謎が謎のまま終わる ~ 『小さいおうち』


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えーっ、この映画って、こんな内容だったんだ!?

全然、想像と違ったよ。
原作読んでないし、予告編を観るぐらいしか
前情報がない状態で観たんだけどびっくりしたな、もう。

だって、山田洋二監督でしょ?
それに、あのポスターのデザインでしょ?
「寅さん」と「東京家族」を足して2で割ったような、
ややコミカルなヒューマンドラマだと思ってたんだよ。

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途中まではそんな感じでハナシは進んでいって、
映画が終わる頃に、反戦を訴えていることはわかるんだよ。
それで、「ああ、山田監督らしい、ヒューマンドラマだな」、
さてさて、次は何がくるのかな?って思ってたら、突然エンドロール!

僕には、ホントにそう思えたんだよ。
「あれっ、終わり?」
「なんだよ、ちっともおもしろくねーなー」ってね。
そりゃ、山田監督だから、反戦を訴えているんだな、ってハナシの展開にはなっているけど、
それにしても、これで終わり?って、食い足りない。

それで、エンドロールの間に、「いくらなんでも、そんなはずないよなあ」って
よーく、内容を思い出してみると・・・むむむむむ、
この作品って、ミステリーなんじゃないか!?
殺人も刑事もお化けも出てこないけど、
うんっ、これはミステリーなんだ、サスペンスなんだ!って気づいたんだよ。

終わってから気づくなんて、アホだなー、って思うよね?
でもね、原作とかのストーリーを知らないで観た幸せな人は、
大なり小なりそんなパンチを受けることになると思うなあ。


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秘密を隠す女の表情、すごいねー

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ちょめちょめして帰って来て着替えてるシーン、えげつなー

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このシーンを “対決” と捉えるか、“和合” と捉えるか
松たか子の表情がすごい!黒木華が「銀熊賞」をとったけど、松たか子の演技もホントすごいよ!

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それでね、この映画の最大の特徴は謎がいっぱいだってこと。
さらには、その謎が解明されないってことだ。
謎、疑問が、解決されないままに終わってしまって、
後からよーくよーく考えても、答えが見つからない
んだよ!
おー、なんてこったい!山田洋次監督が、こんな映画を作るなんて!?

そういえば、西川美和監督の『ゆれる』や『ディア・ドクター』もこのテの作品だよね。
答えが見つかりにくい、または、見つからない、どんなに考えても一つに絞れない映画。
よって、話題が話題を呼ぶ。
DVDやブルーレイを買って何度も観てみたくなる。
地上波やWOWOWみたいな映画チャンネルでも観たくなる。
何年経っても観たくなる。
・・・ってな、しかけだよね。

いやいや、ずるいプロモーションの作戦だな、って言いたいんじゃないんだよ。
製作者の作品への「愛」とでも、言ったらいいのかな、
メッセージをより強く伝えたい、いつまでも作品を愛してほしい
という気持ちとでも言うのかな、
僕は好きだな、こういうやり方。

映画興行とコンテンツ販売が売上げをしのぎあう時代、
これから、こういう “答えの出ない作品” って、もっともっと流行るかもしれないね。



・・・でね、そう、謎がいっぱいで、答えが見つからないんだなー。
↓ネタばれありです。

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★タキは、なぜ、死ぬまで自分のしたことに罪を感じていたのか?

●タキは、板倉に恋していたのか?

●タキは、手紙を届けに行くと言って、どこに出かけたのか?何をしたのか?

●タキの部屋にあった絵は、いつ、誰から手に入れたのか?

●タキは、時子に恋心(同性愛)を抱いていたのか?

●タキは、純粋に時子に憧れていて、平井家での暮らしを愛していたのか?

●タキは戦後、板倉に会ったのだろうか?

●平井夫妻は、セックスレスだったのか?


原作は、けっこう映画の内容とは違うようで、答えも異なると思うので、
原作のハナシは、横に置いとくとして・・・
どなたか、「こう思う!」というのがあったら、気軽にコメしてくださいねー。





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●『小さいおうち』
2014年 日本
上映時間:136分
原作:中島京子
脚本:平松恵美子、山田洋次
監督:山田洋次
音楽:久石譲
撮影:近森眞史
美術:出川三男、須江大輔
照明:渡邊孝一
編集:石井巌
録音:岸田和美
プロデューサー:深澤宏、斎藤寛之
製作:松竹、住友商事、テレビ朝日、博報堂DYメディアパートナーズ、衛星劇場、
   日販、ぴあ、読売新聞社、TOKYO FM、博報堂、GyaO!、朝日放送、メ〜テレ、
   北海道テレビ、北陸朝日放送
配給:松竹
出演:松たか子、倍賞千恵子、黒木華、妻夫木聡、吉岡秀隆、片岡孝太郎、
   橋爪功、吉行和子、室井滋、中嶋朋子、ラサール石井、あき竹城、
   笹野高史、松金よね子、秋山聡、市川福太郎、米倉斉加年、螢雪次朗、
   林家正蔵、小林稔侍、夏川結衣、木村文乃 ほか


コメント

No title

自分も山田洋次と言うからてっきり・・
歳とっても攻めるなあ。未だ進化してるのか、凄い。
西川美和監督の作品は好きです。深読みできる作品って好きなんですよねえ。ぜひ見てみます。

2014/08/11 (Mon) 21:50 | ヒッシー #- | URL | 編集
No title

ご覧になりましたか~。
私は原作がすごく好きで、それで映画も観たいと思って映画館へ行ったくちです。
だから、つかりこさんとは映画への入り方がハナから違うのですが
ミステリーだと思った点は一緒です。
あれもこれも推理するしかないので、もどかしいっちゃ~もどかしいのですが
それがこの作品の魅力ですよね。

それと黒木華、まあ、なんてピッタリなレトロ顔だろうと配役の妙に感心しました。
松たか子も、ここ数年、しっとりして綺麗になりましたよね。
この二人は本当に良い味出しているな~と思いました。
が、吉岡秀隆には板倉役としては大いに不満。私だったら惹かれないわ~。

あ、たしか平井夫妻はセックスレスです・・・原作に書いてあった気が・・・。

2014/08/12 (Tue) 07:31 | さとちん #WOq6nlhY | URL | 編集
Re: ヒッシーさん、コメントありがとうございます!

> 歳とっても攻めるなあ。未だ進化してるのか、凄い。

↑そうですよね、すごいと思います。
おもしろい味の映画ですよ。

この作品は、黒木華ちゃんだけが賞をとりましたが、
山田監督も松たか子さんも、虎視眈々だったのでは?
それがうかがえるくらい、気合の入った作品だと思います、
ぱっと観、静かなる作品ですが。

2014/08/12 (Tue) 16:39 | つかりこ #- | URL | 編集
Re: さとちんさん、コメありがとうございます!

黒木華ちゃんは、なんだか好きな女優さんなんですよね。
目がちっこく見えますが、ほとんどアイメイクをしていないだけで、
とても美人だと思います。

板倉役!
僕も「ちょっと違うかな」って、思っているのですが、
女性がおっしゃるのですから、やっぱりそうなんでしょうね。

原作の内容がかなり気になっておりますが、
気が向いたらログって教えてーなー。

2014/08/12 (Tue) 16:49 | つかりこ #- | URL | 編集
明日届きます

明日、TSUTAYAディスカスから届くはずです。
山田監督のこの新作、気になってました。
確かに、少し今までとは違うような…。
つかりこさん、失礼ですが、
見てから、ゆっくりと読ませて頂きます。
読んでから見るか、見てから読むか…、
そんなキャッチコピーありましたね??

ただ、今日から「阿波おどり」始まりました。
街中が、どよめいています。
そして徳島が、踊る阿呆になる四日間です。

2014/08/12 (Tue) 23:18 | 映画カッパ #- | URL | 編集
Re: つかりこさん

つかりこさん、ログるってブログに書くっつーことですよね?
それなら昨年、記事にしとりますですよ。(2013.1.11)
貼っちゃっていいのかな~?
恐縮ですが下記です。
http://nimaruni.blog.fc2.com/category4-4.html

自分で読み返して、へぇ~と思っちゃったわさ(^_^;)
配役が発表されていなかったので、奥様は仲間さんあたりかな~と思ってたんですねぇ。
そうそう、本を読んでいるとき私の中で板倉は伊勢谷友介でした(笑)
内容が伝わるかどうかはギモンですが雰囲気をお伝えできればいいな~☆

2014/08/13 (Wed) 13:33 | さとちん #WOq6nlhY | URL | 編集
Re: 明日届きます

カッパ師匠、コメントありがとうございます!

あ、ネタバレ記事、すみませんでしたねー。
ハナシの内容はシンプルなので、
原作を知らない人には、謎がいっぱいだ、ということを知るだけでも
ネタバレだったと思います(いっけねー、すんません)。

観たら、感想聞かせてくださいねー。

阿波おどり、盛り上がってますかー?

2014/08/14 (Thu) 18:34 | つかりこ #- | URL | 編集
Re: Re: つかりこさん

さとちんさん、コメコメありがとうございます!!

> http://nimaruni.blog.fc2.com/category4-4.html

↑過去ログ、拝読させていただきました。
なるほどー、仲間さん、ぴったりですねー!

伊勢谷友介!
あー、そういえば以前にも、さとちんさんが伊勢谷友介が好きだ、
みたいなのを読んだ記憶がありますね。
里花さんは、綾野剛だとか言っていました。
そうですよねー、あの人よりは伊勢谷友介のほうがセクシーですよね、
ホントに芸大出だし。

疑問の解決にはならなかったですが、本が読みたくなりました。
読むともっとあれこれ答えに近づけるような気もします。

過去ログに、書籍の感想がたくさんあるんですね。
迷うような機会に出くわしたら、また参考にさせてくださーい。

ご案内、ありがとうございました!

2014/08/14 (Thu) 18:48 | つかりこ #- | URL | 編集
No title

こんばんは。

ミステリーだと書いてあったので、ブログ読むの止めていました。

今日、やっと観たので読ませていただきました。

>タキの部屋にあった絵は、いつ、誰から手に入れたのか?

今思い出しました(^_^;)。そういえば絵が飾ってありましたね。
観ているとき、あれっ?ては思ったのですが、すぐ忘れてしまいました。
これはまったく謎ですね。

>タキは、板倉に恋していたのか?
>タキは、純粋に時子に憧れていて、平井家での暮らしを愛していたのか?
>タキは、時子に恋心(同性愛)を抱いていたのか?

そうだと思います。
恋というか憧れは板倉にも時子にもあったと思います。
二人への感情が複雑にからんで、手紙を渡さずにいたのだと。
また時子の死をしり、二人を会せなかった後悔がタキの罪の意識につながったのかな・・・。

2014/10/19 (Sun) 19:55 | バニーマン #- | URL | 編集
Re: バニーマンさん、コメントありがとうございます!

> 恋というか憧れは板倉にも時子にもあったと思います。
> 二人への感情が複雑にからんで、手紙を渡さずにいたのだと。
> また時子の死をしり、二人を会せなかった後悔がタキの罪の意識につながったのかな・・・。

↑なるほどー。二人に対する感情が自分の中でぶつかり合うという感じ、
わかります。

おもいきりネタばれになっちゃいますが、
下記のような解釈をされている方もいるようなんです。

①タキは時子の手紙を持って板倉に会いに行って、
手紙を渡さずに板倉とねんごろになったのではないか。
肉体関係になったかどうかはわからないのですが、
好きだという思いを告げるとか。
そうして、その時か戦後に再会するかして、板倉から絵をもらったか買ったか。
で、そのいきさつが、時子を裏切って自分が板倉を奪ったという後悔となって、
ずっと自分を責め続けていたのではないかと。

②世間体を前に、時子を板倉に会わせてはいけないという想いで
家政婦としての機転きかせたはずですが、
大好きな時子の恋をを妨害することにもなってしまったことへの後悔が自身を責め続けた。

②はバニーマンさんおっしゃることと似ていますが、
タキが板倉に憧れていたとしたら、微妙にニュアンスが違いますよね。
個人的には、どれが正解かわからんなあー、といった状態です。

原作を読んでいないのですが、
読むとまた違った考えが浮かぶという意見もありました。

だから、まったく何が正解かわからん、という映画なんでしょうかね?
山田監督にしては、珍しい作品だなあ、と関心しています。
何度も観ると、だんだんわかってきますかねー?

2014/10/19 (Sun) 22:54 | つかりこ #- | URL | 編集
No title

>家政婦としての機転きかせたはずですが、

作家先生の教えを忠実に守ったということだと、これなんですけど、
結局よくわからないですね・・・。
原作も説明が無いそうです。

事後報告になりますが、リンクさせていただいております。
宜しくお願いいたします。

2014/10/20 (Mon) 20:12 | バニーマン #- | URL | 編集
Re: バニーマンさん、コメントありがとうございます!

あ、気づかずにすみませんでした。

こちらも、リンクを張らせていただきました。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。

2014/10/22 (Wed) 12:14 | つかりこ #- | URL | 編集

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