ゆらゆら草

もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。

菓子屋の蕎麦は、新しい伝統の味 ~ 『蕎彩庵』  



埼玉県西部で、すごくうまいと評判の蕎麦屋が4軒あると言われていた。
比企郡鳩山町の『満作』、川越市霞ヶ関の『みかあさ』、
坂戸市の『信楽庵』、同じく坂戸市の『蕎彩案』だな。
埼玉西部には、他にもたくさんうまい蕎麦屋があるけど、
この4軒とはいわゆるニューウェーブ系のことだね。

鳩山の『満作』は、やや粗挽き系の細麺で、とてものどごしのいい蕎麦。
メニューもオーセンティックで、リーズナブルな値段で上質な蕎麦を食べさせてくれた。

霞ヶ関の『みかあさ』は、“オヤマボクチ” の葉っぱをつなぎに使った、幻の「富倉そば」の店。
ツマミがすごく凝っていて、地酒のラインナップも見事な三拍子揃った店だった。

坂戸の『信楽庵』は、残念ながら平成12年の7月いっぱいで閉店してしまった!
僕は、行かずじまい、うー悔しい。
他の方のブログを拝見すると、群馬や福井の蕎麦を微粉で打った細麺を出していたようだ。
ざるに盛られた “もり” の写真を見ると、茹でた蕎麦粉の香りと、蕎麦の色を感じる甘味を
思わず想像してしまう。

いずれも蕎麦がうまいことはもちろん、おか天の飛び抜けたうまさと郊外ならではの低価格で、
遠くの街からも客足を引っ張ることのできる実力店だ(信楽庵は過去形で)。

4店ともいくぜー、っと思っていたんだけど、
今回の3店目で最後になっちゃった。


『蕎彩案』は、関越自動車道の鶴ヶ島インターの近くだから、
川越の駅前から車で北西に少し走ったら着いたねー。

蕎彩庵_入口

県道256線に面してある一軒家。
できてまだ7年だから、建物の外も中も新築に近いきれいさだ。
車を停められるスペースは、店の前の3~4台分しかないから、
もし満杯だった時のためにどっかにパーキングを探しておくか、
予約をしておくなど事前に工夫しとかないと流浪することになるねぇ。

蕎麦メニューは、冷たいやつのみだ。
いろんな天ぷらとのコンビネーションと、大根おろし系と鴨汁のつけ麺だけ。
得てしてこういうところは、もり蕎麦がうまいことになってるよね。

自分でも蕎麦を打ってて感じることがあるんだけど、
蕎麦打ちって「水回し」が一番大事で、「揉み(練り)」、「のし」、「切り」
のことばかりに視点がいくけど、「茹で」ってけっこう重要じゃない?
ヘタにアルデンテみたいなことをねらって生茹でにでもしてしまったら、
これがひどくマズいんだよ。
逆に茹で過ぎは、味と香りはすごーく損なわれるということはないけど、
歯ごたえやのど越しなんかの食感面で調子悪い。
実は、“茹で” で、蕎麦のうまさを引き出す絶妙なタイミングを捉えるのは
わりと難しいんだよね。

ココのは、ちゃんとグッドタイミングで茹で上げられていて、バッチリうまい!
新鮮な微粉で打った麺をちゃんと茹でて、香りと味を最大限に引っ張り出す伝統的なやり方で、
大成功してるんだなあ。
それだけに、“茹で” にはけっこう神経を使っていると想像される。
だからこそ、“かけ” 系はやらないんだと思う。
“もり” ひとつでもけっこう神経使ってベストを追究しているのに、
熱い汁に入れてどんどんのびてしまうのを計算しながら、
さらに、いろんな種物を作って載せる時間も計算に入れて茹でなきゃならない
“かけ” 系なんかやってられない、ちゅうことなんじゃないかなあ。
一人で全部調理をやっているとしたら、これはまずムリだと思う。
調理係の「中台」さんがもうひとりいないとね。

蕎彩庵_口上

まあ、僕のごたくは横に置いといて・・・
ココの蕎麦は、北海道・浦臼地方産の「ぼたん」だそうだ。
その玄蕎麦を、ご店主の郷里の山形にいらっしゃるお兄さんが石臼挽きした一番粉を
送ってもらって打っているとのこと。
お兄さんは、製粉業者さんなのかな?
あちこちの人の手間をかけているおかげに違いないと思うんだけど、
ココの “勝負もり” は、ものすごくうまいぞ!
汁は甘味も出しも醤油のカドも出っ張らない、名バイプレイヤー型。
ココで食べると、老舗名店のほとんどがなんで微粉なのか、わかるような気がする。

同行2名で行ってたのんだのは、「デザートセットもりそば・1,100円」、なんかお得な感じ。
と、「天ぷら(海老付)もりそば」1,260円、やっぱお得な感じ。
メニューの値段は全体的にお得な感じですなあ。
ちなみに、たのんでないけど単品の「野菜天ぷら盛り合わせ」は420円

最初に出てきたのは、刻んだ「野沢菜の漬物」。
ん?これは、全部のメニューについているのかな?天ぷらもりそばのつきだしかな?

続いて「ごま豆腐」ときた。
もちろん手作りだそうで、スーパーのゼラチンを多く入れて固めたプルプルしたやつとは違う。
むっちり具合とごまの濃厚さが明らかに違った。
ごまの甘味が、ふわーっと口に広がるんだよ。
これは、すべてのメニューについているんだっけ?
これは、つきだしと呼ぶにはクォリティが高すぎる、と言えるくらいうまいね!

蕎彩庵_ごま豆腐

次は「天ぷら(海老付)もりそば」の天ぷら。
海老は車海老なのかな?芝海老なのかな?いい海老だねー。
衣のサクサクの中にプリプリがアツアツで、ホカホカだあ。
こりゃ、天ぷら専門店もびっくりのうまさだなあ、すごい!

蕎彩庵_天ぷら

茄子、南瓜、舞茸そして、たらの芽も盛り合わせ。
たらの芽は、苦みを残した揚げ方で絶妙!
海老が主演女優なら、これは主演男優、って感じ。

蕎彩庵_もりそば

さてさて、メインの蕎麦が出てきた。
口上の通り、石臼で挽いて一番に篩にかけた微粉で打ったものだろうね。
老舗などでみるオーソドックスな麺に見えるけど、
よく見るとさらしな粉のような透明感があって、
噛むとけっこうコシがあるんだな。
上で書いた通り、香りも味も豊かで、もり汁も絶妙。
ハイレベルな微粉系の蕎麦のうまさに、
さらしな粉の美しさとコシを足し算したとでも言うのかな、
目を見張るクォリティだ。

蕎彩庵_もりそばアップ

食べ終わって・・・いやー、こりゃすごいなー、
なんて言っているうちに、デザートが出てきた。

蕎彩庵_デザート

えっ?なんだコレ、すご過ぎないか?
フレンチレストランのコースメニューのデザートみたい。
きれいな盛り付けだねー、なんて言いながら、
木苺のシャーベットに刺さったクッキーというかラングドシャーというかを齧ったら、
そのサクサク具合に驚いて、思わず「うめーっ」。
その声を聞きつけたのか、気づいたら女将さんがそばに来ていて、
「蕎麦粉で作ったクッキーなんですよ」って。

僕が「手作りなんですか?」と聞いたら、「ええ、全部手作りです」とのこと。
へぇー、蕎麦打ちだけでも大変なのに、ものすごくマメなんだ、なんて思っていたら、
僕の胸の中を読んだように女将さん、「店主は、元、椿山荘のパティシエだったんです」だって!!
椿山荘といえば、目白にある、あの椿山荘だよ。
フォーシーズンズホテルもくっついているとこ。

そう聞くと、かぼちゃのプリンがパンプキンのプディングに、
木苺のシャーベットがフランボワーズのソルベに見えてきた!

蕎彩庵_デザートアップ

そうか、そういえば、江戸時代には菓子屋が蕎麦を作って売ったりもしてたんだな。
今昔問わず、お菓子職人のこだわりやマメさや繊細さ、粉の特性に対する知識なんかは、
蕎麦打ちや蕎麦料理につながるものがあるのかもね。
うーん、パティシエ恐るべし。
ちなみに、ご店主は宮川洋二さん

ツマミや酒がいい、というのもいいけど、
デザートがぴかいち、という蕎麦屋もありだねー。
蕎麦もぴかいちだからね。
いやー、すごーくいい店だねー。

こういうスイーツに凝った店が増えて、
ヤングな蕎麦好き女子 = “そば女(ソバジョ) or そばガール” が増えるといいな。
“そばばぁ” はいっぱいいるんだけどねぇ。
(失礼。あなたのことではありません)

最後に、あんこをかけた蕎麦がきというか蕎麦団子というかが出てきた。
これも、全部のメニューにつくんだっけ?
うーん、大満足!
また、来よっと。

蕎彩庵_蕎麦がきデザート


●『蕎彩庵』
埼玉県坂戸市戸宮226-3
049-289-7867
平日11:00~14:30
土日祝日11:00~14:30、17:30~20:00
そばが無くなりしだい、終了。
日曜営業
定休日/火曜日(不定休あり)


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