ドン引きし過ぎて、笑っちゃったよ ~ 『ムービー43』



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なんじゃー、この映画は!?
ひどい、下品すぎる!!

ジョークやギャグが全部、下ネタとウン・ゲロ系じゃねーか。
予告編を何度か観てたけど、ここまでゲスだとは思わなかった。
おまけに、児童虐待やフリーク虐待なんかの超ブラックなくだりも。

ストーリーなんかない!
物語する気なんかまったくゼロだぜ。

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大昔に、『ケンタッキー・フライド・ムービー』(1977)というのを観たことがあるんだけど、
けっこうエロでグロでおバカな内容だった。
いまから思えば、「モンティ・パイソン」みたいな映画。

(ちなみに、『ケンタッキー・フライド・ムービー』は、ジョン・ランディス監督の初期の頃の作品。
『ブルースブラザース』、『狼男アメリカン』、『大逆転』、『スパイ・ライク・アス』、
『サボテン・ブラザーズ』、マイケル・ジャクソンのMV『スリラー』などなどを撮った超大物監督だよね)

でもね、この映画はあんな生やさしいもんじゃないよ。
だってね、ほとんど笑えないんだからさ。
笑わせるというより、“しかめっ面にさせる” とか “驚かせる” っちゅう感じ。

つまりこの映画は、『ケンタッキー・・・』みたいに、ただおっかしいんじゃなくて・・・
●えーっ!?あの正義派俳優が、あんなエロなカッコしてる!
とか
●あの淑女系女優の顔に、あんなものをくっくけた!
●あの知的美人女優が、あんなドスケベなセリフを吐いている!
●あのかわいこちゃんが、漏らした!
●あの正義のヒーローが、めっちゃゲス野郎に!
・・・って感じの、変態的なギャップで驚かせるところが特徴なんだな。
ホント、エログロとは縁の遠い人気俳優がドバドバ出てくるんだよ。

特に、ヒュー・ジャックマンとケイト・ウィンスレットの一篇はすごい!
僕はもう、ウルヴァリンを笑いなくして観られなくなってしまった。
タイタニックの純愛も、海の底にふかーく沈没してしまったぜ。

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さらに笑わせてくれるのは、着想から完成まで10年もかかっているんだそうだ。
脚本の時点で、しばらくどこも買ってくれなかったんだろうね。

さらにさらにすごいのは、
この映画は16本のショートストーリーのオムニバスでできているんだけど、全部監督が違うこと。
脚本も14~15人かかわっているし、出演も人気俳優がワサワサでしょ。

つまり、何が言いたいかっていうと、
誰がリーダーシップをとったかわかんないけど、交渉能力というかプロデュース能力というか
大物俳優を含めて、よくこれだけの大人数の首をタテに振らせたなー、ということ。
観たらわかると思うけど、フツーだったら、作るのも出るのも、即答でノーでしょ。

そういう意味でいえば、スタッフにもキャストにも、心から敬意を表わしたくなるよ。



まあ、家族で観るなんてことは、やめたほうがいいですわ。
フツーの友達や彼女なんかとも観るのは、やめたほうがいいだろうなー。
エロビデオのほうが、まだ気まずくないかもしれないな。

でも、この映画を一緒に観られるような友達がいるといいなあ、とも思う。
(変態仲間、という意味ではなくて・笑)

ところで、ムービー43の43って、どういう意味?





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●ムービー43(Movie 43)
2013年 アメリカ
上映時間:97分
監督:ピーター・ファレリー、グリフィン・ダン、ブレット・ラトナー、スティーヴン・ブリル、
   エリザベス・バンクス、ジェームズ・ガン、ウィル・グラハム、スティーヴ・カー、
   グリフィン・ダン、ジェームズ・ダフィ、ジョナサン・ヴァン・タルケン、エリザベス・バンクス、
   パトリック・フォーシュベリ、ブレット・ラトナー、ラスティ・カンデッフ
脚本:ロッキー・ルッソ、ジェレミー・ソセンコ、リック・ブリット、ウィル・グラハム、
   ジャック・クコダ、マシュー・ポーテノイ、ジョナサン・ヴァン・タルケン、ウィル・カーラフ、
   エリザベス・シャピロ、パトリック・フォーシュベリ、ウッレ・サッリ、ジェイコブ・フライシャー、
   グレッグ・プリティキン、ジェームズ・ガン
製作:チャールズ・B・ウェスラー、ピーター・ファレリー、ライアン・カヴァノー、ジョン・ペノッティ
撮影:フランク・G・デマルコ、スティーヴ・ゲイナー、マシュー・F・レオネッティ、ダリン・オカダ、
   ウィリアム・レクサー、マシアス・ラド、エリック・シェーバース、ニュートン・トーマス・サイジェル、
   ティム・サーステッド
音楽:クリストフ・ベック、デヴィッド・J・ホッジ、レオ・バイレンバーグ、タイラー・ベイツ、
   ウィリアム・グッドラム
編集:Debra Chiate、Patrick J. Don Vito、Suzy Elmiger、マーク・ヘルフリッチ、Craig Herring、
   Myron Kerstein、Jonathan van Tulleken、Joe Randall-Cutler、Sam Seig、Cara Silverman、
   Sandy Solowitz、Hakan Warn、ポール・ザッカー
製作会社:レラティビティ・メディア、Virgin Produced、GreeneStreet Films、
     Charles B. Wessler Entertainment
配給:レラティビティ・メディア(米)、アスミック・エース(日)
ナレーター:エリック・スチュアート、フィル・クロウリー
出演:エリザベス・バンクス、クリステン・ベル、ハル・ベリー、レスリー・ビブ、ケイト・ボスワース、
   ジェラルド・バトラー、キーラン・カルキン、ジョシュ・デュアメル、アンナ・ファリス、
   リチャード・ギア、テレンス・ハワード、ヒュー・ジャックマン、グレッグ・キニア、
   ジョニー・ノックスヴィル、ジャスティン・ロング、クリストファー・ミンツ=プラッセ、
   クロエ・グレース・モレッツ、クリス・プラット、リーヴ・シュライバー、
   ショーン・ウィリアム・スコット、エマ・ストーン、ジェイソン・サダイキス、ユマ・サーマン、
   ナオミ・ワッツ、ケイト・ウィンスレット ほか
受賞:第34回ゴールデンラズベリー賞(2013) 最低作品賞/最低監督賞/最低脚本賞


名作だよ!!とささやきたい ~ 『ミツバチのささやき』



この前、テレビを観ていたらCMに芦田愛菜ちゃんが出ていたよ。
すこーし、大人っぽくなっていたね。
いま、10歳だそうだ。

30秒の間に何人か子供が出てるんだけど、福くんも出てたなー。
こちらは、愛菜ちゃんほど大人っぽくなっていなかったかな。



映画を観る楽しみっていろいろあるけど、“子役” ってのも、あるよね。
子役がかわいいと、ホント和む。
子役がうまいと、物語の迫真力がグンと増す。
子役には、泣かされる・・・。

ちょっと思い出したところでは・・・

●『レオン』ナタリー・ポートマン
●『ハリー・ポッター』エマ・ワトソン
●『アイ・アム・サム』ダコタ・ファニング
●『バベル』エル・ファニング(ダコタ・ファニングの妹)
●『E. T. 』ドリュー・バリモア
●『リトル・ミス・サンシャイン』アビゲイル・ブレスリン(おなかポンポコリン)
●『タクシードライバー』ジョディ・フォスター
●『ペーパー・ムーン』テータム・オニール

●『スタンド・バイ・ミー』リヴァー・フェニックス(1993年に死去)
●『ホーム・アローン』マコーレー・カルキン
●『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』ジェイク・ロイド

・・・などなど、んー、ホントかわいかったねー。

んなこと言ってると、あぶないおじさんみたいだけど、
そういう意味じゃなくて、「小さきものは、皆うつくし」ということ。(汗)



子役のいろんな活躍で、映画のおもしろさって全然違うものになると思うんだけど、
子役が主役の映画ってのもあるよね。

まあ、いろいろあるけど、
僕の印象に強く残っているのが『地下鉄のザジ(Zazie dans le metro)』という映画。
フランスのルイ・マル監督。
ヌーヴェルヴァーグの先駆け的作品なんだね。

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この映画がおもしろいのは、10歳の少女ザジちゃんが主役には違いないんだけど、
ザジちゃんが何かの物語の主役なんじゃなくて、
ザジちゃんそのものが映画なんだよ。

ストライキで地下鉄がストップしているパリを舞台にしていて、
ちょびっと大人社会を皮肉っているふうだけど、
たぶん、言いたいことはそんなとこにあるんじゃなくて、
ザジちゃんの顔の表情やしぐさ、あどけなさや茶目っ気、わくわく冒険心
なんかがスクリーンいっぱいに展開するんだなー。
「ザジちゃん、今度は何やらかすのかなあ、んー?」ってな感じ。
ザジ役のカトリーヌ・ドモンジョちゃんのおかっぱ頭とすきっ歯がかわい過ぎ!

スラップスティック・コメディと位置づけられているみたいで、
ヌーヴェルヴァーグらしくも、ややシュールなトーンで表現されているけど、
やっぱりテーマは物語の中にあるんじゃなく、
空虚なパリの空気の中を冒険するザジちゃんのかわいさそのもの
なんじゃないかと思う。
そんな美術作品的な映画って、たまにあるんだなー。



それから、この『ミツバチのささやき(El espiritu de la colmena)』

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スペインのヴィクトル・エリセ監督の作品だね。
『エル・スール』や『マルメロの陽光』、
日本の東日本大震災をテーマにしたメッセージ映画『3.11 A Sense of Home Films』
などを撮った監督だよ。

主役は、当時5~6歳の女の子、アナ・トレントちゃん。
この作品も、女の子がめっちゃかわいい!!
あのジム・ジャームッシュ監督が、「アナが大人になったら、オレが結婚する」って
言ったというエピソードがあるほど。(笑)

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『地下鉄のザジ』は、おかっぱ&すきっ歯で街を駆け回るファニーな魅力なんだけど、こちらは正統派。
静的で妖精のような美しさとあどけなさなんだなー。
物語も、スペインの田舎の詩情あふれる風景を舞台に、
子供の感性とかわいらしさを描いた、絵本のような世界
が展開する。

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物語の舞台は、スペインのカスティーリャ地方の小さな村。
なんてきれいな景色!
ヨーロッパの田舎の詩情あふれる風景が、
ハリウッド映画では体験できない世界へ僕らを連れて行ってくれる。

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そこに住む家族は、6歳のアナとお父さん、お母さん、そして2つか3つほど年上のお姉ちゃん。
お父さんは、学者かな。
ミツバチを飼っているんだな。
書斎にこもったり、養蜂に忙しく、子供たちとあまり接触がない。

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お母さんは、少し心を病んでいるのかもしれない。
いつも悲しげで、家族に内緒で誰かに手紙を書いたり、
駅に誰かを迎えに行くふうな不審な行動を時々したりする。

お姉ちゃんは、いたずら盛りのお年頃。
身の回りの出来事の意味なんかも、すこーしわかるようになってきた。

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アナは、お姉ちゃんとは逆に内気なタイプ。
まったくの純真無垢で、「なんで?どうして?」って聞きながら、
少しずついろんなことを知っていく年頃の女の子なんだよ。

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ある日、村の集会所に巡回映画がやってきて、フランケンシュタインの映画を観てから
かわいいアナの “冒険” が始まるんだな。

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僕が最初にガツーンとやられてしまったのは、アナとお姉ちゃんのピロートークのシーンだ。
フランケンシュタインの映画を観てから、アナは興奮覚めやらぬ状態。
ベッドに入ってから、フランケンシュタインの映画について、アナがお姉ちゃんに質問する。

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妹「どうして、モンスターは女の子を殺してしまったの?」
妹「どうして、みんなはモンスターを殺したの?」
「モンスターは、精霊なのよ。だから、死んでないの。呼べばいつでも会えるのよ」

この会話は、“こそこそばなし“ なんだよ。
耳打ちで内緒ばなしをする時、声帯に声をひっかけないで、空気音で話すよね?
アレ、アレ。

それが、たどたどしくて、かわいくて、清しくて。
背筋をくすぐられるような快感が走ったなあ。
と同時に、映像作家でもないのに「あ、やられたー」とも思ったねー。
「んー、このテがあったかあ」って。
邦題の「ささやき」ってのは、この超かわいいシーンのことだったんだね。

明かりを消した部屋のベッドでのこそこそばなしだから、
映画としては映像も音声も最小限だ。
でも、インパクトは最大。
後のほうに書くけど、監督はこのシーンで、最もでかい声で言いたいことを言っていたんだね。

ビクトル・エリセ監督は、
最もはっきり映して、最も声を大にして言いたいことを
最も薄暗く、最も小さな声で表現した
のだ!
んーーーーー、ビクトル・エリセって天才じゃないのか。



ある日、アナは野原のずっと向こうの小屋のような廃墟に行く。
野原の風景が美しい!
その中で、アナはケガをしたおじさんを見つける。

フランケンシュタインが村人に殺される映画を観て、かわいそうに思っていたので
アナはそのおじさんに着るものを与えたり、りんごをあげたり、介抱してあげるんだな。
このシーンは危険な感じが漂うけど、子供の純真さをかわいいアナの手から直接受け取るようで、
とても癒されるなあ。

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アナに助けられたおじさんだけど、アナが去った後に殺されてしまう。
大人たちのせいで、アナはもうそのおじさんと会えなくなってしまうんだな。



その後、夢か幻想か、アナは森の中でフランケンシュタインと出会う・・・。



ある夜、アナはお姉ちゃんに教えてもらったことを思い出して、精霊を呼ぶ。
「わたしよ、アナよ・・・」

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・・・ってな感じ。
ちょっぴりミステリアスな、絵本のようなハナシでしょ?

スペインの田舎の美しい田園風景と、少女のあどけなさを描いた上質なお伽ばなし。
日本で封切られた1985年当時、会社の同僚の女子にすすめられて観に行ったんだけど、
「ああ、こういう、感性だけをテーマにした映画もあるんだな」って満足してたっけ。

ストーリーやメッセージがなくても、とても素敵な詩のような映画・・・・・





・・・なんて、思っていたら大きな間違いだったんだなー!!
僕がその間違いに気づいたのは、なんとほんの数年前。
ネットでなんとなく検索して読んでみて、驚いたねー。
この映画は、蜂がお尻の針で人を刺すような “社会派” の映画だったんだよ。

この映画は、隅から隅まで比喩で固められた作品だったんだな。

スペインで封切られたのが1973年だけど、物語の設定は1940年とのこと。
スペインでは1936年から1939年まで、「スペイン内乱」というのがあったんだね。
これは、ファシズムを掲げたスペイン陸軍のクーデターで始まって、
当時の共和国政府を倒して、フランコ政権が立ちあがったという出来事。
フランコ政権は、実質、軍事力にモノを言わせた独裁政権だったんだね。

映画の設定の1940年は、独裁政権が成立した直後で、
アナが介抱してりんごをあげたおじさんは、反フランコ政権軍の敗残兵士だったんだよ。
だから、見つかって殺されたんだね。

お父さんが観察している蜂の巣は、自由のないがんじがらめの独裁国家、
そこに住む蜂たちは、意思を持たない国民を比喩しているんだそうだ。

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お母さんの怪しげな行動は、裏切りやスパイのイメージ。
お姉ちゃんは、スペイン内乱を知る世代。
アナは、スペイン内乱を知らないイノセントな世代の象徴だ。

つまり、国民は軍事独裁政権下で自由の許されない生活を強いられている状況において、
アナの行為が象徴するように、もともとは同じ国民、フランコ軍も元政府軍もなく
一つのりんごを分けあうような自由で平和な国を希求した映画だったんだね。

“フランケンシュタイン=精霊“ は、1931年に作られたアメリカ映画のキャラだ。
これは当時の、アメリカが象徴する自由と民主主義を “精霊“ ということにしたんだね。
精霊は “呼べばいつでも会える(革命を起こすなど、自分たちの意思で実現できる)” のだ。
そう、この映画は、軍事政権を早くやめて、自由で暴力のない国を作ろう
って訴えていたんだね。


この映画がリリースされた1973年は、独裁制はだいぶん緩くはなっていたとはいえ、
まだまだ政府批判など許されない状況だったそうだ。
だから、ビクトル・エリセ監督は、
最も光を当てて、最も声高に叫びたいこと(=呼べばいつでも会える精霊のハナシ)を、
最も少ない光を当てて、最も小さな声(こそこそ、ささやき)で発した
んだな。



原題は『El espiritu de la colmena』、英語だと『The Spirit of the Beehive』。
訳すと『ミツバチの巣箱の精霊』なんだね。
これなら、ちゃんと社会派然としてるね。

でもね、スペイン内乱なんて俺たちには関係ねぇーぜ、と言って、
ただ、あどけない女の子のくすぐったい “ささやき” を愛でる映画として観ても、
バツグンにすばらしい作品だと言い切れるな。

だから、僕はいつものように文字を大にしてささやきたい・・・

関係者のみなさん、DVDを再版してくれー!!



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●ミツバチのささやき(El espiritu de la colmena)
1973 スペイン (1985 日本)
上映時間:99分
監督:ヴィクトル・エリセ
原案:ヴィクトル・エリセ
脚本:ヴィクトル・エリセ、アンヘル・フェルナンデス=サントス
製作:エリアス・ケレヘタ
撮影:ルイス・クアドラド
音楽:ルイス・デ・パブロ
編集:パブロ・ゴンザレス・デル・アモ
配給:フランス映画社(日)
出演:アナ・トレント、イザベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン・ゴメス、
   テレサ・ジンペラ ほか
受賞:シカゴ国際映画祭 シルバー・ヒューゴ(1973年)
   サン・セバスティアン国際映画祭 コンチャ・デ・オロ (1973年)
   スペイン映画記者協会賞 最優秀作品賞/最優秀男優賞/最優秀監督賞 (1974年)
   Fotogramas de Plata, Madrid, Spain 最優秀スペイン映画俳優(1974年)
   ラテン・エンターテイメント批評家協会賞 映画部門: 最優秀女優賞/最優秀監督賞(1977年)



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<その後のアナ・トレント>

Ana Torrent:1966年7月12日、スペイン・マドリッド生まれ。
2014年8月現在48歳。


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小学校中学年くらいかな。


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中学生くらい?


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高校生くらい?


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20代だろうね。


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30代だと思う。


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30~40代かなあ。


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最近のはず。


『ミツバチのささやき』に初演後も、7~8本のワールドワイド作品に出演。
その間もいまも、コンスタントにスペイン映画に出ているらしい。
いまは、スペインの映画祭のポスターになったりするくらいの国民的女優だそうだ。

直近の出演は、『ブーリン家の姉妹』(2008年)というイギリス映画。
ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンが主役格の作品に、
脇役の一人として出てるみたいだねー。


名匠のエスプリがキラッ! ~ 『鑑定士と顔のない依頼人』


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これ系のタイトルって、『仕立て屋の恋』とか『デリカテッセン』みたいな
得も言われぬ感情や出来事をアーティスティックに描いた作品を連想させるよね?
あんまりお金はかかっていないんだけど、アヴァンギャルドというか実験的というか、
むずかしげな感じのフランス映画。

でもコレは、全然そういうんじゃなかった。
実にわかりやすくて、スカッとした作品だな。
だいたい、フランスじゃなくてイタリア映画だし。



設定は・・・
サザビーズみたいな美術品のオークションってあるよね?
「オークショニア」って言うらしいんだけど、
そういうオークションの「競り」の司会進行役をやってる熟年の紳士が主役。
その人が、タイトルの「鑑定士」なんだな。

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「鑑定士」だから、オークションの仕事の他に、どっかで発見された美術品の真贋を鑑定したり、
秘蔵の美術品の値付けをしたり、売買の仲介をやったりして稼いでいるんだね。

その鑑定士は、超目利きの仕事人としてその世界で成功しているんだけど、
“女性恐怖症” とでもいうのかな、熟年紳士でも女っ気がまったくないんだ。
彼女がいたことも、結婚したこともないようなようす。

鑑定士のイメージにたがわず、几帳面で、分析に冷徹で、気難しそうだ。
仕事がらみの男の友人も数人いるけど、女子だけでなく人づきあいもうまそうじゃない。
唯一、異性に対する愉しみといえば、自宅の隠し部屋の壁を埋め尽くした
女性の肖像画を一人で眺める
こと。

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そんな主人公は、ある日、古城のような屋敷に住む女性から、
屋敷中に置いてある絵画や美術品の鑑定を依頼される。
両親が亡くなり、ほとんどのものを売却したいので仲介を頼みたいとのこと。

ところがこの女性、いっこうに姿を現さないんだよ。
最初は電話で話していたんだけど、そのうち壁越しに鑑定士と話すようになるんだな。
劇中では “広場恐怖症” って言ってたけど、一種のパニック症候群なんだろうね、
こっちは、狭い部屋から出て来られない性質の人間だったんだね。
それが、タイトルの「顔のない依頼人」というわけ。

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鑑定士は、始めはそんな依頼人を相手にするのをめんどくさがっていたんだけど、
だんだんと、彼女に仕事とは別の感情を抱くようになっていくんだな。
そうして、広場恐怖症の女と女性恐怖症の熟年男の恋は、少しずつ深まっていく・・・

なかなかの恋愛モノだなあ。
それからどうなるんだ?と思っていたら・・・

あっ! あーーーっ。

んー、言えねぇ、言えねぇ、もう言えねぇ。
できれば、前知識最小限でお楽しみを。
静かだけどきっちり観させられる、実におもしろい映画だよ!



監督は、『ニュー・シネマ・パラダイス』、『海の上のピアニスト』のジュゼッペ・トルナトーレ!
主演は、『パイレーツ・オブ・カリビアン』、『英国王のスピーチ』のジェフリー・ラッシュ。
『24』のジャックのリアルお父さんで、『M★A★S★H マッシュ』、『ハンガーゲーム』の
ドナルド・サザーランドも出てるよ。





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●『鑑定士と顔のない依頼人』(La migliore offerta)
2013年 イタリア
上映時間:124分
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
製作:Isabella Cocuzza、Arturo Paglia
音楽:エンニオ・モリコーネ
撮影:ファビオ・ザマリオン
編集:マッシモ・クアッリア
製作会社:Paco Cinematografica
配給:ワーナー・ブラザーズ(伊)、ギャガ(日)
出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルヴィア・フークス、
   ドナルド・サザーランド、フィリップ・ジャクソン、ダーモット・クロウリー、
   キルナ・スタメル、リヤ・ケベデ ほか


さよなら、天才 ~ 『グッドモーニング, ベトナム』


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グーーーーーーーーッモーニン、ビエトナーーン!!



あのロビン・ウィリアムスが亡くなってしまった!
これからも、しぶいジイさんの役で、
ますますすごい演技を見せてくれると思っていたのに、
ホントに残念です。

いくつものヒューマンドラマやコメディで、
僕らを何度も考えさせ、笑わせ、泣かせてくれたけど、
僕の哀悼の意は、大好きな『グッドモーニング, ベトナム』の紹介に込めさせてほしい。



この作品って、超傑作だよね?
でも、最近、このソフトを置いてないレンタル屋さんがあったりして、どういうことなんだろな。
ベトナム戦争の後にも、アメリカは何度も戦争をやっちゃっているので、
反戦モノを観てもおもしろくなくなってしまっているということなんだろうか?

アメリカはイラクへの軍増強を発表したばかりだし、
日本は集団的自衛権の拡大解釈を決めたばかりだし、
偽善的なおせっかいがどういうことを引き起こすかを知るために、
いまこそ、また観るべき作品なんじゃないだろうか。



1965年のサイゴン。
アメリカは “反共産主義の南ベトナムの支援“ という名目で、
ベトナムに軍隊を派遣して、ベトコンと戦っていたんだな。
そう、それがベトナム戦争。

駐留軍には、兵士向けにニュースや音楽や娯楽番組を流す、ラジオ放送局が設けられているんだね。
サイゴン市内でテロが起こるなど、ますます激しくなる戦況下、
軍はさらなる士気高揚のためにと、別の戦地から人気のDJを呼び寄せるんだな。
そのDJ役がロビン・ウィリアムスってわけ。

このDJが、めちゃめちゃおもしろい!
マシンガントークで、ギャグてんこ盛り。
モノマネ、擬音の声態模写、ブラックジョーク、そしてごきげんなロックンロール!
それまで、ポルカなんかを流して、粛々とニュースを読んでいた番組を
一発でぶっとばしてしまったんだよ。

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ロビン・ウィリアムスのこのDJの演技は、すごいぞー!
長まわしで、あれだけのセリフを、あんなスピードでやれるかい!?
彼が天才的なコメディアンで、超実力派の役者であることを目の当たりにすることになる。
だから、この映画が彼の経歴の真骨頂だと思うんだな、僕は。

「グーーーーーーーーッモーニン、ビエトナーーン!!」の叫び声で始まるそのDJは、
いつ死ぬかもしれない兵士たちの、数少ない笑顔のよりどころとして、
たちまち大人気になるんだね。

でもね、大人気の陰には大嫉妬あり。
放送局の上官たちには、それをよく思わない人たちもいるんだな。

そもそも、戦場でロックンロールなんかかけちゃいけないに違いないし、
上官や国のニクソン大統領をちゃかすようなジョークやモノマネは、
軍用の放送コードの一線を超えてしまっているということ。

ディスインフォメーションって言うんだっけ、
兵士の士気を落とすようなニュースはカットされるくらいだからね。
太平洋戦争中、日本でも新聞各社が、負けているのに勝っているふうな報道をしていたよね。

放送局の上官たちは、はちゃめちゃやるロビン・ウィリアムスを
だんだんとジャマ者扱いしだすんだな・・・。
そんなハナシの展開で、ベトナム戦争でも “情報操作” で “身内をだます” ことさえも
行われていたことを知ったんだった。

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『ゴッドファーザーPART II』にも出てた、ブルーノ・カービーは上官役



ベトナム戦争って、とてつもなく大きなテーマに違いない。
だから、ものすごくたくさんの映画作品が生まれてるけど、
そのせいか、変わった切り口の作品もいろいろあるんだね。

たとえば、『ディアハンター』、『ビッグウェンズデー』、『フォレストガンプ』・・・、
中でもこの『グッドモーニング, ベトナム』はピカイチの切り口と脚本だと思う。
『プラトーン』とか『ハンバーガーヒル』などなどみたいな戦闘シーンがまったくないのに、
ちゃんとベトナム戦争を語っている
んだよ。



ロビン・ウィリアムス演じるクロンナウアには、
サイゴンに来た時から気になっていた女の子がいたんだね。
白いアオザイを来たトリン。かわいい!

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この人は、ホントはタイ人。タイの国民的大女優、チンタラー・スカパット

ある日、サイゴンの街で彼女を見かけたクロンナウアは、
近くのベトナム人に金を渡して自転車をうばって彼女を追いかける。
僕には、そんな情熱だって、アメリカの強引な “押し掛け金満戦争“ を表現しているように見える。
だいたい、兵士の戦地での恋だって、ハタから見れば胡散臭いよね。
“戦地妻” とか、“強姦事件” とか、性的侵略の臭いがぷんぷんする。

彼女を追っかけて着いた所は、アメリカ軍がベトナムの子供たちに向けて開いている英語教室。
クロンナウアは親交の気持ちと彼女の関心を引きたいために、
その教室の講師を買って出て通い詰めるんだね。
このくだりだって、一見、良いことをしているように見えるけど、余計なお世話、
笑顔で “文化的侵略” をしているにほかならないんじゃないかと感じさせられる。

クロンナウアは、持ち前の話術で、だんだんと教室の子供たちの人気者になっていく。
彼女の兄の反対を横目に、彼女とも少し心を開きあうようになるんだけど、
後にとんでもないことになるんだな。(これは内緒、映画を観てください)
僕に言わせれば、このくだりもそのものすばり、ベトナム戦争の本質を表現しているんだな。



ある日、クロンナウアは、国防総省の検閲の入った、流してはいけないニュースを放送してしまう。
兵士やサイゴン住民の安全を思って、テロの危険を知らせるために真実を伝えたのだ。
当然、それが原因でクロンナウアはDJをはずされる。

もう辞めようとジープに乗って移動している途中、
ますます激戦化する戦地へ向かう歩兵団のトラックと出くわす。
クロンナウアは、これから死と対峙する兵士たちに、ライブでいつものマシンガントークをプレゼントする。
クロンナウアがはずされてから、つまらない放送を聴かされていた兵士たちが笑顔になる・・・。
BGMのルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」が、胸にしみるぜー。

What a wonderful movie ! What a wonderful acting!



酒とドラッグにハマって、一度は克服したものの再発。
自己嫌悪に陥ったままウツ病になって自殺。
ロビン・ウィリアムスにも、「この素晴らしき世界」はおとずれなかったんだな。











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●『グッドモーニング, ベトナム』(Good Morning, Vietnam)
1987年 アメリカ
上映時間:121分
監督:バリー・レヴィンソン
原作・脚本:ミッチ・マーコウィッツ
製作:マーク・ジョンソン、ラリー・ブレズナー
共同製作:ベン・モーゼズ
音楽:アレックス・ノース
撮影:ピーター・ソーヴァ
編集:ステュー・リンダー
配給:タッチストーン・ピクチャーズ(米)、ワーナー・ブラザーズ(日)
主題歌:ルイ・アームストロング「この素晴らしき世界」
出演:ロビン・ウィリアムズ、フォレスト・ウィテカー、ドゥング・タン・トラン
   チンタラー・スカパット、ブルーノ・カービー、ロバート・ウール、
   J.T.ウォルシュ、ノーブル・ウィリンガム ほか


謎が謎のまま終わる ~ 『小さいおうち』


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えーっ、この映画って、こんな内容だったんだ!?

全然、想像と違ったよ。
原作読んでないし、予告編を観るぐらいしか
前情報がない状態で観たんだけどびっくりしたな、もう。

だって、山田洋二監督でしょ?
それに、あのポスターのデザインでしょ?
「寅さん」と「東京家族」を足して2で割ったような、
ややコミカルなヒューマンドラマだと思ってたんだよ。

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途中まではそんな感じでハナシは進んでいって、
映画が終わる頃に、反戦を訴えていることはわかるんだよ。
それで、「ああ、山田監督らしい、ヒューマンドラマだな」、
さてさて、次は何がくるのかな?って思ってたら、突然エンドロール!

僕には、ホントにそう思えたんだよ。
「あれっ、終わり?」
「なんだよ、ちっともおもしろくねーなー」ってね。
そりゃ、山田監督だから、反戦を訴えているんだな、ってハナシの展開にはなっているけど、
それにしても、これで終わり?って、食い足りない。

それで、エンドロールの間に、「いくらなんでも、そんなはずないよなあ」って
よーく、内容を思い出してみると・・・むむむむむ、
この作品って、ミステリーなんじゃないか!?
殺人も刑事もお化けも出てこないけど、
うんっ、これはミステリーなんだ、サスペンスなんだ!って気づいたんだよ。

終わってから気づくなんて、アホだなー、って思うよね?
でもね、原作とかのストーリーを知らないで観た幸せな人は、
大なり小なりそんなパンチを受けることになると思うなあ。


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秘密を隠す女の表情、すごいねー

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ちょめちょめして帰って来て着替えてるシーン、えげつなー

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このシーンを “対決” と捉えるか、“和合” と捉えるか
松たか子の表情がすごい!黒木華が「銀熊賞」をとったけど、松たか子の演技もホントすごいよ!

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それでね、この映画の最大の特徴は謎がいっぱいだってこと。
さらには、その謎が解明されないってことだ。
謎、疑問が、解決されないままに終わってしまって、
後からよーくよーく考えても、答えが見つからない
んだよ!
おー、なんてこったい!山田洋次監督が、こんな映画を作るなんて!?

そういえば、西川美和監督の『ゆれる』や『ディア・ドクター』もこのテの作品だよね。
答えが見つかりにくい、または、見つからない、どんなに考えても一つに絞れない映画。
よって、話題が話題を呼ぶ。
DVDやブルーレイを買って何度も観てみたくなる。
地上波やWOWOWみたいな映画チャンネルでも観たくなる。
何年経っても観たくなる。
・・・ってな、しかけだよね。

いやいや、ずるいプロモーションの作戦だな、って言いたいんじゃないんだよ。
製作者の作品への「愛」とでも、言ったらいいのかな、
メッセージをより強く伝えたい、いつまでも作品を愛してほしい
という気持ちとでも言うのかな、
僕は好きだな、こういうやり方。

映画興行とコンテンツ販売が売上げをしのぎあう時代、
これから、こういう “答えの出ない作品” って、もっともっと流行るかもしれないね。



・・・でね、そう、謎がいっぱいで、答えが見つからないんだなー。
↓ネタばれありです。

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★タキは、なぜ、死ぬまで自分のしたことに罪を感じていたのか?

●タキは、板倉に恋していたのか?

●タキは、手紙を届けに行くと言って、どこに出かけたのか?何をしたのか?

●タキの部屋にあった絵は、いつ、誰から手に入れたのか?

●タキは、時子に恋心(同性愛)を抱いていたのか?

●タキは、純粋に時子に憧れていて、平井家での暮らしを愛していたのか?

●タキは戦後、板倉に会ったのだろうか?

●平井夫妻は、セックスレスだったのか?


原作は、けっこう映画の内容とは違うようで、答えも異なると思うので、
原作のハナシは、横に置いとくとして・・・
どなたか、「こう思う!」というのがあったら、気軽にコメしてくださいねー。





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●『小さいおうち』
2014年 日本
上映時間:136分
原作:中島京子
脚本:平松恵美子、山田洋次
監督:山田洋次
音楽:久石譲
撮影:近森眞史
美術:出川三男、須江大輔
照明:渡邊孝一
編集:石井巌
録音:岸田和美
プロデューサー:深澤宏、斎藤寛之
製作:松竹、住友商事、テレビ朝日、博報堂DYメディアパートナーズ、衛星劇場、
   日販、ぴあ、読売新聞社、TOKYO FM、博報堂、GyaO!、朝日放送、メ〜テレ、
   北海道テレビ、北陸朝日放送
配給:松竹
出演:松たか子、倍賞千恵子、黒木華、妻夫木聡、吉岡秀隆、片岡孝太郎、
   橋爪功、吉行和子、室井滋、中嶋朋子、ラサール石井、あき竹城、
   笹野高史、松金よね子、秋山聡、市川福太郎、米倉斉加年、螢雪次朗、
   林家正蔵、小林稔侍、夏川結衣、木村文乃 ほか


思い出の風景 ~ 『思い出のマーニー』


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いやー、すご~くいい映画だったよ。
何がいいって、とても個人的なことなんだけどねー。

物語の舞台が、北海道なんだよ。
道産子だからね、僕は。

まあ、北海道を舞台にしたハナシなんていくらでもあるので、
そんなこと言ってたらキリがない、ということになるんだけど、
この作品における僕の “ツボ” は、劇中に出てくる風景にあるんだなあ。



あれは、昔見た北海道の噴火湾(ふんかわん)の夜の海。
高校の夏休みの楽しみのひとつに、全校生徒が自由参加で行うキャンプがあるんだけど、
その時に観たんだなー。
「豊浦(とようら)」か「礼文華(れぶんげ)」という町の海岸だったと思う。
山や野原じゃなくて、広い浜辺の砂の上に点々とテントを張るんだよね。

ジンギスカンをやって食べたり、花火をやったり、肝試しをやったり・・・
各テント、自由に短い北海道の夏を楽しむんだよ。

高校2年の時だったかな、
ある日の夜、完全に陽が沈んでも海のほうがなんだか明るい。
キャンプ場の浜の方には、民家なんてなんにもないから、
フツーなら、ぼんやりとしたテントの明かりと空の星の輝き以外は真っ暗なはずなのに、
海のほうに街灯の明かりのようなものが灯っているんだよ。

振り向くと、そう、月明かりなんだね。
満月に近いと、かなり明るいんだよ。

しかも、その明かりが、凪いだ海の水面にキラキラ映ってる!
僕の実家のある町も田舎だし、海もあるけど、あんなにきれいに輝く海の月影は観たことがなかった。
ほぼモノクロームの世界。
真っ黒な凪いだ海の表面を、ダイヤモンドをカットするように細かくたくさん削って
月の光を反射させた、って感じ。

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ホンモノはこんな感じ

天候、時刻、月の位置、潮の満ち引き具合、そして自分の気持ちの状態・・・
きっと、すべてがうまくいって合致した時でないと観られない風景。
めったにない、運命のタイミングに出くわした、って気がしたねー。

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そんな風景が、この映画ではちょろちょろ出てくるんだなー。
物語の舞台設定は、釧路や根室だから全然場所は違うし、
アニメでは、実際に肉眼で観た衝撃とはまるで違うけど、
「ああ、この映画のスタッフの中に、あの風景を観たことがあって、
映画にしたいと思った人がいるんだろうな」って思うと、
すんごくうれしくなってしまった。

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それから、もうひとつ。
僕には、いつか文章か映像で表現してみたいな、と思っているコトがあるんだけど、
それが、この作品に描かれていたんだよ。なんと!

それは、前にもちょろっと書いたけど、“ろうそくだーせー” のこと。
劇中では、ほんのちょびっとしか出てこないし、物語の本筋と関係ないんだけど、
「おー、よくぞあれを盛り込んだねー」って感じ。

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“ろうそくだーせー” は、まったくの「和」のもので、
マーニーの洋館のイメージとは相容れないものがあるんだけど、
どうしても入れたい、というような意思が感じられて、
この作品に僕自身の気持ちが反映されているようで、
一発でハートをつかまれてしまったんだなー。

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そういえば、いみじくも今日は8月7日!(これを書いているいまはまだ、7日なんです)
北海道の七夕の日、つまり “ろうそくだーせー” の日なんだね。
子供たちのカンテラや提灯は、今日も北海道の街の暗い道を照らしたのかなあ?



さらっと観ると、「うん、いつものジブリ作品だね」って感じにみえるけど、
けっこう新しいことをやったんだね。

まずは・・・
●監督じゃない別の人が書いた、文学作品が原作であること

そのためにこの映画は、“アニメ作品” である前に、“物語” として秀逸なんだね。
日常にあるファンタジーが観る者の心に、ちゃんと入り込んでくるね。

それから・・・
●伝えたいことが明快であること

後期の宮崎作品のように、メッセージがわかりにくいということはなくて、
原作がテーマにしてる “少女の心の再生“ をきちんと描いていると思う。

主人公の杏奈は、どこにでもいそうな12歳の少女なんだね。
僕もそうだったけど、その頃って、ちょっとしたことにすぐに心が反応してしまう。
だから、ちょっとしたことで傷ついたり、不満に思ったり、
大したことでもないことを許せなかったり、いつも人間不信気味、
そしてそんな自分さえも嫌いになってしまう・・・そんな女の子。

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しかも、生い立ちが不幸だったもんだから、フツーのコ以上にスネっコなんだな。
いわゆる “ぼっち”“ひきこもり” 系。
原作は外国の昔のものでも、いまの日本にぴったりかもね。

クラスメイトなんかともうまくやれない彼女は、ぜんそくの療養のために
夏休みだけ、母の知り合いの住む北海道にやってきて、
マーニーという女の子と知りあって心を開いていく。

そしたら、自分がいままでうざったかった母や友達の言動が、
実は愛にあふれていたことに気づいていくんだね。
マーニーのおかげで、だんだんとスネっコじゃなくなっていく。
心が大人になるって、こういうことなんだろうね。
自分の心が未熟だった頃の、いまではもう取り返しのつかないできごとが
いろいろ思い出されて、泣けたなー。

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そして、驚きの結末!
最後のほうになって、ちょっとしたミステリー仕立てになっているんだね。
なるほど、よくできたハナシ。


そうそう・・・
●女の子どうしの友情(?)をテーマにしたこと

・・・も、過去のジブリにはなかったことだよね。
タイムワープ的なファンタジーも含めて、大林作品とテーマが似ているかもしれないな。
少女時代の「仲良し」とか「スキンシップ」とか、
現代の “ぼっち” のコたちには、夢のような友達とのふれあいに、素直に感動できる作品だと思う。

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●いろんな人の協働作品であること

いやいや、映画とかアニメってもともとたくさんの人の力で作るものだけど、
肝心なところのリーダーシップという意味でね。

これまでは、製作の部分については、
宮崎さんや高畑さんのワンマンぶりが目立っていたよね。
それが作品の良さも悪さも生み出していたと思うんだけど、
今回は、原作はもちろん、脚本、作画、美術なんかも大物ばかりを頼んだ
監督以外の人の力の比重が重い協働作品なんだよね。

それでも、表現もコンセプトもブレがなくてしっかりした作品にできあがっていると思う。
すご腕ばかり集めたからって、うまくいくとは限らないものだけど、
この作品では、うまいこといい和音が生まれたんじゃないかな?
同じ米林監督作品でも、「借りぐらしのアリエッティ」のようなポートレート的なものとは全然違って、
ずしんとくる物語になっているよね。

個人的な想い入れが7割だけど、とても良くできた作品だと思うな。
「ナウシカ」や「ラピュタ」や「千と千尋」のような壮大なるファンタジー系作品とは別の、
ジブリの “女の子の日常ファンタジー“ 系の中では、もっともおもしろい作品じゃないかな。



この前、ジブリの株主総会をテレビでやってたよね。
ジブリ、製作部門を解散するの!?
もっと新しいものを作るために、一度、バラすということ?
何か次の展望を持っているんだろうか?





Fine On The Outside / プリシラ・アーン







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●『思い出のマーニー』
2014年 日本
上映時間:103分
原作:ジョーン・G・ロビンソン「When Marnie Was There」
脚本:丹羽圭子・米林宏昌・安藤雅司
監督:米林宏昌
製作:鈴木敏夫
プロデューサー:西村義明
製作担当:奥田誠治、藤巻直哉
製作会社:スタジオジブリ
作画監督:安藤雅司
美術監督:種田陽平
音楽:村松崇継
配給:東宝
主題歌・挿入歌:プリシラ・アーン「Fine On The Outside」
声の出演:高月彩良、有村架純、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、吉行和子、黒木瞳、杉咲花、大泉洋 ほか


アンパンマンパン


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これが、そのアンパンマンパン!


どっか違うでしょ?


トトロより雑な感じだし、鼻がちっこいんじゃない?


まあ、材料の都合もあるかもしれないけどさ。





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これは、ベネッセの「こどもチャレンジ」の大人気キャラ、しまじろう、だよね。

これを買うのに、個人情報を問われるということはなかったなあ(苦)。





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ピカチュウに決まってるけど、これが一番ヘタクソかも。





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ぼくを食べてくださーい。





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あ、も、もう、食べないでくださーい!





あ、いけねー、値段を聞いてくるの忘れてしまった!
売り場のキャラクターパンの載っているバットのところには、
名前も値段もついていなかったんだよ。

サンドイッチ以外の他の調理パンは、130~170円(安い!)だったから、
キャラパンもそれくらいだと思う。
12個買って、1,700円(税込)くらいだったよ。
おまぬけなルポになっちゃって、ごめんちゃい。

店内には、やなせたかしさんのサイン色紙が飾ってありました。