ゆらゆら草

もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。

取り返しのつかない日々を取り返しに ~『永い言い訳』  


ツレアイさんに、恋してますか?

出会ったばかりの頃みたいに、
明日、手をつなごうとか、抱きしめたいとか、チューしたいとか、
そんなことを考えてドキドキしたり、残念がったりしてる?

いつも一緒にいたいとか、ずっと話していたいとか、
ちょっとした仕草や言葉にキュンキュンしたりしてる?

・・・なわけないよねぇ。
そりゃそうだよね。
だって、それって、“恋愛感情” だもんね。
結婚にいたって、ふたりの子供を授かるまでの
“夢の期間”
だもんね。

“謎解きの期間”“修業期間”“自分で自分の気持ちに魔法をかける期間”
とにかく、夢中。
恋は盲目って言うよね。

・・・なんて言うと、「そんなことねーよ、いまでも、
今度、遊園地に行こうとか、映画観に行こうとか、
おいしいものを食べに行こうとか、ウキウキやってるぜー」
って言うむきもあるかも知れないけど、
それは、「あの人と一緒なら、どこに行ったって楽しい」
って思ってたあの頃のウキウキとはちょっと違うような気がするなあ。

いやいや、結婚してからは、
ツレを好きだという気持ちが失せてしまって地獄だよ、
なんて言いたいんじゃないよ。
結婚してからだって、相手を好きだという感情はあるし、
いつも、愛おしくだって思っている。

でも、それは、“恋愛感情” というのとは違う気がするなあ。
「そこからは、恋ではなく愛なのだ」ってよく聞くセリフだけど、
個人的には、かなりいい線言っていると思うけど、
それも微妙にあいまいな言い方な気がする。

かのサン=テグジュペリは『人間の土地』で、
愛するということは、
お互いに顔を見つめ合うことではなくて、
一緒に同じ方向を見ること

・・・って言ったけど、それそれ!

おつきあい期間は、「見つめ合い」で、
結婚してからは、「同じ方向を見る」だよね。

だから、夫婦の愛情って、恋愛時代の「ぽわーんとした愛」とか、
友達との「友愛」みたいなのとは違って、もっと
サイド・バイ・サイドというかギブ・アンド・テイクな絆ではあるけど、
でも、一緒に仕事をする仲間との「同志愛」というのとも違うし、
一緒に暮らす男女の間だけに生まれる感情なんじゃないかな。

「一緒に生活を高め合う男女」ならでは持てる「思いやり」
みたいなものなんじゃないのかなー。



で、この映画の夫婦は、その「一緒に生活を高め合う男女」ならではの
「思いやり」がまったくないんだな。

だって、お互い結婚した頃から、それぞれ自分がやりたい仕事に打ち込んで、
それぞれの目標を追求してきたんだから。
そう、結婚してもバラバラの方向を向いて来たということ。

だもんだから、子供もいない。
そりゃもう、ひととき罹る熱病であるところの恋愛感情が薄れれば
何のために一緒に暮らしているのかわからなくなるよな。

001不倫.png
黒木華ちゃんの軽い濡れ場も観られるぞー。

そんなんだから、憎しみ合っているわけではないんだけど、
しぜん、諍いばかりが目立つようになる。
共同作業をしているわけではないので、
相手の辛苦を「思いやる」必要も薄いからだな。

ある時、おっきめの諍いが起こる。
共同作業をしているわけでもなく、子供もいないんだから、
いまだに恋愛感情だけが絆のはずの二人には、破局の危機だ。

ポスターのコピーにあるように、
そのまま出かけてしまった妻は、そのまま帰らぬ人となってしまう。

残された夫は、それでもちっとも悲しくなかったんだけど、
コトの流れで、一緒に亡くなった妻の友達の遺された家族の面倒をみるうちに
「家庭の幸せ」というものをやっと知ることができるんだな。
でも、もう遅い。
取り返しがつかないのだ。

002友達の子供たち.png

この映画は、仕事や目標の追求・成功と、家庭の幸福を
同時に得ることはムリという文脈で描かれている気がする。
そして、どうしたらうまくいくのかは描かれていない。

そういえば、答えを出さずに終わる映画を作るのが好き
西川美和監督の作品だわー。
しかも、原作の小説も脚本も。

でも今回は少し、師匠の是枝(裕和)節が入っているかな。
リアルな日常・明篇の是枝に対する、リアルな日常・暗篇の西川
って感じかな。

003浜で.png

二度観したっけ、脚本の妙に気づいたぜ。
物語冒頭で、妻役の深津絵里が夫を置いて出かけて行く時に吐く
セリフが切ないんだわー。



たまたまツレと口ゲンカをして、
ツレと罵りあったりすることって時々あるよなあ。

それが、“生活幸福化委員” どうしの意見交換ゆえの摩擦
というのならいいけど、そうじゃない場合は
この映画を思い出すことにしよっと。

だって、どちらもいつか死んでしまうんだから、
その時に「取り返しのつかないことを、たくさんしてしまった」
なんて思いたくないもんな。
「ああ、一緒に暮らせて幸せだったなあ」って思いたいもんな。

あ、いけね、独身の人には関係ないハナシだったかなあ。





004ポスター.png

●永い言い訳(ながいいいわけ)
2016 日本
上映時間:124分
監督:西川美和
原作:西川美和
脚本:西川美和
製作:川城和実、中江康人、太田哲夫、長澤修一、松井清人、岩村卓
プロデューサー:西川朝子、代情明彦
撮影:山崎裕
編集:宮島竜治
編集:宮島竜治
衣装:小林身和子
ヘアメイク:酒井夢月
サウンドエフェクト:北田雅也
挿入歌:手嶌葵「オンブラ・マイ・フ」
キャスティング:田端利江
助監督:久万真路、菊池清嗣
製作会社:「永い言い訳」製作委員会(バンダイビジュアル、AOI Pro.、
     テレビ東京、アスミック・エース、文藝春秋、テレビ大阪)
配給:アスミック・エース
出演:本木雅弘、深津絵里、竹原ピストル、堀内敬子、藤田健心、白鳥玉季、
   池松壮亮、黒木華、山田真歩、松岡依都美、岩井秀人、康すおん、
   戸次重幸、淵上泰史、ジジ・ぶぅ、小林勝也、木村多江(声のみ) ほか
受賞:第90回キネマ旬報ベスト・テン(2017年)
   ・助演男優賞/竹原ピストル
   ・日本映画ベスト・テン 第5位
   第71回毎日映画コンクール(2017年)
   ・男優主演賞/本木雅弘
   ・監督賞/西川美和







♪ そばにいて / ケツメイシ





♪ 夕暮れの鳥 / 神聖かまってちゃん





♪ 高気圧ガール / 山下達郎




韓国庶民の叫びか ~ 『殺されたミンジュ』  


改正組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に
関する法律等の一部を改正する法律案)が、6月15日に強行採決されたねー。

国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の批准条件を満たすことで、
2020東京五輪をめがけて、テロ対策整備を急いだんだろうけど、
委員会採決をすっとばすなんて、ちょっと乱暴なやり方だったよなあ。

でもさ、最大の問題はそこじゃないよなあ。
この法律のいうところのテロの準備って・・・

組織的犯罪集団に所属している
二人以上の計画者が
③ 277の「テロ等準備行為」(爆弾テロや毒ガステロの計画、現場の下見・工作
  資金集め材料や道具の調達 等)
④ 実際にその爆弾や毒ガスを入手し
⑤ 現場において使用し、人が死んだりモノを破壊する

・・・ってことらしいんだけど、
これまでは、④、⑤じゃないと検挙&処罰できなかったんだよね。
「疑わしきは、罰せず」。
世の中の犯罪について、すべてそういうもんだけどね。

でも、テロなどの場合、実行されちゃったら逮捕どころじゃなくなる、
そりゃ、逮捕しようとしていた警察官も立件証拠もぜ~んぶすっとんでなくなるよな。
それでは遅すぎる、というわけで②、③の段階でも検挙&処罰できる法律を
整備しようということになったんだな。

でもさ、「組織的犯罪集団」というのは、
事件が起こる前にどうやって断定するんだろうね。
ヤクザと脱税企業と革マル派とか赤軍派なんかの過激派?
まさか、日本中の企業、団体を盗撮、盗聴、メール傍受するんじゃないだろうね。
逆に、個人でテロを計画した場合は捕まらないの?
自衛隊内にいる革命分子は捕まえられないんじゃないの?
ヤクザ屋さんは包丁持って料理したり、花火をやっちゃいけないの?
だいたい、テロって組織的犯罪集団に属しているのかいないのか
わからないようなやつらがやるんじゃないの?
破滅思想のカルト宗教の教団だって、始めは組織的犯罪集団じゃないからね。

僕は、テロ対策用の法律を作ることに反対じゃないんだけど、
こんなんじゃ、穴だらけのざるだし、どうやって立件するの?
誤認逮捕の山を築くことになるんじゃないの?

まあ、治安維持法みたいな、国家権力の濫用を許すような法律にならないことを
祈るばかりだわ。



001拉致.png

「国家権力」といえば、最近観た映画はコレ。

国家のなんらかの機関の指令で、不幸な国民が不幸な国民を監視したり、
処罰したりする社会。
誠実に働いても報われない社会。
小さい頃から、死ぬほど勉強して高学歴を手に入れても
就職さえもままならない社会。
悠々と生きられるのは、ごく一部の国家権力者と大金持ちだけじゃないか!

・・・って感じの韓国映画だなー、これは。

韓国では、儲かっている企業といえばごく一部の大企業だけで、
その大企業に就職したいがためにみんな子供の頃からガリ勉で
一流大学をめざすけど、一流大学を出てもほんの一握りしかまともな会社に
就職できないのが現状なのだ、って何かで読んだけど、
ホントらしいのかなあ、この映画を観るかぎりでは。

それから、アメリカで言えばFBIというかCIAというかみたいな機関の
エージェントが市民生活の中に入り込んでいて、
市民が市民を監視したり始末したりするんだって言うのもひょっとして
ホントなのかもしれないなあ、って気になってくるわ、この映画を観ると。

だって、制作者のクレジットを見たら、ほとんどキム・ギドク一人で
やっちゃっているんだもんね。
シナリオを読んで、誰も乗らなかったってこと?
ヤバイから乗らない = ホントのこと、って感じがしない?



002拷問.png

映画は、冒頭からいきなり
女子高生ミンジュが殺されるシーンから始まるんだよ。
複数の男たちに捕まって、窒息死させられる。

そして1年後、謎の集団がそのミンジュ殺しに関わった男たちを
一人ずつ拉致して拷問を繰り返す。
ミンジュ殺しの仕返しなんだろうな。
主人公はその謎の集団のボスなんだよ。

でも、この映画は、わからないことばかりだ。

何の罪もない女子高生を殺したグループは、当然悪党に見える。
でも、ハナシが進んでいくと、どうもそのグループは
国家の諜報機関みたいなところにエージェントとして雇われて
いたんだろうな、ということが見えてくる。

それで、その女子高生殺しグループは、それぞれちゃんとした
職業に就いているし、逆に謎の仕返し集団は社会の
脱落組でまともな生活をしている人間が一人もいないから
実は、謎の仕返し集団のほうが悪いやつらなのかと疑念がわいてくる。

こいつらが、過去に国家機密に関わるようなことで、
謀反や失敗を犯したせいで国の特命機関にミンジュは殺されたのでは?
もうホントにどっちが正義でどっちが悪なのかわかんなくなってしまう。

ラストでは、いよいよ疑問だらけになって物語は終わってしまうんだよ。

●結局、最も悪いやつはミッションを発した国家の諜報機関ひいては
 国家なんだろうな?
●仕返し集団のボスは、過去にどんな謀反または工作をしたのだろう?
●ミンジュはその謀反や工作とどんな関係があって殺されたんだろう?
●最後に生き残ったやつは、実はミッションを達成したということでは?
●実は、あいつが女子高生殺しグループのリーダーなのでは?
●でも、結局は個人的な恨みをはらしただけなんだろうか?

・・・観た人と語らいたいわー。

ハングルの原題は、「1対1」という意味だそうだ。
これも、なんでそういうタイトルなのか考え中・・・
●女子高生殺しグループも謎の仕返し集団も、
 結局は集団としてのまとまりなどなくて、
 個人的な利害で動いていただけなのでは?
●国家のエージェントグループ VS 仕返し集団という複数対複数の
 戦いに見えるけど、よく考えればどちらもしがない一市民であって、
 そういう意味で1対1。結局、国家権力や富に踊らされるのは
 一小市民ばかりなのだ、と言いたいのではないか?
●ラストはミッションなどは関係なく、
 一個人の恨み VS 一個人の恨み と言いたかったのか?


そしてもうひとつの疑問は、さっきも書いた
「こんなことが、韓国国内でホントにあるんだろうか?」

思えば、実際に軍隊があり、軍役もあり、いまも北との戦争が続行中だし、
北へのスパイも、北からのスパイもうようよしてるし、
事実、日本とは危機感が何倍も強い韓国でのおハナシ。
フィクションとは思えない凄味があるよなあ。





003ポスター.png

●殺されたミンジュ(일대일/ONE ON ONE)
2014 韓国
上映時間:122分
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
製作総指揮:キム・ギドク
撮影:キム・ギドク
編集:キム・ギドク
配給:太秦
出演:マ・ドンソク、キム・ヨンミン、イ・イギョン、チョ・ドンイン、
   テオ、アン・ジヘ、チョ・ジェリョン、キム・ジュンギ ほか
受賞:第71回ヴェネツィア国際映画祭
   ・「ヴェニス・デイズ」部門 オープニング上映
   ・作品賞







♪ 返事はいらない / 荒井由実



がんばれ!ユーミン!!



♪ エイリアンズ / たなかりか





001ミナト座.jpg



世界は僕に、たくさんのかけがえのないものをくれているんだなあ。

僕は世界に、何かかけがえのないものをあげているんだろうか。

僕がいた世界と、僕がいなくなった世界に、何か違いはあるんだろうか。



・・・そんなことを考えさせられたなあ。

函館の風景がいいねー。



002ポスター.jpg

●世界から猫が消えたなら
2016 日本
上映時間:103分
監督:永井聡
原作:川村元気『世界から猫が消えたなら』
脚本:岡田惠和
製作:映画「世界から猫が消えたなら」製作委員会(東宝、博報堂DYメディアパートナーズ、
   小学館、アミューズ、ストライプインターナショナル、マガジンハウス、
   ローソンHMVエンタテイメント、ソニー・ミュージックエンタテインメント、
   KDDI、GYAO、日本出版販売)
制作:東宝映画
制作協力:ドラゴンフライ
撮影:阿藤正一
照明:高倉進
録音:郡弘道
音効:齋藤昌利
編集:今井剛
美術:杉本亮
装飾:渡辺大智
衣装:荒木里江
VFXスーパーバイザー:神田剛志
音楽プロデューサー:北原京子
音楽:小林武史
主題歌:HARUHI「ひずみ」(Sony Music Labels Inc.)
配給:東宝
出演:佐藤健、宮崎あおい、濱田岳、奥野瑛太、石井杏奈、
   奥田瑛二、原田美枝子、パンプ ほか





♪ ひずみ / HARUHI





001脱出.jpg


一見、犯罪も、戦争も、飢えも、悩みもないユートピアだけれど、
自由も、感動も、恋も、冒険も許されない管理社会。

さまざまな自由と人権が保たれているけど、
醜い争いや犯罪が多発して、
いずれは核戦争のような滅亡の時を迎えるかもしれない社会。

自分が生きるなら、どっちがいいだろう?
ってか、後者に暮らしてるのか、僕らって。



時は、近未来なのか、はるか未来なのか、とにかく未来のハナシ。

よくある設定の、天変地異後の荒廃した世界
その人たちは、壁はないけど『進撃の巨人』みたいな限られたエリアで
美しいコミュニティを作って暮らしているんだな。

コミュニティの住人たちは、みんなが善人で、勤勉で、街は限りなく清潔だ。
犯罪がない、争いもない、病気もない。
さらには、感情の起伏もない、恋もなければ結婚も出産の自由もない、
旅も冒険もない、過去の歴史の記憶もないんだ。

一度、なんらかの原因で滅亡の危機に瀕した世界に生きているもんだから、
人類はその反省の上に、人間がもたらす “災い” を完全に封じ込めた管理社会を作ったんだな。

家族は、なんらかの基準で寄せ集められたお父さんとお母さんと
的確な遺伝子操作によって、出産専門の部門で生ましめられた子供という構成。

002家族.jpg

ある時、コミュニティでは、12才になった子供を集めて、ある儀式が行なわれることに。
個性がはっきりしてきた子供に、これまでの観察を元に、職業を任命するんだな。

003儀式.jpg

安全で健康な社会を維持するためのいろんな役割が割り振られるんだけど、
たった一人だけ、“記憶を受けつぐ者” という特別な仕事を与えられるやつがいるんだよ。
まあ、それがこの映画の主役ってわけだ。

コミュニティの住民は、人類の歴史を学ぶことがない。
というか、人類に歴史というものがあることすら知らないし、
毎朝飲まされる薬のせいで、何かあるかも、って疑う気力さえもないのだ。

004長老.jpg
メリル・ストリープおばさんでございます

でも、何かあった時のための保険なんだろうね、“記憶を受けつぐ者=レシーバー” を設けて、
一人くらいは人類の歴史を記憶させとこうということなんだな。

主人公のジョナスは毎日、“The Giver=記憶を伝える者” のおっさんから
人類の記憶を受け取っていく。
戦争や飢饉や人種差別などなど、自分たちがいまなぜこんな生き方をしなければならないのか
を知るための辛い記憶を毎日注入されるんだけど、
それと一緒に、恋することや人を愛すること、自由である喜びなんかも知っていく。

そう、いま自分たちは恋や愛や自由を奪われた、狭い世界に閉じ込められていることを。
あの、行ってはいけない境界の向こうに、ホントの世界があることを。

005ふたり.jpg
ヒロインのオデイア・ラッシュ(18)は、世界で最も美しい顔14位

006テイラー.jpg
テイラー・スイフトも出てる!



そうしてレシーバーは次のレシーバーを待たずして
自分のやり方で “ギヴァー” になる・・・。

007注ぐ.jpg



原作は、アメリカのロイス・ローリーという女子が書いた児童文学なんだね。
1993年発表、アメリカの児童文学の最高賞・ニューベリー賞を受賞した、
世界的な名作だったんだね。

彼女は、1948年から1950年の間、日本に住んでいたんだそうだ。
お父さんがアメリカ軍の歯科医だったので、日本の米軍基地に住んでいたんだね。
彼女が、12~13才の頃。
そう、この映画の主人公の年齢と同じトシだよね。

ちなみに、著者が住んでいたのは、“ワシントンハイツ” というところなんだね。
ワシントンハイツは、第二次大戦後にアメリカ軍が接収して建設した在日米軍居留地の一つ。
Washington Heights、U.S. Air Force Washington Heights housing complex =
合衆国空軍ワシントンハイツ団地 ということ。

008ワシントンハイツ.JPG
ワシントンハイツの “ハウス” ※ウィキペディアより拝借

これは、なんとあの代々木公園にあったんだね。
代々木公園ばかりか、いまリニューアル中の国立競技場渋谷公会堂
NHK、参宮橋方面の国立オリンピックセンターまで、ぜーんぶがそれだったんだってさ!

僕も35年以上こっちに住んでるけど、そんなのがあったって全然知らなかったよ。
いまもある福生(ふっさ)の米軍基地やハウス、
調布や府中に米軍の住宅があったことなんかは知ってたけどさ。

そっか、渋谷の公園通りの上から原宿あたりまで、ぜ~んぶ米軍のハウスだったんだねー。
んーと、92.4万平米、兵舎とハウスが827戸のほか、学校、教会、劇場、商店、将校クラブ・・・。
周囲が塀で囲われた街。
日本人立ち入り禁止、中は当然治外法権だったと。

009ハイツ全景.jpg
ワシントンハイツ全景 ※ウィキペディアより拝借



少女だった著者のロイスちゃんは、この規律正しく管理された塀の中で
2年も多感な時期を暮らしたわけだ。

本人談では・・・
塀の外へ出てはいけないと言われていたけど、
自転車に乗って、長い坂を下って、
渋谷の方まで冒険に出るのが楽しくてしょうがなかった

その時のことを思い出して『The Giver』を書いたんだとのこと。
んー、それをそのまま映画にしても、いい作品が撮れそうな気がするなあ。



秩序正しくて安全だけど、自由や変化や夢のない、塀に囲まれた世界と、
自由で目に新しくて刺激的だけど、飢餓や争いや危険にまみれた世界を
行ったり来たりした彼女だけど、この作品ではどっちがいいとは言っていないと思う。

ただ、いまも塀の中に閉じ込められたままになっている、
塀ができる前に世界で起こったいろいろなことの記憶を
“伝える” べき、 “受け継ぐ” べきだということを訴えている
んだろうな。





010ポスター.jpg

●ギヴァー 記憶を注ぐ者(The Giver)
2014 アメリカ
上映時間:97分
監督:フィリップ・ノイス
脚本:マイケル・ミトニック、ロバート・B・ウィード
原作:ロイス・ローリー
製作総指揮:ハーベイ・ワインスタイン、ボブ・ワインスタイン、ロン・バークル、
      ディラン・セラーズ、ラルフ・ウィンター、アリソン・オーウェン、
      スクーター・ブラウン
製作:ニッキ・シルバー、ジェフ・ブリッジス、ニール・コーニグスバーグ
撮影:ロス・エメリー
編集:バリー・アレクサンダー・ブラウン
美術:エド・バリュー
衣裳:ダイアナ・シリアーズ
キャスティング:ヴィーナス・カナニ
音楽:マルコ・ベルトラミ
音楽監修:デイナ・サノ
配給:プレシディオ
出演:ジェフ・ブリッジス、メリル・ストリープ、ブレントン・スウェイツ、
   アレクサンダー・スカルスガルド、ケイティ・ホームズ、テイラー・スウィフト、
   キャメロン・モナハン、オデイア・ラッシュ、エマ・トレンブレイ







“ We Are Never Ever Getting Back Together ” / Taylor Swift





“ 戦争を知らない子供たち ” / ジローズ




家族は、アカの他人 ~ 『レッド・ファミリー』  


001韓国版ポスター.jpg


また、北朝鮮のことに触れた韓国の映画を見つけちゃったよ。
最近、北朝鮮が足をバタバタさせているから、
ついコレ系のタイトルが目に入って来ちゃうんだよな。



この映画は、韓国に入り込んでいる北朝鮮の特殊工作員を描いた映画なんだよ。

その工作員とは、4人の家族なんだな。
お父さん、お母さん、娘、おじいちゃんという構成だけど、
本物の家族ではなくて、母国にそれぞれ家族を残して来てる。

それぞれ、特殊工作の実行部隊員として訓練を受けてきているから、
フツーの人に見えても、格闘や暗殺などの仕事にも長けているという設定。
リーダー(お母さん)の統率も厳格で、構成員の仕事も冷徹で的確だ。

002工作員家族.jpg

003銃.jpg


この家族が、ハタ目には実にいい家族なんだな、
ホントは “アカの他人” の集まりなんだけど。
仲良く暮らす夫婦と、賢くて素直な娘、穏やかでものわかりのいいおじいちゃん。
絵に描いたような、じゃなくて絵に描いた幸せ家族。

004工作員家族2.jpg


逆に、隣に住む家族は本物の韓国人の家族だけど、ろくでもない。
内緒でサラ金から借金しまくるわ、旦那をバカにして暴言を吐くわの母ちゃんと
弱っちい父ちゃんと、いじめられっ子の息子と、何にもできないばあちゃん。

005韓国家族.jpg


かりそめの工作員家族は、隣はバカでうるせーやつらだと思いつつも、
怪しまれないように、仕事上、それなりの家族付き合いをするんだよ。

006家族付き合い.jpg


そうやって、付き合っているうちに、
バカで喧嘩ばかりしてる家族だって、ホントの家族はいいなあ、
なんて思うようになってくる。
望郷の念にかられるようになってくる。



このあたりが、この映画のいいところなんだろうな。
ロクでもない家族は、金欲やすれっからしな人間にあふれる韓国社会を、
かりそめの工作員家族は、秩序は保たれているけど自由も愛もない北朝鮮の社会
表わしていて、両方ともを批判しているんじゃないかな。

でも、ろくでもない家族だって、家族は家族。
「喧嘩するほど仲がいい」って言うじゃん。
そうだよ、北と南だって誰かのさしがねでいがみ合ってはいるけれど、
もともと家族じゃないか!
いまは、たまたま喧嘩しているだけの家族じゃないか、
ってなメッセージが読み取れるんだな。

さすがは、『アリラン』、『嘆きのピエタ』を監督した巨匠キム・ギドクの脚本だ。
うまいことメッセージが表現されている。

でも、映像面ではもひとつかな、と思うな僕は。
全くの新人監督なので、しょうがないのかもしれないけど、
それにしてももう少しなんとかならなかったのかなあ、とは感じるなあ。

で、ここまでの説明を読むと、バリバリのシリアスものに感じると思うけど、
そうじゃないんだな、この映画。

たぶん、コメディなんだろうね。
たぶんというのは、温厚なおじいちゃんがハリガネで人を殺したり、
聡明なお母さんが銃でサラッと人を撃ったりするシーンもちょくちょくあるというのに、
チームの名前が「ツツジ班」だったり、
金正恩をけなす韓国家族に、工作員家族が「私はけっこう好き」って
切り返すシーンがあったりして、けっこう笑えたりもするからなんだよ。

007プクプク.jpg

008親北派.jpg


これは、劇場で観ていたら困るだろうね。
北や南の工作員も観にきてるかもしれないから
不用意に笑ったり、うなずいたりできないよねぇ。(笑)

で、つまり、怒ったらいいのか、笑ったらいいのかよくわからない
アンバランスなタッチに感じるってわけ。



工作員家族は、ズッコケてるけど人間らしい南の家族と接しているうちに、
だんだんとそれぞれの心の中に “情” が芽生えてくる。
そして、非情を必要とする任務をしくじってしまう。
さらには、良かれと判断してやったことで、とんでもない失態を招いてしまう・・・。

この上、ラストでは、ファミリー・ヒューマンドラマって感じでマジで泣ける。
サスペンス・アクション・コミカル・ヒューマンドラマ??
んー、ますます不思議な味わい。

うん、おもしろいと思うよ。
きわどく、珍しい設定だしね。
東京国際映画祭で、“観客賞” 受賞だからね。





北朝鮮が、今度はミサイルを飛ばしたねー。
まわりの国や中国さえもが、再三やめろと言ったのに。

そりゃ、「要求を呑まないと、水爆の弾頭を積んだミサイルを撃つぞ」って
脅して生活物資をせしめるしかやりようのない国なことはわかるけど、
それにしても、なぜいまなのか、なぜ南シナ海に飛ばしたのか、
なぜ中国の言うことをきかなかったのかが、もひとつわからないなあ。

まあ、この前小競り合いになった韓国に、自分とこの力を示せるし、
日本にはもちろん以前のような支援を要求するメッセージになるだろうし、
ミサイルの飛距離が伸びたことを示すことで、アメリカにも脅しを強化できるだろうし、
アセアン方面へは中国に加担する国があることを示せるだろうしで、
いいこと尽くしだと計算したんだろうけどね。

中国は、ホントに迷惑がっているんだろうか?
北朝鮮とロシアは、冷戦時代の東側から続く数少ない友好国だしね。
表向き迷惑がっといて、実は領土・資源開拓政策は「北朝鮮もロシアも味方なんだぞ」
って脅しをかける、巧妙な作戦だったりしてさ。
まあ、根拠の希薄な悪口はよくないことだけど、そんなふうに勘ぐりたくもなるわさ。



アメリカが、アフガンやイラク戦で使った特殊部隊やネイビーシールズを
韓国に配備しつつあるという噂があるんだよ。
北朝鮮のミサイルがアメリカ本土まで届くということがわかって、
いよいよ軍事的な実行部隊が動き出したのかねぇ?

でもこれは、僕は間違いだと思うなあ。
歴史に学ばなくちゃさー。
これは、朝鮮戦争の時と同じことをやっているだけだよね。
「北 + 中国 + ロシア」 VS 「南 + アメリカ」という対立を再燃させているだけ。

これはさ、本来は、中国、ロシア、アメリカなんかいらないんだよね。
朝鮮半島の「北」と「南」が “家族に戻ればいい” だけだよな。
北と南の確執って、そんなに強いものなんだろうか?
中国 + ロシアとアメリカが仲が悪い、というかドロボー同士が争っているだけで、
ホントは「喧嘩するほど仲がいい」んじゃないのかなあ。



この朝鮮半島の南北問題って、当事者同士で話し合ったって解決なんかしないんだろうな。
もちろん、中国やロシア、アメリカが何を言ったって解決しっこないだろう。
解決しなくなるほどスッパリ分断させた、当の原因だからな。
むしろ、南北統一なんかしないでほしいと思っているのかもしれない。

じゃ、どうやったら南北が一つの国に戻れるんだろう?
ちょっとだけこの南北の喧嘩の仲裁に入って、
仲直りの手助けしてあげられるやつが必要なんだろうね。

そこで提案なんだけど・・・
それって、日本なんじゃないかって思ってるんだよ、僕は。

そりゃ、中国やロシアにしてみれば、「アメリカ側」にしてやられる
ということになるから、黙ってはいられないだろうけど、
日本は韓国や北朝鮮との関係において、たくさんの課題を抱えているわけで、
それらの解決のためにも、南北統一に関わる義務や権利があるに違いないと思う。

その辺を説得材料にして、南北統一に “協力” すべきなんじゃないかな。
「北に独自の制裁を加える」、なんてアメリカの火事場ドロ政策に加担なんてしてないでさ。

良心に則って働けば、朝鮮半島が平和になるだけでなく、
日本にとっても拉致被害問題も、従軍慰安婦問題も、竹島問題も、
在日コリアン問題も全部きれいに片付く
んじゃないの?
その上、健全で強い東アジアの政治・経済づくりの足がかりにもなるんじゃないかな。





009日本版ポスター.jpg

●レッド・ファミリー(Red Family 붉은 가족)
2013 韓国
上映時間:100分
監督:イ・ジュヒョン
脚本:キム・ギドク
原案:キム・ギドク
製作総指揮:キム・ギドク
製作:キム・ドンフ
撮影:イ・チュニ
編集:キム・ギドク、キム・フク
美術:チョン・ヘウォン 、 キム・ジヒョプ
照明:パク・ジソン
視覚効果:イ・ジャンウク
録音:イ・ソクチュン
音楽:チェ・イニョン
衣装:キム・ジナ
配給:ギャガ
出演:キム・ユミ、チョン・ウ、ソン・ビョンホ、パク・ソヨン、パク・ビョンウン、
   カン・ウンジン、オ・ジェム、パク・ミョンシン、キム・ジェロク ほか
受賞:第26回(2013年)東京国際映画祭コンペティション部門 観客賞







“ 春はもうすぐ ” / NSP





“ No.1 ” / 西野カナ





“ イカロスの末裔 ” / キリンジ




プロフィール

ちかごろの記事

全記事表示リンク

カテゴリ

検索フォーム

リンク