
レンタル屋さんにもあるようですよ。

そうですね、シナリオ全体というより、セリフですかねー。
回想シーンもナレーションもないので、どう過去のことをセリフの中で
不自然にならないように語っていくか、って感じ。
地味な作業ですが、すごウデだと思いました(監督=脚本)。

> “おなじ話” あったかくてちょと哀しい歌ですね。
> 声が可愛い♡

↑女子の声がかわいいですよね!
内容は、別れの歌なのか、夫婦マンネリ脱却の歌なのか、
いまでもよくわかってないんです。
でも、何度聴いても不思議な感動のある曲だと思います。
最近は人気が出てきて、CMでも歌っているんですよー。
2015.07.05 21:12 | URL | #- [edit]

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