ゆらゆら草

もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。

真夏の夜に、冷えすぎない涼をどうぞ 2/3   


◆ザ・ギフト(The Gift)

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2015 アメリカ
上映時間:108分
監督:ジョエル・エドガートン
脚本:ジョエル・エドガートン
製作:ジェイソン・ブラム、レベッカ・イェルダム、ジョエル・エドガートン
撮影:エドゥアルド・グラウ
編集:ルーク・ドゥーラン
音楽:ダニー・ベンジー、ソーンダー・ジュリアーンズ
製作会社:Blumhouse Productions、Blue-Tongue Films
配給:STXエンターテインメント(米)、ロングライド/バップ(日)
出演:ジェイソン・ベイトマン、レベッカ・ホール、ジョエル・エドガートン、
   アリソン・トルマン、ティム・グリフィン、ビジー・フィリップス、
   アダム・ラザール=ホワイト、ボー・ナップ、ウェンデル・ピアース ほか
受賞:第48回シッチェス・カタルーニャ国際映画祭
   ・最優秀男優賞受賞(ジョエル・エドガートン)


ギフトって、どういう意味?

ジョエル・エドガートンの長編初監督、脚本、製作、出演!
ジョエル・エドガートンといえば、『スター・ウォーズ エピソード2』や
『スター・ウォーズ エピソード3』、『ウォーリアー』、『エクソダス:神と王』
などの役者だよね。
『ジェーン』の脚本もやってんだね。
へぇー、多才なんだねー。

この映画は、Wikiによると、サイコ・スリラーということに
なっているみたいだね。

「スリラー」というと、「ミステリー」と似た意味で、
映画・ドラマの世界では、「謎が謎を呼び、それが少しずつ解かれていく」系
の物語のことを言うんだそうだ。

でも、「ミステリー」は最後に事件解決的に謎が解明されるのに対し、
「スリラー」は最後まで謎が解明されないか、
最後に謎は解明しても、最後まで事件や問題が解決しない
もののことを
言うんだってさ。

で、「サイコ」は「心理」だから、「謎が解明されていく度、そぞーっとする映画」
というわけだ。がははー

でも、「ホラー」でも「オカルト」でもないから、
血や内臓が飛び出すような惨殺とか、突然驚かされる恐怖とか、
オバケの恐怖の映画ではないよ。
あくまで、ぞぞーっ。

ジョエル・エドガートン氏は、役者としてはフィジカル系がほとんどで、
コレ系の映画に出たことなかったと思うけど、
ご本人はこういうの好きなんだろうなー。

だってさ、すごく良くできたハナシなんだもんな。
やー、これはなかなかの名作だと思う。



ある幸せそうな夫婦がいて、夫の故郷に引っ越してくるんだな。
たしか、夫はIT系の事業に成功していて、新居もご立派。

ある日、二人で買い物かなんかに出かけた先で、
夫の高校時代の同級生にパッタリと出会う。
故郷なんだから、そういうこともあるわなー。

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後日、その同級生から高そうなワインが引っ越し祝いとして届けられる。
聞くところによると、アメリカあたりではディナーとかで招かれた時に
一緒に飲む酒を持って行ったりすることは稀にあるけど、
引っ越し祝いということで高価な贈り物を届けたりするようなことは
あまりなくて、あったとしたらそれはとっても粋なことか、
とっても奇異なことらしいんだな。

夫婦、特に奥さんのほうは、そのとっても粋なほうと受け止めて
すっかり気を良くして、彼を夕食に招く。
それからというもの、その旧友はちょくちょく高価な贈り物を
持って来るようになるんだな。
しかも、旦那のいない間に家までやってきて。

そう、だんだん不気味になってくる。
そう、この作品もこの “だんだん” というのが秀逸なんだなー。
サイコだよ、スリラーだよー。

で、奥さんは、旦那の高校時代からの親しい友人だし、
贈り物をくれるしということで好感を深めていくんだけど、
旦那のほうは妙に嫌っているところがミソなんだな。

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この映画が文脈の点で優れているのは、
何かをくれる人が不気味だというところにあると思う。
フツーこのテの映画は、破壊するとか、殺すとか
何かを “奪う” 人が不気味だからだ。
新しい!
もうそれだけで、「んー、いいね、いいね」って見入ってしまうわさ。

それから、ジョエル・エドガートンが演じる “贈り物男” に対する
自分の気持ちが、ハナシの途中からガラッと180度変わってしまう
のもおもしろかった。
ヒトって、状況によって思い込みがコロコロ変わるもんなんだねー。

そして、あのエンディング!

ギフトって、「贈り物」という意味の他に、
「神様からの授かりもの」という意味があるんだねー。
この映画を観た人には、それがどういう意味か、わっかるかなー?

★個人的クオリティ度 9.0点
★個人的好きだなあ度 8.5点






♪ Everyone's Gone To the Movies / Steely Dan





♪ Any World (That I'm Welcome To) / Steely Dan




真夏の夜に、冷えすぎない涼をどうぞ 1/3  


◆インビテーション(The Invitation)

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2015 アメリカ
上映時間:100分
監督:カリン・クサマ
脚本:フィル・ヘイ、マット・マンフレディ
製作:マーサ・グリフィン、マット・マンフレディ、フィル・ヘイ、ニック・スパイサー
撮影:ボビー・ショア
編集:プラミー・タッカー
衣装:アリーシャ・レイクラフト
音楽:セオドア・シャピロ
音楽監修:ランドール・ポスター
配給:アットエンタテインメント
出演:ローガン・マーシャル=グリーン、タミー・ブランチャード、ミキール・ハースマン、
   エマヤツィ・コーリナルディ、リンジー・バージ、マイク・ドイル、
   ジェイ・ラーソン、ジョン・キャロル・リンチ ほか
受賞:シッチェス・カタロニア国際映画祭
   ・グランプリ受賞
   ストラスブール・ヨーロピアン・ファンタスティック映画祭
   ・審査員賞受賞


インビテーションって、どういう意味?

巷では評価が低いみたいだけど、なんでよー?
こりゃ、おもしろいよ。

サイコ・ホラーというやつだな。
まあ、たしかに、家の中を中心としたワン・シチュエーションものだし、
ちょっとは血が出るけど、チェーンソーで人をズバズバ切るとか、
壁から突然手が出てくるとかないし、
恐ろしい顔をした幽霊が出てくるというわけでもないので、
刺激が少ないと言えばその通りなんだけど、
この “不穏な空気” の描き方には脱帽だなあ。



あるカップルがいて、ある日、その男のほうにディナーの招待状が届く。
2年前に別れた、元妻からだ。
実は元妻のほうも、新しい恋人と暮らしているようだ。

元夫婦は、ある辛いことがあって別れてしまったんだよ。
喧嘩別れをしたわけではないので、
お互い憎しみ合っているというようなことはなく、
元妻の身辺で、何かいい進展でもあったんだろうなということで、
元夫はいまの恋人を連れて出かけていく。

かつての我が家に着くと、そこには旧友夫婦たちも集まっていた。
全部で10人くらい集まったのかな。
別れる前にずどーんとふさぎこんでいた元妻も、すっかり明るくなっていて、
みんなは思わぬ再会を喜び、和やかなパーティが始まろうとしていた。

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でも、元夫だけはなんとなく違和感を感じ始める。
住み慣れたはずの家の感じや、旧友たち以外に招かれている人のようすが
かすかだけど変な感じなのだ。
それが、時間が経つにつれ、少しずつ確信めいてくる・・・。

そう、この “不穏な空気” こそ、この映画の優れたとこなんだよ。

でも、「なんだー、ホラー映画によくあるワン・シチュエーションものの展開じゃん、
想像通りで安っちいなあ」って僕も観ていたんだけど・・・
ところがだ・・・
ラストで、ああーーーーっ、ぞぞーーーーっ!!

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失礼だけど小品です。
A級とB級の間くらいのカルトムービーって感じ。
でも、テレビドラマの『世にも奇妙な物語』でも観るつもりで観てませ―。
そしたら、辞書で「invitation」のもう一つの意味
確かめたくなること請け合い!

★個人的クオリティ度 6.0点
★個人的好きだなあ度 9.0点






♪ 絶体絶命 / シシド・カフカ




取り返しのつかない日々を取り返しに ~『永い言い訳』  


ツレアイさんに、恋してますか?

出会ったばかりの頃みたいに、
明日、手をつなごうとか、抱きしめたいとか、チューしたいとか、
そんなことを考えてドキドキしたり、残念がったりしてる?

いつも一緒にいたいとか、ずっと話していたいとか、
ちょっとした仕草や言葉にキュンキュンしたりしてる?

・・・なわけないよねぇ。
そりゃそうだよね。
だって、それって、“恋愛感情” だもんね。
結婚にいたって、ふたりの子供を授かるまでの
“夢の期間”
だもんね。

“謎解きの期間”“修業期間”“自分で自分の気持ちに魔法をかける期間”
とにかく、夢中。
恋は盲目って言うよね。

・・・なんて言うと、「そんなことねーよ、いまでも、
今度、遊園地に行こうとか、映画観に行こうとか、
おいしいものを食べに行こうとか、ウキウキやってるぜー」
って言うむきもあるかも知れないけど、
それは、「あの人と一緒なら、どこに行ったって楽しい」
って思ってたあの頃のウキウキとはちょっと違うような気がするなあ。

いやいや、結婚してからは、
ツレを好きだという気持ちが失せてしまって地獄だよ、
なんて言いたいんじゃないよ。
結婚してからだって、相手を好きだという感情はあるし、
いつも、愛おしくだって思っている。

でも、それは、“恋愛感情” というのとは違う気がするなあ。
「そこからは、恋ではなく愛なのだ」ってよく聞くセリフだけど、
個人的には、かなりいい線言っていると思うけど、
それも微妙にあいまいな言い方な気がする。

かのサン=テグジュペリは『人間の土地』で、
愛するということは、
お互いに顔を見つめ合うことではなくて、
一緒に同じ方向を見ること

・・・って言ったけど、それそれ!

おつきあい期間は、「見つめ合い」で、
結婚してからは、「同じ方向を見る」だよね。

だから、夫婦の愛情って、恋愛時代の「ぽわーんとした愛」とか、
友達との「友愛」みたいなのとは違って、もっと
サイド・バイ・サイドというかギブ・アンド・テイクな絆ではあるけど、
でも、一緒に仕事をする仲間との「同志愛」というのとも違うし、
一緒に暮らす男女の間だけに生まれる感情なんじゃないかな。

「一緒に生活を高め合う男女」ならでは持てる「思いやり」
みたいなものなんじゃないのかなー。



で、この映画の夫婦は、その「一緒に生活を高め合う男女」ならではの
「思いやり」がまったくないんだな。

だって、お互い結婚した頃から、それぞれ自分がやりたい仕事に打ち込んで、
それぞれの目標を追求してきたんだから。
そう、結婚してもバラバラの方向を向いて来たということ。

だもんだから、子供もいない。
そりゃもう、ひととき罹る熱病であるところの恋愛感情が薄れれば
何のために一緒に暮らしているのかわからなくなるよな。

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黒木華ちゃんの軽い濡れ場も観られるぞー。

そんなんだから、憎しみ合っているわけではないんだけど、
しぜん、諍いばかりが目立つようになる。
共同作業をしているわけではないので、
相手の辛苦を「思いやる」必要も薄いからだな。

ある時、おっきめの諍いが起こる。
共同作業をしているわけでもなく、子供もいないんだから、
いまだに恋愛感情だけが絆のはずの二人には、破局の危機だ。

ポスターのコピーにあるように、
そのまま出かけてしまった妻は、そのまま帰らぬ人となってしまう。

残された夫は、それでもちっとも悲しくなかったんだけど、
コトの流れで、一緒に亡くなった妻の友達の遺された家族の面倒をみるうちに
「家庭の幸せ」というものをやっと知ることができるんだな。
でも、もう遅い。
取り返しがつかないのだ。

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この映画は、仕事や目標の追求・成功と、家庭の幸福を
同時に得ることはムリという文脈で描かれている気がする。
そして、どうしたらうまくいくのかは描かれていない。

そういえば、答えを出さずに終わる映画を作るのが好き
西川美和監督の作品だわー。
しかも、原作の小説も脚本も。

でも今回は少し、師匠の是枝(裕和)節が入っているかな。
リアルな日常・明篇の是枝に対する、リアルな日常・暗篇の西川
って感じかな。

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二度観したっけ、脚本の妙に気づいたぜ。
物語冒頭で、妻役の深津絵里が夫を置いて出かけて行く時に吐く
セリフが切ないんだわー。



たまたまツレと口ゲンカをして、
ツレと罵りあったりすることって時々あるよなあ。

それが、“生活幸福化委員” どうしの意見交換ゆえの摩擦
というのならいいけど、そうじゃない場合は
この映画を思い出すことにしよっと。

だって、どちらもいつか死んでしまうんだから、
その時に「取り返しのつかないことを、たくさんしてしまった」
なんて思いたくないもんな。
「ああ、一緒に暮らせて幸せだったなあ」って思いたいもんな。

あ、いけね、独身の人には関係ないハナシだったかなあ。





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●永い言い訳(ながいいいわけ)
2016 日本
上映時間:124分
監督:西川美和
原作:西川美和
脚本:西川美和
製作:川城和実、中江康人、太田哲夫、長澤修一、松井清人、岩村卓
プロデューサー:西川朝子、代情明彦
撮影:山崎裕
編集:宮島竜治
編集:宮島竜治
衣装:小林身和子
ヘアメイク:酒井夢月
サウンドエフェクト:北田雅也
挿入歌:手嶌葵「オンブラ・マイ・フ」
キャスティング:田端利江
助監督:久万真路、菊池清嗣
製作会社:「永い言い訳」製作委員会(バンダイビジュアル、AOI Pro.、
     テレビ東京、アスミック・エース、文藝春秋、テレビ大阪)
配給:アスミック・エース
出演:本木雅弘、深津絵里、竹原ピストル、堀内敬子、藤田健心、白鳥玉季、
   池松壮亮、黒木華、山田真歩、松岡依都美、岩井秀人、康すおん、
   戸次重幸、淵上泰史、ジジ・ぶぅ、小林勝也、木村多江(声のみ) ほか
受賞:第90回キネマ旬報ベスト・テン(2017年)
   ・助演男優賞/竹原ピストル
   ・日本映画ベスト・テン 第5位
   第71回毎日映画コンクール(2017年)
   ・男優主演賞/本木雅弘
   ・監督賞/西川美和







♪ そばにいて / ケツメイシ





♪ 夕暮れの鳥 / 神聖かまってちゃん





♪ 高気圧ガール / 山下達郎




コンフェデで得たこと ~ FIFA Confederations Cup 2017  


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コンフェデ、観た?
今回は、日本代表が出られなかったので、
全然盛り上がっていなかったけど、
個人的には、けっこう興味深く観させてもらったなあ。

FIFA Confederations Cup とは、
アジア、南米、北中米、オセアニア、ヨーロッパ、アフリカ各大陸の
直近の国対抗のカップ大会で優勝した国に、
FIFAワールドカップの前回優勝国と、
次回開催国を加えて行なわれる
、夢のような大会なんだな。

まあ、過去に行なわれた各大陸単位のカップの優勝者を招集して、
ドリームマッチというか、お祭りやろうぜ的なイメージだし、
次回開催国(ロシア)の運営の予行演習的な意味合いも強いらしいんだけど、
それでも、各大陸の王者が大集合するんだからね。

で、さすがの「プレ・ワールドカップ」
個人的には、知りたいことが知れて、収穫の大きかった大会だったなー。





<オーストラリアは強い!>

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まず、気になっていたのは、8月にアジア最終予選で
本大会への出場が決まるか否かの大一番となる相手のオーストラリア。

これは、想像以上に強いなあ。
まあ、アジアやオセアニア以外の地域のチャンピオンチームと戦えば、
そりゃ、戦績も振るわないに決まってるけど、けっこう強かったぞー。

特長と言えば・・・
● 図体がでかくて、ボデイコンタクトで相手を抑える能力が高い
● 背が高くてヘディングの競り合いが強い
● 個人の足技がうまくて、一対一にも強い
● 走るスピードも早い


少しばかりの弱点と言えば・・・
● ケーヒル以外、攻撃面での創造性や意外性、器用さなどが低く、
 決定力に欠ける
● 守備も組織的で固いが、まだ熟成してない3バックできた場合は、
 サイドをえぐりやすいかも知れない。


でも、無得点試合は一つもなく、スピードと意外性の高いチリや
カメルーンからも1点ずつ取っているし、いずれとも引き分け。
教科書通りのドイツには、負けたけど2点とってるし、
優勝国のドイツ以外には負けていないんだよ。

そう、技のチームでも、組織プレイのチームでも
ドンと来い、という強さなんだな。
うん、技も、スピードも、フィジカルもあるチームということだ。

要注意点は、チリと1対1で引き分けたゲームで見られるなあ。

チリ代表の選手は、南米のチームの中でも小柄なほうで、
ヘディングの競り合いや、体のぶつかり合いでは明らかに不利なんだけど、
ものすごく身体能力が高くて、技術とスピード、
そして熟成された組織プレイで、ブラジルやアルゼンチンに勝って
このコンフェデに出てきたんだな。

前回のワールドカップで、“トランジション・サッカー” をひっさげて
スペインをジャイアント・キリングしたチリを覚えているかなあ?
今回のチームも、その時のままのすごさがあったんだなー。

でも、オーストラリアも考えたね。
前からの積極的なプレス!
そして、激しい体当たり!

プレスをかけてもチョロチョロするチビは、どついたれ、
ってことだよね。

キタナイ作戦だけど、これが功を奏して、
チリの細かいパスワークとランニングワークはガタガタ。
全然思うようにプレイできなかったんだね。

日本も、オーストラリアと戦うのに、
いまんとこ、巧妙なパスワークとスペースサッカーしかないでしょ?
走力だって、競り合いだって上回っているわけじゃないんだから。

ならば、オーストラリアはパスワークとスペース取りを防ぐために、
“前線からガンガン体当たりしてプレス” してくるに決まってるよね。
日本は、それにうまく対処して勝つための方策を考えているのかな?

● 敵の前からの激しい体当たりプレスをどうかわす?
● 敵の弱点の両サイドをどうやってえぐる?
● えぐってから、ヘディングでもドリブルでもなくどうやってゴールする?






<やっぱりか! トランジション・サッカー と 3-4-2-1>

見どころはやっぱり、決勝戦だった!
チリ対ドイツ。

これは、前回の「2014 FIFA ワールドカップ BRASIL」の
超新興国と超優勝国の対決なんだよ!

それは、次のW杯を担う若手(ドイツ)と、
南米でブラジルやアルゼンチンをやっつけてきた熟練のベテラン(チリ)
との戦い
という観方もできておもしろい。

しかも、フタを開けてみれば、いずれも前回W杯の話題をさらった
チリ、コスタリカ、メキシコなどの「トランジション・サッカー」と、
オランダがスペインのパスサッカーを封じるために引っ提げてきた
「3-4-2-1」をベースとするマルチフォーメーション・サッカー
の戦いだったのだ!

さすが、コンフェデがW杯予告編と呼ばれるだけのことがあるね。
本番を待たずして、最先端の戦術同士の雌雄決戦を観られるなんて!



◆ トランジション・サッカーって?

003サンチェス.png


transition とは、「変わり目」とか「場面転換」っていう意味なんだな。
その変わり目とは、守備と攻撃の変わり目ということさ。

簡単に言うと、守備をしててボールを奪ったら、
即座に攻撃に転じてゴールに迫る、またはその逆、ということ。

なんだ、それってカウンターのことじゃないか、ということになるけど、
いわゆるカウンターとはちょっと違う

カウンターは、しっかり自陣に引いて、
がっちり守備陣形をとって守りながら、
ボールを奪ったらすばやく前方に運んで、
敵のディフェンスを置き去りにするというやり方だよね。

トランジションは、その「しっかり自陣に引いて、
がっちり守備陣形をとって守りながら」というところが
違うところなんだな。

「しっかり自陣に引いて、がっちり守備陣形をとって」しまってから
攻撃に転じるとなると、当然、敵のゴールに遠いしので、
カウンターするにもゴールまで迫るのに時間がかかるよね。
つまり、敵が守備の体制を整えるのにも時間の余裕がある
ということなんだな。

トランジションは、雑な言い方をすれば、
「しっかり自陣に引かず、攻撃時の陣形に近いままがっちり守って、
ボールを奪ったらすばやく攻撃時の陣形にして攻め上がる」

というやり方。
(もちろん、しっかり引いて守ってからのやり方もある)

たとえば、4-3-3だったら、
守備に転じたらフォーワードの2人が下がって
4-5-1で前線からプレスして守って、
ボールを奪ったら中盤の2人が即座にフォーワードに上がって
4-3-3に戻して、その瞬間の状況に応じた得点パターンに持ち込む。

4-4-2だったら、守備に転じたら中盤の2人が逆に上がって
4-2-3-1で前線からプレスして守って、
ボールを奪ったらそのままその瞬間の状況に応じた
4-4-2の得点パターンに持ち込む、といったやり方。

前からプレスするやり方は大昔からあるので、
奪ってからの攻撃の方法に重きを置いた考え方なんだな。

(実際は、好守陣形ともに4バックのままということはほとんどないけど、
ハナシをわかりやすくしました)

なんだ、それは昔からある「リアクション・サッカー」じゃないか、
という人がいるかもしれないけど、これもちょっと違う
んだな。

リアクション・サッカーは、敵の攻めに応じて「柔軟に対応」して、
攻撃に転じれば相手の裏のスペースを取る、といった意味合いで
使われることが多くて、どちらかというと守備の対応に重きが
置かれていた
んだよ。

でも、トランジションの真髄は、上記のように・・・

● 基本陣形をちょっと変化させるだけで、
 瞬時に、守備陣形にも攻撃陣形にも変化させることができる
● ボールを奪った瞬間の状況に応じて、効果的に展開できる
 複数の得点パターンが確立されている


・・・というところが違うんだな。
言ってみれば、リアクションとカウンターを足して、
もっと進化させた戦術
、と言っていいんじゃないだろうか。

コンフェデ決勝戦のチリは、
4-3-3の基本陣形で、4-5-1といったカタチで守って
ボールを奪ったら、状況に応じて・・・

① センターかサイドを衝くカウンター
② ロングパスで中盤を省略してサイド攻撃
③ 縦パスを多用した遅攻でセンター突破


・・・という攻撃オプションで戦っていたように見えた。

トランジション・サッカーについては、
↓僕は、前回W杯で分析していたので、よかったら。

◎ ダークホースの条件 ~ 2014 FIFA W杯
http://yurayuragusa.blog.fc2.com/blog-entry-126.html



◆ 3-4-2-1 から始まるマルチフォーメーション

004ドラクスラー.png


前回のW杯を観て、僕は「ちょっとした歴史的瞬間を観たかも」
って書いたんだよ。

それは、オランダがスペインを破った時のフォーメーション
↓3-4-1-2
のこと。

◎ スペイン・パスサッカーの攻略法を目撃 ~ 2014 FIFA W杯
http://yurayuragusa.blog.fc2.com/blog-entry-122.html

これは、「向こう4年、サッカー界の戦術トレンドになる」
とも予言
したんだよ。(おほほ、自慢、じまん、ジマン)


・・・で、それ見ろ!
前回優勝国のドイツが研究して持って来たぁーーーーー!
チリとの決勝戦は、「3-4-2-1」だった
んだよ!
(-1-2が-2-1になっていたけど、考え方は同じ)

このフォーメーションは、昔からある「3-4-3」じゃんかよ、
という人がいるかもしれないけど、実は全然違う
んだよ。

005ダブルエム.jpg

昔の「3-4-3」はWMと言って、攻撃の5人と守備の5人の
役割がはっきり分かれている
スタイルだね。

いまの「3-4-3」も基本的には同じ考え方で、
真ん中の4人を守備の2人と攻撃の2人に固定せずに、
“攻撃も守備もやる4人” という考え方。

でも、注目の「3-4-2-1」は、「4」の考え方が新しくて、
4のうちの2人が下がれば5バック、中盤では6~7人、
サイドバックのように前に上がっても6~7人で分厚く攻められる

という布陣なんだよ。

なんだよ、それなら「4-2-3-1」の4バックのサイドバックと
同じやり方じゃんかよ、と言えるかもしれないけど、
守備時には5バック、攻撃時には最大7人かけられて、
「4-2-3-1」より常に数的優位を作れる
やり方なんだなー。

しかも、4バックシステムではサイドバックが両方とも上がるのは
不可能に近いんだけど、この「3-4-2-1」なら
「4」のうちの2人ともが上がってしまっても3バックが残るので、
攻撃力アップもリスク回避もできるというしかけ。

じゃ、ドイツの「3-4-2-1」と、チリの「4-3-3」を
比較してみると・・・

基本形の「3-4-2-1」
006基本形

守備時の「3-4-2-1」
007守備時

攻撃時の「3-4-2-1」
008攻撃時

・・・ってなことなんだなー。
これは、考え方としては、「4」うちの2人が上下にスライドすることで、
守備の時は「5-4-1」、中盤での攻守は「3-4-3」、
攻撃に加担すれば「3-2-5」と陣形を “転換” していく
ということであり、
なんだ、これだってトランジション・サッカーじゃないか
ということになるわなー。

ただ、トランジション・サッカーのほうが、
“転換” のスピード、特に攻撃時にカウンターを仕掛ける意識が
強い
んじゃないかな。

「3-4-2-1」は、“転換” が組織的というか段階的で、
必ずしもすぐに攻撃、というわけではない気がする。
でも、システマティックな分ミスの少ない、
しっかりした戦い方のできる戦型
じゃないかな。



で、そのどっちも最先端の戦術どうしのぶつかりあいが
この決勝戦で観られたというわけ。

で、どうだったかというと、なんとこれが五分五分!

チリのディフェンダーのちょっとした不注意で、
大底でドイツのフォワードにボールを逸して、
1点取られたのが結局、決勝点になってしまったんだけどさ。

009_01得点.png

010_02得点.png

011_03得点.png




チリの前からの激しいプレスとボール奪取。
そして、攻撃へのトランジッション。

南米のとてつもない瞬発力とテクニックをもって
縦バスとドリブル、サイド攻撃でチリは突破を狙うけど、
でかくて早くて強い体と、分厚い中盤の守備から5バックへ変化する
組織的な守備で守るドイツ。

必然、チリは遅攻を余儀なくされて、ショートパスを回して
ボールを持たされて、チャンスをうかがうばかり。

チリはボールを奪われれば、またすぐにトランジッションして
高い位置からの激しいプレッシング。

ドイツがたまに中盤をカウンターで突破しても、
チリが殺人的なタックルと当たりでそれを制す・・・。
そんなことの繰り返し。

クリエイティブ VS システマティック。
ベテラン VS 新人。
技 VS 力。
悪ガキ VS 優等生。


まったく違うものどうしの対決なのに、まったくの五分五分。

ボールポゼッションは、チリ60%対ドイツ40%だったし、
終始チリの攻撃が目立ったけど、これは互角だなー。

でも、ドイツはラームとか、ボアテングとか、エジル、ミュラー、
ポドルスキー、クロース、ゲッツェ、クローゼなんかのすごい選手が
一人も来ていなかったからね。

ドイツは、わざと二軍だけでコンフェデを戦ったのか?
それとも、フォーメーションを新しい「3-4-2-1」に変えて、
がっつり戦術も人も若返りをはかったのか?

もし、今回のチームに、一軍選手が混じったらどうなるのか?
やっぱりW杯本番は、トランジション VS 「3-4-2-1」の
決着が見ものになるということだねー。

まあ、他にも新しい戦術が出てくるかもしれないけど・・・。





<日本は、どうやれば勝てるのか?>

それは、僕にもわからないけど、
でも、前回大会のコスカリカや、今回のチリ、メキシコの
戦い方は参考になるよね。

流れている血の熱さも骨格も違うけど、体の大きさは近いから、
でっかい相手と戦うためのヒントになると思うよ。

● 前から激しくプレスをかける
● 90分間切れない闘争心
● テクニックと体力
● “トランジッション” と、「3-4-1-2」から始まる
マルチフォーメーション、または、それに準じたシステムを
融合させた戦術をチームとして確立させる




◎ SAMURAI BLUE のために ~ 2014 FIFA W杯
http://yurayuragusa.blog.fc2.com/blog-entry-131.html

◎ ふりだしに戻った日本サッカー ~ 2014 FIFA W杯
http://yurayuragusa.blog.fc2.com/blog-entry-125.html



がんばれ、ニッポン!!







♪ Aoi / サカナクション




みんなが願いを失くしませんように 2017  






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004おねえちゃんの成績.png
妹(弟?)に言われんなよー



005空前絶後.png
よーし、まあまあだぞー



006幸せな時間.png
これは願い事じゃなく、決意だな



007お金をげっと.png
これも決意 共感(笑)



008字が.png
すでにけっこううまいと思うけどなあ



009嵐.png
どの嵐? これはママの願いでは?



010笑.png
願いか? 照れてるのか?



011デザイナー.png
睡魔に勝てない人には、おすすめできません



012わからん.png
〇△×#?☺∬☆彡







013家族みんなが.png







014ビョウヤナギ.png







015カツラ.png







♪ No Surprises / Radiohead




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