ゆらゆら草
もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。
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つねに進化するクリエイティビティ ~ 『手繰りや 玄治』


2013年の夏は、何日35度越えの日があったんだろうか。
あまりに暑いので、つめたーい蕎麦か、からーい蕎麦を食べようと決めた。

近場で、そのどっちも食べられる店はなかったっけ?
っと思えば、すぐに出てくるのが、この店、『手繰りや 玄治』だなー。
東京都・東村山市に2軒ある “超いい店” のうちの1軒だよ。

東村山市は東京都下だけど、ウチのある所沢市の隣の市。
どっかで聞いたことない?
♪東村や~ま~、庭さ~きゃ多摩~湖~、狭山茶処情けが厚い~♪ だよねぇ
東村山駅前には、「志村けんの木」があるらしいよ。

『手繰りや 玄治』は、その東村山駅の隣の久米川駅から歩いて2分くらいの所にある。
いわゆる駅前商店街の店のひとつなんだな。

001手繰りや玄治_入口

久米川駅周辺もご多分にもれず、一部のエリアを除いてスカスカしてる。
この店のある通りも、土曜日の昼間だというのに、人が歩いている姿をあまり見なかったなー。

002手繰りや玄治_冷やかけ張り紙

003手繰りや玄治_入口メニュー

でも、お店に入ると通りとのギャップにびっくり!
20人くらいしか入れなさそうな小さな店だけど、すでに満席に近い状態だよ。
商店街の小さなビルの1階テナントだから、よくあるうなぎの寝床タイプの
喫茶店みたいな感じの造りだけど、内装はちゃんと和の演出がされているんだなー。

004手繰りや玄治_石臼

お店に入ると、すぐ左に電動石臼が置いてあったね。
手前の野菜を乗っけてあるやつは、手挽き用の石臼だねー。

よく見ると「本日の蕎麦 茨城県境町 品種・常陸秋(ひたちあき)ソバ」と書いてあるね。
常陸秋といえば、金砂郷(きんさごう)町(現・常陸太田市)産が最高にうまいけど、
境町産というものあるんだね、へぇー。

11時50分頃に同行2名で行ったけど、ギリギリ着席セーフ。
テーブルの上には、誰が作っているのかプロはだしの凝ったデザインのメニューがあるよ。
レタリングのテイストが、蕎麦屋というより居酒屋といった感じだけど、
楽しげでいいやー。

005手繰りや玄治_秋風月メニュー

「秋風月のおすすめ」だからね。
秋風月というのは旧暦の8月のことだから、真夏のおすすめメニューということだね。
そうそう、この「冷やかけ」と「冷や汁」が今回の目当てだぜー。

ココんちは、蕎麦好きの間では言わずと知れた名店のひとつで、
特に、この “季節の創作メニュー” がすばらしいんだよ。
四季の移り変わりにつれて、ちょくちょく蕎麦好きを誘惑するメニューが現れるから、
日頃、注意が必要な蕎麦屋だ。(笑)



006手繰りや玄治_うどんメニュー

手打ちなのかわかんないけど、うどんもある!
「北海道産「幸せのめぐみ」と岩手県産「南部小麦」のブレンド」とあるね。
「トマトねりこみうどん」ってか?!
なんか、こっちのほうもめちゃくちゃ気になるなー。
しかし、今回はあくまで蕎麦。



お酒もちゃんとあるね。

007手繰りや玄治_酒メニュー01

無濾過生原酒にこだわるような最先端系ではないけど、
日本の名酒で固められている。

008手繰りや玄治_酒メニュー02

009手繰りや玄治_酒メニュー03

定番じゃない「隠し酒」もあって、有名地酒もばっちり!
僕なら、「四季桜」の特別純米をいってみるねー。
今日は、昼飯タイムだから、また今度ねー。

010手繰りや玄治_酒メニュー04



蕎麦やツマミの定番メニュー。

011手繰りや玄治_蕎麦メニュー

最少限といった感じかな。
でも、伝統メニューも押さえてあるし、甘味もあるんだね。



座った席のすぐ横が蕎麦打ち場。
狭い店内だから、スペースがもったいないけど、
バリバリの手打ちがウリだから、大切なスペースだよね。
蕎麦のパンフレットみたいなのが置いてあって、研究熱心なのが窺えるねー。

012手繰りや玄治_打ち場

ふと、やや右側を見上げると、厨房でせっせと仕事をされるご主人が見えた。
生麺のお土産もありますよ。

013手繰りや玄治_調理場&生麺

014手繰りや玄治_手挽きせいろ

あ、いけねー。
たのんだ蕎麦の麺を、十割の田舎の手挽きに差替えてもらうことができるんだった!
2品たのんだんだけど、ひとつは「手挽き」にしてもらうんだったなー。



7~8分経って、まず出てきたのは、「野菜天冷やかけ」1,000円也。
いい感じでしょ?

015手繰りや玄治_野菜天冷やかけセット

「冷やかけ」は、いわゆるぶっかけとは違って、あっさりと仕上げた冷たい出し汁を
丼やお椀にもった蕎麦にたっぷりとかけたものなんだよ。
そう、かけそばの、“あっさり、冷たいバージョン”。
そこらじゅうにありそうで、案外見かけないメニューだよね。

016手繰りや玄治_冷やかけ薬味

薬味は、刻んだあさつきとみょうが、青ジソ。
うん、冷や汁などの冷たい汁系のお決まりの顔ぶれだね。

017手繰りや玄治_冷やかけ

ほらほら、このシャーベット状の氷!
これは、大根おろしじゃないんだよ。
このかけ汁で作ったシャーベットなんだよ。
そう、氷が溶けてきても、汁の味が薄くならない!!
ナイスなアイデアだよねー。

018手繰りや玄治_冷やかけ野菜天

野菜の天ぷらは5種。
どれもカラッと揚がっているし、レモン+塩で食べても、
紅葉おろし+あっさり天つゆで食べてもうまい。
いずれも、夏仕様の気遣いが窺えるねー。

019手繰りや玄治_冷やかけアップ

020手繰りや玄治_冷やかけ箸上げ

おー、いいねー。
冷たくてさっぱりしているのに、出しがピシッときいたかけ汁に、
みょうがとシソと葱の香りが添えられて、実に爽快!
すすれば常陸秋のクリスピーな風味が口の中に広がる!
うーん、軽妙な味わい。
暑過ぎても、夏でよかった、と思える一杯だぜー!



この「冷やかけ」を発明した人はえらいねー。
山形の「冷やしラーメン」と、どっちが先に生まれたんだろうね。
蕎麦って、他にどんな食べ方があったっけ?
ということで、この機会に書き残してみました↓。

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●ぶっかけ
江戸時代に大人気だった「屋台蕎麦」の原型はコレ。
蕎麦を茹でて、冷たい水で洗ってしめたら器に盛る。
それに具を載せて、上から冷たいつゆをかけたものだよね。
フツーはキュウリ、金糸玉子、かまぼこ、わかめなんかの具をキレイに盛り付ける。

・冷やしきつね・冷やしたぬき・冷やしとろろ・おろし蕎麦・冷やしなめこ
・冷やし月見・冷やし揚げ餅 など

●かけ蕎麦
基本は茹でて、冷たい水で洗ってしめて器に盛った蕎麦に、
特別な具を入れないで、うす味に調味した温かいつゆ(甘汁)をかけたもの。
具を載せたもの(種物)も、当然かけ蕎麦に違いなくて、いわゆる “温かい蕎麦” として
最もバリーションの多い食べ方だねー。
「冷やかけ」は、たっぷりの汁に麺が沈んでいるので、
ぶっかけというより、かけ蕎麦の変化球と考えたほうがいいだろうなー。

・かけ(素蕎麦)・きつね・たぬき・天ぷら・月見・とろろ(山かけ)
・鴨南蛮・とり南蛮・肉南蛮・カレー南蛮・天南蛮・かき南蛮・山菜・なめこ・かしわ・
・にしん・はらこ・おかめ・しっぽく・五目・花巻・わかめ・おぼろ・コロッケ
・きざみ・玉子とじ・天とじ・冷やかけ・あさり冷やかけ・カニ冷やかけ
・夏野菜冷やかけ など

●もり・ざる
茹でて、冷たい水で洗ってしめて器に盛った蕎麦を
かえしと出し汁で作った汁(辛汁)につけて食べるスタイル。
“つけ蕎麦” の基本ですねー。
麺が茹でてしめたそのままだし、汁が別の器だから、
蕎麦本来の味を、自身の好みに応じて汁の量を調節して食べられる方法だね。

ちなみに、「もり」と「ざる」の違いって知ってる?
お店によって、きざみ海苔の載っているのがざるで、載っていないのがもり、とか
汁にみりんを足したものがざるで、フツーのがもりとか言われているよね。
なんだかよくわかんない感じだけど、本来の違いはカンタン!
蕎麦がざるに載っているのがざるで、それ以外はもり、なんだよ。
「もり」には、ざるに盛られているものあるけど、それをもりと呼ぶならもり、
せいろに盛られていても、それをもりと呼ぶならそれももりでしょ。
どんな器に盛られていようと、もりは盛りだよね。

中には、海苔が載っているからって、
せいろに盛られているのにざる蕎麦と呼ばれているものもあるよね。
でもそれは、そのお店の歴史的な事情や、どこかの店のやり方を真似したとか
いろいろな理由があってそうなっているので、放っとけばいいのだ。

・もり・ざる・せいろ・天もり・天ざる・天せいろ など

●つけ蕎麦
「もり・ざる」のつけ汁に、具を入れたり、かつおや昆布以外の材料で出しをとったりして
創作的なつけ汁を追究した蕎麦のこと。
このカテゴリーの変化は、すごくおもしろいと思う。

・とろろ(とろ蕎麦)・天汁・鴨汁・鳥汁・親子汁・きも汁・かき汁・クリーム
・クラムチャウダー・トマト汁・カレーつけ汁・カレーチーズつけ汁 など

●蕎麦料理
・蕎麦がき・そば焼き・金麩羅(衣に蕎麦粉を使った天ぷら)
・蕎麦衣(衣に蕎麦粉を混ぜた天ぷら)・蕎麦寿司・巣篭り蕎麦・蕎麦饅頭・蕎麦団子
・蕎麦クッキー・蕎麦ボーロ・蕎麦かりんとう・蕎麦パン・蕎麦ソフトクリーム
・ばっと、かっけ、はっと・蕎麦米雑炊・ピッツォッケリ・ガレット・ロティ
・蕎麦湯 など

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さてさて、次に出てきたのは、『ピリ辛冷や汁せいろ』900円也。
こっちは、“かけ” ではなく “つけ汁” だね。
上で書いた通り、このカテゴリーには新しいものが多いので、
今後いろいろルポしてみようと思ってまーす。

021手繰りや玄治_ピリ辛冷や汁せいろ

これも、いい感じでしょ?

022手繰りや玄治_冷や汁

これは、川島町の冷や汁と同じように、ゴマと味噌を擂って水で溶かしたものがベースで、
みょうが、なす、キュウリ、オクラなどの夏野菜を浮かべて、
ラー油でピリ辛に仕立てたものだねー。
辛い冷や汁。

023手繰りや玄治_冷や汁アップ

麺は、美しい中細。

024手繰りや玄治_ピリ辛冷や汁麺

麺だけを食べてみたけど、さすが常陸秋のキメともっちり具合だ。
新蕎麦と同じというわけにはいかないけど、香りと味の濃さもやっぱり常陸秋。
他の店のことを書くのは失礼かも知れないけど、
「上野藪」や「分上野藪 かねこ」のようなクォリティだ。

025手繰りや玄治_ピリ辛冷や汁麺アップ

おっと、ゴーヤも入っていたよ。
生なので、これはにがーい!
夏の香味、苦さ、風物詩のひとつだなー。

026手繰りや玄治_冷や汁ゴーヤ

027手繰りや玄治_冷や汁箸上げ

ゴマと夏野菜の香味、常陸秋の穀物香が重なり合った、
何枚でもいけそうな逸品だったぞー。
蕎麦粉のよくない夏だからこそ、この店のすごさがわかる、というもんだ。

ごちそうさまでした。

028手繰りや玄治_冷や汁蕎麦湯



そろそろかえろーかな、と入口のほうを見ると、おーっ!

029手繰りや玄治_ツマミ壁メニュー

季節感あふれるツマミというか一品メニューがどっさり!
そうなんだねー、この凝った料理もココの名物なんだねー。
蕎麦の味がわからなくなるまで、とっぷり呑んでしまいそう。
うん、ココは駅チカだから、夜にツマんで飲んで、手繰って、
いい気持ちで家に帰る、というのに最適だねー。

もうわかるよね。
ココは、気軽に入れるカフェのような顔をしといて、
実は、蕎麦打ちも小料理も超一流なんだな。
こんな店が、自分ちの近くにあってホントうれしい、って感じ。

ちなみに、火曜日が定休で、月曜以外は中休みなし。
夜9時半までやってるから、休みの日の “午後のまったり“ や
呑みに重点をおいた夜の蕎麦前にもバッチリ使わせてもらえるというもんだね。

東村山に『手繰りや 玄治』あり。
いい仕事とは、こういうのをいうのだ、と思う。
創作意欲を分けてもらえる一店だ。



●『手繰りや 玄治』(たぐりや げんじ)
東京都東村山市栄町2-38-2
042-398-5833
[月]
11:00~15:00
[水~日]
11:00~21:30(L.O)
ランチ営業
定休日/火曜日


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