そんな遊びは禁じよう ~『禁じられた遊び』


終戦記念日といえば、反戦映画かな。

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野口久光 作


なんだかんだで、5回目くらいかな、コレ観たの。
もう、どんな映画かってわかっていたつもりでいたんだけどなあ。

「戦争に巻き込まれて、戦災孤児になってしまった女の子の悲しいハナシ」
・・・と言えば、そりゃそうなんだけど、
それじゃ、世界の名作たるこの作品のフランス映画としての
エスプリというものがまったくないじゃんか、
というわけで、もうちょい深読みしてみた。



モンダイは、戦災孤児になってしまったポーレットが
引き取られた農家の末っ子・ミシェルと “十字架遊び” をすることだよね。
そう、“禁じられた遊び” とは、この “十字架遊び” のことなのだ。
ポーレットは5~6才、ミシェルは7~8才くらいかな。

“十字架遊び” とは、身のまわりで死んでしまった犬や虫やひよこやなんかの
お墓を作ってあげることなんだな。
二人は、大人に内緒で水車小屋に、十字架を立てたお墓をどんどん作っていく。

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ポーレットは、生き物の死というものをまだよくわかっていないようだ。
まだ幼児だし、都会のパリで無菌培養的に育ってきたんだな。
田舎道を一人で歩いている時に、死んだまま抱きかかえていた子犬を
土に埋めて十字架を立ててやることで、愛する者との別離と自分の悲しい気持ちに
決着をつけることをミシェルから学んだ
ばかりなのだ。

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両親が道端でドイツ軍機の機銃掃射で死んだのはそれより少し前だったので、
どうしたらいいのかわからず、両親の体をそのままほったらかしてきてしまった。
だから、ポーレットはお墓を作ってあげる、ということに執着してしまっているのだ。
言ってみれば、ポーレットにとって十字架を立てることは、両親への愛なのだ。



ミシェルは、川べりで佇んでいたところを見つけた時から
ポーレットが大好きになっていた。
同じくらいの歳の友達や年下の子が身のまわりにいないのと、
パリジェンヌのポーレットがとっても素敵に見えたせいなんだろうな。

ミシェルは、ポーレットがとても喜ぶもんだから、
十字架づくりや墓づくりに夢中になる。
そう、ミシェルにとって十字架を立てることは、ポーレットへの愛なのだ。
だから、それがどんどんエスカレートして、
十字架を町の墓場や教会から盗むようになるし、
わざわざ虫やひよこやを殺してまで墓を作ろうとするようになる。




僕は、この映画がいいたいことの一つ、いやとても重要なメッセージが
ここにあるんだと思うんだよ。
ミシェルは結果、ポーレットを愛しているがゆえに、
他者を殺し、神をも冒涜しているんだよな。
ミシェルにとって、誰かが死に、墓に埋めて、十字架を立てることが
愛の証
になっているんだな。
何と言う皮肉。

村上龍さんの古いエッセイか何かに、
「地球上から女がいなくなれば、戦争はなくなる」って書いてたけど、
まさか、この映画を観てそう思ったんじゃないだろうなあ。

「愛は、たくさんの犠牲の上に育まれる」って、
似たようなフレーズをよく聞くけど、いやいや、
僕が言いたいのは男女の愛のことではなくて、
国や同邦人に対する愛、ナショナリズムみたいなもの。

つまり、自ら(自国)を愛すれば愛するほど、
他者(他国)により多くの犠牲を強いることになる、
神をも冒涜することになる。

そんな、ジレンマというか戦争の本質みたいなものを
この映画は描いているんだろうな、ということ。

そうだよな、自国の土地や文化や宗教や民を愛するがゆえに
指導者って戦争をやらかすもんなんだよなあ。
マジで、愛こそがすべてのいざこざの元なのかものかもしれないなあ。
「LOVE&PEACE」なんて、儚いものだからこそ標語になるのかもなあ。



戦争は、“十字架遊び” 。
誰か禁じてくれる大人はいないもんだろうか。

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●禁じられた遊び(Jeux interdits)
1952 フランス
上映時間:87分
監督:ルネ・クレマン
製作:ポール・ジョリ
原作:フランソワ・ボワイエ
脚色:ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト、ルネ・クレマン
台詞:ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト、フランソワ・ボワイエ
撮影:ロベール・ジュイヤール
編集:ロジャー・ドワイア
音楽:ナルシソ・イエペス
セット:ポール・ベルトラン
配給:東和
出演:ブリジット・フォッセー、ジョルジュ・プージュリー、リュシアン・ユベール、
   ジュザンヌ・クールタル、ジャック・マラン、ロランス・バディー、アメデー、
   ルイ・サンテーブ、ピエール・メロヴィー、アンドレ・ワスリー ほか
受賞:第25回(1952年)アカデミー賞 名誉賞受賞(いまの外国語映画賞)
   第7回(1953年)英国アカデミー賞 総合作品賞受賞
   第13回(1952年)ヴェネツィア国際映画賞 金獅子賞受賞
   第18回(1952年)NY批評家協会賞 外国映画賞





♪ Romance Anónimo/ Narciso Yepes




真夏の夜に、冷えすぎない涼をどうぞ 3/3


◆クリーピー 偽りの隣人(Creepy)

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2016 日本
上映時間:130分
監督:黒沢清
脚本:黒沢清、池田千尋
原作:前川裕『クリーピー』
製作総指揮:大角正
エグゼクティブプロデューサー:黒田康太
プロデューサー:深澤宏、住田節子、赤城聡、石田聡子
撮影:芦澤明子
照明:永田英則
編集:高橋幸一
美術:安宅紀史
装飾:山本直輝
録音:島津未来介
音効:柴崎憲治
音楽:羽深由理
音楽プロデューサー:高石真美
スクリプター:柳沼由加里
助監督:海野敦
ラインプロデューサー:山田彰久
プロダクションマネージャー:小松次郎
製作会社:「クリーピー」製作委員会(松竹、木下グループ、
     アスミック・エース、光文社、朝日新聞社、KDDI)
制作会社:松竹撮影所
配給:松竹、アスミック・エース
出演:西島秀俊、竹内結子、川口春奈、東出昌大、香川照之、
   藤野涼子、戸田昌宏、馬場徹、最所美咲、笹野高史 ほか
受賞:第90回キネマ旬報ベスト・テン(2017年)
   ・日本映画ベスト・テン第8位
   第71回毎日映画コンクール
   ・男優助演賞、監督賞、撮影賞、美術賞、録音賞 ノミネート
   第66回ベルリン国際映画祭 正式出品作品
   第40回香港国際映画祭 クロージング上映作品


クリーピーって、どういう意味?

不意を襲われて、心臓がドキッとするようなことは、ほとんどないなあ。
不穏な予兆のせいで、恐怖が忍び寄るというのもないかあ。
予測のつかない展開で、次々と謎が明かされていくおもしろさ
というのもないなあ。
最初からバレバレだもんな。
凍り付くような結末、ということもないわさ。

じゃ、何がコワいんだよ、ってことになるけど、
それはずばり、香川くんの演技だよなー。
これは、コワい!

タイトルの “クリーピー” というのは、Google 翻訳で調べると
creepy = 不気味 っていう意味だな。
うんうん、香川くん、超不気味!

香川くんが好きとか、香川くんって演技すごいよね、
って思っている方なら、必見だなー。

なんせ、この映画を観た「ニューヨーク・タイムス」のマノーラ・ダーギスという記者(?)が
今年の1月に香川照之を「第89回アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされるべき5人」
の1人に選出した
というくらいなんだから。
https://www.nytimes.com/interactive/2017/01/06/movies/critics-oscar-nominees.html?_r=0

情性欠如した性格異常」っていうの?
常に飄々としていて、恐ろしいことをつらーっとやっちゃうんだよな。
ニコニコしていても、異常さ、不気味さが常に彼のまわりに漂っている、って感じ。
そりゃもう、すごい!



元刑事、いま大学で犯罪心理を教える教授をやっている高倉は、
夫婦で新居に引っ越してきた。

お隣の西野さんへあいさつに行ったら、
なんだかいやーな感じの男が出てきた。
こちらの言うことにいちいち否定的だし、ハナシが噛み合わない。
怒っているのか、好意的なのか、態度もコロコロ変わる。

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その男が一人で住んでいるのか、と思っていたら、娘もいたのだ。
ある日、その娘が高倉家へ飛び込んできた。
「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です」

そう、香川くんは西野という名前ではなかったのだ。
ご近所の老人夫婦に聞けば、西野宅は10年くらい前に引っ越してきたんだけど、
しばらく前から、奥さんの姿を見なくなったとのこと。

娘の苗字は紛れもなく、西野だ。
じゃ、そのコの父母はどこへ行ったの?
さらには、高野の妻はどこに行ったんだ?!

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高倉は、犯罪心理学者として、警視庁刑事の後輩と
8年前の「日野市一家3人失踪事件」の捜査を続けていた。

ある家の家族4人のうちの3人が失踪したままの事件だけど、
残された娘のあいまいな証言から、
高倉は、その家の隣の水田という男がその3人の失踪に関わる
犯人ではないかと睨んでいた。
「家族3人が失踪する前日に、水田がウチを眺めていた」と
残された娘が証言しているのだ。
しかし、いまはその水田家の住人も行方不明だから埒が明かない。

ところがある日、その水田家の中から、
失踪したと思われていた3人と水田家の夫妻2人が、
遺体で発見された
のだ。

え? じゃ、水田を名乗っていた男はいったい誰?
どこへ行ったの?

高倉はある時、この事件の被害者の家と水田家の配置が
いまの自分の家と西野家の配置がそっくり
なことに気づく。

被害者宅(3名不明、娘1名生き残り) = 高倉宅(高倉夫妻)
水田宅(被害者3名の遺体+水田家2名の遺体+行方不明のニセ水田1名)
 = 西野宅(行方不明の西野夫妻+西野娘+ニセ西野1名)

・・・高倉夫妻は、遺体になるということか。
行方不明のニセ水田とニセ西野は、同一人物なのか?




原作は前川裕氏の第15回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
Wikiを読むと、ホントはかなり複雑なストーリーみたい。

映画は、だいぶんシンプルに端折ってあって、
しかも、リアリティと言う意味では、納得のいかないところが
いくつかあるんだけど、まあいいか、って感じ。

だって、ちょっとくらいの不具合なら、
香川くんの演技が全部ふっとばしてくれるしぃ。

★個人的クオリティ度 6.0点
★個人的好きだなあ度 9.0点






♪ On The Road Again (Alternate Take) / Canned Heat





♪ 潮の香り / オフコース





♪ ドライブ / ケツメイシ




真夏の夜に、冷えすぎない涼をどうぞ 2/3


◆ザ・ギフト(The Gift)

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2015 アメリカ
上映時間:108分
監督:ジョエル・エドガートン
脚本:ジョエル・エドガートン
製作:ジェイソン・ブラム、レベッカ・イェルダム、ジョエル・エドガートン
撮影:エドゥアルド・グラウ
編集:ルーク・ドゥーラン
音楽:ダニー・ベンジー、ソーンダー・ジュリアーンズ
製作会社:Blumhouse Productions、Blue-Tongue Films
配給:STXエンターテインメント(米)、ロングライド/バップ(日)
出演:ジェイソン・ベイトマン、レベッカ・ホール、ジョエル・エドガートン、
   アリソン・トルマン、ティム・グリフィン、ビジー・フィリップス、
   アダム・ラザール=ホワイト、ボー・ナップ、ウェンデル・ピアース ほか
受賞:第48回シッチェス・カタルーニャ国際映画祭
   ・最優秀男優賞受賞(ジョエル・エドガートン)


ギフトって、どういう意味?

ジョエル・エドガートンの長編初監督、脚本、製作、出演!
ジョエル・エドガートンといえば、『スター・ウォーズ エピソード2』や
『スター・ウォーズ エピソード3』、『ウォーリアー』、『エクソダス:神と王』
などの役者だよね。
『ジェーン』の脚本もやってんだね。
へぇー、多才なんだねー。

この映画は、Wikiによると、サイコ・スリラーということに
なっているみたいだね。

「スリラー」というと、「ミステリー」と似た意味で、
映画・ドラマの世界では、「謎が謎を呼び、それが少しずつ解かれていく」系
の物語のことを言うんだそうだ。

でも、「ミステリー」は最後に事件解決的に謎が解明されるのに対し、
「スリラー」は最後まで謎が解明されないか、
最後に謎は解明しても、最後まで事件や問題が解決しない
もののことを
言うんだってさ。

で、「サイコ」は「心理」だから、「謎が解明されていく度、そぞーっとする映画」
というわけだ。がははー

でも、「ホラー」でも「オカルト」でもないから、
血や内臓が飛び出すような惨殺とか、突然驚かされる恐怖とか、
オバケの恐怖の映画ではないよ。
あくまで、ぞぞーっ。

ジョエル・エドガートン氏は、役者としてはフィジカル系がほとんどで、
コレ系の映画に出たことなかったと思うけど、
ご本人はこういうの好きなんだろうなー。

だってさ、すごく良くできたハナシなんだもんな。
やー、これはなかなかの名作だと思う。



ある幸せそうな夫婦がいて、夫の故郷に引っ越してくるんだな。
たしか、夫はIT系の事業に成功していて、新居もご立派。

ある日、二人で買い物かなんかに出かけた先で、
夫の高校時代の同級生にパッタリと出会う。
故郷なんだから、そういうこともあるわなー。

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後日、その同級生から高そうなワインが引っ越し祝いとして届けられる。
聞くところによると、アメリカあたりではディナーとかで招かれた時に
一緒に飲む酒を持って行ったりすることは稀にあるけど、
引っ越し祝いということで高価な贈り物を届けたりするようなことは
あまりなくて、あったとしたらそれはとっても粋なことか、
とっても奇異なことらしいんだな。

夫婦、特に奥さんのほうは、そのとっても粋なほうと受け止めて
すっかり気を良くして、彼を夕食に招く。
それからというもの、その旧友はちょくちょく高価な贈り物を
持って来るようになるんだな。
しかも、旦那のいない間に家までやってきて。

そう、だんだん不気味になってくる。
そう、この作品もこの “だんだん” というのが秀逸なんだなー。
サイコだよ、スリラーだよー。

で、奥さんは、旦那の高校時代からの親しい友人だし、
贈り物をくれるしということで好感を深めていくんだけど、
旦那のほうは妙に嫌っているところがミソなんだな。

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この映画が文脈の点で優れているのは、
何かをくれる人が不気味だというところにあると思う。
フツーこのテの映画は、破壊するとか、殺すとか
何かを “奪う” 人が不気味だからだ。
新しい!
もうそれだけで、「んー、いいね、いいね」って見入ってしまうわさ。

それから、ジョエル・エドガートンが演じる “贈り物男” に対する
自分の気持ちが、ハナシの途中からガラッと180度変わってしまう
のもおもしろかった。
ヒトって、状況によって思い込みがコロコロ変わるもんなんだねー。

そして、あのエンディング!

ギフトって、「贈り物」という意味の他に、
「神様からの授かりもの」という意味があるんだねー。
この映画を観た人には、それがどういう意味か、わっかるかなー?

★個人的クオリティ度 9.0点
★個人的好きだなあ度 8.5点






♪ Everyone's Gone To the Movies / Steely Dan





♪ Any World (That I'm Welcome To) / Steely Dan




真夏の夜に、冷えすぎない涼をどうぞ 1/3


◆インビテーション(The Invitation)

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2015 アメリカ
上映時間:100分
監督:カリン・クサマ
脚本:フィル・ヘイ、マット・マンフレディ
製作:マーサ・グリフィン、マット・マンフレディ、フィル・ヘイ、ニック・スパイサー
撮影:ボビー・ショア
編集:プラミー・タッカー
衣装:アリーシャ・レイクラフト
音楽:セオドア・シャピロ
音楽監修:ランドール・ポスター
配給:アットエンタテインメント
出演:ローガン・マーシャル=グリーン、タミー・ブランチャード、ミキール・ハースマン、
   エマヤツィ・コーリナルディ、リンジー・バージ、マイク・ドイル、
   ジェイ・ラーソン、ジョン・キャロル・リンチ ほか
受賞:シッチェス・カタロニア国際映画祭
   ・グランプリ受賞
   ストラスブール・ヨーロピアン・ファンタスティック映画祭
   ・審査員賞受賞


インビテーションって、どういう意味?

巷では評価が低いみたいだけど、なんでよー?
こりゃ、おもしろいよ。

サイコ・ホラーというやつだな。
まあ、たしかに、家の中を中心としたワン・シチュエーションものだし、
ちょっとは血が出るけど、チェーンソーで人をズバズバ切るとか、
壁から突然手が出てくるとかないし、
恐ろしい顔をした幽霊が出てくるというわけでもないので、
刺激が少ないと言えばその通りなんだけど、
この “不穏な空気” の描き方には脱帽だなあ。



あるカップルがいて、ある日、その男のほうにディナーの招待状が届く。
2年前に別れた、元妻からだ。
実は元妻のほうも、新しい恋人と暮らしているようだ。

元夫婦は、ある辛いことがあって別れてしまったんだよ。
喧嘩別れをしたわけではないので、
お互い憎しみ合っているというようなことはなく、
元妻の身辺で、何かいい進展でもあったんだろうなということで、
元夫はいまの恋人を連れて出かけていく。

かつての我が家に着くと、そこには旧友夫婦たちも集まっていた。
全部で10人くらい集まったのかな。
別れる前にずどーんとふさぎこんでいた元妻も、すっかり明るくなっていて、
みんなは思わぬ再会を喜び、和やかなパーティが始まろうとしていた。

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でも、元夫だけはなんとなく違和感を感じ始める。
住み慣れたはずの家の感じや、旧友たち以外に招かれている人のようすが
かすかだけど変な感じなのだ。
それが、時間が経つにつれ、少しずつ確信めいてくる・・・。

そう、この “不穏な空気” こそ、この映画の優れたとこなんだよ。

でも、「なんだー、ホラー映画によくあるワン・シチュエーションものの展開じゃん、
想像通りで安っちいなあ」って僕も観ていたんだけど・・・
ところがだ・・・
ラストで、ああーーーーっ、ぞぞーーーーっ!!

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失礼だけど小品です。
A級とB級の間くらいのカルトムービーって感じ。
でも、テレビドラマの『世にも奇妙な物語』でも観るつもりで観てませ―。
そしたら、辞書で「invitation」のもう一つの意味
確かめたくなること請け合い!

★個人的クオリティ度 6.0点
★個人的好きだなあ度 9.0点






♪ 絶体絶命 / シシド・カフカ




そして家族になる ~ 『ディーパンの闘い』


6月20日は、「世界難民の日」だったんだってさ。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などが提唱して、
国際連合総会の決議で2000年12月に定められたとのこと。
2001年から毎年、世界各国で難民救済のためのキャンペーンや
イベントが行なわれているんだそうだ。



この映画を観るまで、2009年の最近までスリランカで
激しい内戦が行なわれていた
ということを知らなかったよ。

スリランカは、シンハラ人という人種が7割
タミル人というのが約2割、+その他1割で構成されている
らしいんだけど、イギリスが植民地にしていた時代には
少数派のタミル人を重用する政策をとっていたとのこと。

でも、イギリスから独立した後からは、当然、
多数派のシンハラ人を優遇した政策がとられるようになるよね。
だもんだから、1956年頃から民族間の対立が高まっていったんだと。
またイギリスの負の遺産か、って感じ。

で、1972年にはタミル人がスリランカからの分離独立をめざして
「タミルの新しいトラ (TNT) 」という反政府勢力を発足。
'75年にはそのTNTを母体とした「タミル・イーラム解放のトラ (LTTE) 」
結成して、テロやゲリラ戦などの武力活動を展開していたんだよ。

そしてとうとう、1983年に両者の虐殺合戦が勃発。
総力戦の末、2009年5月にシンハラ派政府軍が勝ったカタチで内戦が終結。
その終戦の直前の4月に、難民と化した一般のタミル人が15万人も
国を脱出
したんだそうだ。

この映画の主人公の男は、その15万人のタミル人に紛れてフランスに脱出した
元「タミル・イーラム解放のトラ (LTTE) 」の戦士という設定なんだな。
や、主人公を演じた俳優は、ホントにLTTEの戦士だった人だそうだから
設定というかなんというか。

あ、ここまで読んで、「うぇー、おもしろくなさそう」って思っているよね?
まあね。
でも、映画の内容には、スリランカとか、タミル人とかあんまり関係ないかな。
「どっかの国から逃げて来た男(家族)」の「フランスでの難民生活」、
っとだけ知ってて観ればいいんじゃないかな。
いま、ヨーロッパでいろいろ問題になっている “難民のひとつのケース”
ということだね。



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主人公の男の名前は、ディーパン。
ホントの名前じゃない
パスポートに書いてある年齢も、ホントのトシじゃない。

妻はまったく知らない女。
スリランカの港で難民船に乗る直前にあてがわれた女だ。

内戦に巻き込まれて死んでしまった赤の他人の3人家族の
パスポートを流用して、その家族構成に当てはめて
即席に夫と妻ということにされたのだ。

娘は、道端で途方に暮れていた母子家族の3人の子供のうちの
1人をもらってきた

偽物の3人家族はフランスに着いた。
長い船旅をともにしたからといって特段、仲良くなったわけではない。

偽物とはいえ、3人の身元を証明するパスポートがあるのだから、
3人くっついているのが得策に違いないのだけど、
とりあえず妻、ということになった若い女にとっては、
まんまとスリランカを脱出してしまえば、好きでもない歳の離れた男と
人数合わせのための子供なんか邪魔なだけなのだ。

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ディーパンは、内戦のとばっちりでホントの妻子を亡くしていた。
もう、民族が違うだけで相手を憎んで暴力を振るったり、
愛する人を殺されたりするのは耐えられなかった。

どんなに貧しくて、どんなにボロい住居に住むことになろうとも
今度こそは、毎日銃弾に怯えたりすることのないところで、
穏やかに生きていきたい、と願っていたのだが・・・。

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難民の暮らしは、難民になる前も、なった後も過酷だ。
この映画は、偽物の家族が、そんな暮らしの中に
ホントの愛や家族の絆を浮かび上がらせる。





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●ディーパンの戦い(Dheepan)
2015 フランス
上映時間:115分
監督:ジャック・オーディアール
脚本:ジャック・オーディアール、トマ・ビデガン、ノエ・ドゥブレ
製作:パスカル・コシュトゥー、ジャック・オーディアール
撮影:エポニーヌ・モマンソー
編集:ジュリエット・ウェルフラン
音楽:ニコラス・ジャー
製作会社:Canal+、Ciné+、フランス2シネマ、フランス・テレビジョン、
     ページ114、ホワイ・ノット・プロダクションズ
配給:ロングライド
出演:アントニーターサン・ジェスターサン、カレアスワリ・スリニバサン、
   カラウタヤニ・ヴィナシタンビ、ヴァンサン・ロティエ、
   マルク・ジンガ、フォージ・ベンサイーディ ほか
受賞:第68回カンヌ国際映画祭 / パルム・ドール
   第33回マイアミ国際映画祭 / 審査員賞
   第19回オンライン映画批評家協会賞 / 米国未公開作品賞
   第40回トロント国際映画祭 / スペシャル・プレゼンテーション部門上映







♪ 15 Step / Radiohead





♪ ムラサキ☆サンセット / キリンジ