INDEX    RSS    ADMIN

さよなら、天才 ~ 『グッドモーニング, ベトナム』


001あいさつ.jpg

グーーーーーーーーッモーニン、ビエトナーーン!!



あのロビン・ウィリアムスが亡くなってしまった!
これからも、しぶいジイさんの役で、
ますますすごい演技を見せてくれると思っていたのに、
ホントに残念です。

いくつものヒューマンドラマやコメディで、
僕らを何度も考えさせ、笑わせ、泣かせてくれたけど、
僕の哀悼の意は、大好きな『グッドモーニング, ベトナム』の紹介に込めさせてほしい。



この作品って、超傑作だよね?
でも、最近、このソフトを置いてないレンタル屋さんがあったりして、どういうことなんだろな。
ベトナム戦争の後にも、アメリカは何度も戦争をやっちゃっているので、
反戦モノを観てもおもしろくなくなってしまっているということなんだろうか?

アメリカはイラクへの軍増強を発表したばかりだし、
日本は集団的自衛権の拡大解釈を決めたばかりだし、
偽善的なおせっかいがどういうことを引き起こすかを知るために、
いまこそ、また観るべき作品なんじゃないだろうか。



1965年のサイゴン。
アメリカは “反共産主義の南ベトナムの支援“ という名目で、
ベトナムに軍隊を派遣して、ベトコンと戦っていたんだな。
そう、それがベトナム戦争。

駐留軍には、兵士向けにニュースや音楽や娯楽番組を流す、ラジオ放送局が設けられているんだね。
サイゴン市内でテロが起こるなど、ますます激しくなる戦況下、
軍はさらなる士気高揚のためにと、別の戦地から人気のDJを呼び寄せるんだな。
そのDJ役がロビン・ウィリアムスってわけ。

このDJが、めちゃめちゃおもしろい!
マシンガントークで、ギャグてんこ盛り。
モノマネ、擬音の声態模写、ブラックジョーク、そしてごきげんなロックンロール!
それまで、ポルカなんかを流して、粛々とニュースを読んでいた番組を
一発でぶっとばしてしまったんだよ。

002踊って放送.jpg

ロビン・ウィリアムスのこのDJの演技は、すごいぞー!
長まわしで、あれだけのセリフを、あんなスピードでやれるかい!?
彼が天才的なコメディアンで、超実力派の役者であることを目の当たりにすることになる。
だから、この映画が彼の経歴の真骨頂だと思うんだな、僕は。

「グーーーーーーーーッモーニン、ビエトナーーン!!」の叫び声で始まるそのDJは、
いつ死ぬかもしれない兵士たちの、数少ない笑顔のよりどころとして、
たちまち大人気になるんだね。

でもね、大人気の陰には大嫉妬あり。
放送局の上官たちには、それをよく思わない人たちもいるんだな。

そもそも、戦場でロックンロールなんかかけちゃいけないに違いないし、
上官や国のニクソン大統領をちゃかすようなジョークやモノマネは、
軍用の放送コードの一線を超えてしまっているということ。

ディスインフォメーションって言うんだっけ、
兵士の士気を落とすようなニュースはカットされるくらいだからね。
太平洋戦争中、日本でも新聞各社が、負けているのに勝っているふうな報道をしていたよね。

放送局の上官たちは、はちゃめちゃやるロビン・ウィリアムスを
だんだんとジャマ者扱いしだすんだな・・・。
そんなハナシの展開で、ベトナム戦争でも “情報操作” で “身内をだます” ことさえも
行われていたことを知ったんだった。

003上官.jpg
『ゴッドファーザーPART II』にも出てた、ブルーノ・カービーは上官役



ベトナム戦争って、とてつもなく大きなテーマに違いない。
だから、ものすごくたくさんの映画作品が生まれてるけど、
そのせいか、変わった切り口の作品もいろいろあるんだね。

たとえば、『ディアハンター』、『ビッグウェンズデー』、『フォレストガンプ』・・・、
中でもこの『グッドモーニング, ベトナム』はピカイチの切り口と脚本だと思う。
『プラトーン』とか『ハンバーガーヒル』などなどみたいな戦闘シーンがまったくないのに、
ちゃんとベトナム戦争を語っている
んだよ。



ロビン・ウィリアムス演じるクロンナウアには、
サイゴンに来た時から気になっていた女の子がいたんだね。
白いアオザイを来たトリン。かわいい!

004恋.jpg
この人は、ホントはタイ人。タイの国民的大女優、チンタラー・スカパット

ある日、サイゴンの街で彼女を見かけたクロンナウアは、
近くのベトナム人に金を渡して自転車をうばって彼女を追いかける。
僕には、そんな情熱だって、アメリカの強引な “押し掛け金満戦争“ を表現しているように見える。
だいたい、兵士の戦地での恋だって、ハタから見れば胡散臭いよね。
“戦地妻” とか、“強姦事件” とか、性的侵略の臭いがぷんぷんする。

彼女を追っかけて着いた所は、アメリカ軍がベトナムの子供たちに向けて開いている英語教室。
クロンナウアは親交の気持ちと彼女の関心を引きたいために、
その教室の講師を買って出て通い詰めるんだね。
このくだりだって、一見、良いことをしているように見えるけど、余計なお世話、
笑顔で “文化的侵略” をしているにほかならないんじゃないかと感じさせられる。

クロンナウアは、持ち前の話術で、だんだんと教室の子供たちの人気者になっていく。
彼女の兄の反対を横目に、彼女とも少し心を開きあうようになるんだけど、
後にとんでもないことになるんだな。(これは内緒、映画を観てください)
僕に言わせれば、このくだりもそのものすばり、ベトナム戦争の本質を表現しているんだな。



ある日、クロンナウアは、国防総省の検閲の入った、流してはいけないニュースを放送してしまう。
兵士やサイゴン住民の安全を思って、テロの危険を知らせるために真実を伝えたのだ。
当然、それが原因でクロンナウアはDJをはずされる。

もう辞めようとジープに乗って移動している途中、
ますます激戦化する戦地へ向かう歩兵団のトラックと出くわす。
クロンナウアは、これから死と対峙する兵士たちに、ライブでいつものマシンガントークをプレゼントする。
クロンナウアがはずされてから、つまらない放送を聴かされていた兵士たちが笑顔になる・・・。
BGMのルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」が、胸にしみるぜー。

What a wonderful movie ! What a wonderful acting!



酒とドラッグにハマって、一度は克服したものの再発。
自己嫌悪に陥ったままウツ病になって自殺。
ロビン・ウィリアムスにも、「この素晴らしき世界」はおとずれなかったんだな。











005ポスター.jpg

●『グッドモーニング, ベトナム』(Good Morning, Vietnam)
1987年 アメリカ
上映時間:121分
監督:バリー・レヴィンソン
原作・脚本:ミッチ・マーコウィッツ
製作:マーク・ジョンソン、ラリー・ブレズナー
共同製作:ベン・モーゼズ
音楽:アレックス・ノース
撮影:ピーター・ソーヴァ
編集:ステュー・リンダー
配給:タッチストーン・ピクチャーズ(米)、ワーナー・ブラザーズ(日)
主題歌:ルイ・アームストロング「この素晴らしき世界」
出演:ロビン・ウィリアムズ、フォレスト・ウィテカー、ドゥング・タン・トラン
   チンタラー・スカパット、ブルーノ・カービー、ロバート・ウール、
   J.T.ウォルシュ、ノーブル・ウィリンガム ほか


コメント

なんでこれ観ていないんだろう?

自分のブログコメントに書いたように、何故かロビンの作品は観ていないのが多くて、
今回の訃報を聞いたときに彼の出演作を調べたら、我ながら唖然としました。

BSプレミアムが彼の追悼特集で、とりあえず“グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち”を放映するそうですが、
それは観ているんですよね。ロビンがアカデミー賞を受賞している作品なので、これが選ばれるのは必然ですね。

『グッドモーニング, ベトナム』観ないといけませんね!

恥ずかしながら

映画カッパと自称しても、
ワタシも意外と、彼の作品を見ていません。
そして、恥ずかしいのが、この名作と言われている
「グッドモーニング, ベトナム」…。実は見てません。
非常識な考えですが、
BSプレミアムで「追悼特集」をしてもらいたいのですが…?

No title

個人的にはベトナムものでは「フルメタル・ジャケット」があればそれだけでいいです……。

戦争の狂気はあそこまでやらないと描けません。

No title

近年の彼出演の作品は、正直良いと思えるものがありませんでした。犯罪者役とか見たくないし……
かつて活躍したこの歳ぐらいの役者って活躍できる機会が減ってきてますよね。ダスティンホフマンとかどしてるんだろう。
もっと良い役を与えてやればいいのに
デニーロはその点凄いなあ。まだまだやれる。

No title

おはようございます。
実はこの映画最後まで真剣に観た事がありません。
そういう内容なんですね。
tvで彼の映画を放送中のシドニー。この映画の時は観てみます。
早口なのでどこまで理解出来るか心配ですが…
パーキンソン病の初期の段階だったと昨日ニュースで知りました。怖かったんでしょうねきっと…
ベトナム戦争に関しては、あの戦争に関わった元CIAエージェントの方にちょこっと話を聞いた事があります。

Re: なんでこれ観ていないんだろう?

バニーマンさん、いつもありがとうございます。

僕も全部を観たわけではないのですが、
ロビン・ウィリアムスの場合、「いまを生きる」のような純粋なドラマより
この作品みたいに、コメディアンとしての機転やスピード感と
実力派俳優としての演技の両方を味わえる作品のほうが彼らしいかと。

この作品は、ストーリーもよくできていて、文句なくおもしろいと思います。
レンタルでもあるところにはあると思われますので、ぜひ!

Re: 恥ずかしながら

師匠、コメントありがとうございます。

ここに書いたストーリーは、全体の半分くらいです。
演技はもちろん、ストーリーもシナリオもレベルが高くて
間違いなくおもしろいですよ。
これ、ツタヤディスカスにはあるようです。
ぜひぜひ観てみてください。

Re: ポール・ブリッツさん、コメントありがとうございます。

「フルメタル・ジャケット」には、他を寄せつけない表現がありますよね。
狂気を描かせたらピカイチのキューブリックですからね。
武器より、人間の狂気がいちばんコワい!
アメリカ軍の狂気より、ベトコンの狂気のほうがコワいことを
最後に思い知らされます。
孤高の一本です!

Re: ヒッシーーさん、コメントありがとうございます!

日本でも外国でも、映画俳優とかミュージシャンとか、
トシをとってしまうとかわいそうなものがありますよね。
それで、仕事がなくなってしまって、自殺するとか離婚するとかちょくちょくあります。
ロビン・ウィリアムスがそのせいでクスリをやったり、ウツになったのかはわかりませんが、
最近、主役格の仕事はなかったですかね。

でも、ロビン・ウィリアムスもダスティン・ホフマンもロバート・デニーロも、
もともと超二枚目というわけではないので、役がなくて困るということが
少ない俳優ではあると思うんです。
事務所の方針とか、本人の意思しだいでは?
最近、おっさんや老人ががんばる映画がふえていますしね(笑)。

Re: Re: サンデーランチさん、おはようございます!ホント早っ

> そういう内容なんですね。

↑あ、僕がここに書いた分でも、ストーリーの半分くらいです。
ぜひぜひ観てみてください。(めっちゃ、早口シーンもありますが)
他の作品も、彼の出演作は名作ばかりですよ。

> パーキンソン病の初期の段階だったと昨日ニュースで知りました。
> 怖かったんでしょうねきっと…

↑おっと、新情報です!
そうだったんですか!?
それを苦にしてウツになっちゃったんでしょうか。
俳優ですから、フツー以上につらいかもしれませんね。

> ベトナム戦争に関しては、あの戦争に関わった元CIAエージェントの方に
> ちょこっと話を聞いた事があります。

↑そういえば、そういうお知り合いがいるとおっしゃっていましたよね!?
ぜひ、何かブログの記事にしてください!!
CIAのリアルな実態。
どんどんバラしましょう!
ぜひぜひ!
あ、その人がジェイソン・ボーンみたいに、
中央情報局から追われるようなことになっても僕は知りませんよ(笑)。
とりあえず、ジャック・ライアンシリーズの映画の感想を聞いたりするくらいが
安全かもしれません(笑)。

「この素晴らしき世界」

つかりこさんのロビン・ウィリアムスに対する哀悼の意の内容がすばらしくて、いつもながら感心してしまいます。『グッドモーニング, ベトナム』を始め、時間をかけてもロビンの作品をじっくり観ていきたいと思いました。

Re: 「この素晴らしき世界」

JOHNNYさん、コメントありがとうございます。

いやいや、お褒めに預かり恐縮です。
いつもしょうもないことばかり書いているので、
お恥ずかしい限りです。

『グッドモーニング, ベトナム』!ホントいいですよ。
最近、ビデオレンタルで見かけなくなりつつありますが、
絶対おもしろいです。
きっと、DJの早口なシーンの日本語吹き替えが難しかったりして、
再販しにくいのかもしれません。
ツタヤディスカスという宅配レンタルにはあるみたいですが、
自分でも、こうなりゃ中古でも新古でもDVDを
アマゾンで買っちゃおうか思っているくらいです。

「この素晴らしき世界」が流れるシーンは、
何度観ても泣けますよ。

No title

ロビン・ウィリアムズ氏、お亡くなりなりましたね。
自分も好きな俳優ですごく残念です。
自分は、「いまを生きる」が一番好きでしたが、「グッドモーニング,ベトナム」は
いろいろ考えさせられる名作でしたね。

Re: takaki11さん、コメントありがとうございます。

「いまを生きる」、名作ですよね!
とても知的な青春映画ですよね。
ロビン・ウィリアムズの節制のきいた演技がとてもいいです。
ラストでがつーんと泣かされます。

「グッドモーニング,ベトナム」、観られたことがあるんですね!
これでは陽気なアメリカ人の役ですが、これまた好きな作品なんですよ。
彼のコメディアンとしての瞬発力と味わい深い演技の両方が観られてお得です(笑)。
とてもよくできた脚本の名作だと思います。
非公開コメント

プロフィール

つかりこ

Author:つかりこ
北海道生まれ。広告制作会社勤務。スポーツ、飲み食い、音楽、読書、映画などなど、興味がゆらゆら。

ちかごろの記事

全記事表示リンク

カテゴリ

検索フォーム