ゆらゆら草
もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。
201703<<123456789101112131415161718192021222324252627282930>>201705
夏の河原を愉しむ ~ 『櫟庵』(くぬぎあん)


仕事仲間のKくんとは、打ち合わせついでに、
一緒に飯能(埼玉県西部)で昼めしや晩めしを食べることが多い。
前は、だいたいファミレスだったけど、
「オムライスのある蕎麦屋」に行ってから、蕎麦屋に行くことがふえたんだよ。

Kくんは、僕よりだいぶん若いので、蕎麦屋なんかイヤそうだけど(笑)。
僕もそうだったけど、ハンバーグとかチャーシュー麺とかとんかつとか、
しゃぶしゃぶ食べ放題とかじゃないと、食事をした気にならないらしい。
でも、まんまと蕎麦グルメ探検隊の隊員に引きずり込んでやったぜー。

ネットで検索すると、いい感じの店がけっこうあるんだなー、飯能には。
中でも、今回行ったとこは、飯能でも1・2位を争う人気店!
なんでも、蕎麦よし!店内よし!環境よし!の三拍子揃った店らしい、
・・・ということで、さっそく、レッツ・ゴー!してみたぜー。



目的の店は、『櫟庵』(くぬぎあん)。
地元では、有名な蕎麦屋だよ。
Kくんの自宅兼事務所から車で15分、西武池袋線・飯能駅から歩いても
15分くらいで行ける「飯能河原」の傍らにあったねー。

駅のちょっと先だというのに、駐車場のあるところは、いきなり森!
森林リゾートにありがちな、ガラス工房なんかもあるくらい。
車を降りて、草木をかき分けながら、古い石段を下りて行けば、『櫟庵』発見!
発見、というか、家が1つしかないから、探す必要もないべ。

001櫟庵_石段

なんと、『櫟庵』の一軒家のすぐ横が河原だ。
河原へは、石段を5段くらい下りるけど、おー、これはもう河原の中だねー!
どっから国の土地で、どっから個人の土地なんだあ?
ゲリラ豪雨なんかで、水害にあうことはないのかなあ?
・・・ってくらい、河原なのだ。

でも、水害にあわないとしたら、これはすばらしいロケーションだね!
だって、目の前が広い河原で視界が開けてるし、
夏に川面を眺めながら一盃やったり、冷たい蕎麦をかっこめるなんて、風流でしょ?

002櫟庵_河原



その川は、入間川(いるまがわ・一級河川)。
ここは、かなり上流なので、この辺では名栗川(なぐりがわ)というみたいだね。
この川に削られた山が沢を作って、名栗渓谷、っていうんだね、この辺から上流のほうは。

「飯能河原」は、この川の蛇行で生まれた扇状地で、水深が浅いし、流れも早くないので、
休日には、子供たちの “カッパ天国” になるらしい。(カッパ?
テントを張る人たちや、バーベキューをするグループもたくさん来るらしいねー。
こりゃ、いいや!

003櫟庵_河原説明

この日は、まだ夏休み前の平日だったので、人はまばら。
でも、向こうの橋のあたりにシート敷いて、海パンいっちょになっている人と、
浅いのにバシャバシャクロールで泳いでいる人がいたなー。
水の淀んでいるところには、小さなカジカが当然のように泳いでいたよ。

地図で見ると、このあたりから上流には、川の傍らに木材の製材所がちらほら見られるねー。
これは、江戸時代、江戸の人口が増加して家屋建材の需要が増えて、
おまけに江戸名物の火事が頻繁に起こったために、
もともと木材産地であった飯能が栄えたということらしいな。

筏を組んで入間川を下って荒川を経由して、
10日くらいかけて材木問屋がある千住まで行き来していたとのこと。
“江戸の西の方の川からやってくる材木” ということで、
この辺の材木は、いまでも「西川材」と呼ばれているそうだ。

飯能には、ムーミン谷こと「あけぼの子どもの森公園」というのがあるんだよ。
ムーミンの家とか、スナフキンが釣りでもしてそうな川がある、癒し系の公園。
飯能にはムーミンがいて、所沢にはトトロがいるんだねー。

海はないけど、夢があるー!
湖も川もあるー!
・・・な、飯能なのですー。



さてさて、何のハナシだっけ?
あ、そうそう、『櫟庵』だよねー。
入口は、こんな感じ!
森の中の一軒家、って感じ、いいっしょ?

004櫟庵_玄関正面

005櫟庵_玄関暖簾

入口の左が「蕎麦打ち場」。
外から、ばっちり見える!
麺棒も5・6本揃っていて、マジで手打ちしているのが窺えるねー。

006櫟庵_打ち場

イーゼルに乗っかったメニューボードには、川魚!
若鮎、山女魚もあるけど、この川で獲れる天然鮎もあるんだあ、へえー。

007櫟庵_イーゼル



玄関を入ると、すぐ左に陶器の陳列&販売棚があるよ。
こちらで作られているのか、販売委託なのかわからないけど、
なるほど、一種、観光地の蕎麦屋といった風情だね。
川遊びやハイキングやワンゲルの人たちが、ちょいと寄ってく、
といった使われ方が多いのかもね。

008櫟庵_陶器

店内は、自然木を多用した民芸調。
こあがり4卓、テーブル4卓、って感じかな。
ゆったりしたレイアウトで、のんびりできる造りだな。

009櫟庵_内観



まず、注文したのが、「沢ガニと川エビの唐揚げ」。
これで、ちびっと呑もうか、という魂胆さ。
(なんで、鮎をたのまないんだ!)
でも、これでも河原の風情が感じられるよね?
(あ、Kくんと一緒だったので、二人でも突っつきやすいものにしたんだっけ)

010櫟庵_沢蟹

011櫟庵_沢蟹アップ

012櫟庵_川海老アップ

ツマミ料理は、天ぷらと川魚のほか、蕎麦味噌、板わさ、出し巻玉子のみで、さっぱりしてる。
でもね、本腰入れて呑み食べしたい向きには、予約が必要だけど
2,100円、3,200円、4,300円のコースと、5,300円の「蕎麦会席」もあるよ。
あ、いけね、お酒の種類をチェックし忘れた!

013櫟庵_呑み

ナハハハハー、呑むったって、Kくんがキリンレモンで、僕がウーロン茶。
しょーがねーべー。
車で来たし、この後、仕事だからねー。
でも、なんとなく蕎麦前の気分は味わえたね。

014櫟庵_天ぷら01

天ぷらは、「天せいろそば」のもの。
けっこうでかい海老、ごぼう、かぼちゃ、なす、それからこの葉っぱは何?
(わかる人いませんかあ?)
当然、太白ごま油でカラッと揚がった逸品。

015櫟庵_天ぷら02

僕が、写真撮っている間に、、全部、Kくんが食べやがった!

蕎麦は、「国内産の有機栽培の玄蕎麦を石臼でゆっくり製粉した細打ち」って書いてあった。
ニ八だろうね。

016櫟庵_蕎麦引き

017櫟庵_蕎麦寄り

ぴしっ、と角が立って太さも揃った美形だ。
よーく見ると、完全な微粉でなくて、石臼で出た二番粉あたりの
粗めの粒も混じっているねー。

018櫟庵_蕎麦アップ

太さ、角、固さ、味・・・お見事ですー!

019櫟庵_蕎麦箸上げ

ところで、「二八蕎麦」って、どういう意味か知ってる?
そうそう、麺の粉の配合割合のことだよね。
全重量を10とすると、「蕎麦粉8割+小麦粉(中力)2割」という意味だよね。
たとえば、「蕎麦粉80g+小麦粉20g=100g」で、一人前、って感じ。

ちなみに、「蕎麦粉100g+小麦粉20g=120g」の場合は、「外二」っていうんだよね。
これは、ニ八よりつなぎの量が少ないぞ、という主張がこもってるんだねー。

ところが、だ。
ニ八って、そういう意味じゃない、という説もあるんだよ。
江戸時代の中期、蕎麦の値段は16文だったという記録があるんだけど、
注文すると、笊だか皿だかわかんないけど、2枚出てきたらしいんだよ。
2枚で16文だから、にはちじゅうろく、で「ニ八」!!
つまり、1枚8文でおかわりできるっちゅうことだねー。

江戸時代初期には、まだ、つなぎに小麦粉を使っていなかった
という記録もあるもんだから、この説が生まれたそうだ。
じぇじぇじぇー!・・・でしょ?
真偽は不確かだけど、そういう説もあるのです。



蕎麦湯は、粉を足さないナチュラル系。
僕は、わさびは蕎麦を食べながら箸でつまんでちょびちょび舐めて、
葱は蕎麦湯の2杯目以降に猪口に入れて、楽しみます。

020櫟庵_蕎麦湯

はいはいー、蕎麦団子の登場ですー!

021櫟庵_蕎麦団子01

「蕎麦食べて・・・」のさん平さんと、ちょこっと話してたやつだよ。
どうだい、この姿!
あ、「蕎麦食べて・・・」は、長野や岐阜の本場の蕎麦情報に詳しいプログ。
家主のさん平さんは、とってもフレンドリーで、スリムでロングヘアーの素敵な女性です。
ひょっとして、けっこう呑んべーかも。

肝心の団子は、蕎麦がきの表面をびしっと焼いて、
薄口のみたらしのタレをペロンとかけたもの。
あつあつで、あまり甘くない大人の味だ。

これを食べると、ココの蕎麦会席への興味がぐぐっと高まるなー。
つまり、すごくうまいんだよ。

Kくんが2個、僕が1個、支払いは僕・・・ぶつぶつ。

022櫟庵_蕎麦団子02



023櫟庵_蕎麦お茶

ひととき、水辺で夏の蕎麦を楽しませてもらいました。

さてさて、仕事に戻るかあ!



●『櫟庵』くぬぎあん
埼玉県飯能市大河原70-1
042-973-2576
11:00~17:00
※17:00を過ぎる場合は要連絡
ランチ営業
定休日/水・木

オムライスもチャーハンもラーメンもある蕎麦屋 ~ 『長寿庵』


先日、OMUNAOさんのブログ「オムライスのある風景」で、
“でっかいオムライス” のハナシをやっていたんだけど、
その2~3日前に、けっこうでっかいオムライスを食べたばっかりだったので、
思わずコメントを投稿させてもらいました。

そしたら、映画『小さな恋のメロディ』の記事を盛り上げていただいたうえに、
僕のつたないこのブログの紹介までしていただききました。

「オムライスのある風景」は、オムライスの食レポももろんあるけど、
フツーの食レポブログじゃないんだよ。
OMUNAOさんがオムライスを食べに行ったその店で思い浮かんだショートストーリーや、
オムライスの思い出や全国オムライス選手権などなどが展開。
オムライスをメタファーにして広がる、感性あふれたオムライスワールドなんだよ。
なんかおもしろいことないかな、なんて思っている方は、ぜひどうぞ。
フツーのブログとは違う体験ができること請け合いです!

今回は、OMUNAOさんへの感謝とお返しの気持ちを込めて、
上記ご紹介とそのオムライスの店を記事にしてみることにしました!
(OMUNAOさんありがとうねー)

僕のこのブログのカテゴリーには、「オムライス」というのはないんだけど、大丈夫さ!
その店は、蕎麦屋さんなのだ。



行き先は、埼玉県飯能市。
埼玉県の西のはずれにあるんだな。
秩父市と東京北西部の山を分け合っているような感じ。
もうちょっと西に行ったら、山梨県。
だから、まわりは山や峠やゴルフ場なんかがたくさんあって、空気がうまいぞー。

駅前にプリンスホテルがあって、埼玉西部では有名な丸広百貨店発祥の地だけど、
市街地は小ぶり。
でもね、江戸時代には火事の多かった江戸市街への木材の供給源として栄えていたらしく、
歴史ある建物や江戸時代の雛飾り、桃山時代に始まった大絵馬奉納なんかが
残っていたりするんだよ。

あの偉大なる漫画家、萩尾望都はいま飯能に住んでいるらしいよ。へぇー!



オムライスで有名な蕎麦屋『長寿庵』は、西武線・飯能駅のすぐ近くの
飯能銀座通り商店街の一角にあるんだよ。
今回、そういういきさつで2回目の訪問。

1回目に行った時と同じ、仕事仲間のKくんを同伴・・・

つ「Kちゃん、オムライス食べに行こうよ」
K「えっ?」
つ「ほら、この前行ったとこ」
K「・・・・」(えーっ、またオムライス?)
つ「ほら、あの、でっかいオムライスのとこ。腹いっぱい食えるじゃん」
K「満腹になると、眠くなって、仕事にさしつかえるしぃ、えと、今日はかつ丼とかにしたいな」
つ「あー、かつ丼もあったよ、うん、あったあった」
K「じゃ、オムライス、つかりこさん食ってくださいよ」
つ「うん、わかった。あ、半分こにしようや」
つ「あ、そうだ、オムライス、今度は大盛りにしようよ。900グラムあるらしいぜ。
  写真撮りたいんだよ」
K「・・・・」
つ「わかった、大盛りはやめようか。フツー盛りでもかなり多いもんね」

・・・なんてやりとりがあって、大食いのKくんを誘導成功。
大盛りは断念することになっちゃったけど。
でも、結局Kくんは、かつ丼フル+オムライス半分+玉子とじ蕎麦半分
を平らげるハメになるんだけどね。



お昼の12時半頃にのれんをくぐると、
商店街の閑散ぐあいに反して、平日なのにけっこう混んでいたよ。
街の人気店なんだなー。

001長寿庵_ご飯メニュー

いきなりご飯もののメニューを見ると、おー、あったあった、オムライス!
ほら、やっぱりかつ丼もあるぜー。
それどころか、うな重だって、チャーハンだって、ハンバーグカレーだってあるよ。

002長寿庵_ラーメンメニュー

なんと、ラーメンだって専門店並みのラインナップ!
そうかあ、和・洋・中揃っているんだな、ココは。
無口系のKくんにウムも言わさず、僕の独断でホイホイ注文したった、ナハハ。



さっそく出てきたのが、今日の主役のオムライスだっ!
ほら、昔ながらのオムライスでしょ?
デザートのメロンがうれしいね。

004長寿庵_オムライス全景

写真ではわかりにくいけど、ライスの量は、フツーのご飯茶碗で4杯分くらいはあると思う。
ケチャップもたっぷり!

皿に書かれた電話番号の市内局番が、ひと桁なのに気がついた?
ちなみに、飯能のいまの市内局番3桁だよ。

005長寿庵_オムライス寄り

そう、高さがあるんだよ。
よく見ると実にいいカタチ、こなれた仕事だなー!

006長寿庵_オムライス超寄り

そうこうしてるうちに、かつ丼が運ばれてきて、
その20秒後くらいに蕎麦も出てきたので、ちょっとパニクってきた!

約58秒ほどで、オムライスを半分食ってやったぜ。
写真を撮るのに、蕎麦がのびちゃうからだ。

007長寿庵_オムライス半分

洋食屋のオムライスではない。
胡椒とバターがきいてないからね。
ケチャップライスの具は、玉ねぎと豚肉だなー。
ケチャップの量が絶妙で、味が薄からず濃からず。
炒めぐあいもばっちり!
うまいーっ!
そうそう、これが昔ながらの食堂のオムライスだよなー。

008長寿庵_オムライス中身



かたや、かつ丼。

009長寿庵_かつ丼

かつが、思ったよりでかい!
関東風の、溶き卵を全体にかけて、衣全体を煮ちゃうタイプだね。

010長寿庵_かつ丼寄り



そう、そういえばココは蕎麦屋なのだ。
あったかい蕎麦のメニューを見ると、ほらほら、「花巻」「玉子とじ」「おかめ」
「天南」、「天とじ」なんかの伝統的なメニューをきちっと押さえてある!!

011長寿庵_温メニュー

012長寿庵_電飾メニュー01

013長寿庵_電飾メニュー02

来る前は、いわゆる街の食堂蕎麦屋だと思っていたんだけど、
こりゃ、マジな蕎麦屋だぞ、って、期待がモリモリしてきたので、
ちょいと意地悪して “蕎麦屋の腕がばれる” 「玉子とじ」をたのんだんだった。



オムライスのスプーンをほおって、カメラを構えたら、あー、やっぱり!
オムライスと戦っている間に、すこし玉子が固まり出してるねー。やばい

014長寿庵_玉子とじ蕎麦

大きめに真四角に切った海苔を、かけ蕎麦の上に載っけて台座にして、
その上に溶き玉子を載せる江戸蕎麦の定法とは違うけど、
四角い海苔は載っているね。

015長寿庵_玉子とじ蕎麦寄り

玉子の溶き方は、江戸前の場合は、
白身と黄味を分離しないように完全にかき混ぜるんだけど、
ココのは白身と黄味をさくっと混ぜたタイプ。

それから、玉子とじの玉子の固め方も伝統的には2種類あるんだな。
高温で素早く混ぜて全体を糸状にするのと、玉子全体をふんわり仕上げるタイプ。
ココんちのは後者をめざしているんだね。
あと、わかめが載っているのも個性的。
でも、ちゃんとうまいよ。

あのね、溶き玉子と甘汁がミックスされると、新しい味が生まれるんだよ!
それに、きざみ葱を入れると、さらにうまい温蕎麦になる。
これを知らない人がけっこういるんだよなー。

016長寿庵_玉子とじ蕎麦箸01

写真ではわかりずらいけど、蕎麦の麺の太さが少しまちまちに混じっているぞ!
これは、手打ちか!?
ココは、街の蕎麦食堂のはず。
まったく期待していなかっただけに、かなり驚いたよ。

017長寿庵_玉子とじ蕎麦箸02

ご店主に聞けば、蕎麦も、うどんも、きしめんも、ラーメンも、自家製麺だとのこと。
でも、手打ちだとは言っていないか。
どっかに電動石臼でも置いてあるかなって、店内を見渡すと、あ、
奥の壁に木鉢が飾ってあるじゃんか!
ってことは、蕎麦は手打ちかあ。
うぉー、うれしい期待外れ!
でも、うどんやきしめん、それからラーメンは、まさか機械打ちだろうね。



なんだい、こりゃすごい蕎麦屋だなー、と思ったので、
ご主人とちょびっと話してみんだんだよ。
お客さんがたくさんいるのに、すんませんでした。

ここで蕎麦屋を始めたのは、昭和40年(1965年)とのこと。
もともとは、いまの東京都文京区の小石川で蕎麦屋をやってたんだけど、
戦後復興やオリンピック開発のため行われた道路整備の対象になったので
移転してきたのだそうだ。

2013年現在、創業48年ったら老舗というほどでもないけど、
小石川の蕎麦屋といえば聞き捨てならないかもね。
あの辺は、映画『赤ひげ』にも出てくるけど、江戸時代から武家屋敷の多い街だし、
小石川後楽園や東大の植物園もあるし、永井荷風なんかの文豪も住んでたしで、
いかにもいい蕎麦屋がありそうなとこなんだよ。

なんでオムライスを始めたのか、聞いたら・・・

ご主人は、引っ越してきた昭和40年当時は、鴨南ばん蕎麦をやりたかったんだそうだ。
でも、都内の昭和の蕎麦屋らしく、当時は機械打ちだったので
断念せざるを得なかったとのこと。
当時、飯能あたりでは逆に、手打ちのうどん、蕎麦は当たり前で、
機械打ちでは、味で太刀打ちできないと判断したんだそうだ。
それで、なんか別のもので勝負したいと考えたわけだ。

018長寿庵_行燈
つるつるを噛め噛め・・・で、長寿庵ってわけね

それから、当時の飯能は家もまばらで、かなり遠くまで出前をしなきゃ
食べていけない状況だったそうなんだけど、人を雇う余裕もなくて、
なんとか、お客さんのほうから店にやってきてくれる方法はないかとも考えたそうだ。

それで、長寿庵のオムライスは開店当時に生まれたのだ。
いなかっぺの飯能市民に、都会のハイカラをぶちかましたら、成功したというわけだな。
(飯能のみなさん、ごめんなさい)

さらには、飯能の街は当時から、ゴルフ客やハイキング客がグループで訪れるところ。
大人数で食べに来てもわいわいやれるように、
蕎麦屋メニューの他にも和洋中メニューをたくさん用意して、
オムライスも、みんなで楽しくつっつけるようにデカ盛りを作ったら、
大好評を博していまにいたるとのこと。

019長寿庵_外観




アベノミクスのおかげで為替と株価はデフレを脱しつつあるかのように見えるけど、
景気の向上は肌で感じられないよねー。

「長寿庵」のある飯能銀座通り商店街も、
ご多分にもれず、ぽつぽつとシャッターを閉じた店が目につく。

オイルショックも、一億総グルメ化も、バブルの崩壊も、リーマンショックも
ひたむきに乗り越えて、庶民の胃袋を満たしてくれてきた店には、
なくなってほしくないな、って心から思う。

OMUNAOさんが表現するオムライスは、なつかしくて、ふわふわしてて、わくわくするような
“しあわせ” みたいな食べ物だ。

そうか、「長寿庵」なら、この先の時代も乗り越えて行けるはずだよね。
だって、でっかいオムライスがあるんだから。



020長寿庵_ナプキン



『長寿庵』
埼玉県飯能市仲町7-28
042-972-3596
11:00~20:00(L.O.)
ランチ営業、日曜営業
定休日/木曜日


copyright © 2017 Powered By FC2ブログ allrights reserved.