ゆらゆら草

もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。

北海道のハロウィーン  



ハロウィーンと聞くと、必ず思い出すことがあるんだよ。
それは、「ろうそく出ーせー」だよ。

僕の田舎では、8月7日の七夕に行われていた。
その日の夕方に、近所の空き地なんかに子供たちが集合する。
女の子は、浴衣姿が多いかな。
男の子は自分で作ったカンテラ、女の子は市販の提灯を持ってくる。
ろうそくを灯すのだ。

カンテラを器用に作る、学級長のヒロオ、
いつもお母さんに叱られてばかりのカズエちゃん、
お嬢様なので、普段なら夜に出かけるなんてあり得ないマスミちゃん、
大きな天体望遠鏡を持ってるスギさん、
幼稚園の頃からずっと洟たれ小僧のカンジ、
本州から転校してきたばかりで初参加のナリタくん・・・・
みんなが、いつもの家庭の時間から、今日は抜け出してくる。

中学生になったら、あんまり参加しなくなるかなあ。
小学校の高学年の子が班長みたいになって、6~7人のグループを作る。
年長の子が、みんなのろうそくに火を灯すんだよ。
準備ができたら、さあ、出発!
ぼんやり灯った明かりが、蛍のように町のあちらこちらを漂い出す。

知ってる家も、知らない家もおかまいなし、
無作為に訪問して、お菓子やお駄賃をねだるんだよ。
町内の家々は、みーんな子供たちの餌食だ。
その時に、玄関先で歌う唄がこれ。


♪ろーそく出ーせー出ーせーよ 出ーさーないとー かっちゃくぞー
 おーまーけーにー喰いつくぞー 喰いついたら放さんぞー



この唄を聞いたら、だいたいはおばさんが出てきて、
子供たちにキャンディやチョコやお駄賃をくれるというしくみだ。
もちろん、小さなろうそくをくれるウチもたくさんある。
でも、ろうそくだけだとあまりうれしくない。

一度、お寺に行ったら、どでかいろうそくを一人一人にくれたことがあったなー。
それがあってから、お寺に行くのはやめたけど。

時々、引っ越してきたばかりで、この風習を知らないみたいで、
「おまえたち、この夜中に何やってんだ!!」って怒鳴るおっさんもいる。
そういうケースにも僕らは慣れているので、
「あー、知らね~のかよ、しょうがねーな、来年はちゃんと覚えとけよなあ」と心でつぶやいて、
(こっちのほうが大人だぜ)といった顔をしてさらっと退散する。

手作りカンテラと提灯に火を灯して夜に繰り出す、年に一度の冒険の日。
何時までとも決まっているわけではなくて、
一人抜け、二人抜けして「ろうそく出ーせー」の灯は消えていく。
「また、来年なー」。



001カンテラ


・・・ね、似てるでしょ?ハロウィーンに。
「ろうそく出ーせー」は、真夏だけどね。
いまでもやってるのかなあ?

日本には昔から、お盆に子供が「灯篭流し」や「提灯かざり」なんかをする習わしがあるそうだ。
それで、それらに使うろうそくを子供たちが自分で寄付を願って回った、というのが
この「ろうそく出ーせー」の起源らしいね。

僕が子供だった頃は、ただ楽しかっただけだけど、
いまは大昔の北海道の暮らしを想像せずにいられないんだ。
明治の開拓開始以後、寒くて、貧しい生活を強いられた人たちの、
「せめて、つらい開拓の先陣を切ってきた先祖をまつるお盆だけでも、肩を寄せ合って収めたい」
という気持ちがそこにあるような気がして、哀愁を感じてしまうのだ。

「ろうそく出ーせー」は、それゆえに北海道に根付いてやまなかったのだと思う。




♪ 時 代  作詞・作曲:中島みゆき


今はこんなに悲しくて
涙もかれ果てて
もう二度と笑顔には
なれそうもないけど


そんな時代もあったねと
いつか話せる日がくるわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
だから今日は
くよくよしないで
今日の風に吹かれましょう

まわるまわるよ
時代はまわる
喜び悲しみくり返し
今日は別れた恋人たちも
生まれ変わって
めぐりあうよ


旅を続ける人々は
いつか故郷に出会う日を
たとえ今夜は倒れても
きっと信じてドアを出る
たとえ今日は
果てしもなく
冷たい雨が降っていても

めぐるめぐるよ
時代はめぐる
別れと出会いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変わって
歩き出すよ


まわるまわるよ
時代はまわる
別れと出会いをくり返し
今日は倒れた旅人たちも
生まれ変わって
歩き出すよ


今日は倒れた旅人たちも
生まれ変わって
歩き出すよ



コメント

北海道の「ろうそく出ーせー」面白いですね!
やり方といい、ハロウィンそっくりではないですか!
子供たちが夜遊びしていい「特別な夜」の楽しい様子が目に浮かびます。
大人になっても覚えているのは、案外しょうもないことばかりですよね。
でも、そんな思い出がきらめいて、心を温めてくれます。

そんな素敵な子供時代の思い出、いいな〜。

真夏だけど、「キャンドルサービス」みたくもある。
キリスト教国では、クリスマスに、やはりろうそく持って練り歩くところがあります。

里花 #- | URL
2013/10/31 11:56 | edit

Re: 里花さん、コメントありがとうございます!

でしょ?そっくりでしょ、ハロウィーンに。

里花さんに教えていただいた通り、目的は違うんですけどね。
やってることはいっしょ!

むこうに住んでると、なんの疑いもなく、毎年の行事って感じですが、
こっちに来てからは、「そういえば、あれって、珍しい風習だよな」って
いつも思っていました。

6時以降の外出は、父母同伴じゃないとだめと言われている小学生が
年に1回だけ、町の人々のあったかい目に守られて
冒険に出られる日なんです。

いまでは、大人が引率したり、明かりが懐中電灯になったりして、
「ろうそく出ーせー」と歌っているケースも多いそうです。

里花さんのブログで、たくさん北海道のことを書かせていただいたので、
ふと思い出してしまいました。

つかりこ #- | URL
2013/10/31 16:59 | edit

こんばんは
北海道って異国な雰囲気を醸し出しますね~
確かにハロウィンに似ています。
今日はシドニーでも仮装した人たちがいましたよ~
カンテラっていうんですか。いいですね。いい味出しています。オシャレな感じ。昔は大変だったんでしょうが、それが今ではお洒落なものに変化しているんですね。

サンデーランチ #- | URL
2013/10/31 18:18 | edit

こんばんわ~!

ハロウゥンに似てるぅ~~\(◎o◎)/!
各地に伝統行事がありますよね☆
北海道での「ろうそく出ーせー」、楽しそうですね(*^_^*)
今でも継承されてるといいな(^_-)-☆

日本の伝統文化は、すばらしいし、
継承されていると嬉しいな^^

ぺこ★ぺこ #- | URL
2013/10/31 21:54 | edit

故郷

ろーそく出ーせー出ーせーよ 出ーさーないとー かっちゃくぞーおーまーけーにー喰いつくぞー 喰いついたら放さんぞー。

ここだけ聞くと、横溝正史の世界ですね。
地元の風習や文化は、改めて考えると、
その土地の知恵と工夫…、そして文化です。

故郷って良いものですよね!!

映画カッパ #- | URL
2013/10/31 23:14 | edit

Re: サンデーランチさん、いつもありがとうございます!

変な行事でしょ?
でも、子供たちが灯りを下げて歩く姿は、
ほのぼのしてていいもんですよ。

そうですね!
シドニーなら、本物のハロウィンじゃないですか!?
31日~1日、なんかおもしろい出来事があったら、
また教えてくださいなー。

つかりこ #- | URL
2013/11/01 02:12 | edit

Re: ぺこ★ぺこさん、いつもありがとうございます!

似てるでしょう?
昔は、ハロウィンの存在を知らなかったので
ピンときてませんでしたが、後にハロウィンって、
どんなことをする行事なのかを知って、あらびっくり!
ウチのいなかのやつと同じじゃないか!って気づきました。

ハロウィンの11月1日は、現代の元旦だそうで、
年の変わり目にやってくる悪霊を「追い払う」のが目的だそうです。
「ろうそくだーせー」は、お盆に先祖を「迎え」たり、
豊穣を「祈る」おまつりをするためのろうそく集めだそうで、
ちょびっと意味が違うみたいです。

田舎の知人の話では、「ろうそくだーせー」は、
いまでもぼちぼち行われているようですね。

ぺこ★ぺこさんの地元のお祭りや行事も
機会がありましたら、ご紹介ください。

つかりこ #- | URL
2013/11/01 02:27 | edit

Re: 故郷

じぇじぇじぇじぇー。
ホントだあ!
字面を見ると横溝正史シリーズに出てきそうなオソロシイ歌詞ですねー!
こわーっ
(ちなみに、「かっちゃく」=「引っ掻く」です)

僕らは、「少年探偵団」みたいな冒険気分でやってたし、
歌詞も、子供がおちゃらけた感じだと思って歌っていましたが・・・
そうか!
なんにも知らない家の人が、ある日の夜に、子供たちが提灯下げて、
玄関の前でこの唄を歌っているのを聞いたら・・・超不気味ですねー!!
そっかー、引っ越してきたばかりの家のおっさんが怒っていたのは、
そういうわけだったんですねー。
うん十年経って、いまやっとわかりました。
おー、ありがとうございました。

カッパさんのとこのおはなしも聞かせてくださいねー。
あ、世界的に有名な、めっちゃ元気なのがありましたね。

つかりこ #- | URL
2013/11/01 02:40 | edit

初めまして。
私のブログに来て頂き、ありがとうございました。

私も子どもの頃、北海道に住んでいました。
北海道では8月7日が七夕なんですよね。
懐かしいです。
七夕とハロウィンに意外な共通点があるのは
興味深いですね。

apricot・a #- | URL
2013/11/01 08:55 | edit

仏教徒の国にいつの間にか入ってきて、いつの間にか定着し
てしまっているハロウィン。不思議なお祭りです。

どうも「他国の宗教行事」と思ってるせいか、自分から諸手
を挙げて参加するには至りませんけど、子供たちが楽しんで
るからまぁいっかぁ(笑)

ハロウィンよりもろうそくのほうが風情がありますねぇ。空
き缶で作ったカンテラもいいなぁ。

それにしてもどこの国でも「祈り」にはろうそくが付き物な
んですね。「蝋」よりも「炎」のほうに意味があるんでしょ
うね。

藍音ななを #- | URL
2013/11/01 09:46 | edit

Re: apricot・aさん、はじめまして!

変なブログへ、ようこそ!

おもしろい風習でしょ?
北海道に住まわれていた頃、やりませんでしたか?
あー、北海道全部の地域でやってる訳ではないようですが。

ご訪問ありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします!

つかりこ #- | URL
2013/11/01 19:05 | edit

Re: 藍音ななをさん、いつもありがとうございます!

そうそう、僕もハロウィンはあまりピンときませんね。
子供の頃にポピュラーだったら、もっと身近だったかもしれませんが。

ハロウィンは、「悪霊」を追っぱらう行事みたいですが、
何年か前に、日本人がホントに銃で撃たれたりして、
追っぱらう系は物騒ですねー。

日本では、お盆に提灯や行燈に火を灯して祭る、というのは定番みたいで、
北海道だけでなく、日本中の風習のようです。
青森の「ねぶた」、「ねぷた」も、いつのまにかでっかくなってしまった
提灯だそうです。
ねぶたでは、「ラッセーラ、ラッセーラ、ラッセーラッセーラッセーラ」って
掛け声をかけるのですが、それって「(ろうそく)だーせーだーせーだーせーよ」
がなまったものだそうです(!)。
北海道の「ろうそくだーせー」は、青森から伝わってきた可能性が強いらしいです。

あくまで憶測ですが、「炎」は闇を明るくしたり、何かを焼き払ったりするので、
日本でも世界でも、神聖視されていたんじゃないでしょうか。

つかりこ #- | URL
2013/11/01 19:23 | edit

日本の風習にはそれはそれは深い歴史が
刻まれているんですね。

今の子供達は規制が多い中
昔ながらの風習を楽しめているんでしょうか。

つかりこさんの記事を読んで
七夕といえば竹林に竹を取りに行って
飾り付け川へ流しに行った子供時代を
思い出します。

川へ流しに行くなんて今なら問題ですね~

まわるまわるよ時代はまわる
中島みゆきさんの力強い歌が頭の中回ってます♪

ちっち #- | URL
2013/11/02 11:22 | edit

Re: ちっちさん、いらっしゃーい!

> 今の子供達は規制が多い中
> 昔ながらの風習を楽しめているんでしょうか。

↑「ろうそく出ーせー」も、どうも、火は危険なので
提灯が懐中電灯になったり、夜は危険だから昼になったりと、
過保護的に変化が加えられているようです。
子供たちが危険な目に合うのは、もちろん避けたいですが、
ばかばかしくなってしまいますよね?

> つかりこさんの記事を読んで
> 七夕といえば竹林に竹を取りに行って
> 飾り付け川へ流しに行った子供時代を
> 思い出します。

↑え?飾り付けて、いきなり流すのですか?
もったいないなー。
しばらく飾っておけばいいのにねー。

中島みゆきさんのこの歌は、
「第10回ヤマハポピュラーソングコンテスト」で
グランプリをとって、すぐにシングルレコードとして
発売された曲なんです。

その後も、何度も何度もセルフカバーされているんだけど、
僕は、1976年に発表されたファーストアルバム
『私の声が聞こえますか』に種録されている、
本人の生ギター伴奏だけのアコースティックバージョンが
一番好きです。

その頃の中島みゆきさんはまだ23歳で、
例の「中島節」はまだしてなかったんですねー(笑)。
クリアな声で、楚々とした歌声なんです!
(ひっぱりうたいやこぶし、ドスきかしナシ!
きれいなおねーたまのささやき、って感じ)

『時代』は当時、恋愛しかも別れの歌が多かった
フォークソングの中で、ワールドソングとでも言えるような
世界観の歌で、新しい感動をもらったのを覚えています。

それこそ時代も変わり、おっさんになったいまは、
この歌が違った意味の歌に聞こえるようになりました。

コメントありがとうございました!!

つかりこ #- | URL
2013/11/02 20:04 | edit

初めまして、ネリムと
申します

確かにハロウィンに似てますね。
こういう風習はこれからも続いて欲しいと思います。

ネリム #oM6tt0T6 | URL
2013/11/04 16:14 | edit

Re: ネリムさん、はじめまして!

こんにちは、いらっしゃいませー。

でしょ?
ほんわか、楽しげでしょう?
なんか、町に住む人の夢や願いが
たくさんの灯りになって漂ってるみたいで、
幻想的なんですよ。
北海道は、寒い植民地みたいなもんだったはずですから、
昔の人の暮らしを想像するとなんかしみじみしてしまいます。

また、気楽に遊びに来てくださいね。
どうぞ、よろしく!

つかりこ #- | URL
2013/11/04 20:11 | edit

やってますよ

「ろうそく出ーせー」は今もやってますよ。
最初、札幌に来た時は何が何だかわかりませんでしたが、今思えば、つかりこさんの書かれているように思われていたんでしょうね。
今は、住宅地でない場所では少なくなってきているんでしょね。

takaki11 #- | URL
2013/11/04 22:09 | edit

Re: やってますよ

あ、そうですか!
札幌でも続いてるんですね!

やっぱり!
引っ越してきて、知らないと、びっくりしますよね。

でも、ずっと続いていてほしいなー、と思います。

つかりこ #- | URL
2013/11/05 05:29 | edit

コメントの投稿
Secret

トラックバック

トラックバックURL
→https://yurayuragusa.blog.fc2.com/tb.php/78-981087a2
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

▲Page top