ゆらゆら草

もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。

天才が描いた天才 ~『アマデウス』  


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あれは、'85年頃だったかな。
社会人になったばかりの頃、同業の友達とシェアハウスというか
シェアアパートしていたんだよ。
2DKの風呂付き。

当時は、バブルがふくらみつつあった時で、
学生や単身者向けのアパート事情もバブル化しつつあって、
それまで聞いたこともなかった、「ワンルームマンション」
というものの林立期だったんだな。

その当時でも、ワンルームマンションなら1部屋・月6万円
くらいしたので、2人で12万円出すつもりなら、
ワンルーム × 2より、もっと広い部屋を借りられる
んじやないか、という算段をしたんだっけ。
結局、2DKで7万円くらいのアパートを見っけ。

それに、僕らの業界、勤務時間が朝も昼も夜もなくめちゃくちゃで、
土日も祝日もへったくれもないことがわかっていたので、
「どうせ、寝に帰ってくるだけ」だから、始終顔を突き合わせて
いることもなく、「野郎二人が同居するわずらわしさもねーべ」、
という想定もあったんだな。



珍しく二人の休みが合致したある日曜日、
「映画でも観るかい?」ということに。
この同居人は、根っからの映画好きで(僕もかなりだったけど)、
ダビングしたソフトをものすごくたくさん持っていたんだよ。

で、僕は、「最近の映画で、これはオススメというのは何よ?」
って聞いたら、すかさず奴は「アマデウス」って答えたんだよ。
アカデミー賞の部門賞をいくつも受賞した作品だから、
僕も少しは内容を知っていたんだけど、
「え、やだなー」って気持ちが湧いたっけ。

だってね、子供の頃に『マクベス』かなんかを観て、
ものすごくつまんなくて、トラウマになっていたんだな。
それからというもの、ヨーロッパの中世とか近世とかの、
あの華美な服装にくるくるカールしたカツラをかぶって、
貴族とか王妃とかが出てくる物語には近づかないように
してた
んだよ。(笑)

ところが奴は、「そういう古典的なハナシじゃないよ。
めっちゃおもしろいから、絶対観てみろ」
と言う。
それでなくても、忙しくて貴重な休みの時間を “ハズレ” に
費やすのはもったいないと思ったんだけど、
「映画好きのコイツが言うんだから」というわけで、
半信半疑のまま観たんだったなー。

ところがこれが確かに、めっちゃおもしろかったんだよ。

くるくるカールのヅラや皇帝とかが出てくる映画への
イメージがいい方へ変わったのはもちろん、
それまで、何を言っているのかわかんなくて全然興味が
湧かなかったオペラへのイメージも変わったし、
“モーツァルトの謎の死” についての興味も湧いたしで、
人生観とか世界観というと大袈裟だけど、
少なくとも映画の好みの幅は広がったんだなー。



それまでの僕は、小学校の時に買ってもらった百科事典の
付録についていたレコードの「モーツァルトのセレナーデ
(アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク)」くらいしか知らなくて、
モーツァルトといえば皇帝お抱えの宮廷音楽家
とくらいしか認識していなかったんだけど、
この映画を観て全然イメージが変わってしまったんだよ。

映画なんでそこそこの “盛り” もあるだろうから、
鵜呑みにするのは危険に違いないだろうけど、
劇中に描かれたモーツァルトは、まるで「パンクロッカー」
だったんだよ。


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知的で端正な顔立ちをして、きらびやかな貴族の世界で、
美しい音楽を華麗に創り続ける姿という想像とはまったく違ったね。
そりゃ、時代が生んだ天才音楽家には違いないんだけど、
宮廷音楽家というイメージとはだいぶん違うと感じたなー。

常に新しいメロディや歌劇表現を追い求めるあまり、
常に古い考え方やタブーに対抗する、反抗的なミュージシャン
まるで、パンクとかプログレ、グラム、ロキシー、オルタナ
なんかの創始者みたいな。

その上、この映画の美しさといったらないぜ。
名優の演技のすばらしさを最大限に引き立てる衣装、
美術・セット、ロケ、カメラワーク、そしてもちろん音楽・・・
なんてすごい作品なんだろう、って震えたねー。

昔の同居人の受け売りだけど、まだ観ていないのなら、
「絶対、観てみろ」って言いたいな。


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『時よとまれ、君は美しい/ミュンヘンの17日』、
『カッコーの巣の上で』、『ヘアー』、『ラグタイム』、
『ラリー・フリント』、『マン・オン・ザ・ムーン』、
『宮廷画家ゴヤは見た』・・・
なんて偉大な映画監督を失ってしまったんだろう。

チェコ出身、アメリカ国籍。
両親をアウシュビッツで亡くす。
親戚や友人の家を転々としながら、プラハの国立映画学校を卒業。
米国アカデミー監督賞2回受賞。
『アマデウス』では、アカデミー8部門を独占。

2018年4月13日没。
享年86歳。
Requiescat in Pace - ミロス・フォアマン


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●アマデウス(Amadeus)
1984 アメリカ
上映時間/158分、180分(ディレクターズ・カット版)
原作/ピーター・シェーファー
監督/ミロス・フォアマン
脚本/ピーター・シェーファー
製作/ソウル・ゼインツ
製作総指揮/マイケル・ハウスマン、ベルティル・オルソン
音楽/ジョン・ストラウス、ネビル・マリナー
撮影/ミロスラフ・オンドリチェク
編集/マイケル・チャンドラー、ネーナ・デーンヴィック
プロダクション・デザイン/パトリツィア・フォン・ブランデンスタイン
特殊メイク/ディック・スミス
衣装/テオドール・ピステック
配給/オライオン・ピクチャーズ(米)、松竹富士(日)
出演/F・マーリー・エイブラハム、トム・ハルス、エリザベス・ベリッジ、
   ジェフリー・ジョーンズ、チャールズ・ケイ、パトリック・ハインズ、
   ロデリック・クック、ジョナサン・ムーア、ロイ・ドートリス、
   リチャード・フランク、サイモン・キャロウ、ニコラス・ケブロス、
   クリスティン・エバソール、バーバラ・ブリン、シンシア・ニクソン、
   ヴィンセント・スキャヴェリ、ケニー・ベイカー、ケネス・マクミラン ほか
受賞/第57回アカデミー賞
   ・作品賞:ソウル・ゼインツ
   ・監督賞:ミロス・フォアマン
   ・主演男優賞:F・マーリー・エイブラハム
   ・主演男優賞(ノミネート):トム・ハルス
   ・脚色賞:ピーター・シェーファー
   ・撮影賞(ノミネート):ミロスラフ・オンドリチェク
   ・編集賞(ノミネート):マイケル・チャンドラー、ネーナ・デーンヴィック
   ・美術賞:カレル・サーニー、パトリシア・フォン・ブランデンスタイン
   ・衣装デザイン賞:テオドール・ピステック
   ・メイクアップ賞:ディック・スミス、ポール・ルブランク
   ・録音賞:トム・スコット、クリス・ニューマン、マーク・バーガー、
        トッド・ボークルヘイド
   第9回 日本アカデミー賞(1986年)
   ・外国作品賞
   第42回 ゴールデングローブ賞(1985)
   ・最優秀作品賞(ドラマ部門)
   ・最優秀主演男優賞(ドラマ部門):F・マーリー・エイブラハム
   ・最優秀助演男優賞:ジェフリー・ジョーンズ
   ・最優秀監督賞:ミロス・フォアマン
   ・最優秀脚本賞:ピーター・シェイファー





♪ Andante in C major, K.1a / Wolfgang Amadeus Mozart





♪ Menuett G dur kv.1e, 1f / Wolfgang Amadeus Mozart





♪ "Queen of the Night" aria from "The Magic Flute" by Mozart / Maria Callas









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まっ白な恋、見っけー ~『真白の恋』  


たとえば、電車の中で席を譲る時、とても悩むんだよなあ。

高齢の人やケガ人、妊婦さんなんかがそばにいれば、
僕は、自分が立ってられないほど疲れているとか、
ぶっ倒れるほど具合が悪いとか、ケガしてるとかでもない限り、
間違いなく席を譲るんだけどさ。

でもさ、この時に、
「この人はそもそも座りたいんだろうか?」とか
「座りたいんだろうけど、僕の譲り方が大袈裟だったりしたら
座りたくなくなるんじゃないか?」、
「僕の態度があまりに同情めいていて、逆に相手をバカにしている
ように見えるんじゃないか?慇懃無礼というやつではないか?」
・・・なんてことが頭に浮かんじゃう。
純粋に席を譲りたいだけなんだけどね。

それから、横断歩道なんかで、白杖を突いている人や
車椅子に乗っている人に、「一緒にわたりましょうか?」
なんていう時。

「僕の態度は、相手に同情しすぎていて、
余計なお世話だと相手を怒らせるんじゃないか?」
って、余計なことを考えてしまう。

逆に、「一緒にわたりましょうか?」って問いに、
手を振り払って「いいです(不要)」と無下に断わられたりすると
「おーわかった、一人で生きろ」なんて、
まったくひどい気持ちが湧いたりもする。

車椅子の人と狭い道やスーパーなどですれ違う時に、
<どかんかいワレ>って態度をとられたりすると、
「それって、人としておかしいんじゃないか?
ハンディキャップを楯に、いい気になり過ぎじゃないか」
って気にもなる。
始めから、喜んで道を譲ってやろうと思っているがゆえに。



つまり、何が言いたいかというと、
ハンディキャップのある人を思いやるのはとても難しいな、
ということ。

思いやりに過ぎれば逆に失礼、
思いやりに欠ければヒトデナシ
でしょ。

相手にハンデがある分、
その分についてはあたりまえにヘルプしたうえで、
僕はただ、フツーの人と同じように、やさしくしたり
厳しくしたり、仲良くしたり喧嘩したりしたいんだよ。

思いやりに欠けず、思いやり過ぎず、自然にヘルプ。
でも、ハンデを思いやる分以外は、
ハンデのある人もない人もない、ただの人として接したい。

でも、これって難しくない?
まあ、自分の気持ちの問題なのかも知れないけど。



ハンディキャップのある人は、「恋」をできるのだろうか?

健常者が障害のある人を慕う気持ちは、
どこまでが愛情で、どこまでが「同情」なのか?
何の濁りもない “まっ白な” 好意を寄せることができるのか?


反対に、障害のある人が健常者を慕う気持ちは、
どこまでが愛情で、どこまでが「甘え」なのか?

・・・なんて不確かなものが生じて、
どうしても「純粋な恋」は難しそうな気がするよねぇ。
「障害のある人」というだけで、心に、
真意がわかりにくくなるフィルターかかってしまう。


でも、この映画ではそれを見事にやってのけているんだなー。
主人公の女子は、軽度の脳障害のあるコなんだけど、
「同情」や「憐憫」や「甘え」なんかのの濁りのない、
まっ白な恋をする。

原作・脚本の北川亜矢子さんは、
障害のある人に、フツーの女の子と同じ恋をさせた
んだよ、
物語の設定をうまいこと考えて。

“そうか、これこそがまっ白な純粋な恋なんだ”
って、目からウロコと涙が落ちたよ。

それで、よくよく考えてみたら、
「そうか、これって健常者だって同じじゃないか」
って思ったね。

純粋な恋をしたいなら、
純粋な恋をするのにとてもやっかいな邪魔もの、
それをどう取っ払うか
がモンダイなのさ。
ハンデがある人もない人もおんなじ。
だって、健常者だって人それぞれ、
ある意味たくさんのハンデを持っているんだから。

でも、取っ払えるのか?
んー、難しいだろーなー。
カントの言う「純粋理性」ってやつだな。

それを結局取っ払えないから、
恋はひとときの夢物語であり、儚いのだ。
それが純粋であればあるほど、ますます儚くなる。

え、ナニ言ってんのかわかんない?
じゃ、観てみようねー。



“東洋のベニス” 富山県の射水市でのオールロケ。
雪の街の風景が、ものすごく美しい!



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●真白の恋(ましろのこい)
2017 日本
上映時間/97分
原作/北川亜矢子
監督/坂本欣弘
脚本/北川亜矢子
脚本協力/上原三由樹
撮影/山田笑子
編集/穂垣順之助
照明/市来聖史
美術/中居崇
録音/山田義昭、山岸亮、大上戸里沙、石川雄士
衣装/narumi
メイク/幸田恵、田近香織理、今家真美、高森真美子
音楽/未知瑠
助監督/佐伯龍蔵、米倉祐依
制作/牧野孝彬、土井珠見、木寺彩乃、松井貴子
メイキング/市野祐子
制作プロダクション/sagan pictures
配給/エレファントハウス
出演/佐藤みゆき、岩井堂聖子、福地祐介、長谷川初範、山口詩史、
   杉浦文紀、及川奈央、村上剛基、内田もも香、深川格 ほか
受賞/第二回新人監督映画祭(2015)
   ・コンペティション・長編部門 出品
   TAMA CINEMA FORUM(2015)
   ・ある視点部門 出品
   なら国際映画祭2016
   ・~インターナショナルコンペティション~ 観客賞
   福井映画祭11th(2017)
   ・長編部門 観客賞(グランプリ)
   あきた十文字映画祭(2017) 第26回
   ・上映作品







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キミの余命はどれくらい? ~『君の膵臓をたべたい』  


よくある、高校生恋愛もの。
でも、僕は不覚にも泣いてしまった。

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二人の男子女子がいて、その片いっぽうが余命数カ月という
ことがわかってから始まる恋のハナシなんだな。


ふたりの時間はあと少ししかないがゆえに、
つかずはなれずのもどかしさが妙に胸にキュンキュンくる。
そして、最後に恋人が亡くなってしまって、泣かされる。
はい、よくあるパターンでしょ。

でもね、この作品は『セカチュー』みたいな昔からある
「恋人が死んでしまってわかる愛の深さ」的な映画とは
少し違うんだな。
絶妙なスパイスが振りかけてあって、ちゃんと
“いまだから泣ける” 作品に仕上がっていると思うんだよ。



主人公の女子は、クラスの明るく楽しいグループの中心的な存在。
一方、男子のほうは、グループだとか友達だとかクラブ活動とか
人づきあいのわずらわしさが嫌いで、本だけが友達のぼっち少年。
まったく正反対の二人。

その二人が突然、ただの同級生から友達、友達からから恋人へと
なろうとするんだよ。
そう、なろうとしていくところがキュンキュン部分。

そうそう、その正反対なキャラがくっつこうとするところが
このハナシのミソなんだなー。



この映画はね、たぶん、"いじめ" とか "ぼっち" のことを
取り上げたハナシ
なんだろうね。
そのせいで、ただの「恋人が死んでしまう映画」ではなくて、
人を大切に思う気持ちを持つ喜びや、生きてることのうれしさ、
つまり、人が孤独から逃れて「希望」を持つことを
教えてくれるような作品になっているんだろうと思うんだよ。

主人公の女子は、クラスの明るく楽しいグループの
中心的な存在であっても、孤独だったのだ。
たくさんの友達がいても、毎日、おもしろおかしいことばかり
の上っ面のつきあいで、逆に孤独だったのかもしれない。
ホントに人を好きになったり、思いやったりしたことがないんだな。

かたや男子の方も、ぼっちなんだから友達とつきあう楽しさはもちろん、
異性でも同性でも、ホントに人を好きになったことなんて
これっぽっちもないに決まってる。

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ヒトの愛情というものが、
質も量も最大値は一定(= 1)であると仮定
するならば、
それを分子にもってきて、友達といつも群れている彼女の愛情は
「1/多数(たすうぶんのいち)」
でできているんだろうな。
自分の持てる愛情を、友達の人数で割ってみれば、
1人あたりの愛情がわかるでしょ?
友達がたくさんいればいるほど、少なくなる。

彼のほうはというと、「1/1(いちぶんのいち)」なんだろう。
しかも、分母も分子も「自分自身」。(笑)

この二人が、分母を「1」にしようとする
しかも、自分自身ではなくて、特定の異性の相手で
そうして二人の愛情を合わせると、「2/1」= 2 ってことになって、
「1/1」よりいいね、ってわけだよね。

要するに、
彼女は、多数分配型の愛情を「一点集中型」に、
彼は、自分への「一点集中型」を相手への「一点集中型」に

死んでしまう前に、変えようとするハナシなんだよ。

「そんなもん、恋愛なんだから、男女の1対1に決まっているだろ」
なんて言わんといてーな。
"群れていても孤独" だった女子と "ぼっちで孤独" な男子のという
設定なんだからさ。

だから、僕がエンディングで感じたことは、
「恋することってすばらしいことだなあ」ということよりも
「人の幸せや孤独って、数で決まるもんじゃないんだな、
質なのだ。ホントに心を許せる人がひとりでもいるか、
ってことなんだなあ」
ってこと。
んー、だからベタな恋愛ものとはちょっと違う感じが
したんだよなあ。

これは、前にも同じような感想を持ったことがあったっけ。
そうそう、重松清さんの『きみの友だち』。

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それから、不幸にも病気で早く死ぬ人と、
フツーに長生きする人とどちらが幸せか?

なんてことも考えたなあ。

時節柄、
日常生活でハンデを抱えながらもパラリンピックで
金メダルをとる人と、フツーに長生きする五体満足な人は
どちらが幸せなのか?
なんてことも。

誤解を恐れず言えば、
たまたま、自分の命が短いことがわかった人とか、
たまたま、不運に見舞われて体が不自由になってしまった人とかは、
ネガティブなことがきっかけではあっかもしれないけど、
たまたま、健常者より少しばかり早く
「ホントの恋や愛をしたり、何かに一所懸命打ち込んだり、
いろんなことを大切にしっかり感じて生きることこそが、ヒトの幸せ」
であることを知った人
なんじゃないかな。

とにかく、想い残しのないようにひたむきに生きるのが幸せ
というもんじゃないのか?

だって、余命宣告をされていない僕らは、
たまたま余命がちょっとばかり長いだけで、
いま体が不自由でない僕らは、
たまたままだ不自由でないだけなんだから。

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原作は、住野よるさんの小説。
監督は、『黒崎くんの言いなりになんてならない』、
『君と100回目の恋』の月川翔
脚本は、『僕等がいた』、『奇跡のリンゴ』、
『カノジョは嘘を愛しすぎてる』、『ホットロード』、『アオハライド』、
『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』、テレビの『カエルの王女さま』、
『嫌な女』、『わろてんか』の吉田智子

スターダスト・プロモーションの肝いり作品だけど、
いいものはいいわー。





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●君の膵臓をたべたい(君の膵臓をたべたい)
2017 日本
上映時間/115分
原作/住野よる『君の膵臓をたべたい』
監督/月川翔
脚本/吉田智子
撮影/柳田裕男
美術/五辻圭
録音/久野貴司
照明/加藤桂史
編集/穂垣順之助
音楽プロデューサー:北原京子
音楽/松谷卓、伊藤ゴロー(追加編曲)
主題歌/Mr.Children「himawari」
助監督/二宮孝平
製作/市川南
企画・プロデュース/臼井央、春名慶
プロデューサー/神戸明
製作総指揮/山内章弘、上田太地
共同製作/村田嘉邦、戸塚源久、弓矢政法、山本浩、髙橋誠、吉川英作、
     細野義朗、荒波修、林誠、清水美成
ラインプロデューサー/阿久根裕行
製作担当/濱崎林太郎
プロダクション統括/佐藤毅
オリジナル・サウンドトラック/WARNER MUSIC JAPAN
制作会社/東宝映画
製作会社/「君の膵臓をたべたい」製作委員会(東宝、
     博報堂DYミュージック&ピクチャーズ、双葉社、
     ジェイアール東日本企画、博報堂、KDDI、日本出版販売、
     トライストーン・エンタテイメント、S・D・P、
     東急エージェンシー、GYAO、トーハン)
配給/東宝
出演/浜辺美波、北村匠海、大友花恋、矢本悠馬、桜田通、森下大地、
   上地雄輔、北川景子、小栗旬 ほか
受賞/第41回日本アカデミー賞
   ・優秀作品賞
   ・優秀脚本賞 吉田智子
   ・新人俳優賞 浜辺美波、北村匠海
   ・話題作品賞
   第30回日刊スポーツ映画大賞
   ・新人賞 浜辺美波
   第42回報知映画賞
   ・新人賞/浜辺美波、北村匠海







♪ himawari / Mr.Children







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近頃なぜか、ちょいちょい観てた "家族もの"。
しかもこれも、サバイバル or アドベンチャー系。(汗)

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ある日突然、電気が使えなくなったー!
なぜかは、わかんない。
日本だけ?世界中?
それもかわんないけど、ま、細かいことはどうでもいいか。

しかも、コンセントなんかの電源を使えないだけでなくて、
スマホやPCなんかの充電池の電気もなくなっちゃってる!
なんでか、それもわかんない。
ま、でも、物語の流れには関係ないからいいか、
そだね~。

※ 「そだね~」の発音方法と微妙な意味合いについては、
道産子のわっしとしては、少しばっか講釈めいたことを
してみたいところだけど、ま、いつかチャンスがあれば
ということで。



・・・ということ(まったく電気がない)になったら、
どういうことになると思う?

当然、灯りは点かないでしょ?
スマホ、PC、テレビ、ラジオ、音楽プレーヤー、髭剃り、
電動ハブラシ、電気マッサージ器、炊飯器、水道、ガス、車、
冷蔵庫、トイレ、電車、飛行機、船、信号、郵便、銀行、病院、
スーパー、会社、各種証券・マネー取り引き・・・・・・・・

ほらほら、実はほとんどの地球人の文明生活は壊滅するんだねぇ。
生命を維持するための食べ物と水を、
自分で手に入れるか、物々交換することが毎日の主な仕事になる。
お金はただの紙切れと金属片になり下がるし、
ヴィトンのバックもただの物入れになって、物々交換の品物にしても
水や食べ物より価値が低いということになる。

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ヒトのメンタル面でも、恥ずかしがったり、斜に構えてたり、
ツンデレとか、デカダンだとか、好きだとか嫌いだとか、
見栄だとか、プライドだとか、かっこいいとか悪いとか
言ってる場合じゃなくなるんだなー。

コメディなんだけどね。

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そうやって、この映画を観ているうちに、
「そうか、矢口監督は、電気のスイッチを切ることで、
文明社会のスイッチを切ってしまおうと考えたんだな。
それによって、文明社会が生んだいいところと悪いところを
浮かび上がらせようとしたんだなあ」って、気付いた。

というか、誰でも気付くよねぇ、タイトル見ただけで。
そう、まあ、予定調和というか見え見えというかの
ストーリーなんだけど、でも、この作品はいいなあ、好きだわ。

ストーリーものじゃないんだよなあ、シンプル過ぎて。
小説で言えば、文体で読ませるタイプかなー。
映画の作り方が、うまいというか味があるというか。

家族ものによくある、家の中と近所と会社なんかの
狭いエリアでの世界観、とは全然違うなあ。
家族が家を出てからは、"チャリンコロードムービー"
と化すんだけど、この屋外ロケはすごいよ!

エンドロールを読んでも、
どんだけ日本のあっちゃこっちゃでロケしたんだよ!?
って感じ。
どっかのショッピングセンターを借り切るなんてあたりまえ、
高速道路を通行止めにして、借り切って撮影したりしてんだもんな。

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朝ドラの『わろてんか』とバッティングしてたのかなかったのか、
葵わかなちゃんは、いつ撮影に参加してたんだろう?
なんて、余計な心配をしてしまったよ。
役者さんはみんな(クルーもか)、肉体的にもスケジュール的
にも大変だったと思うよ。

さすが、『ウォーターボーイズ』、『スウィングガールズ』、
『WOOD JOB! 〜神去なあなあ日常〜』の矢口監督、
屋外で撮るのうまいけど、この作品はこれまでにない
スケール
だったなー。

それと、ホントに電気も、ガスも、水道も、食料もなくなった
時にどうしたらいいか、のハウツーもそろっと
紹介されている
んだよ。
役に立つ情報がもれなく付いてくる映画
こういう作り方のパイオニアは、僕が知る限りでは
伊丹十三監督なんじゃないかと思う。

社会派で、コミカルで、ドラマチックで、そしてハウツーや
僕らが知らなかったことを教えてくれる映画だったよね、
伊丹さんの監督作品って。

そういう、おもしろさも備えた映画だなこの作品は。

なんで、日本アカデミー賞とかに箸にも棒にもかからなかった
のかなあ?なんて僕なんかは思うんだけど、
んー、もう少し哲学めいたというか、教訓めいたというか、
ケレンミみたいなオチがあればよかったのかなあ?

でも、そういうメッセージがないかというとそうでもないし、
きっと、そういうことをはっきりと表現するのが
嫌いなんだろうな矢口監督は・・・
そだね~。



ところで、世の中の電気がまったくなくなったら、
なんて荒唐無稽なハナシだと思うでしょ?
でも、ホントに荒唐無稽かなあ?なんて
僕なんかは思うんだよ。

地球温暖化とか、地軸ズレとか、地球の磁気が反転する
ポールシフトとか、氷河期とか、太陽光の異変とか、
ダークマター(宇宙の未確認物質)の襲来とか・・・
トンデモ論もあるかもしれないけど、
宇宙では何が起こっても不思議じゃないのさ。

だいたい、現代のヒトの生活って、電気や磁気に
頼り過ぎていると思わない?

たとえば、4,000~5,000年前のヒトの文書って、
石や岩、貝とか竹、ぐっと短くなって劣化しにくい紙に
書かれているよね。

フツーの人や職人の手に負えない
超ハイテクな技術で作られている、
超軟弱なデバイスで再生しないといけない
DVDなんかが、5,000年後に残っているのかなあ?

そう考えると、電気や磁気ってとても危ういものな
気がするんだよ。
しかも、ヒトは完全に電気の奴隷になっているじゃん?
安全弁が一つに偏っていると、万一それがダメになると
全滅的な大参事になるっしょやー。

そんなことが起こるわけがないって思うかもしれないけど、
天変地異とか事故とかって、人智の想定外で起こるもんだよね、
津波で壊れた原発みたいに。


まあ、そんなこと言っていると、
遅れてるなあじじい、とか言われるんだろうなー、
そだね~。





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●サバイバルファミリー(SURVIVAL FAMILY)
2017 日本
上映時間/117分
監督/矢口史靖
製作/石原隆、市川南、永井聖士
エグゼクティブプロデューサー/桝井省志
企画/臼井裕詞、上田太地、小島伸夫、小形雄二
プロデューサー/小川英洋、土本貴生、堀川慎太郎
製作会社/フジテレビジョン、東宝、電通、アルタミラピクチャーズ
脚本/矢口史靖
脚本協力/矢口純子
撮影/葛西誉仁
照明/豊見山明長
美術/中澤克巳
装飾/西渕浩祐
録音・整音/滝澤修
整音/郡弘道
音響効果/岡瀬晶彦
編集/宮島竜治
音楽/野村卓史
主題歌/SHANTI「Hard Times Come Again No More」
    (編曲・プロデュース : ミッキー吉野)
VFXスーパーバイザー/石井教雄
助監督/片島章三
製作担当/島根淳
プロダクションマネージャー/前村祐子
配給/東宝
出演/小日向文世、深津絵里、泉澤祐希、葵わかな、菅原大吉、徳井優、
   桂雀々、森下能幸、田中要次、有福正志、左時枝、ミッキー・カーチス、
   時任三郎、藤原紀香、大野拓朗、志尊淳、渡辺えり、宅麻伸、柄本明、
   大地康雄 ほか







♪ 3月9日 / レミオロメン



これは卒業の歌じゃないんだよ、ホントは。


♪ ニートな午後3時 / 松原みき



この時代のニート、そのニートと意味が違うのさ。
いま、'80年代のJ-POPSが海外で流行ってるらしいねー。


♪ SKINDO LE LE / 阿川泰子







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ウチのコになって16年目のミモザ



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森から出てサルはヒトになった ~『はじまりへの旅』  


森で生活する家族のハナシ。

日本では珍しいんだろうけど、
アメリカとかではけっこういるらしいんだよね、
こういう人たち。

ダメな政治や、悪い思想、間違った社会や狂った制度、
いやなヤツひどいヤツ・・・
思えば、世の中には人がまっとうに生きていくのに
邪魔なものがたくさんだよなあ。

ぼけっとしていると、ストレスのヤイバにズタズタに
傷つけられてしまう。
アメリカあたりでは、それを避けるために
人里離れたところで家族だけとかコミュニティを作って
自給自足生活する人がけっこういるんだそうだ。
さすがは、ストレス社会の世界代表。

この物語の家族もそのクチ。
上に挙げたような、世に散乱する “人の悪意” や “社会悪” を避けて
子供たちを育てるために、森の中で暮らすことに決めた
夫婦とその子供たちのハナシなんだよ。

どういうきっかけで、そうすることにしたのかは言わない。

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森で暮らす、と言ったって、
軽井沢の別荘で暮らすのとはワケが違うわけ。
野菜は直栽培するか採取に出かけなきゃならないし、
タンパク質は家族で狩りをして、
自分たちで解体して食べなきゃならない。

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進む道に障害があれば、命がけで崖を上ったりもする。
その技術と体力を身に付けるために、命がけで訓練したりもする。
自然の中で生きるとは、そういうことなのだ。

でも、食う寝るだけなら原始人と同じだから(たぶん)、
選りすぐりの思想書や哲学書、科学の本なんかも読んじゃうし、
良質な音楽なんかも聞いたり演奏したりもする。

いやな国や、社会や、悪人、邪悪な思想や感情とおさらばして、
つまり、家族以外の人や文化と接することがなくたって、
たくましく&リッパに子供たちは育っちゃっているんだな。

ところが、あることがきっかけで、
この家族は都会に住む親戚の家へ行くことになるんだな。
そうそう、それで森の生活で不足していることが
浮き彫りになるんだよ。
この辺は、ちょっとコミカルかな。

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そう、それはほとんど生まれて初めて
自分たちと違う考えを持った人と接したり、
赤の他人と過ごしたりするということ。

それは、これまで経験することのなかったわくわくや
うきうきであるけれど、自分が傷ついたり、相手を傷つけたり
することでもあるんだよね・・・。

でもね、ヒトが生きるなんてことは、
楽しい、美味しい、気持ちいいことと一緒に、
いやなことや、辛いこと、悲しいこと、アタマにくること
とも折り合いをつけていくということだよね。
自分のあっちこっちを磨きながら、
体のあっちこっちに傷も作っていくってことだよね。

時には傷が深すぎて、ホントに早めに死んじゃう人もいるけど、
そうならない範囲で、自分のチカラでピカピカとグサグサの
バランスをとっていくってことじゃないだろうか。

傷を負わせないようにすることではなくて、
負傷が多すぎてダメになりそうな時に唯一助け合えるのが
家族なんだろうな。

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●はじまりへの旅(Captain Fantastic)
2016 アメリカ
上映時間/119分
監督/マット・ロス
製作総指揮/ニミット・マンカド、デクラン・ボールドウィン
製作/モニカ・レヴィンソン、ジェイミー・パトリコフ、シヴァニ・ラワット、
   リネット・ハウエル・テイラー
製作会社/Electric City Entertainment、ShivHans Pictures
脚本/マット・ロス
撮影/ステファーヌ・フォンテーヌ
編集/ジョセフ・クリングス
音楽/アレックス・サマーズ
音楽監修/クリス・ドーリダス
美術/ラッセル・バーンズ
衣装/コートニー・ホフマン
配給/Bleecker Street(米)、松竹(日)
出演/ヴィゴ・モーテンセン、フランク・ランジェラ、キャスリン・ハーン、
   スティーブ・ザーン ほか
受賞/富川国際ファンタスティック映画祭
   ・Save Energy, Save Earth Film Award
   カンヌ国際映画祭
   ・「ある視点」部門 監督賞/マット・ロス
   Deauville American Film Festival
   ・観客賞
   ・審査員賞
   IndieWire Critics Poll
   ・主演男優賞/ヴィゴ・モーテンセン
   Karlovy Vary International Film Festival
   ・観客賞
   Nantucket Film Festival
   ・観客賞 第2位
   Rome Film Festival
   ・BNL People's Choice Award
   サンディエゴ映画批評家協会賞
   ・主演男優賞 次点/ヴィゴ・モーテンセン
   サテライト賞
   ・主演男優賞/ヴィゴ・モーテンセン
   Seattle International Film Festival
   ・Golden Space Needle Award for Best Film







♪ 桜・咲くころ / 押尾コータロー







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