オムライスと大林ワールドをめぐる冒険 ~ 『野のなななのか』

2014/05/20


僕の映画の師匠・映画カッパさん「映画的日記」で、
大好きな大林宣彦監督の新作が紹介されていたので、さっそく観に行ってみたよ。

『野のなななのか』っていう作品。

3.11以降、大林監督は自主製作&自主配給的な作り方をしているんだよな。
前回の『この空の花 長岡花火物語』は、オチオチしていたら、
しばらく劇場でもDVDでも観ることができないという状況が続いちゃって、とても困ってしまった。
だから、「今度は、劇場でやるのを発見したら、すぐに行かなくちゃ」って、心に決めていたんだよ。

ネットで調べたら、5月10日から北海道で封切られていて、
実質、5月17日から全国ロードショウって感じ。
僕の近場では、東京千代田区の「有楽町スバル座」か、練馬区の「T・ジョイ大泉」だなー。
同じ日に公開初日で、どっちも舞台あいさつがあるらしいので、
ウチ(所沢)から30分くらいで行ける「T・ジョイ大泉」にしたよ。

5月13日から前売発売開始で、15日にのんびりネット予約を除いたら・・・
あぶねーあぶねー、もうちょいで席がなくなりそうになってた!
しっかり座席指定をして、クレジットカード決済をして、準備オッケー!!



その映画カッパさんの記事を読んだ頃、
Omunaoさんの「オムライスのある風景」で、
東京練馬区の大泉にあるカフェの記事に遭遇。
うまそーなトマトソースのオムライスが紹介されているじゃんか。
「おー、なんという偶然!よし、なら、5月17日に映画を観に大泉に行った時に、この店でオムライスも食ったろ」
って決めたのだ。



オムライス食べて、スイッチ・オン

5月17日(土)は、びっくりするような晴れ!
西武池袋線の上り電車に乗って、いざ「大泉学園」駅へー!

大泉学園へはWEB制作の打ち合わせで何度も来たことがあるけど、
こちゃこちゃしてるはずの北口駅前は、その日はまるでリゾート地のような爽快さだったよ。
気温26~27℃で、めったにない快晴だったからね。

北口の商店街は「ゆめーてる商店街」って言うんだ、へぇー。
これは、Omunaoさんの記事にもあるけど、松本零士さんの「銀河鉄道999」のメーテルから
とってつけられたんだね。
・・・となると、えー、なんで「銀河鉄道999」よ?松本零士さんが住んでるの? ってことになるけど、
それはちょっと違って、製作会社の「東映動画」がこの街にあるからなんだね。

そう、「大泉学園」のキャッチフレーズは、“アニメと特撮の街” なんだね。
でも、僕に言わせればそれは少し違って、正確には東映の東京撮影所があるほか、東映テレビ・プロダクション、
特撮研究所、東映アニメーションなんかもある “東映の映画&テレビドラマ製作の街”
なんだよ。



駅からとぼとぼ歩いても、3~4分でOmunaoさん紹介のカフェ「静かの海」に到着!

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雑居ビルの1階だけど、かなりお洒落なたたずまいだね。
まだ11時台だけど、ちょうどお昼時。
さっそく、目的のオムライスセットをたのんだった。
自家製トマトソース、「丈夫卵」使用、カップスープ、ミニサラダ、飲物、プチデザートつきで980円だよ。

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ほれほれ、いい感じでしょ?

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ライスの山にふわふわ玉子がかぶせられていて、頂上にパセリがちょこん。
自家製トマトソースがたっぷり!

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中身はケチャップライスじゃなくて、鶏肉もちゃんと入っているチキンライスだな。
僕的にはもっとも大切なポイントなんだよ。
バターライスやケチャップライスでなくて、チキンライスじゃなくっちゃさ。

味は、いわゆるチキンライスのバターの味や胡椒の風味は極めて薄くて、ちょっと残念。

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でも、それはなんでトマトソースがこんなに敷いてあるかわかれば納得できるんだな。
そう、このオムライスはこの自家製トマトソースが命なんだね。
皮をむいたトマトかホールトマトをつぶして、イタリアンパセリやバジルなどは入れずに、
ブイヨンかコンソメであっさり味付けしたもの。
トマトの酸味と旨味を引き出した、すごくフレッシュな味わいなんだなー。
ふわふわの玉子の味以外に、余計な味がぶつかることがないから、とっても爽やかな味。
なんだか、ヘルシーな感じの大人向けのオムライスとみたねー。

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食べ終わって間もなく、プチデザートを差替えてもらってあった、
一品メニューの「ショコラムース」が登場!
ムースを覆ったチョコの生地がずっしりしてて、チョコをたくさん使っているのがわかる。
おいしい!

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コーヒーも、丁寧にドリッパーで入れたちゃんとしたものでした。



なるほどー、こういうオムライスもあるんだなあ、って目からうろこが落ちました。
中身のチキンライスがあっさりしてて、ソースもドミグラス系みたいな濃厚なものでもなく、
同じトマトソースでもニンニクやバジルや胡椒を使っていないあっさりソース、
だから実に爽やかな食後感
メタボなおっさんや、ヘルシー指向の女性に、人気があるんだろうなあ。
Omunaoさん、ご紹介ありがとうございました!



映画づくりの街

さてさて、オムライス・マジックですっかり気分は “夢見るモード” にスイッチが入ったし、
“映画製作の街” をポタリングすっかあー。

カフェ「静かの海」の前の広い通りを東に3分くらい歩くと、
石神井警察署の東大泉交番を発見。

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そこんところが「東映通り」で、左に曲がる。
それで2分も歩けば、右手に「東映アニメーション」の建物が見えてきた。
おー、こんなところにあるんだ!

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入場無料のギャラリーもあるんだねー。「ワンピース」も東映アニメだっけ。

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建物正面には、おなじみの「東映まんがまつり」の “長靴をはいた猫” のマークが。
おー、ホントにここなんだあ!って感動。

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東映アニメーションの向かいが、大泉撮影所
塀の外からだとわかりにくいけど、この辺り一帯に撮影用の施設が広がっているんだよ。
『新幹線大爆破』や『仮面ライダー』の一部もここで作られたんだ、
って思うとうれしくなってしまう。

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この時僕がいたのは、↑図面の左下の「西門」のあたり。
まったく気づかなかったけど、広大な設備だよね。

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↑この辺の昭和32年当時のようす。
写真の真ん中辺を左右に通っているのが「東映通り」だね。
さっきの図面の「東映アニメーション」や「リヴィンOZ大泉」のあたり(写真の半分から下のあたり)に、
屋外セットがたくさん組まれているのが見えるね。
当時は二町分くらいの広さで、東映のスタジオ群と屋外セット群が展開していたんだあ。
僕はもちろん生まれていない頃。

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敷地内は、工場とか米軍基地みたいな雰囲気。

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すぐそばに稲荷神社が。
どんだけの俳優や製作スタッフが、映画のヒットを願ってここで手を合わせたんだろう?



さあ、T・ジョイ大泉へ

撮影所西門の並びは、↓こういうショッピングモールになっている。
時節柄、土地を削って別の事業もやっているんだろうね。

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映画関係のグッズを売ってるんじゃなくて、いろんなお店が入ったモールだよ。
(映画関連グッズのほうがおもしろいと思うけど・・・)

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4階にいわゆるシネコンが入っていて、屋外ポスターも貼られているねー。
シネコンは東映系の「T・ジョイ大泉」という名前。
ココは東映の本拠地の一つなんだから、同じT・ジョイでもなんかおもしろいことないかな、
って4階に上がったら・・・

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・・・やっぱあった!
創業者や監督、東映ゆかりの映画スターの手形と写真の展示
特に、↓健さんと吉永小百合さんは特別扱いだねー。
お二人とも、東映の大ヒット作品を引っ張ってきた名優だからねー。

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ここんちは、これから封切られる作品の紹介もさかんだね。

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そういえば、前売券ってデザインが凝っていて楽しいねー!

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↑これはなんだろう?
マジンガーZやゲッターロボ、鋼鉄ジーグなどがもえもえ少女になった、って誰が観るの?



大林ワールドの集大成のひとつかも

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客席は満員!
報道陣や関係者も来ていて、立ち見も大勢いる。
さてさて、いよいよ作品鑑賞だぜ!

これから本気で観る方もいるので、できるだけネタバレを防いで書くね。
ストーリーはできるだけ省いて、僕の感想だけを書いて、
映画を観た人が後から読んで何を言っているのかやっとわかるような書き方にしたいと思う。

まずは、この作品はどんな作品なの?と聞かれたら、答えはひとつ、「アート作品」だろうな。
しかも、「文芸作品」とでもいうような。

そういう意味で、この映画のセリフは、すごい、のひと言だね。
台本のト書きを全部セリフにしてしまったのか!?
夢の遊眠社の演劇のセリフを彷彿とさせるオーバー・ワードが、最大の特徴だなー。
大ざっぱに言って、映画の最初から最後まで、休まずにずっと誰かがしゃべっている印象
脚本および撮影台本は、大林監督でしょ?
大林さんが文学好きなんだということがよくわかるなー。

そういう “文体” で物語は展開していくんだけど、
訴えたいことはそれほどわかりずらくはなくて・・・
●8月15日ではなくて、樺太では9月5日まで続いた “敗戦” のこと
●原発のこと
●朝鮮人の強制労働のこと
●炭鉱町の衰退のこと
●村興しと村残しのこと
●戦時中の恋のこと
●年上の女性との恋のこと
●老人と若い女性の恋のこと
●2次元アートのこと・・・などなど
こんなことなんだろうなと思う。

さらに、それらのことが、大林作品に脈々と流れる “輪廻転生” という
一本の背骨に肉付けされているから複雑な印象になっていると思う。

「人は誰かの代わりに生まれてきて、誰かの代わりに死んでいく」。
過去の人の想いがいまこれからの人にバトンタッチされる時が、なななのか(四十九日)なのだ。


大林さんは舞台あいさつで、ピカソの「ゲルニカ」の映画版、って言っていたなあ。
“反戦” という現実的なテーマをピカソならではのキュビズムで描いた作品。
この映画は、大林さんが抱えるたくさんの現実的なテーマを大林マジックで描いた一本なんだろうね。
“映画でやる、アートで表現するジャーナリズム” とも言っていたなー。
大林ワールドが、コラージュというかモザイクのように目に飛び込んでくる。

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この二人の関係って?

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鈴木光男はどんな絵を書いたのか?

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昭和20年の8月15日から9月5日の間に、何人の日本人が死んだのだろう?

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無性にコーヒーが飲みたくなる映画でもあるなー(笑)

この映画は、個人的には極めておもしろい、すばらしい作品だと思う。
姉妹作という『この空の花 - 長岡花火物語』を観てないので正しいかどうかわからないんだけど・・・
●これまでの大林作品では観たことのない作品
●大林さんの思想や言いたいことを全部詰め込んで、大林さんの持ってる映画的工夫を全部駆使した作品

僕には、そんなふうに観えた。

芦別側から映画製作のオファーあった時、予算が少ないのだとの相談に、
「僕への香典を死ぬ前に払うつもりでください」と大林監督は言ったそうだ。
「そのかわり、僕が死んでからもちゃんとこの世に残るものを作る」
とも。

自主製作&自主配給というささやかなスタートを切った映画だけど、
僕は、この作品はきっと海外で高く評価されるに違いないと思っているよ。



舞台あいさつ  ※写真を各方面から勝手に拝借しました。

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これは、有楽町スバル座で撮ったものかな。一番左の寺島咲と右から二番目の左時枝は、大泉には来てなかった。
大泉では、有楽町に続いての2度目の舞台あいさつだったから、スケジュールが合わなかったんだろうね。
このほかに、芦別市の人も来てたね。

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常盤貴子は、「この映画に出て、自分が変わった」って言ってたなー。

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名バイプレイヤー村田雄浩は、話がうまい。舞台あいさつでは主演だなー(汗)。

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品川徹。旭川出身。ひょっとするとこの映画の主役はこの人かも。
ホテルのベランダでセリフの練習をして、みんなにうるさがられたそうだ。

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大林作品に出るのが夢だったという安達祐実。
映像で観る彼女は、とてもきれいだよ。

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『悪の教典』、『今日、恋をはじめます』にも出てた山崎紘菜。
目下、学園モノで人気沸騰中。

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いつものやさしい語りの大林監督。
「わかりにくい映画。みんなでいろいろ語り合ってほしい」とのこと。



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[観に行く方(主にカッパさん)へのアドバイス]

※ジブリの高畑さんや山田太一監督などのコメントを掲載した厚めのバンフレットが販売されます。
 僕は上映後に買おうと思ったら、あっという間に売り切れました。
 もしほしいならば、会場に行ったらすぐ、上映前に買うことをおすすめします。

※舞台あいさつは当然写真を撮っちゃだめだろうな、って自粛したんだけど、
 大林さんは「(この映画を)ツイッターやブログでどんどん広めてください」って言っていたので、
 キャストの写真や作品のスチルなど、“応援” というスタンスのもと常識の範囲内でなら
 自由に使わせてもらってもいいのでは?と感じています。
 というか、何か応援してあげられることはないか、って思っています。




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●『野のなななのか』
2014年 日本
上映時間: 171分
配給:PSC、TMエンタテインメント
監督:大林宣彦
エグゼクティブプロデューサー:大林恭子
プロデューサー:山崎輝道
原作:長谷川孝治
脚本:大林宣彦、内藤忠司
撮影:三本木久城
美術:竹内公一
録音:内田誠
整音:山本逸美
編集:大林宣彦、三本木久城
音楽:山下康介
音効:佐々木英世
主題曲:パスカルズ
主題歌コーディネーター:大林千茱萸
助監督:松本動
衣装:岩崎文男
ヘアメイク:和栗千江子
装飾:相田敏春
小道具:中村聡宏
出演:品川徹、常盤貴子、村田雄浩、松重豊、柴山智加、山崎紘菜、窪塚俊介、寺島咲、
   内田周作、細山田隆人、小笠原真理子、イ・ヨンスク、大久保運、小磯勝弥、斉藤とも子、
   原田夏希、猪股南、相澤一成、根岸季衣、パスカルズ、安達祐実、左時枝、伊藤孝雄 ほか


comment (24) @ 映画>なかなか難しいぞ

ゆきずりの乳首の感触

2014/05/15


「想天流転」藍音ななをさんが・・・

> 最近私が食べたもので変なものといえば、
> 知人から「ほい、 乳首だよーん」と、口に放り込まれた
> 「コロロ」という葡萄味のグミキャンディーです。
> 指でぐにぐにしたら本当にそんな感じで
> その場にいた人みんなで腰が抜けるほど笑いました。
>
> コンビニなどで見かけたときは是非お試しください。
> 指でつまんで思わず「あぁ」食べて思わず「あぁあ」という感 じです。

・・・と言うので、もうむずむずが止まらない。
乳首の感触と言われて避けて通っちゃ、男がすたるわさ、
ということで、即日アクション・スタート!

ところが、ウチの周辺のセブンイレブン2軒、ファミマ1、ミニストップ1、スーパー(ヤオコー)1で
入念に探したんだけど、ないぜー。
その日はあきらめて、後日、ちょいと離れたスーパーに行ったら・・・あたっ!発見!!
生協は乳首に寛容らしい。



さてさて・・・

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これがパッケージですわー。
キンキラキンですねー。
金色のバックに、広い紫の面なので、一度覚えるとすぐに発見できるようにデザインされてますね。

「コロロ」という商品名も大きくて、目に入りやすい。
グミ売り場を見ると、なるほど戦国時代状況なので、
「あのグミおいしいよねー、えーと、どこのメーカーだっけ?」ってことになんないように
名前を覚えさせようという作戦だね。

「果汁100%」というのは、子供にお菓子を与えるお母さんにとっては、かなり響くポイントでは?



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おー、これだあ。
想像より直径が大きい、大きめの乳首なんだろうか。

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おー、なるほどー、やわらかい!
ツマミ始めの初動が極めてソフト
こりゃ乳首だなー!(・・・って、その感触、ちゃんと知ってんのかい)

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いててーーっ

グニーッとするに連れて、弾力が増していく、けっこうな “コシ” があるのでは?
これは、“若い乳首” だなー!(・・・って、知ってんのかい)





あ゛ーーーーっ!

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つぶしてしまったあ!!





口にほうり込んで、コロコロしてみれば・・・
なるほど、乳首だわー!(・・・だから、ちゃんと知ってんのかい)



ごきげんよぅ、さようなら  ♪美和明弘調に


comment (12) @ 気になるもの>食べ物

キミがマフィアになる街 ~ 『ゴモラ』

2014/05/12


仕事でおつきあいのある広告代理店の女子が、イタリア旅行をしてきたとのこと。

彼女は英語もペラペラで、仕事でグァム、サイパン、エジプト、トルコ、アメリカ、メキシコなどに
何度も行ったり住んだりしてたことがある、旅慣れた女子なんだよ。
でも、イタリアは初めてだったそうだ。

そんな彼女が、イタリア旅行で驚いたことが2つあったんだってさ。

一つは、ヴェネツィアはサイコーだったとのこと。
フィレンツェもミラノもローマも行ったけど、ヴェネツィアが一番だったって。
映画やテレビの旅番組などでその “水の都” のようすはおなじみだけど、
実際に行って観ると、想像をはるかに超えて美しくてロマンチックなんだ、って言ってたなー。

もう一つは、ナポリのこと。
バスでローマから半島を南下してナポリに着いたけど、市内観光はナシ。
バスの窓から見える風景だけが、観光だったんだそうだ。
ちょっとお土産を買いたいとか、ちょっとトイレに行きたいとかもだめ。
決められた場所に着くまで、一歩たりともバスを降りちゃだめだ、と言われたそうなんだよ。

まあ、どこの国でもスリとかひったくりが頻発するエリアもあるし、
ガイドって引率の責任があるから、多少オーバーに警戒するもんだし、しようがないか、
って思ったんだけど、どうも通常とはレベルが違うらしいんだな。
「バスの窓から手やバッグを出すな」っていうくらいだから。
サファリパークかよ。



この映画は、そんなナポリを舞台にした映画だよ。
ナポリを根城とする、イタリアのでっかい犯罪組織「カモッラ」の実情を描いた作品とでもいうのかな。
シチリアのコーサ・ノストラ、ンドランゲタ、サクラ・コローナ・ウニータと並ぶ
イタリア4大マフィアの一つだそうだ。

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現在、約130団体(約6300人)が所属。
売春をあっせんしたり、シチリア・マフィアと組んで、麻薬取引を行ったり、
衣料や食品などのヤミ製造、違法なゴミ回収処理業など、“シノギ” はマフィアのお決まりのパターンだ。

原作があって、ロベルト・サヴィアーノという作家が書いた、『死都ゴモラ』というドキュメンタリーノベル。
サヴィアーノ氏は、この本を発表した2006年からマフィアに殺害を予告されていて、
2008年からイタリアを出て海外移住しているとかいないとか。



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映画の冒頭からいきなり、巨大な “団地” が出てくる。
どれくらいの大きさだろう、1フロア30世帯 × 15階建てくらいかな。
古くなっちゃって、すっごいオンボロな、ほとんど廃墟に近い雰囲気だ。
いかにも、ゴミと犯罪が転がっていそうな感じ。

「ちょっと待てよ、これってまさか、インドネシアの映画『ザ・レイド』に出てくるような
マフィアの棲家じゃないだろうな」、って思ったら、やっぱりそうだった。
『ザ・レイド』がこの映画の真似をしたのかもしれないな。
全部の世帯がマフィアの構成員じゃないだろうけど、ほとんどがそうなんだろうなって印象。
だって、そこに住んでる1人のおっさんが、団地に住んでいるみんなからシノギを集金したり、
ギャラ(?)を配って歩いたりしてるんだから。

この設定は、極めて象徴的だなー、と思う。
ナポリの犯罪組織「カモッラ」は・・・
●貧しい人たちのほとんどが関わっている
●フツーの人々が住んでいるところにフツーに住んでいる
・・・のであって、
“団地” という物理的なビジュアルが、
銃による殺人や麻薬売買なんかの凶悪な犯罪が、毎日の生活の中でカンタンに起こっているんだ
ということをひと目でわからせてくれる
んだな。



この映画の特徴は、ストーリー的にはちっともおもしろくないということだろうな。
そう言うとちょっと語弊があるかもしれないけど、それは、わざとらしい演出がそぎ落とされた
ドキュメンタリータッチだということだよ。
フツーの人たちが、フツーに犯罪を犯す日常。
団地のおばさんが殺される銃の音だって、本物の音は「パンッ」って軽いんだよ。



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「ゴモラ」とは、旧約聖書の “創世記” に書かれた、
背徳にまみれたために神に滅ぼされたという古代の都市の名前。
この映画の場合は、ウルトラ怪獣ではないのだ。

映画は、実際にあった出来事をもとにした、5つのハナシが並行して進むんだよ。
(↓ネタバレしてます)



■トトのハナシ
トトは、「ENGLAND 7」のサッカーシャツ(ベッカム?)を着た少年。小学生かな。
学校にも行かず、親がやってる雑貨屋の配達を手伝っているけど、カモッラのギャング組織に入りたい。
組織の仕事の方が儲かるからだ。
トトは、後に殺人の片棒を担ぐことになる。

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■ドン・チーロのハナシ
ドン・チーロは、団地の組織のメンバーの家を訪ねて、集配金をする仕事をしている。
敵対組織に寝返るため、仲間を殺させる。

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■フランコとロベルトのハナシ
フランコは、産業廃棄物処理会社の経営者。
青年ロベルトは、大学を出たが就職に困っていて、人づてにフランコの会社に入社。
高給に満足していたけど、自分の会社が有害物質を不法投棄するブラック企業であることを知り
会社を辞める。

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■パスクワーレのハナシ
パスクワーレは、腕のいいオートクチュールの仕立て職人。
名立たるブランドの服を手がけ、スカーレット・ヨハンソンに納品するような会社だけど、
マフィアが絡んでいるんだろうね、搾取されていて貧乏から抜け出せない。
中国人の縫製業者に引き抜かれるけど、ある日、彼を乗せた中国人の車が襲われ、彼以外が殺される。

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■マルコとチーロのハナシ
マルコとチーロは映画『スカーフェイス』の主人公に憧れる少年。
やんちゃ盛りの二人は、組織が隠していた大量の武器を見つけてノリで強盗をして豪遊する。
組織はこの事態を重く見て、二人をカンタンに処刑する。

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僕は、この映画の紹介で、イタリア旅行をしてもナポリには行かないほうがいい、
って言いたいんじゃないんだよ。(本場のマルゲリータは絶対食べたいし)
まだまだ考えずらいけど、日本もそのうちこんなふうになるんじゃないか、
ならないようにしたいもんだなと言いたいんだよ。

犯罪行為やそれをみんなで繰り返すコミュニティは、世界中どこでも貧しいところから生まれるんだね。
マフィアやヤクザって、社会的・経済的に虐げられる側の人たちの非合法的な互助組織なんだよね。

えー、イタリアのどこが貧しいんだよ?って思うだろうけど、
イタリアって、南北で貧富の差が激しいらしいんだよね。
問題はそこだと思う。
国全体が貧しいのなら、また別の問題があるんだろうけど、
貧富の差が激しい場合は「貧」のほうの憤りがその分激しくなるんだろうね。
(国全体が貧しくて、国そのものがギャングと化しているところもあるけど)

日本は、バブルの崩壊とリーマンショックと2つの震災を経て、
しかも、エネルギーと食料を持たざる国としてグローバル経済の中を生きつつあるよね。
おまけに少子高齢化で、労働力も減退しているから、個人の収入そのものはもちろん、
社会保障の面でも格差をつけざるを得ない状況にきているんだと思う。
アベノミクスの内容には格差社会を増長させるような制度変更が見られるよね。

貧富の差の「貧」のボリュームが大きくなれば、
間違いなく犯罪コミュニティは増えたり大きくなったりするはず。



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この映画は、ナポリの犯罪組織のことを淡々と語った、不快な作品だと思う。
マフィアの抗争ならまだロマンもあるけど、女子や子供まで巻き込んでいるから嫌になる。
でもこれは、日本はじめ先進国、新興国を含めた世界中の自由主義経済の末期を捉えた、
いま目をそらしちゃいけない作品なんだろうなとも思う。

そうこの映画は、マフィア映画じゃない。
犯罪化社会映画なんだよ。



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●『ゴモラ』(Gomorra)
2008 イタリア 2013年 日本
上映時間: 135分
監督:マッテオ・ガローネ
脚本:マルリツィオ・ブラウッチ、ウーゴ・キーティ、ジャンニ・ディ・グレゴリオ、
   マッテオ・ガローネ、マッシモ・ガウディオソ、ロベルト・サヴィアーノ
原作:ロベルト・サヴィアーノ『死都ゴモラ』
製作:ドメニコ・プロカッチ
製作会社:
配給: 紀伊國屋書店/マーメイドフィルム
出演:トニ・セルヴィッロ、ジャンフェリーチェ・インパラート、マリア・ナツィオナーレ、
   サルヴァトーレ・カンタルーポ、ジージョ・モッラ、サルヴァトーレ・アブルツェーゼ、
   マルコ・マコール、チーロ・ペトローネ、カルミネ・パテルノステル、シモーネ・サケッティーノ
   ほか
撮影:マルコ・オノラート
美術:パオロ・ボンフィーニ
衣装:アレッサンドラ・カルディーニ
編集:マルコ・スポレンティーニ
受賞:第61回カンヌ国際映画祭 審査員特別グランプリ受賞
   第21回ヨーロッパ映画賞 最優秀作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞


comment (16) @ 映画>コレコレ、いいよ!

消えた100円

2014/05/03


たまには、肩の力を抜いてクイズでもいかが?



GWに、学生が3人で旅行に出かけました。


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観光を終えて夕方、旅館に宿泊しました。

翌日のお昼、チェックアウトして宿泊代を払うことになりました。

料金は素泊まりで、1人1泊1,000円(税込)です。
3人は、1人1,000円 × 3人で、全部で3,000円で支払いました。

そこで、女将さんは思い立ちました。
「学生さんだから割引してあげましょ。また来ていただけたらありがたいし」
女将さんは仲居さんを呼んで、500円を持たせ、返して来るように言いました。

仲居さんは500円を持って、学生たちの後を追いました。
その時、仲居さんはこう考えたのです。
「500円じゃ3人で割り切れないから、200円ネコババして300円だけ返せばいいや」
そうして、仲居さんは3人に100円ずつお金を返しました。



ここで、ちょっと学生たちが払ったお金を検算してみましょう。

最初に3人で合計3,000円払って、最後に300円返してもらったんだから、
結局みんなで払ったお金は、2,700円ですよね?

仲居さんが途中で200円ネコババしたから、
それを2,700円に足すと、あれあれっ?・・・2,900円にしかなりません。

100円はどこへ行っちゃったのでしょう?


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comment (15) @ クイズ