名匠のエスプリがキラッ! ~ 『鑑定士と顔のない依頼人』

2014/08/16

001食事.jpg



これ系のタイトルって、『仕立て屋の恋』とか『デリカテッセン』みたいな
得も言われぬ感情や出来事をアーティスティックに描いた作品を連想させるよね?
あんまりお金はかかっていないんだけど、アヴァンギャルドというか実験的というか、
むずかしげな感じのフランス映画。

でもコレは、全然そういうんじゃなかった。
実にわかりやすくて、スカッとした作品だな。
だいたい、フランスじゃなくてイタリア映画だし。



設定は・・・
サザビーズみたいな美術品のオークションってあるよね?
「オークショニア」って言うらしいんだけど、
そういうオークションの「競り」の司会進行役をやってる熟年の紳士が主役。
その人が、タイトルの「鑑定士」なんだな。

002オークション.jpg

「鑑定士」だから、オークションの仕事の他に、どっかで発見された美術品の真贋を鑑定したり、
秘蔵の美術品の値付けをしたり、売買の仲介をやったりして稼いでいるんだね。

その鑑定士は、超目利きの仕事人としてその世界で成功しているんだけど、
“女性恐怖症” とでもいうのかな、熟年紳士でも女っ気がまったくないんだ。
彼女がいたことも、結婚したこともないようなようす。

鑑定士のイメージにたがわず、几帳面で、分析に冷徹で、気難しそうだ。
仕事がらみの男の友人も数人いるけど、女子だけでなく人づきあいもうまそうじゃない。
唯一、異性に対する愉しみといえば、自宅の隠し部屋の壁を埋め尽くした
女性の肖像画を一人で眺める
こと。

003肖像画の部屋.jpg



そんな主人公は、ある日、古城のような屋敷に住む女性から、
屋敷中に置いてある絵画や美術品の鑑定を依頼される。
両親が亡くなり、ほとんどのものを売却したいので仲介を頼みたいとのこと。

ところがこの女性、いっこうに姿を現さないんだよ。
最初は電話で話していたんだけど、そのうち壁越しに鑑定士と話すようになるんだな。
劇中では “広場恐怖症” って言ってたけど、一種のパニック症候群なんだろうね、
こっちは、狭い部屋から出て来られない性質の人間だったんだね。
それが、タイトルの「顔のない依頼人」というわけ。

004壁の向こう.jpg

005彼女壁.jpg



鑑定士は、始めはそんな依頼人を相手にするのをめんどくさがっていたんだけど、
だんだんと、彼女に仕事とは別の感情を抱くようになっていくんだな。
そうして、広場恐怖症の女と女性恐怖症の熟年男の恋は、少しずつ深まっていく・・・

なかなかの恋愛モノだなあ。
それからどうなるんだ?と思っていたら・・・

あっ! あーーーっ。

んー、言えねぇ、言えねぇ、もう言えねぇ。
できれば、前知識最小限でお楽しみを。
静かだけどきっちり観させられる、実におもしろい映画だよ!



監督は、『ニュー・シネマ・パラダイス』、『海の上のピアニスト』のジュゼッペ・トルナトーレ!
主演は、『パイレーツ・オブ・カリビアン』、『英国王のスピーチ』のジェフリー・ラッシュ。
『24』のジャックのリアルお父さんで、『M★A★S★H マッシュ』、『ハンガーゲーム』の
ドナルド・サザーランドも出てるよ。





006ポスター.jpg

●『鑑定士と顔のない依頼人』(La migliore offerta)
2013年 イタリア
上映時間:124分
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
製作:Isabella Cocuzza、Arturo Paglia
音楽:エンニオ・モリコーネ
撮影:ファビオ・ザマリオン
編集:マッシモ・クアッリア
製作会社:Paco Cinematografica
配給:ワーナー・ブラザーズ(伊)、ギャガ(日)
出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルヴィア・フークス、
   ドナルド・サザーランド、フィリップ・ジャクソン、ダーモット・クロウリー、
   キルナ・スタメル、リヤ・ケベデ ほか


comment (14) @ 映画>コレコレ、いいよ!
名作だよ!!とささやきたい ~ 『ミツバチのささやき』 | さよなら、天才 ~ 『グッドモーニング, ベトナム』

comment

No title : バニーマン @-
あ~これ、観たかった作品です。

ジュゼッペ・トルナトーレとエンニオ・モリコーネとジェフリー・ラッシュ。

それだけでそそられる作品ですよね!
2014/08/16 Sat 19:59:55 URL
知らなかった… : 映画カッパ @-
この映画、気になっていたのですが、
監督は、ジュゼッペ・トルナトーレですか!?
不覚でした、早速、観てみます!!
2014/08/16 Sat 22:41:30 URL
No title : ヒッシーー @-
面白い設定を考えるなあ。
恋愛話と思わせて途中から意外な展開になって行くとか?
そして全てが解決したときに始めて二人は顔を合わせて幸せな関係になるとか…
気になる…
2014/08/16 Sat 22:51:15 URL
: ネリム @oM6tt0T6
おはようございます
面白そうな映画ですね
2014/08/17 Sun 07:17:43 URL
No title : さとちん @WOq6nlhY
これは公開と同時に観てきました。
「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」のようなのを思い描いて観ていたら
それこそ 大!ど~ん!で~ん!返~し でしたねぇ。
映画が終わって明るくなってから、観客の御老人が「なんちゅう映画や~」と言いながら
出ていくのを見て、ははは~と心の中で苦笑い(^_^;) 男性・・特にご年配・・は心中複雑よね。
映画を観た直後は、主人公が可哀想に思えましたが
でも、だんだん、あれはあれでヨカッタと考えていいのかな・・と。
代償は大きかったけれどね。
男性としてはどう思われますか?
2014/08/17 Sun 09:15:50 URL
Re: バニーマンさん、コメントありがとうございます! : つかりこ @-
「巨匠の小粋な小品」といったテイストで、
ハリウッドとは違う味のおもしろい作品だと思います。

DVDが出ておりますので、ぜひどうぞ。
2014/08/19 Tue 15:37:29 URL
Re: 知らなかった… : つかりこ @-
カッパ師匠、コメントありがとうございます。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督らしい文体で、
ぐっと魅せられます。
最後まで、ジュゼッペ・トルナトーレです。

ご欄になると、良心的なレビューを書くのがとてもむずかしい作品
であることがおわかりいただけるのでは?(笑)
できれば、前知識なしで観て、ぜひご感想を聞かせてください。
2014/08/19 Tue 15:42:47 URL
Re: ヒッシーーさん、コメントありがとうございます! : つかりこ @-
シュールな設定な感じがしますが、
シュールな映画ではないと思います。

> 恋愛話と思わせて途中から意外な展開になって行くとか?
> そして全てが解決したときに始めて二人は顔を合わせて幸せな関係になるとか…

↑むふふふふー。
そう予想されている方なら、観ると絶対楽しめると思います。
ぐふふふふー。
2014/08/19 Tue 15:47:25 URL
Re: ネリムさん、いつもありがとうございます。 : つかりこ @-
ヨーロッパの映画にありがちな
むにゃむにゃした感じの映画ではなくて、
サクッとしています。

ちゃんとおもしろいですよ。
ぜひどうぞ。
2014/08/19 Tue 15:50:27 URL
Re: さとちんさん、コメありがとうございます! : つかりこ @-
> 映画が終わって明るくなってから、観客の御老人が「なんちゅう映画や~」と言いながら

↑はははははー。

> でも、だんだん、あれはあれでヨカッタと考えていいのかな・・と。

↑この映画は、小粋なエンターテイメントに見えますが、
実は割と深いことを言っているのではないかと思います。
物語の設定は特異ですが、僕は、あの二人のあり方は、
哲学的にも生物学的にも “男女の恋愛の本質” なのだと思っています。
ヨカッタ、というか、うなずける、というか・・・。
トルナトーレ監督は、いろいろな経験を積んできたんでしょうね(笑)。
2014/08/19 Tue 16:02:07 URL
管理人のみ閲覧できます : @
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014/09/03 Wed 04:41:19
Re: いつも拝見させていただいています。 : つかりこ @-
ちょい若おやじさん、コメントありがとうございます。

今頃気づきました。
すんません。

ご要件、オッケーですよ。
けっこうです、けっこうです。
ご自由にどうぞ。

僕のブログは、商業的な意味合いや思想的なPRとか何にもありませんので、
お好きなようにどうぞ。
ただ、誰かを中傷誹謗するようなことには使ってほしくないなあ、
とは思います。

こちらにも、ちょい若おやじさんのサイトのリンクを設けますね。
今後ともどうぞよろしくおつきあいくださいませ!
2014/09/03 Wed 06:34:47 URL
ありがとうございます! : ちょい若おやじ @6nHvXW6U
全然、早すぎるくらいです。ありがとうございます!
まだブログをはじめて浅いので、出典などには妙に敏感になっておりまして、まわりくどいようなことをお願いしてすみませんでした。
さっそく、記事内にリンクを貼らせていただきます。
私も、誹謗中傷については同意見です。
映画の意見をぶつけることも面白いですが、単なる誹謗中傷になっては、悲しい気持ちになってしまいますよね・・・。
私のブログのリンク貼っていただけるなんて光栄です。
ありがとうございます。
ぜひ、今後ともお邪魔いたしますのでよろしくお願いします。
2014/09/03 Wed 07:06:10 URL
Re: ありがとうございます! : つかりこ @-
ちょい若おやじさん、こちらこそありがとうございました。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
2014/09/03 Wed 11:50:56 URL

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