先に戦闘準備したほうの負け、という時代かもよ、金さん ~ 『アイ・イン・ザ・スカイ』


「戦争」っていうと、フツーどんなイメージが浮かぶんだろう。

丘の上にあるコンクリートのトーチカに向かって、
ライフルを構えて突撃を繰り返す歩兵隊?

木造家屋が密集するエリアに、
数百発もの爆弾を絨毯爆撃するB-29?

塹壕のある、草のない野原に兵士たちが伏せて、
速射砲の砲弾をかわしながらライフルを撃ち合うようす?

平坦な浜に乗り上げた鉄の船から走り出す数千もの海兵隊員が
陸上の機関銃で撃たれて次々となぎ倒されて、
砂浜が真っ赤に染まっていくさま?

市街地に突入した戦車に、爆弾を抱えて轢かれに行く戦士?

鉛色の海に鈍重に浮かぶ戦艦が、幾十もの戦闘機に爆撃を受ける姿?

海面下の原子力潜水艦から勢いよく弾道ミサイルが発射されるの図?

街の何万人が巨大な閃光を浴びて、
逃げる間もなく血管の血液が沸騰して亡くなっていく地獄絵?・・・



この映画は、現代の戦争がまったくそんなんじゃないことを教えてくれる。

現代の戦争とは、一つはテロのことなのだ。
テロを起こすやつと、それを未然にアタックして防ぐやつの戦い。

いままさに爆弾付きジャケットを着ようとするテロリストを見張るのは
人口衛星の高精度カメラと、室内に忍び込ませた蜘蛛型のロボットカメラ

対する武器は、高度7,000mを飛行するMQ-9リーパー(軍事用小型ドローン)
から発射されるミサイル弾。

敵は某中東人、だのに戦地はケニア。
作戦を指揮するのはロンドンにいるイギリスの国防省だけど、
作戦を実行するのはアメリカ・ネバダ州の基地にいる米軍の
ドローン・オペレーターだ。


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イギリスの作戦室にも、アメリカの作戦室にも、
それぞれ国防参謀長や政務官を同席させていて、
遠方にいる国務長官や外務大臣ともオンタイムで
連絡をとれるようになっている。

テロリストのいる現地に詰めた実働部隊は、
最終的にはケニア人の現地工作員たった一人だけ!
スマホでロボットカメラを操作して、
映像をアメリカとイギリスの作戦室に送っているだけなんだよ。

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そう、この映画は、いわゆる「精密爆撃」を描いているんだな。
「精密爆撃」とは、当該軍事目的に関わる施設や罪人だけを
爆撃ターゲットにするピンポイント爆撃のこと(これに対する言葉は「都市爆撃」)。
関係のない一般人をできるだけ巻き込まない、というのが
この攻撃のミソなんだな。

ところが、テロリストのミーティングなんて、
人里離れた山奥なんかでやるわけがなくて、
わざと民間人の集まるところでやったりするから厄介なのだ。

そうすると、爆撃を実行するほうは・・・

①たとえそのテロリストを討ち逃して、
そのためにテロが実行されてしまい、
たくさんの被害者が出るとしても、
その爆撃では絶対に民間人の犠牲者を出さないことを
第一義とするのか?

ごく少数の民間人の犠牲が出たとしても、
大量の人が死ぬかもしれないテロを防止するほうを優先
して
爆撃を断行するのか?

・・・少なからず迷ってしまうのだ。
この映画では、さまざまな責任者に意思決定を促し、
最後の最後まで民間人の安全を突き詰めて作戦が実行される。

観てないんだけど『ドローン・オブ・ウォー(Good Kill)』っていう
映画と似ているのかな、この映画?

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でも、映画ではなくて、実際の作戦時にそうなったらどうするのか?
NHKの戦争特番で、アメリカの軍事関係者が言っていた。

「現代の爆撃だって、我々の先人が第二次大戦の時に、
“第一次大戦の時のような残虐な無差別攻撃はやめよう” と言いつつ
日本の民間人を空襲で殺戮したのと同じことが行なわれるだけ」
と。

有事になれば、戦争とはそういうものなんだろうな。



スネイプこと、故アラン・リックマンに合掌。





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●アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場(Eye in the Sky)
2016 イギリス
上映時間:102分
監督:ギャビン・フッド
脚本:ガイ・ヒバート
製作:ジェド・ドハーティ、コリン・ファース、デビッド・ランカスター
製作総指揮:ザヴィエル・マーチャンド、ベネディクト・カーヴァー、
      クローディア・ブリュームフーバー、アン・シーアン、ガイ・ヒバート、
      スティーヴン・ライト
撮影:ハリス・ザンバーラウコス
編集:ミーガン・ギル
美術:ジョニー・ブリート
音楽:ポール・ヘプカー、マーク・キリアン
製作会社:エンターテインメント・ワン(英)、レインドッグ・フィルムズ(日)
配給:ファントム・フィルム
出演:ヘレン・ミレン、アーロン・ポール、アラン・リックマン、バーカッド・アブディ、
   ジェレミー・ノーサム、フィービー・フォックスイアン・グレン、
   ギャヴィン・フッド、モニカ・ドラン、マイケル・オキーフ ほか
受賞:2016年英国映画賞/脚本賞受賞(ガイ・ヒバート)





♪ AFTER THE GARDEN / NEIL YOUNG





♪ フランシーヌの場合 / 新谷のり子




取り返しのつかない日々を取り返しに ~『永い言い訳』


ツレアイさんに、恋してますか?

出会ったばかりの頃みたいに、
明日、手をつなごうとか、抱きしめたいとか、チューしたいとか、
そんなことを考えてドキドキしたり、残念がったりしてる?

いつも一緒にいたいとか、ずっと話していたいとか、
ちょっとした仕草や言葉にキュンキュンしたりしてる?

・・・なわけないよねぇ。
そりゃそうだよね。
だって、それって、“恋愛感情” だもんね。
結婚にいたって、ふたりの子供を授かるまでの
“夢の期間”
だもんね。

“謎解きの期間”“修業期間”“自分で自分の気持ちに魔法をかける期間”
とにかく、夢中。
恋は盲目って言うよね。

・・・なんて言うと、「そんなことねーよ、いまでも、
今度、遊園地に行こうとか、映画観に行こうとか、
おいしいものを食べに行こうとか、ウキウキやってるぜー」
って言うむきもあるかも知れないけど、
それは、「あの人と一緒なら、どこに行ったって楽しい」
って思ってたあの頃のウキウキとはちょっと違うような気がするなあ。

いやいや、結婚してからは、
ツレを好きだという気持ちが失せてしまって地獄だよ、
なんて言いたいんじゃないよ。
結婚してからだって、相手を好きだという感情はあるし、
いつも、愛おしくだって思っている。

でも、それは、“恋愛感情” というのとは違う気がするなあ。
「そこからは、恋ではなく愛なのだ」ってよく聞くセリフだけど、
個人的には、かなりいい線言っていると思うけど、
それも微妙にあいまいな言い方な気がする。

かのサン=テグジュペリは『人間の土地』で、
愛するということは、
お互いに顔を見つめ合うことではなくて、
一緒に同じ方向を見ること

・・・って言ったけど、それそれ!

おつきあい期間は、「見つめ合い」で、
結婚してからは、「同じ方向を見る」だよね。

だから、夫婦の愛情って、恋愛時代の「ぽわーんとした愛」とか、
友達との「友愛」みたいなのとは違って、もっと
サイド・バイ・サイドというかギブ・アンド・テイクな絆ではあるけど、
でも、一緒に仕事をする仲間との「同志愛」というのとも違うし、
一緒に暮らす男女の間だけに生まれる感情なんじゃないかな。

「一緒に生活を高め合う男女」ならでは持てる「思いやり」
みたいなものなんじゃないのかなー。



で、この映画の夫婦は、その「一緒に生活を高め合う男女」ならではの
「思いやり」がまったくないんだな。

だって、お互い結婚した頃から、それぞれ自分がやりたい仕事に打ち込んで、
それぞれの目標を追求してきたんだから。
そう、結婚してもバラバラの方向を向いて来たということ。

だもんだから、子供もいない。
そりゃもう、ひととき罹る熱病であるところの恋愛感情が薄れれば
何のために一緒に暮らしているのかわからなくなるよな。

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黒木華ちゃんの軽い濡れ場も観られるぞー。

そんなんだから、憎しみ合っているわけではないんだけど、
しぜん、諍いばかりが目立つようになる。
共同作業をしているわけではないので、
相手の辛苦を「思いやる」必要も薄いからだな。

ある時、おっきめの諍いが起こる。
共同作業をしているわけでもなく、子供もいないんだから、
いまだに恋愛感情だけが絆のはずの二人には、破局の危機だ。

ポスターのコピーにあるように、
そのまま出かけてしまった妻は、そのまま帰らぬ人となってしまう。

残された夫は、それでもちっとも悲しくなかったんだけど、
コトの流れで、一緒に亡くなった妻の友達の遺された家族の面倒をみるうちに
「家庭の幸せ」というものをやっと知ることができるんだな。
でも、もう遅い。
取り返しがつかないのだ。

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この映画は、仕事や目標の追求・成功と、家庭の幸福を
同時に得ることはムリという文脈で描かれている気がする。
そして、どうしたらうまくいくのかは描かれていない。

そういえば、答えを出さずに終わる映画を作るのが好き
西川美和監督の作品だわー。
しかも、原作の小説も脚本も。

でも今回は少し、師匠の是枝(裕和)節が入っているかな。
リアルな日常・明篇の是枝に対する、リアルな日常・暗篇の西川
って感じかな。

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二度観したっけ、脚本の妙に気づいたぜ。
物語冒頭で、妻役の深津絵里が夫を置いて出かけて行く時に吐く
セリフが切ないんだわー。



たまたまツレと口ゲンカをして、
ツレと罵りあったりすることって時々あるよなあ。

それが、“生活幸福化委員” どうしの意見交換ゆえの摩擦
というのならいいけど、そうじゃない場合は
この映画を思い出すことにしよっと。

だって、どちらもいつか死んでしまうんだから、
その時に「取り返しのつかないことを、たくさんしてしまった」
なんて思いたくないもんな。
「ああ、一緒に暮らせて幸せだったなあ」って思いたいもんな。

あ、いけね、独身の人には関係ないハナシだったかなあ。





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●永い言い訳(ながいいいわけ)
2016 日本
上映時間:124分
監督:西川美和
原作:西川美和
脚本:西川美和
製作:川城和実、中江康人、太田哲夫、長澤修一、松井清人、岩村卓
プロデューサー:西川朝子、代情明彦
撮影:山崎裕
編集:宮島竜治
編集:宮島竜治
衣装:小林身和子
ヘアメイク:酒井夢月
サウンドエフェクト:北田雅也
挿入歌:手嶌葵「オンブラ・マイ・フ」
キャスティング:田端利江
助監督:久万真路、菊池清嗣
製作会社:「永い言い訳」製作委員会(バンダイビジュアル、AOI Pro.、
     テレビ東京、アスミック・エース、文藝春秋、テレビ大阪)
配給:アスミック・エース
出演:本木雅弘、深津絵里、竹原ピストル、堀内敬子、藤田健心、白鳥玉季、
   池松壮亮、黒木華、山田真歩、松岡依都美、岩井秀人、康すおん、
   戸次重幸、淵上泰史、ジジ・ぶぅ、小林勝也、木村多江(声のみ) ほか
受賞:第90回キネマ旬報ベスト・テン(2017年)
   ・助演男優賞/竹原ピストル
   ・日本映画ベスト・テン 第5位
   第71回毎日映画コンクール(2017年)
   ・男優主演賞/本木雅弘
   ・監督賞/西川美和







♪ そばにいて / ケツメイシ





♪ 夕暮れの鳥 / 神聖かまってちゃん





♪ 高気圧ガール / 山下達郎




韓国庶民の叫びか ~ 『殺されたミンジュ』


改正組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に
関する法律等の一部を改正する法律案)が、6月15日に強行採決されたねー。

国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の批准条件を満たすことで、
2020東京五輪をめがけて、テロ対策整備を急いだんだろうけど、
委員会採決をすっとばすなんて、ちょっと乱暴なやり方だったよなあ。

でもさ、最大の問題はそこじゃないよなあ。
この法律のいうところのテロの準備って・・・

組織的犯罪集団に所属している
二人以上の計画者が
③ 277の「テロ等準備行為」(爆弾テロや毒ガステロの計画、現場の下見・工作
  資金集め材料や道具の調達 等)
④ 実際にその爆弾や毒ガスを入手し
⑤ 現場において使用し、人が死んだりモノを破壊する

・・・ってことらしいんだけど、
これまでは、④、⑤じゃないと検挙&処罰できなかったんだよね。
「疑わしきは、罰せず」。
世の中の犯罪について、すべてそういうもんだけどね。

でも、テロなどの場合、実行されちゃったら逮捕どころじゃなくなる、
そりゃ、逮捕しようとしていた警察官も立件証拠もぜ~んぶすっとんでなくなるよな。
それでは遅すぎる、というわけで②、③の段階でも検挙&処罰できる法律を
整備しようということになったんだな。

でもさ、「組織的犯罪集団」というのは、
事件が起こる前にどうやって断定するんだろうね。
ヤクザと脱税企業と革マル派とか赤軍派なんかの過激派?
まさか、日本中の企業、団体を盗撮、盗聴、メール傍受するんじゃないだろうね。
逆に、個人でテロを計画した場合は捕まらないの?
自衛隊内にいる革命分子は捕まえられないんじゃないの?
ヤクザ屋さんは包丁持って料理したり、花火をやっちゃいけないの?
だいたい、テロって組織的犯罪集団に属しているのかいないのか
わからないようなやつらがやるんじゃないの?
破滅思想のカルト宗教の教団だって、始めは組織的犯罪集団じゃないからね。

僕は、テロ対策用の法律を作ることに反対じゃないんだけど、
こんなんじゃ、穴だらけのざるだし、どうやって立件するの?
誤認逮捕の山を築くことになるんじゃないの?

まあ、治安維持法みたいな、国家権力の濫用を許すような法律にならないことを
祈るばかりだわ。



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「国家権力」といえば、最近観た映画はコレ。

国家のなんらかの機関の指令で、不幸な国民が不幸な国民を監視したり、
処罰したりする社会。
誠実に働いても報われない社会。
小さい頃から、死ぬほど勉強して高学歴を手に入れても
就職さえもままならない社会。
悠々と生きられるのは、ごく一部の国家権力者と大金持ちだけじゃないか!

・・・って感じの韓国映画だなー、これは。

韓国では、儲かっている企業といえばごく一部の大企業だけで、
その大企業に就職したいがためにみんな子供の頃からガリ勉で
一流大学をめざすけど、一流大学を出てもほんの一握りしかまともな会社に
就職できないのが現状なのだ、って何かで読んだけど、
ホントらしいのかなあ、この映画を観るかぎりでは。

それから、アメリカで言えばFBIというかCIAというかみたいな機関の
エージェントが市民生活の中に入り込んでいて、
市民が市民を監視したり始末したりするんだって言うのもひょっとして
ホントなのかもしれないなあ、って気になってくるわ、この映画を観ると。

だって、制作者のクレジットを見たら、ほとんどキム・ギドク一人で
やっちゃっているんだもんね。
シナリオを読んで、誰も乗らなかったってこと?
ヤバイから乗らない = ホントのこと、って感じがしない?



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映画は、冒頭からいきなり
女子高生ミンジュが殺されるシーンから始まるんだよ。
複数の男たちに捕まって、窒息死させられる。

そして1年後、謎の集団がそのミンジュ殺しに関わった男たちを
一人ずつ拉致して拷問を繰り返す。
ミンジュ殺しの仕返しなんだろうな。
主人公はその謎の集団のボスなんだよ。

でも、この映画は、わからないことばかりだ。

何の罪もない女子高生を殺したグループは、当然悪党に見える。
でも、ハナシが進んでいくと、どうもそのグループは
国家の諜報機関みたいなところにエージェントとして雇われて
いたんだろうな、ということが見えてくる。

それで、その女子高生殺しグループは、それぞれちゃんとした
職業に就いているし、逆に謎の仕返し集団は社会の
脱落組でまともな生活をしている人間が一人もいないから
実は、謎の仕返し集団のほうが悪いやつらなのかと疑念がわいてくる。

こいつらが、過去に国家機密に関わるようなことで、
謀反や失敗を犯したせいで国の特命機関にミンジュは殺されたのでは?
もうホントにどっちが正義でどっちが悪なのかわかんなくなってしまう。

ラストでは、いよいよ疑問だらけになって物語は終わってしまうんだよ。

●結局、最も悪いやつはミッションを発した国家の諜報機関ひいては
 国家なんだろうな?
●仕返し集団のボスは、過去にどんな謀反または工作をしたのだろう?
●ミンジュはその謀反や工作とどんな関係があって殺されたんだろう?
●最後に生き残ったやつは、実はミッションを達成したということでは?
●実は、あいつが女子高生殺しグループのリーダーなのでは?
●でも、結局は個人的な恨みをはらしただけなんだろうか?

・・・観た人と語らいたいわー。

ハングルの原題は、「1対1」という意味だそうだ。
これも、なんでそういうタイトルなのか考え中・・・
●女子高生殺しグループも謎の仕返し集団も、
 結局は集団としてのまとまりなどなくて、
 個人的な利害で動いていただけなのでは?
●国家のエージェントグループ VS 仕返し集団という複数対複数の
 戦いに見えるけど、よく考えればどちらもしがない一市民であって、
 そういう意味で1対1。結局、国家権力や富に踊らされるのは
 一小市民ばかりなのだ、と言いたいのではないか?
●ラストはミッションなどは関係なく、
 一個人の恨み VS 一個人の恨み と言いたかったのか?


そしてもうひとつの疑問は、さっきも書いた
「こんなことが、韓国国内でホントにあるんだろうか?」

思えば、実際に軍隊があり、軍役もあり、いまも北との戦争が続行中だし、
北へのスパイも、北からのスパイもうようよしてるし、
事実、日本とは危機感が何倍も強い韓国でのおハナシ。
フィクションとは思えない凄味があるよなあ。





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●殺されたミンジュ(일대일/ONE ON ONE)
2014 韓国
上映時間:122分
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
製作総指揮:キム・ギドク
撮影:キム・ギドク
編集:キム・ギドク
配給:太秦
出演:マ・ドンソク、キム・ヨンミン、イ・イギョン、チョ・ドンイン、
   テオ、アン・ジヘ、チョ・ジェリョン、キム・ジュンギ ほか
受賞:第71回ヴェネツィア国際映画祭
   ・「ヴェニス・デイズ」部門 オープニング上映
   ・作品賞







♪ 返事はいらない / 荒井由実



がんばれ!ユーミン!!



♪ エイリアンズ / たなかりか




人は人のみにて生くるにあらず ~ 『世界から猫が消えたなら』


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世界は僕に、たくさんのかけがえのないものをくれているんだなあ。

僕は世界に、何かかけがえのないものをあげているんだろうか。

僕がいた世界と、僕がいなくなった世界に、何か違いはあるんだろうか。



・・・そんなことを考えさせられたなあ。

函館の風景がいいねー。



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●世界から猫が消えたなら
2016 日本
上映時間:103分
監督:永井聡
原作:川村元気『世界から猫が消えたなら』
脚本:岡田惠和
製作:映画「世界から猫が消えたなら」製作委員会(東宝、博報堂DYメディアパートナーズ、
   小学館、アミューズ、ストライプインターナショナル、マガジンハウス、
   ローソンHMVエンタテイメント、ソニー・ミュージックエンタテインメント、
   KDDI、GYAO、日本出版販売)
制作:東宝映画
制作協力:ドラゴンフライ
撮影:阿藤正一
照明:高倉進
録音:郡弘道
音効:齋藤昌利
編集:今井剛
美術:杉本亮
装飾:渡辺大智
衣装:荒木里江
VFXスーパーバイザー:神田剛志
音楽プロデューサー:北原京子
音楽:小林武史
主題歌:HARUHI「ひずみ」(Sony Music Labels Inc.)
配給:東宝
出演:佐藤健、宮崎あおい、濱田岳、奥野瑛太、石井杏奈、
   奥田瑛二、原田美枝子、パンプ ほか





♪ ひずみ / HARUHI




伝えていくべきコト ~ 『ザ・ギヴァー 記憶を注ぐ者』


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一見、犯罪も、戦争も、飢えも、悩みもないユートピアだけれど、
自由も、感動も、恋も、冒険も許されない管理社会。

さまざまな自由と人権が保たれているけど、
醜い争いや犯罪が多発して、
いずれは核戦争のような滅亡の時を迎えるかもしれない社会。

自分が生きるなら、どっちがいいだろう?
ってか、後者に暮らしてるのか、僕らって。



時は、近未来なのか、はるか未来なのか、とにかく未来のハナシ。

よくある設定の、天変地異後の荒廃した世界
その人たちは、壁はないけど『進撃の巨人』みたいな限られたエリアで
美しいコミュニティを作って暮らしているんだな。

コミュニティの住人たちは、みんなが善人で、勤勉で、街は限りなく清潔だ。
犯罪がない、争いもない、病気もない。
さらには、感情の起伏もない、恋もなければ結婚も出産の自由もない、
旅も冒険もない、過去の歴史の記憶もないんだ。

一度、なんらかの原因で滅亡の危機に瀕した世界に生きているもんだから、
人類はその反省の上に、人間がもたらす “災い” を完全に封じ込めた管理社会を作ったんだな。

家族は、なんらかの基準で寄せ集められたお父さんとお母さんと
的確な遺伝子操作によって、出産専門の部門で生ましめられた子供という構成。

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ある時、コミュニティでは、12才になった子供を集めて、ある儀式が行なわれることに。
個性がはっきりしてきた子供に、これまでの観察を元に、職業を任命するんだな。

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安全で健康な社会を維持するためのいろんな役割が割り振られるんだけど、
たった一人だけ、“記憶を受けつぐ者” という特別な仕事を与えられるやつがいるんだよ。
まあ、それがこの映画の主役ってわけだ。

コミュニティの住民は、人類の歴史を学ぶことがない。
というか、人類に歴史というものがあることすら知らないし、
毎朝飲まされる薬のせいで、何かあるかも、って疑う気力さえもないのだ。

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メリル・ストリープおばさんでございます

でも、何かあった時のための保険なんだろうね、“記憶を受けつぐ者=レシーバー” を設けて、
一人くらいは人類の歴史を記憶させとこうということなんだな。

主人公のジョナスは毎日、“The Giver=記憶を伝える者” のおっさんから
人類の記憶を受け取っていく。
戦争や飢饉や人種差別などなど、自分たちがいまなぜこんな生き方をしなければならないのか
を知るための辛い記憶を毎日注入されるんだけど、
それと一緒に、恋することや人を愛すること、自由である喜びなんかも知っていく。

そう、いま自分たちは恋や愛や自由を奪われた、狭い世界に閉じ込められていることを。
あの、行ってはいけない境界の向こうに、ホントの世界があることを。

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ヒロインのオデイア・ラッシュ(18)は、世界で最も美しい顔14位

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テイラー・スイフトも出てる!



そうしてレシーバーは次のレシーバーを待たずして
自分のやり方で “ギヴァー” になる・・・。

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原作は、アメリカのロイス・ローリーという女子が書いた児童文学なんだね。
1993年発表、アメリカの児童文学の最高賞・ニューベリー賞を受賞した、
世界的な名作だったんだね。

彼女は、1948年から1950年の間、日本に住んでいたんだそうだ。
お父さんがアメリカ軍の歯科医だったので、日本の米軍基地に住んでいたんだね。
彼女が、12~13才の頃。
そう、この映画の主人公の年齢と同じトシだよね。

ちなみに、著者が住んでいたのは、“ワシントンハイツ” というところなんだね。
ワシントンハイツは、第二次大戦後にアメリカ軍が接収して建設した在日米軍居留地の一つ。
Washington Heights、U.S. Air Force Washington Heights housing complex =
合衆国空軍ワシントンハイツ団地 ということ。

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ワシントンハイツの “ハウス” ※ウィキペディアより拝借

これは、なんとあの代々木公園にあったんだね。
代々木公園ばかりか、いまリニューアル中の国立競技場渋谷公会堂
NHK、参宮橋方面の国立オリンピックセンターまで、ぜーんぶがそれだったんだってさ!

僕も35年以上こっちに住んでるけど、そんなのがあったって全然知らなかったよ。
いまもある福生(ふっさ)の米軍基地やハウス、
調布や府中に米軍の住宅があったことなんかは知ってたけどさ。

そっか、渋谷の公園通りの上から原宿あたりまで、ぜ~んぶ米軍のハウスだったんだねー。
んーと、92.4万平米、兵舎とハウスが827戸のほか、学校、教会、劇場、商店、将校クラブ・・・。
周囲が塀で囲われた街。
日本人立ち入り禁止、中は当然治外法権だったと。

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ワシントンハイツ全景 ※ウィキペディアより拝借



少女だった著者のロイスちゃんは、この規律正しく管理された塀の中で
2年も多感な時期を暮らしたわけだ。

本人談では・・・
塀の外へ出てはいけないと言われていたけど、
自転車に乗って、長い坂を下って、
渋谷の方まで冒険に出るのが楽しくてしょうがなかった

その時のことを思い出して『The Giver』を書いたんだとのこと。
んー、それをそのまま映画にしても、いい作品が撮れそうな気がするなあ。



秩序正しくて安全だけど、自由や変化や夢のない、塀に囲まれた世界と、
自由で目に新しくて刺激的だけど、飢餓や争いや危険にまみれた世界を
行ったり来たりした彼女だけど、この作品ではどっちがいいとは言っていないと思う。

ただ、いまも塀の中に閉じ込められたままになっている、
塀ができる前に世界で起こったいろいろなことの記憶を
“伝える” べき、 “受け継ぐ” べきだということを訴えている
んだろうな。





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●ギヴァー 記憶を注ぐ者(The Giver)
2014 アメリカ
上映時間:97分
監督:フィリップ・ノイス
脚本:マイケル・ミトニック、ロバート・B・ウィード
原作:ロイス・ローリー
製作総指揮:ハーベイ・ワインスタイン、ボブ・ワインスタイン、ロン・バークル、
      ディラン・セラーズ、ラルフ・ウィンター、アリソン・オーウェン、
      スクーター・ブラウン
製作:ニッキ・シルバー、ジェフ・ブリッジス、ニール・コーニグスバーグ
撮影:ロス・エメリー
編集:バリー・アレクサンダー・ブラウン
美術:エド・バリュー
衣裳:ダイアナ・シリアーズ
キャスティング:ヴィーナス・カナニ
音楽:マルコ・ベルトラミ
音楽監修:デイナ・サノ
配給:プレシディオ
出演:ジェフ・ブリッジス、メリル・ストリープ、ブレントン・スウェイツ、
   アレクサンダー・スカルスガルド、ケイティ・ホームズ、テイラー・スウィフト、
   キャメロン・モナハン、オデイア・ラッシュ、エマ・トレンブレイ







“ We Are Never Ever Getting Back Together ” / Taylor Swift





“ 戦争を知らない子供たち ” / ジローズ