埼玉B級グルメNO.1、川島の「すったて」~『泉の里』



どっかに車で出かける時だったかなあ、とくに意味もなく免許証を見てみたんだよ。
「平成25年の誕生日まで有効」って書いてあるよなー。

あれっ?ちょっと待てよ。
平成25年っていつよ?・・・!!
えっ、今年じゃんか!!
しかも、誕生日過ぎてる!!
あれー?免許更新の案内ハガキ、届いてないよなあ。
・・・というわけで、あわてて免許の更新に行くことにしたよ。

ちなみに、免許センターに確認したら、案内ハガキが届かないことは、
しょっちゅうあることだそうだ。

この辺に住んでる人間の自動車運転免許の更新は、
埼玉県の鴻巣(こうのす)市まで行くことになる。
けっこう遠いんだよ。
でも、地図を眺めているウチに、川越市を越えて、
“川島(かわじま)町“ を通り過ぎて行くことになることに、気づいた!

おーっ、そうだ!
・・・なら、川島の『すったて』を食べるいいチャンスだ!
免許センターが終わったら、ちょうど昼飯近い時間だ!
と思ったら、「朝早くからあんな遠くまで行って、講習を受けるなんてめんどくせーなー」
という気持ちも、ピョーンと飛んでった。
某日朝6時、元気よく家を出たのだったよ。



『すったて』とは、そう、“擂(す)りたて” のことだよ。
何が擂りたてなのかというと、そう、「ゴマ」。
なんでい、ありがちじゃん、と思うだろうけど、まあそうだね。
でも、ごまだけでなく、「味噌」も擂るんだなー。
そして、キュウリの輪切りや、シソの千切り、ミョウガなんかも入れる。
そして、水を入れて冷たい汁を作るんだなー。

なんだよ、それって「冷や汁」じゃん、と思うだろうけど、そう、その通り。
でもね、こっちのほうの「冷や汁(ひやしる)」は、有名な宮崎県の冷や汁とはちょっと違って、
いりこや焼き魚のほぐし身などの動物性の材料はまったく入らないんだな。
きっちり、ベジタリアンな食べ物だ。

「冷や汁」は、どうも、宮崎と山形、それと埼玉のが有名みたいだけど、
群馬県、栃木県、新潟の栃尾市・中越地方・十日町市・三条市・見附市などは、
動物性食材が入らない “埼玉型”。
九州の熊本県の阿蘇周辺や、鹿児島県、大分県津久見市などのは、
焼き魚のほぐし身を使った “宮崎型” みたいだね。

埼玉全県に広がる「冷や汁(ひやしる)」は、
どうも鎌倉時代くらいから農村で食べられている “夏の食べ物“ らしいね。
その昔、お百姓さんが暑くて食欲のわかない時期に、
冷たくて食べやすくて、味噌やゴマから栄養をしっかり摂ろうということで
生まれた(伝わった?)料理だそうだ。

川島町在住の知人に聞けば、「すったて(=冷や汁)」は、
どこの家庭でもお母さんがパパッと作っちゃう料理だそうで、
いわば、川島の夏のソウルフードなんだね。

前にも書いたけど、おまけに埼玉西南部や東京多摩地区は、「武蔵野うどん」もソウルフードで、
それと「すったて(つったてともいう)」が自然と結びついて、
冷や汁にうどんを入れて(つけて)食べる、というのが当たり前になっているんだなー。

この「すったて+うどん」は、2010年に行われた「第6回 埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」で、
見事、優勝
したシロモノ。
農水省が主催する「農山漁村の郷土料理百選」でも、埼玉代表になっているんだよ。
ちなみに、その一部を紹介すると・・・

●埼玉県/冷や汁うどん、いが饅頭
●東京都/深川丼、くさや
●北海道/ジンギスカン、石狩鍋、ちゃんちゃん焼き
●福島県/こづゆ、にしんの山椒漬け
●神奈川県/へらへら団子、かんこ焼き
●新潟県/のっぺい汁、笹寿司
●長野県/信州そば、おやき
●岐阜県/栗きんとん、朴葉みそ
●愛知県/ひつまぶし、味噌煮込みうどん
●三重県/伊勢うどん、てこね寿司
●京都府/京漬物、賀茂なすの田楽
●大阪府/箱寿司、白みそ雑煮
●兵庫県/ぼたん鍋、いかなごのくぎ煮
●島根県/出雲そば、しじみ汁
●徳島県/そば米雑炊、ぼうぜの姿寿司
●福岡県/水炊き、がめ煮

などなど

徳島の「そば米雑炊」というのが意外だよね。



鴻巣での免許更新を終えて、信号の少ない田舎道を南下。
川島町のあたりは、荒川やその支流系の川を利用した田んぼが目立つね。
昔から、大河ドラマ「竜馬伝」にも出てくる川越藩の米を作っていたんだから当然か。

聞けば、「竜馬伝」のロケにも使われた川っぺりがあるらしいよ。
時代劇のロケに使われるというのは、カメラを回しても電線も家屋もビルも
近代的なものが何も映らない、だだっぴろい自然があるということだよね。
つまり、ド田舎ってこと。(川島の皆さんすんません。川島在住の知人が3人います)



車の冷房が効きずらいくらいの晴れの中、
着いたのは『泉の里』という手打ち蕎麦・うどんの店だよ。
着いてびっくり!
これはもう、店という感じじゃないな。
料亭、って感じかな。
でかい!

000_01泉の里_外観

000_02泉の里_店内


通常、使っているテーブル席が20卓くらいあるから、70~80人くらいは入るかな。
それの他に、広い宴会用の座敷みたいのがあるから、満杯で100人くらいは入れるなー。
その日はお盆の土曜日だったけど、それが、ほぼ満席だったんだよ。
一人で行ったから、2~3席開いてたスキマにすぐ座れたけど、
こりゃー大人気だね。


「すったて」は、うどんで食べるのがあたりまえなんだけど、
この店はもともと手打ち蕎麦の店だし、「すったて+蕎麦」のメニューもあるし、
僕も蕎麦が好きなので(うどんも好き)、「すったて+蕎麦」でたのんでみた。
ちなみに、「すったて」は、5~9月の夏季限定メニュー。

まず出てきたのは、蕎麦の麺以外のセット一式。
すったての具になるものは、手前の長皿のシソ、ミョウガ、キュウリ、
そして白いのがタマネギのみじん切り
だな。

001泉の里_すったてセット

すりこぎの突っ込んであるすり鉢は、かつ丼のどんぶりよりひと回り小さいくらい。
もちろん、炒りたての白ゴマ(金?)がどっさり入っている。
その他、味噌と、どこで使うのかわからないけど、きざみネギとわさびも別皿にあるね。
後で気づいたけど、このわさびは本物!
わさび芋を砂糖と一緒にすりおろした新鮮なものだったよ。

さてさて、いくぜー!

002泉の里_すったてごますり
① まずは炒りたてのゴマをすりこぎですり潰す。半分くらいにしとくか、徹底的に潰すかはお好みしだい。

003泉の里_すったて味噌

004泉の里_すったて味噌練り
② 次に、味噌を入れゴマと一緒に擂る。味噌の香ばしさも引き出すんだね。

005泉の里_すったてたまねぎ
③ それに、タマネギのみじん切りも入れて、すり潰す。ココんちの味のポイントはこのタマネギなんだねー。

006泉の里_すったてきゅうり

007泉の里_すったてきゅうりつぶし
④ さらにキュウリの輪切りも入れて、これも潰す。これは、かるくたたくようにほどほどに

008泉の里_すったて汁半分
⑤ ここで、蕎麦つゆを半分だけ投入してよく溶かす。
  これは、フツーは水を入れるんだけど、ココのは蕎麦つゆを3倍くらいに薄めたものだろうなー。
  味噌がしょっぱいから、つゆが濃いとしょっぱ過ぎるよね。ここは味見をしながら要注意だね。

011泉の里_汁出来
⑥ ⑤の味噌とゴマが汁に溶けたら、残りの蕎麦つゆを入れる。
  そこへ、残ってる具(シソ、ミョウガ)を入れれば、すったてのできあがり!

009泉の里_蕎麦

ゴマを擂ってる間に、蕎麦がきていたんだねー。
上に載っているのは、大根と人参のツマだな。
これをよけて蕎麦を見てみると・・・おーっ、微粉系のいい蕎麦だ。

010泉の里_蕎麦アップ

品種は北海道音威子府村の三好農場産の玄蕎麦だそうだ。
それを一九で打っているとのこと。
麺だけをつまんで食べてみたけど、んー、いいねー。
細めで、カドもつやも香りもしっかりした蕎麦だ。
すったてに浸けて食べるのがもったいないくらいだな。

012泉の里_箸上げ

おおっ、うまいぜー!!

013泉の里_箸上げ2

ゴマと味噌と蕎麦つゆの旨味だから、だいたい想像通りの味だけど、
このキュウリの味と香りは、うれしい誤算だったなー。
キュウリって、ゴマ&味噌の汁にバッチリ合うねー!これは、ウマイ!!
そこに、大葉とミョウガの香りも添えられるから、めっちゃ爽快!

味噌の植物性タンパクと食物繊維でしょ、
それからゴマの血圧低下作用やセサミンやゴマリグナンなどの抗酸化物質、
シソは殺菌効果と痩身効果、ロズマリン酸というやつのアレルギー防止効果など、
文字通り “薬味” パワーいっぱい!
それから、蕎麦のルチンを始めとするポリフェノール類で、血管病や糖尿病の予防でしょ。
なんか、いいもの食ったなあ、って気分になったなー。

分量がはっきりしなくて申し訳ないんだけど、
ご自宅で作ってみてはいかがでしょう?
カンタン!うまい!ヘルシー!の三拍子だよ。

014泉の里_ごちそうさん

ごっつぉさんでした!
残った汁に、ご飯を入れて食べるのもポピュラーだそうだ。

015泉の里_蕎麦湯



●『泉の里 』(いずみのさと)
埼玉県比企郡川島町吹塚755-1
049-291-0132
11:00~15:00
17:00~22:00(L.O.21:00)
ランチ営業
定休日/水曜日


もてなしの花、満開 ~ 『満作』



埼玉県西部で鳴り響く蕎麦屋4店のうちの1店。
埼玉県比企郡鳩山町だから、すげー遠い。
でも、週末は開店前から行列ができるという。
高速の関越の鶴ヶ島インターと東松山インターの中ほど、
高坂SAの西あたりのたくさんのゴルフ場に囲まれた山の中のような所なのに、
行列ができるってどんだけうまいんだよ、ってわけで行ってみたんだよ。

鳩山町って、ぺろっと数えただけでまわりに20もゴルフ場があるようなとこだから、
だいたい想像通り、小高い山や森や川や畑に囲まれた田舎町なんだけど・・・
この蕎麦屋のそばに行ってみたら、びっくり!いきなり風景が変わる。
なんだなんだ!?突然田舎じゃなくなったぞ。
きれいに整備された街路に沿って、庭付き一軒家が立ち並ぶ住宅エリアが出現したのだ。
街路樹も整然と手入れされて、派手な看板とかゴミ置き場なんかが露出していない、新しい町だ。
めっちゃかっこいい街じゃん!
んー、そうだ、横浜の「たまプラーザ」の一角みたいなお洒落さだ。

『満作』があるのは、鳩山町の松ヶ丘。
その周辺の楓ヶ丘、鳩ヶ丘あたりがこの整備された街区となっている。
あー、「鳩山ニュータウン」って言うんだあ。
住宅エリアを中心に、大型ショッピングセンターや雑居型のショッピングモールなどが
計画的に配置されている、“せーの”で作った街なんだな。

鳩山風景

この街の北部にある「プチプラザ」というモールの一角に『満作』はあった。
んー、これかあ?
うーん、趣きのない外観。
これは、たとえば住宅公団が作った団地の中なんかでよく見かける、長屋式の集合店舗だあ。
大丈夫かなあ?と思いながら外で待つことになった。
11:50分頃にお店の入口に着いたのに、30人くらいは入れそうな店内はすでに満席だったのだ。

満作入口

連れと二人で待っている間に、二人組がやって来た。
待たされ用紙に書いた名前を呼ばれて入る頃に、また二人が来た。
さすがに人気だねー、と思いながら暖簾をくぐると、おー、別世界。
シックな布張りの壁には、書やリトグラフなどのアート。
店内の片隅には、陶器やブリキのアートなどをちょんと陳列。
BGMには、落ち着いたジャズが静かに流れ(まあ、ありがちだけど)、
正面左には蕎麦打ち部屋もレイアウトされた、おしゃれな内装だったのだ。
伝統的な“和”が追求されているわけではないけど、こざっぱりした感じは悪くないね。

あったかい感じのおばちゃんに注文した「天ざるそば」が出てくるまでは、
揚げた蕎麦のお菓子とほうじ茶で、ポリポリウェイティング。

満作お茶

おおーっ、美しい!
懐石盆に整然とレイアウトされた器の数々。
陶器にもけっこうこだわりが伺えるな。
蕎麦の麺は、粗挽き系だ。
表面の透明感で、打ちたてをさっと茹でたものであることがわかる。

満作蕎麦セット

口に含むと凛としたコシと蕎麦粉の香り。
うん、これは間違いなくうまい。
しかも、よく見ると麺のあちこちに黒い星が。
これは、芸が細かいなー。
田舎蕎麦というのではなく、見栄えと香りを考えて意図的に蕎麦殻を調節しているんだな、きっと。
好き嫌いは別にして、これでうまく蕎麦の匂いが演出されているんだよ。

満作そばアップ

天ぷらも文句なし。
特に、海老天は絶品!かなりでかくてサクサク、プリプリというやっちゃ。
天つゆは、その日はちょっとしくじってたのかなあ、出しが強すぎる感じがしたけど、錯覚かな。
蕎麦汁は、江戸前ほどはしょっぱくはなく、軽い甘味に深みあり。
ふむふむ、隅から隅までかっちりまとまった蕎麦だった。
さすがと思う。
特に、ホントの打ちたて&茹でたての蕎麦ならではのうまさが楽しめること、
これがすごい。

おっと、忘れちゃいけないのは、やはりお値段。
都会ではマネできないCPだよね。
いやー、埼玉蕎麦ばんざーーーい!!

満作メニュー

★この『満作』は、川越の町中にある『蕎花』という蕎麦屋さんのお弟子さんの店とのこと。
ココがこんなにうまいのに、じゃ師匠のとこはどんだけうまいのか、そのうち行ってみよっと。


●手打そば『満作』
埼玉県比企郡鳩山町松ヶ丘3-2-1
049-296-5071
11:30~15:00
17:00~19:30
定休日/火曜