SAMURAI BLUE のために ~ 2014 FIFA W杯

2014.07.20 (Sun)


日本の日付で6月13日から始まったんだけど、あっと言う間に終わってしまったねー。
(終わってからも、6日も経ってしまった・苦)

いやー、今回のW杯はおもしろかったねー。
'86年大会くらいからチェックして、'98年から本気で観てきたけど、
今回が一番おもしろかった気がするなー。

まあ、もちろん、日本代表が勝ち進んだ大会がおもしろいに決まってるけど、
今回は、日本代表が映ってなくても、テレビ画面に吸いつけられるゲームが多かったよね。

そういうわけで、ここいらで、なんでおもしろかったのか振り返ってみようと思う。
それで、このレビューが今後の日本代表の強化にほんの少しでも役立てばいいなあ
って気持ち。

001_2014マーク.jpg





激しいプレスで、パスサッカー崩し

今回のW杯はきっと、パスサッカー(ボールポゼッション・サッカー)が百花繚乱なんだろうな、
って想像していたんだけど、これは大外れだった。
スペインはもちろん、イタリア、オランダ、ドイツ、フランス、メキシコ、日本なんかは
だいぶん前からパスサッカーを取り入れているのがわかっていたからね。

ところがどっこい、フタ開けてみたら、“パスサッカー崩し大会” だったんだね。
スペインやイタリアや日本みたいに、遅攻でチンタラパスを回そうなんてチームは時代遅れ、
あっという間に負けてしまったね。

とくに、チリやコスタリカのやり方は、豪快でわかりやすかった。
ポイントは・・・

●前から激しくプレスをかける

・・・だよね。
でも、これは中途半端ではだめ。
敵はパス回しを売りにしてるくらいなんだから、かるーくあしらわれるでしょ。
これは、ボディコンタクトありで、ガツガツいくこと。

ジャイアントキリングをやらかしたチリとコスタリカの
強引な体の入れ方とぎりぎりのタックルは、目を見張るものがあったよね。
あれだよ、あれ!

002チリ.jpg

もちろん、あれだけのプレーをやるには・・・

●90分間切れない闘争心

・・・が必要だよね。
これは、日本代表はどうやったらそれが可能か答えを絶対見つけるべき。
だって、もともと、負けたら食べてけないとか、必死さがないもんね?

●テクニックと体力

・・・はすごいに越したことはないよね。
これは、日本代表もそこそこだし、年々レベルアップしているから、
あんまり心配はしていないんだなー。





カウンターの進化形、『トランジッション・サッカー』

でもさ、激しいプレスをかけるだけなら、昔からある方法だよね。
相手がパスサッカーじゃなくたって、相手の攻撃をつぶすのには最強の方法。
“積極的な守備”、“敵の攻撃の芽を摘む” というやつだよね。

で、激しいプレスでボールを奪ったら、どうするかというと、当然 “カウンター“ だよね。
これも、昔からあるセオリー。
守備の後は速攻。
敵が自分たちより強い場合の、常套手段だよね。
時々、ギリシャみたいに、どんなチームと当たろうとも堅守&速攻のチームもあるけど。

んで、それって、激しいプレス&カウンターだろ?ってことになるけど、
それが、今回観てたらちょっと(だいぶん)違うらしいんだな。
激しいプレスをかけて、ボールを奪って、攻撃に転じるに違いないんだけど、
カウンターとは限らない。
主にカウンターというのが正しいかも。

ちょっと前までは、完全にカウンターで、
ボールを奪ったら、前線に残してあったフォワードにロングボールを蹴って、
敵ディフェンダーのウラを突かせるとか、サイドバックにパスを出して縦に走らせる、
後はなりゆき、って感じだったけど、新しいやり方はちょっと違うんだな。

ボールを奪うまでの策じゃなくて、ボールを奪ってから後の策に重点が置かれているんだよ。
ボールを奪った直後の敵や味方の状勢に応じて、どう攻撃に出て、どうやってゴールするか
すばやく判断してシステマティックに動き出す
んだね。

たとえば、
「こういうカタチでボールをとったら、できるだけ早くセンターにロングボールを上げて、
後は2人のフォワードのコンビネーションでゴルーゲット」とか、
「この辺りでとったら、右サイドのあいつにパスを出して、
そいつが縦に走ってファーに走り込んだボランチにクロスを上げて、
ボランチはフォワードが詰めている真ん中に落とす」とか、
「この位置でとったら、いったんCBに戻して、敵を前に引っぱっておいてボランチにパス。
その瞬間に左サイドバックと3人のMFが駆け上がる。
ボランチはサイドバックにサイドチェンジのロングパス。
サイドバックは左をえぐって、後はパターンAかBで」
・・・という感じ。

つまり、“守備から転じる反撃の方法と、ゴールインまでが連動したプラン“ を
いろいろ身につけておいて、それを確実に実行すること
なんだな。
こういうのを・・・

●『トランジッション・サッカー』

・・・って言うらしいんだね。
意図してかそうでないかはわからないけど、チリやコスタリカやメキシコは
それが明らかに優れていたよね。
だから、ジャイアントキリングできたんじゃないかな。
ここに、日本代表が強い敵に勝つための大きなヒントがあると思うな。

003コスタリカ.jpg





これが、オランダの5バックシステムだ!

004ロッベン.jpg

オランダは、その『トランジッション・サッカー』を明らかに意図的にやっていたよね。
なんで、意図的だと思ったかと言うと、いつものオランダでは考えられないような
フォーメーションをとっていたからだよ。

数的優位を作ってプレッシングしながら、攻撃に転じても数的優位を保って
トンラジッション・サッカーの確実性を高められるフォーメーション
あらかじめ用意していたんだよ、オランダは。



B組のグループリーグのスペイン対オランダ戦で、オランダが見せた5バックを覚えてる?
あれだよ、あれ。
「スペインが強いっつったって、あの超攻撃的なオランダが5バック?」
って、びっくりしたよなー。

でも、これはもちろん、ずっと5バックのままというんじゃなくて、
攻守の切り替えに応じて3バックに変えたりしてるんだよね。
「4-4-2」や、最近主流の「4-2-3-1」と同じで。
「4」や「3」で並んでる両サイドの2人が上がったり下がったりすることで、
守備を固めたり、攻撃に厚みを増したりさせる
やり方なんだよ。



近年、「4-2-3-1」が主流だというのは、当然それが有用な陣形だからなんだね。
その前までトレンドだった「4-4-2」や「3-5-2」に勝てる、
完全無欠のフォーメーションと言われていたんだよ。

「4-4-2」は、6~7人で攻めて、6~7人で守るスタイルなんだけど、
「4-2-3-1」は、敵の攻撃に対して、「3」の両サイド2人が下がれば、
8人となって、敵より数的優位が作れるんだな。
攻撃の時も、前の3-1にボランチの2人と駆け上がったサイドバックを足すと、
敵の6~7人の守備に対して最大8人で攻められるという仕掛け。

「3-5-2」は攻撃は6~7人、守備は7~8人というスタイルだけど、
それに対する守備も8人で優位、攻撃は最大8人だからやや優位という
カタチを作れるんだな。

つまり、「4-2-3-1」は、その前まで主流だった「4-4-2」や「3-5-2」を破れる
万能的なフォーメーションだったんだね。

僕は、この「4-2-3-1」の「4」や「3」の両サイドがスライドするやり方に
「こんな方法があったのか!」と思うと同時に、「これを破れるカタチがあるのか?」
とも思っていたんだよ。

ところがあったねー。
それが、今大会でオランダやって見せた5バックシステムだったんだね!



005基本形.jpg

5バックシステムと言っても、基本形はコレだと思う・・・「3-4-1-2」

最強と言われた「4-2-3-1」と比較してみようと思う。
⑦と⑧の動きにご注目。



006守備時.jpg

敵が攻めてくる時、⑦と⑧がディフェンスラインまで下がって、5バックになる。
同時に⑨と⑤と⑥も下がって最終ラインの前のディフェンスを受け持つ。
最前線の2人が敵のボランチに付いていれば、
全部で10人で守備ができるんだね。
敵のサイドバックが上がってきても、敵の数は8人。
敵より多い人数で守れるよね。

オランダは、この守備の状態から、ポーンと前に蹴り出して
ファンペルシーとロッベンがちゃんと入れたんだよね。



007攻撃時.jpg

逆にこちらが攻める時、⑦と⑧がサイドバックのように前線まで駆け上がって
残った⑤、⑥も3バックもラインを押し上げて、
ディフェンスラインのうちの1人が加担すると、8人での攻撃体制になるよね。
敵は8人だから、同数の対決となってしまう。
そこで必要になるのが、戦術というものだ。

その戦術というのは、「3-4-1-2」のうちの「4」が
“守備から攻撃にすばやく転じる”ことなんだな。
しかも、やみくもに転じるのではなくて、
“あらかじめ練習してある、いくつかの得点パターンにすばやく確実に転じる” ことさ。
そう、それが『トランジッション・サッカー』なんだなー。

「3-4-1-2」のうちの「4」= 図の⑤、⑥、⑦、⑧が、⑨のトップ下と一緒に、
“すばやく敵のサイドバックとウイングを置き去りにして数的優位を作り“、
“しっかり練った、いくつかの得意なパターンで得点する”
ということだ。

これが、オランダが見せた5バックシステムの正体!
キホンは「3-4-1-2」なんだけど、「5-3-2」で守ったり、
「3-5-2」や「3-4-3」で攻めたりする
スタイル。

試合中に、相手の特徴や戦況に合わせてコロコロ変えるから、
『マルチフォーメーション・サッカー』とでも言うのかな。

●「3-4-1-2」から始まるマルチフォーメーション
 または、それに準じたやり方


向こう4年は、コレの研究がサッカー界のトレンドになるだろうなあ。





上で書いた赤文字のポイントを日本代表に捧げるぜー!!

決勝トーナメント常連組になれるか、しばらく本大会に出られなくなるか、
正念場の4年間が始まったぜ、おめーら!

がんばれ、ニッポン!!



008代表円陣.jpg



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コメント
トランジッション・サッカーが、今後のトレンドですか。
パスサッカーを目指していた日本には方向転換ですね。
厳しい守りにも難がありそうで、なかなか難しそうですね。
東南アジアのサッカーのレベルも上がってきているので、
W杯自体に出るのも簡単ではなさそうです。
新生日本に期待しています。

takaki11 | 2014.07.21 13:03 | 編集
決勝トーナメントになってからが面白かったですね!

W杯ごとに、スタイルのトレンドが変わってゆくんですけど、
これからは「3-4-1-2」と言うのを覚えておきますね☆
つかりこさんの図解で流動的な変化がよく分かりました。
それを図に出来るつかりこさんの技術にも感心しちゃった(^▽^)

アジア枠も減りそうだし、ほんとにこれからが
ニッポンにとって正念場になりそうですよね。
日本代表がこの記事を読んでくれるといいですね(^_-)-☆
YAN | 2014.07.22 18:10 | 編集
つかりこさんご無沙汰してます。

すごいサッカーばっかですね。
いやW杯の間は我が家もサッカーばっか流れてました。

メッシのプレーはサッカーに疎い私でも目が離せませんでしたし。
あと世界との差もこんな私にでもわかりました。

あと自慢すると選手の名前結構覚えましたよ。
ちっち | 2014.07.24 21:52 | 編集
トランジッション(守備から攻撃への転換)に対する作戦は、
今後かなり重要視されると思います。
ただ、それは昔のように「一本槍」というのではなくて、
戦術の一部として発展するのだと思います。

ドイツは、前からプレスしながら守備をしている時は、
「トランジッション」、
遅攻の時はディフェンダーとボランチの「パスサッカー」、
切れ込んだらサイドから浮き球でセンタリングする「サイド攻撃」と
高度に練られた複合的なサッカーだったと思います。

今後は、そういう複合的なサッカーをうまくやれるところが
勝てるチームになるのではないかと思っています。


アジアのチームは、1勝もできませんでしたが、
それでも、イランとオーストラリアはかなり強かったと思います。
日本も韓国も中国も、次の予選はかなり苦労するのでは?
つかりこ | 2014.07.26 15:03 | 編集
YANさん、コメントありがとうございます。

'90年頃は4バック、その後は3バック、最近は4-2-3-1と主流が
変わってきたかなー、と思います。
4-2-3-1はなるほどうまく考えられたシステムで、
4-2-3-1や3-5-2を破るために考えられたのだと思います。
誰が最初に考えたのかはわかりかねますが、
国代表で目立って使ったのは'98年以降のフランスチームだったと思います。

今回、5バック!と驚いたのは、チリとオランダだったんですが、
オランダのやつをよく分析すると、ずっと5バックのままシステムではなくて、
図のように守備と攻撃で変化するものだということに気づいたんです。
はじめ、がっちり守備の 5-3-2に見えたのですが、実は3-4-3にも3-5-2にも3-2-3-2にも、
4-4-2にも、4-3-3にも変化しやすいカタチだったんですね。

オランダは、スペイン相手に5-3-2でガッチリ守って2(ファンペルシーとロッベン)
のカウンターをしながら、遅攻の時は得意の攻撃型の3-4-3でいこう!と
決めていたのではないかと思います。

3-4-1-2が基本ですが、5バックで両サイドの2人が縦に動く、
または5バックのうちの3人が縦に動いて陣形を変えるスタイルは
間違いなく流行ると思います。

おっさんの戦術ばなしにおつきあいくださって、
ありがとうございました!
感謝、感謝です!!


次からは、アジアのW杯予選は厳しくなると思いますよ。
日本や韓国がうじうじしてるうちに、オーストラリアが強くなったと思います。
メキシコのハビエル・アギレが、次の日本代表の監督に決まりましたが、
さてさてお手並み拝見ですよねー。
つかりこ | 2014.07.26 15:06 | 編集
なんだか最近忙しくて、みなさんのとこにごぶさたがちになっております。
すんません、ぼちぼちお付き合いくださいませー。

W杯は、4年に一度だし、サッカー好きだし・・・で遅れ遅れでしたが
なんとか自分の書きたいことは書きました(汗)。

メッシに注目されていたんですね!
グループリーグのメッシはすごかったですよねー。
もう、“絵に描いたように” メッシでした(笑)。
点を決めたい時に、まったくメッシらしく入れてくれました。
大会MVPとったのは、きっとそのプレーの印象が強かったせいでしょうね。

日本代表は、新監督も決まって8月からスタートします。
新しい日本代表の選手の名前も覚えてくださいね。
たまにはサッカーばなしでもしましょうね。
つかりこ | 2014.07.26 15:18 | 編集
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