そして家族になる ~ 『ディーパンの闘い』


6月20日は、「世界難民の日」だったんだってさ。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などが提唱して、
国際連合総会の決議で2000年12月に定められたとのこと。
2001年から毎年、世界各国で難民救済のためのキャンベーンや
イベントが行なわれているんだそうだ。



この映画を観るまで、2009年の最近までスリランカで
激しい内戦が行なわれていた
ということを知らなかったよ。

スリランカは、シンハラ人という人種が7割
タミル人というのが約2割、+その他1割で構成されている
らしいんだけど、イギリスが植民地にしていた時代には
少数派のタミル人を重用する政策をとっていたとのこと。

でも、イギリスから独立した後からは、当然、
多数派のシンハラ人を優遇した政策がとられるようになるよね。
だもんだから、1956年頃から民族間の対立が高まっていったんだと。
またイギリスの負の遺産か、って感じ。

で、1972年にはタミル人がスリランカからの分離独立をめざして
「タミルの新しいトラ (TNT) 」という反政府勢力を発足。
'75年にはそのTNTを母体とした「タミル・イーラム解放のトラ (LTTE) 」
結成して、テロやゲリラ戦などの武力活動を展開していたんだよ。

そしてとうとう、1983年に両者の虐殺合戦が勃発。
総力戦の末、2009年5月にシンハラ派政府軍が勝ったカタチで内戦が終結。
その終戦の直前の4月に、難民と化した一般のタミル人が15万人も
国を脱出
したんだそうだ。

この映画の主人公の男は、その15万人のタミル人に紛れてフランスに脱出した
元「タミル・イーラム解放のトラ (LTTE) 」の戦士という設定なんだな。
や、主人公を演じた俳優は、ホントにLTTEの戦士だった人だそうだから
設定というかなんというか。

あ、ここまで読んで、「うぇー、おもしろくなさそう」って思っているよね?
まあね。
でも、映画の内容には、スリランカとか、タミル人とかあんまり関係ないかな。
「どっかの国から逃げて来た男(家族)」の「フランスでの難民生活」、
っとだけ知ってて観ればいいんじゃないかな。
いま、ヨーロッパでいろいろ問題になっている “難民のひとつのケース”
ということだね。



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主人公の男の名前は、ディーパン。
ホントの名前じゃない
パスポートに書いてある年齢も、ホントのトシじゃない。

妻はまったく知らない女。
スリランカの港で難民船に乗る直前にあてがわれた女だ。

内戦に巻き込まれて死んでしまった赤の他人の3人家族の
パスポートを流用して、その家族構成に当てはめて
即席に夫と妻ということにされたのだ。

娘は、道端で途方に暮れていた母子家族の3人の子供のうちの
1人をもらってきた

偽物の3人家族はフランスに着いた。
長い船旅をともにしたからといって特段、仲良くなったわけではない。

偽物とはいえ、3人の身元を証明するパスポートがあるのだから、
3人くっついているのが得策に違いないのだけど、
とりあえず妻、ということになった若い女にとっては、
まんまとスリランカを脱出してしまえば、好きでもない歳の離れた男と
人数合わせのための子供なんか邪魔なだけなのだ。

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ディーパンは、内戦のとばっちりでホントの妻子を亡くしていた。
もう、民族が違うだけで相手を憎んで暴力を振るったり、
愛する人を殺されたりするのは耐えられなかった。

どんなに貧しくて、どんなにボロい住居に住むことになろうとも
今度こそは、毎日銃弾に怯えたりすることのないところで、
穏やかに生きていきたい、と願っていたのだが・・・。

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難民の暮らしは、難民になる前も、なった後も過酷だ。
この映画は、偽物の家族が、そんな暮らしの中に
ホントの愛や家族の絆を浮かび上がらせる。





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●ディーパンの戦い(Dheepan)
2015 フランス
上映時間:115分
監督:ジャック・オーディアール
脚本:ジャック・オーディアール、トマ・ビデガン、ノエ・ドゥブレ
製作:パスカル・コシュトゥー、ジャック・オーディアール
撮影:エポニーヌ・モマンソー
編集:ジュリエット・ウェルフラン
音楽:ニコラス・ジャー
製作会社:Canal+、Ciné+、フランス2シネマ、フランス・テレビジョン、
     ページ114、ホワイ・ノット・プロダクションズ
配給:ロングライド
出演:アントニーターサン・ジェスターサン、カレアスワリ・スリニバサン、
   カラウタヤニ・ヴィナシタンビ、ヴァンサン・ロティエ、
   マルク・ジンガ、フォージ・ベンサイーディ ほか
受賞:第68回カンヌ国際映画祭 / パルム・ドール
   第33回マイアミ国際映画祭 / 審査員賞
   第19回オンライン映画批評家協会賞 / 米国未公開作品賞
   第40回トロント国際映画祭 / スペシャル・プレゼンテーション部門上映







♪ 15 Step / Radiohead





♪ ムラサキ☆サンセット / キリンジ




韓国庶民の叫びか ~ 『殺されたミンジュ』


改正組織犯罪処罰法(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に
関する法律等の一部を改正する法律案)が、6月15日に強行採決されたねー。

国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の批准条件を満たすことで、
2020東京五輪をめがけて、テロ対策整備を急いだんだろうけど、
委員会採決をすっとばすなんて、ちょっと乱暴なやり方だったよなあ。

でもさ、最大の問題はそこじゃないよなあ。
この法律のいうところのテロの準備って・・・

組織的犯罪集団に所属している
二人以上の計画者が
③ 277の「テロ等準備行為」(爆弾テロや毒ガステロの計画、現場の下見・工作
  資金集め材料や道具の調達 等)
④ 実際にその爆弾や毒ガスを入手し
⑤ 現場において使用し、人が死んだりモノを破壊する

・・・ってことらしいんだけど、
これまでは、④、⑤じゃないと検挙&処罰できなかったんだよね。
「疑わしきは、罰せず」。
世の中の犯罪について、すべてそういうもんだけどね。

でも、テロなどの場合、実行されちゃったら逮捕どころじゃなくなる、
そりゃ、逮捕しようとしていた警察官も立件証拠もぜ~んぶすっとんでなくなるよな。
それでは遅すぎる、というわけで②、③の段階でも検挙&処罰できる法律を
整備しようということになったんだな。

でもさ、「組織的犯罪集団」というのは、
事件が起こる前にどうやって断定するんだろうね。
ヤクザと脱税企業と革マル派とか赤軍派なんかの過激派?
まさか、日本中の企業、団体を盗撮、盗聴、メール傍受するんじゃないだろうね。
逆に、個人でテロを計画した場合は捕まらないの?
自衛隊内にいる革命分子は捕まえられないんじゃないの?
ヤクザ屋さんは包丁持って料理したり、花火をやっちゃいけないの?
だいたい、テロって組織的犯罪集団に属しているのかいないのか
わからないようなやつらがやるんじゃないの?
破滅思想のカルト宗教の教団だって、始めは組織的犯罪集団じゃないからね。

僕は、テロ対策用の法律を作ることに反対じゃないんだけど、
こんなんじゃ、穴だらけのざるだし、どうやって立件するの?
誤認逮捕の山を築くことになるんじゃないの?

まあ、治安維持法みたいな、国家権力の濫用を許すような法律にならないことを
祈るばかりだわ。



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「国家権力」といえば、最近観た映画はコレ。

国家のなんらかの機関の指令で、不幸な国民が不幸な国民を監視したり、
処罰したりする社会。
誠実に働いても報われない社会。
小さい頃から、死ぬほど勉強して高学歴を手に入れても
就職さえもままならない社会。
悠々と生きられるのは、ごく一部の国家権力者と大金持ちだけじゃないか!

・・・って感じの韓国映画だなー、これは。

韓国では、儲かっている企業といえばごく一部の大企業だけで、
その大企業に就職したいがためにみんな子供の頃からガリ勉で
一流大学をめざすけど、一流大学を出てもほんの一握りしかまともな会社に
就職できないのが現状なのだ、って何かで読んだけど、
ホントらしいのかなあ、この映画を観るかぎりでは。

それから、アメリカで言えばFBIというかCIAというかみたいな機関の
エージェントが市民生活の中に入り込んでいて、
市民が市民を監視したり始末したりするんだって言うのもひょっとして
ホントなのかもしれないなあ、って気になってくるわ、この映画を観ると。

だって、制作者のクレジットを見たら、ほとんどキム・ギドク一人で
やっちゃっているんだもんね。
シナリオを読んで、誰も乗らなかったってこと?
ヤバイから乗らない = ホントのこと、って感じがしない?



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映画は、冒頭からいきなり
女子高生ミンジュが殺されるシーンから始まるんだよ。
複数の男たちに捕まって、窒息死させられる。

そして1年後、謎の集団がそのミンジュ殺しに関わった男たちを
一人ずつ拉致して拷問を繰り返す。
ミンジュ殺しの仕返しなんだろうな。
主人公はその謎の集団のボスなんだよ。

でも、この映画は、わからないことばかりだ。

何の罪もない女子高生を殺したグループは、当然悪党に見える。
でも、ハナシが進んでいくと、どうもそのグループは
国家の諜報機関みたいなところにエージェントとして雇われて
いたんだろうな、ということが見えてくる。

それで、その女子高生殺しグループは、それぞれちゃんとした
職業に就いているし、逆に謎の仕返し集団は社会の
脱落組でまともな生活をしている人間が一人もいないから
実は、謎の仕返し集団のほうが悪いやつらなのかと疑念がわいてくる。

こいつらが、過去に国家機密に関わるようなことで、
謀反や失敗を犯したせいで国の特命機関にミンジュは殺されたのでは?
もうホントにどっちが正義でどっちが悪なのかわかんなくなってしまう。

ラストでは、いよいよ疑問だらけになって物語は終わってしまうんだよ。

●結局、最も悪いやつはミッションを発した国家の諜報機関ひいては
 国家なんだろうな?
●仕返し集団のボスは、過去にどんな謀反または工作をしたのだろう?
●ミンジュはその謀反や工作とどんな関係があって殺されたんだろう?
●最後に生き残ったやつは、実はミッションを達成したということでは?
●実は、あいつが女子高生殺しグループのリーダーなのでは?
●でも、結局は個人的な恨みをはらしただけなんだろうか?

・・・観た人と語らいたいわー。

ハングルの原題は、「1対1」という意味だそうだ。
これも、なんでそういうタイトルなのか考え中・・・
●女子高生殺しグループも謎の仕返し集団も、
 結局は集団としてのまとまりなどなくて、
 個人的な利害で動いていただけなのでは?
●国家のエージェントグループ VS 仕返し集団という複数対複数の
 戦いに見えるけど、よく考えればどちらもしがない一市民であって、
 そういう意味で1対1。結局、国家権力や富に踊らされるのは
 一小市民ばかりなのだ、と言いたいのではないか?
●ラストはミッションなどは関係なく、
 一個人の恨み VS 一個人の恨み と言いたかったのか?


そしてもうひとつの疑問は、さっきも書いた
「こんなことが、韓国国内でホントにあるんだろうか?」

思えば、実際に軍隊があり、軍役もあり、いまも北との戦争が続行中だし、
北へのスパイも、北からのスパイもうようよしてるし、
事実、日本とは危機感が何倍も強い韓国でのおハナシ。
フィクションとは思えない凄味があるよなあ。





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●殺されたミンジュ(일대일/ONE ON ONE)
2014 韓国
上映時間:122分
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
製作総指揮:キム・ギドク
撮影:キム・ギドク
編集:キム・ギドク
配給:太秦
出演:マ・ドンソク、キム・ヨンミン、イ・イギョン、チョ・ドンイン、
   テオ、アン・ジヘ、チョ・ジェリョン、キム・ジュンギ ほか
受賞:第71回ヴェネツィア国際映画祭
   ・「ヴェニス・デイズ」部門 オープニング上映
   ・作品賞







♪ 返事はいらない / 荒井由実



がんばれ!ユーミン!!



♪ エイリアンズ / たなかりか




なまりを隠すのは、むずかしいっぺよ


NHKの朝の『ひよっこ』を観ていると、思い出すことがあるんだよ。
北関東なまりを聞くと、必ず思い出すんだよね。



学生時代、誰かのアパートにアルバイト仲間で集まって
音楽聴きながら、酒でも呑んでダベっていたんだな、たしか。

新潟出身のイズミくんが、ふと言ったんだよ。
「スズキくんよー、おめーは、バッカなまってんなー」
(こいつも、なまってる)

そしたら、栃木出身のスズキくんは、
「なにこいてんのぉ、
おらぁ、全然なまってねぇっつったよ
田舎に帰ってしゃべったら、
東京に住んでっからって、おめーはなに気取ってんだあ、って言われんだぞー」

・・・だと。

全員 「だから、それがなまってんだべー!」
スズキ「いやいや、なまってねぇっつったら、なまってねぇーつう
全員 「・・・・・・」


その数秒後、スズキくんはみんなの不穏な空気を察したのか、
“なまりをいじくる鉾先” を秋田・大館出身のフジワラくんに向けたのだった。

スズキ「なまってるっつたら、やっぱ秋田がすごいんじゃねー、
おにぎりのこと、なんつったっけ?」
フジワラ「・・・だまっこ」

スズキ 「先生のことは?」
フジワラ「・・・ひぇんひぇ」
全員、「がははははー!」


この大館まげわっぱめー!
というわけで、なぜかみんなでフジワラくんを小突き出したのだ。

誰かが弾みで脇の下を突っついた時に、フジワラくん異常な暴れ方!
そこは弱いのだと言う。
そんなことを聞いてしまって、やめるいなかっぺがいるわけがない。
手足を押さえつけて、横手のドカ雪のようなくすぐり攻撃だー。

こ~ちょ、こちょ、こちょ、こちょ・・・・・・・
フジワラ「ぐええええええーっ、死ぐー、
やめてけれ、やめてけれーっ!」

全員「わははははー、なまってる、なまってるー」

その時だ、フジワラくんはこう言ったのだ。
かゆい、やめてけれー、かゆいーっ

「お、ちょっとやめれ、やめれ」
おもわず、みんなは攻撃の手を離した。
つかりこ「なんだとー、
大館ではくすぐったいことを
“かゆい” って言うのか?

フジワラ「んでね」
つかりこ「じゃ、なんで “かゆい” って言ったんだよ?」
フジワラ「・・・・・」

つかりこ「くすぐったいことを大館では、なんて言うんだよ?」
フジワラ「・・・・・」
つかりこ「んー?なんて言うの?」
フジワラ「・・・・・こちょまて」
全員「ぷっ」

つかりこ「なら、なんで “かゆい” って言ったの?
フジワラ「みんなが言葉ばバカにするから、なまりが出ないようにって
標準語に訳したんだけど・・・
あんまりにもこちょまでぐで・・・
翻訳まちがった

・・・だとさ。

全員「ぷぷぷ、ほー、けっこう余裕あったんじゃないかよー」
“横手のドカ雪くすぐり” が再開したのは言うまでもない。



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♪ 秋田音頭


1663年頃からあると言われている、ザ・ジャパニーズ・ラップミュージック。
お国自慢やエロい歌詞を、アドリブで演ったりするんだそうだ。
めっちゃ、ノリがいいよね。



↓ シモネタ大バーゲン!「ウソみたいなホントの話」過去ログ ※テキストリンクです

● 上石神井駅のトイレ
● 謎の境界線
● ボディコンの性質 ①
● ボディコンの性質 ②
● きゃっち話。
● 大腸内視鏡検査でわかったこと
● ゾーッ話。~ ホントにあったコワイ話



水と生きる


“水と生きる”

あのサントリーの、コーポレート・スローガンだよね。
2005~2006年頃かなあ、初めて見かけたのは。
びっくりしたねー。
ミネラルウォーター専門の会社になることにしたのかと思っちゃった。

一抹の不安を覚えてググってみたら、
従来の事業をやめたわけではないようだ。

そっかあ、そういえばいまは
「ときどき泥酔」から、「毎日ほろ酔い」の時代へ
だもんなあ。
「南アルプスの天然水」もバカ売れだしなあ。

そこで、僕はちょいとひらめいた。
若いやつに、質問してみようと思ったんだよ。

昼飯どきに、会議室で憩いでいる30代前半の男子に聞いてみた。
「サントリー、って聞いたら、何を思い出す?」
そしたら、なななんと
「・・・・・・・・・・ジュース!」だと。

おおー、やっぱりか!
こいつは、「CCレモン」でも思い出したんだな。
人によっては、「缶コーヒー」とか「健康食品」って
答えるんだろうなあ。
おー、そうだったのか。
そっかそっかあ、時代は変わってしまっていたんだ。

そりゃあんた
サントリー、と言えば、ウイスキー だよねぇ。
ちょっとズレたとしても、ビールでしょ。

そっかあ、ジュースの会社になっちゃんだ。
そうだなあ、「南アルプスの天然水」や「烏龍茶」もサントリーだしな。
あ、「モルツ」も “どこどこ水源で仕込んだ” なんて
いろんなご当地銘柄を売り出したりしてたし、
そもそも、ウイスキーだって水が命だしな。
もうすでに、どっぷり「水」と生きていたんだなあ。

うん、自然と共生するイメージだし、きれいで清潔な色が浮かぶし、
生産活動も企業活動も透明(誠実)なイメージを発信してはいるね。

でも、日本産のウイスキーの生産と、
あの日本の広告文化を牽引してきたほどのウイスキーの世界観、
続けてほしいなあ。

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初代なっちゃん




作詞・作曲、小林亜星だよ






アリスあるいは浦島太郎 ~『リップヴァンウィンクルの花嫁』


んー、これは、“フシギちゃん” ですー。

『スワロウテイル』や『リリイ・シュシュのすべて 』、
『花とアリス』の岩井俊二監督の最新作と言えばわかりやすいかな。

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●『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、サスペンスである

最後までハラハラさせられるという意味では、サンペンスだし、
最後まで謎を孕んでいるという意味では、ミステリーかもしれない。

綾野剛が演じる人物が、結局は「いい人」なのか「悪い人」なのか、
何かのメタファーなのか、この映画を観た人と語り合いたくなるわー。

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●『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、社会派である

物語の冒頭から、すぐにわかることだけど、
この作品の大きなテーマは「ネット社会」なんだなー。

PCやスマホって、カンタンに買い物をしたり、
バンドメンバーや結婚相手を見つけたりできるよね。
それって、フツーだったら「何度も接して・見て・話して・触れて・
いくつかの想いをシェアして・信用できる仲になって」
といっためんどい手続きを踏んでからやるものだけど、
ネットでだったらそれらを省いて、カンタンにやれる
ってことなんだよな。

何か込み入った相談事だって、余計な気を遣わずに
すぐにお互いの内面を持ち寄ることができる。
それによって、ずいぶん救われる人もいるはず。

でも、その「信用づくり」や「仲良し絆づくり」のプロセスが省かれているがゆえに
いつ諍いの爆弾が爆発するかもわかんないし、
それを利用した詐欺のような犯罪も生まれるんだろうね。

そんな「新しい社会現象」を生む道具について考えさせられるハナシでもあるな。

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●『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、文芸作品である

この映画の言いたいことの核心は、「孤独」というものじゃないかと思う。
それは、ネットのあるいまも、それがなかった昔も
大した変わりはないのかもしれないけど、ネットという触媒ができたいま
人の孤独が新しい見え方をするようになったということ。

他人の行為を「優しい」と感じるのは、自分が孤独だからなのかもしれないし、
他人を「冷たい」と感じるのは、いま満ち足りているからかもしれない。
いまの時代の「孤独」とは?「絆」とは?

そんなことを問うているのではないだろうか?

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●『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、おとぎ話である

岩井監督はきっと、「不思議の国のアリス」が好きなんだろうね。
この作品も、一人のいたいけな女子が、
いろんなハプニングに見舞われながら前に進んで行く。

ただ、主人公は少女ではなく(20代後半?)、
ハプニングは案山子がしゃべったりするようなファンタジーでなく、
実際にいそうな人や実在社会の悪意や善意だということ。
全然シュールじゃなくて、ありえないことは起こらない。
“いま、身のまわりにあるアリスの世界” なんだと思う。

主人公は、いくつものハプニングに出会い、どんどん堕ちていく
・・・ように見えるだけで、実はそのトラブルの壁を突き抜けて
傷つきながら大きくなっていく・・・ように見える。

ちなみに、“リップヴァンウィンクル” というのは、
欧米版の「浦島太郎」みたいなハナシなんだそうだ。(未読)
「浦島太郎」だって、亀を助けて竜宮城という時空を突き抜けて
新しい世界と自分を見つけるんだよね。
ほら、「不思議の国のアリス」だっておんなじ仕立てに違いない。

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●『リップヴァンウィンクルの花嫁』は、黒木華ムービーである

岩井監督はきっと、黒木華が好きなんだろうね。
監督いわく、2012年に手がけたCMのオーディションで
出会ったのをきっかけに、彼女をイメージして小説を書いたのが、
この映画誕生の第一歩だったんだそうだ。

僕も、色白で、か細い声で、まじめで、世間知らずで、
夢見がちだけどアグレッシブではなく、人を疑うことを知らない
危なっかしい女性・・・そんなイメージを持ってたっけ。

いやいや、ホントのことは知らないよ。
友達でも知人でもないし、
じっくりトーク番組なんかで観察したというわけでもないし。
イメージ、いめーじ。

この映画は間違いなく、映画俳優としての黒木華が、
ますます好きになる作品
だと言ってしまおう!

あ、Coccoの演技もすごいよ!
そうそう、この物語のコアメッセージは彼女にこそあると
言っていいかも知れないな。

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・・・こんな風に、いろんな観方ができるという意味で
“フシギちゃん” な映画だと言いたかったんだよ。
逆に言うと、どんなジャンルにも属さないと言えるのかも知れないね。

多元的な手ざわり、複数のテーマ、
たくさん出てくる疑問と、たくさん想像できる答え・・・
こんな複雑な味わいを持った作品は、原作が他人のマンガや小説では
作ることができないんだろうなあ。



最近、映画もテレビドラマも、やたらとマンガが原作のものが多いよねぇ。
それって、なんでかわかる?
もちろん、すばらしいマンガ作品がたくさんあるからに違いないんだけど、
映画製作上のたくさんの手間も省けるからなんだね。

なんにも決めずに、いきなりクランクインする場合もあるけど、
通常は商業映画って、クランクインするまでにもいろんな労力が注がれているんだね。

①「企画書」を書いて、出資者や制作会社、配給会社などにアタリをつける
②「ストーリー」を書いて、出資者や制作会社、配給会社などを説得する
③「シナリオ」を書いて、出資者や制作会社、配給会社、出演者などを説得する
④「絵コンテ」を書いて、制作関係者に浸透させ、制作を進める

↑オリジナル作品の場合、だいたいこんな感じなんだけど、
ところがマンガ本を原作にしたら、②~④を省く、
または大幅に削ることができるんだな。
だって、やり方によっては
絵コンテがすでにできあがっているようなもんだからね。
そりゃ、すごい手間の削減だよね。

しかも、タネ本のマンガはすでに発行済みだから・・・

⑤ 映画封切り前の宣伝・PRになる
⑥ すでにファンやオピニョンリーダーができあがっている
⑦ 相乗効果で、本・映画ともキャラクターグッズやノベライズなどの
  派生ビジネスがやりやすくなる

・・・などの省予算やシナジー効果も生まれるという、いいことづくしなんだね。

でも逆に、ビジュアルやストーリーが高い完成度でできあがっちゃっているがゆえに
「映画制作者の思い入れが反映しずらくなる」=
「映画表現の創造性や新規性が低まる」 = 「おもしろさが減る」
ということなんだろうな。



この映画は、原作から脚本、演出、撮影、編集まで岩井監督のオリジナルなんだよ。
だから、こういう絶妙なタッチの、誰にも似ていない作品ができるんだろうね。

最近では珍しい「映画作家」の映画、いいねぇー。





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●リップヴァンウィンクルの花嫁
2016年 日本
上映時間:180分
監督:岩井俊二
原作:岩井俊二
脚本:岩井俊二
製作総指揮:杉田成道
プロデューサー:宮川朋之、水野昌、紀伊宗之
制作プロダクション:ロックウェルアイズ
撮影:神戸千木
編集:岩井俊二
美術:部谷京子
スタイリスト:申谷弘美
メイク:外丸愛
音楽:桑原まこ
製作:RVWフィルムパートナーズ(ロックウェルアイズ、日本映画専門チャンネル、
   東映、ポニーキャニオン、ひかりTV、木下グループ、BSフジ、パパドゥ音楽出版)
配給:東映
出演:黒木華、綾野剛、Cocco、原日出子、地曵豪、和田聰宏、
   佐生有語、金田明夫、毬谷友子、夏目ナナ、りりィ ほか
受賞:第40回日本アカデミー賞(2017年)
   ・優秀主演女優賞/黒木華
   第41回報知映画賞(2016年)
   ・助演男優賞/綾野剛 (『怒り』、『64-ロクヨン- 前編/後編』と合わせて)
   第31回高崎映画祭(2017年)
   ・最優秀助演女優賞/りりィ
   第90回キネマ旬報ベスト・テン(2017年)
   ・日本映画ベスト・テン 第6位








♪ 何もなかったように / Cocco





♪ Hana wa Saku (Flowers will Bloom) / Kaori Muraji




いまのいやーな空気感 ~ 『恋人たち』


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ふだん生活していて、なんとなく・・・
「これって、なんか間違ってるんじゃないの?」とか、
「どんだけ我慢すれば、解決するんだろう?」とか、
「こんな泥沼から抜け出したい」とか、
「どうしてこんなに不公平なのだ?」とか思うことって、ない?


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僕らの日常には、
●夫婦のマンネリが我慢できなくて、不倫する・・・
●人助けをしようとして、詐欺師に騙される・・・
●すごく有能で価値ある仕事をするのに、給料が少ない・・・
●高過ぎる健康保険料を払っているのに、いざという時の治療費が払えない・・・
●被害者が苦しんでいるのに、犯罪者が法に守られて大手を振って暮らしている・・・
●自分が被害者なのに、世間から咎められる、冷たくされる・・・
●身内が辛い目にあっているのに、見て見ぬふりどころか忌み嫌う・・・
●エラソーに命令するばかりで、責任をとらない先輩・・・
●ゲイだと、危険人物扱いされる・・・
●一番信じていた人が真っ先に去っていく・・・
●あの医者は、あの弁護士は、弱っている人から金を巻き上げる・・・
なんてことが、フツーに転がっているのだ。

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この映画は、複数の主役がそれぞれの物語を展開する群像劇なんだけど、
僕らがフツーに暮らしていて起こりうる理不尽というか不条理というかの
不幸を淡々と並べた作品
なんだなー。

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わざとらしい演出や、びっくりするようなハプニングなんかが
起こらないがゆえに、すごーくリアルな感じがするなあ。
いま身のまわりにある理不尽なことや時代の負の空気
ぜーんぶ詰め込んだんだろうなあ。
そして、『ぐるりのこと』の橋口演出の独特の人間くささ。

そういう、“いま、ホントにリアルな” 社会派の作品として、
2015年のキネマ旬報ベスト・テンで1位をとったんだろうな。

でもねぇ、ハッピーエンドっぽく描かれているけど、
すごーく嫌な気分になる、生活者として落ち着かない気分になる。

ズバリ、観ないほうがいいかもね。(笑)

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こんな不穏な空気の映画を作っちゃってさあ、
では、作った監督ご本人に言い訳してもらいましょう。


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●恋人たち
2015年 日本
上映時間:140分
監督:橋口亮輔
原作:橋口亮輔
脚本:橋口亮輔
製作:松竹ブロードキャスティング
エグゼクティブプロデューサー:平野隆
企画:越智貞夫
企画協力:文藝春秋
プロデューサー:木村理津、大原真人、渡邉敬介、浅野博貴、伊藤正昭
共同プロデューサー:藤井和史、山田昌伸
ラインプロデューサー:武石宏登
制作プロダクション:コブラピクチャーズ
撮影:上野彰吾
編集:橋口亮輔
音楽:Akeboshi
配給:松竹ブロードキャスティング、アーク・フィルムズ
出演:篠原篤、成嶋瞳子、池田良、安藤玉恵、黒田大輔、山中崇、内田慈、
   山中聡、リリー・フランキー、木野花、光石研 ほか
受賞:第89回キネマ旬報ベスト・テン
   ・日本映画ベスト・テン 第1位
   ・新人男優賞/篠原篤
   ・監督賞/橋口亮輔
   ・脚本賞/橋口亮輔
   第70回毎日映画コンクール
   ・日本映画大賞
   ・録音賞/小川武
   第37回ヨコハマ映画祭
   ・日本映画ベスト・テン 第2位
   ・監督賞/橋口亮輔
   ・助演男優賞/光石研
   第30回高崎映画祭
   ・最優秀監督賞/橋口亮輔
   ・最優秀助演男優賞/黒田大輔
   ・優秀新進俳優賞/篠原篤
   ・優秀新進俳優賞/成嶋瞳子
   ・優秀新進俳優賞/池田良
   第39回日本アカデミー賞
   ・新人俳優賞/篠原篤
   第58回ブルーリボン賞
   ・監督賞(橋口亮輔)
   第25回日本映画プロフェッショナル大賞(2016年)
   ・新進プロデューサー賞/深田誠剛、小野仁史
   第35回藤本賞
   ・奨励賞/深田誠剛、小野仁史







♪ Usual life / Akeboshi





♪ Stop Whispering / Radiohead




こんなのが、あろうかな !? ~ 緑の玉子


ほれほれ、緑色の玉子だよー。


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アローカナ(Araucana)っちゅう、
南米のチリ原産のニワトリの玉子だそうだよ。

埼玉県の日高市にある「サイボクハム」の道の駅みたいなとこで
売ってたので、思わず買っちゃったよー。
いまは、フツーの玉子で1パック10個で200円くらいだから、
こいつはけっこうな値段だよね。


002アローカナパッケージ.jpg


これが、この緑色の殻も内側にくっついた薄い被膜も頑丈で、
なかなか割れなかったよ。

ようやく中身を出したら・・・ん、中身は、緑色じゃないんだな。
おー、でも黄身がでかい!


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して、色も濃い!


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もちろん、味の違いがわかりやすい玉子かけごはんで食べてみたよ。

んー、味が濃い!
おー、想像以上にうまかったねー。

なんでも、レシチン(老化防止効果)がフツーの玉子の約2倍、
ビタミンB(疲労回復、免疫力アップ)が10~20倍、
ビタミンE(血液をサラサラ化、新陳代謝活性化)が約11倍なんだそうだ。
うん、なんかそんな気がする味。



子供の頃、よく玉子を買いに行かされたなあ。
近所のフツーの家のおばちゃんとこ。
米もそこんちへ注文してたはずだなあ。
あそこんちは何だったんだろう。

どこの家も洗濯機や、冷蔵庫や、テレビや、電話、車なんかを
我も我もと買い始めた頃だったけど、
まだ、いまみたいに食品スーパーなんかは少なかった時代だから、
他の商品と流通経路が違う米や玉子は、一般家庭が代理店
みたいなことをやってたのかも知れないね。

昔の親って、いまの親より子供に対する人づかいが荒くなかった?。
よく、タバコとか、チリ紙とか、豆腐とか、ところてんとか買いに
おつかいに出されたわ。

玉子を見ると、そんな生前の母のおつかいのことを思い出す。



母が玉子を持ってふざけて、
「ほらほら、おでこを出してごらん、玉子とおでことどっちが割れるかなー」
なんて言いながら、僕の頭をコツンとやったことがあったっけ。

その当時、この緑の玉子がなくてよかった。
だって、殻が固いんだもんよー。







♪ Angelina / Earl Klugh





♪ Weird Fishes / Radiohead




泣かせる爆弾の地雷原 ~ 『湯を沸かすほどの熱い愛』


所沢市って、けっこう文化的なことやってんだよね。
月に1回、新聞に折込チラシが入るんだよ。
「ミューズ イベント・インフォーメーション」って言うんだけどね。

それには、師匠クラスを集めた寄席や、フジコ・ヘミングとか
ウィーン少年合唱団とかのクラシックコンサートや、
人気 J-POPアーティストのコンサートとか、
そして映画の上映会とかが案内されてんの。

いつもすごいアーティストばかりが揃っているし、
市が主催しているので微妙に安いんだよね。
(もちろん税金等が使われているんだろうけど)

これまた、施設がいいんだよ。
「ミューズ」というのは、所沢市の市民文化センターのことで、
大ホール、中ホール、小ホール、バンケットルームで構成された
インベト施設なんだけど、大ホールはオーストリア製の
日本最大級のパイプオルガンが備えられているほどの音響ホールだし、
中ホールはイギリスのシェイクスピア劇場のスワン座を参考に作られた
超ハイクオリティな設備なんだよな。

ちょくちょく目にして、気になっていたんだけど、
年1回かな、「世界が注目する日本映画たち」というのが
催されているのさ。

001チラシ.jpg

よく見ると、企画・制作が「ぴあ」なんだよ。
お金の補助と場所は所沢市が出して、コーディネートとチケット販売を
ぴあがやっているんだろうね。
なんだか、プログラムの安心度も高いだろ?

現にいっつも、日本アカデミー賞やキネ旬ベストテンなんかで
賞をとった系の作品が勢ぞろい

で、1日2~3本やって1,500円くらいだからね、お得でしょ?
しかも、毎回、監督とか出演者を招いてのトークショー
なんかもついているんだな。

こりゃ、ぜってー観に行かなくちゃって思いながら
いつも機会を逃していたんだよ。
で、今回は3日間で8本上映する中に、DVDが出るまでどうしても待てない
と思っていた作品が入っていたので、今度こそ、って心に決めていたんだよ。

その作品が、『湯を沸かすほどの熱い愛』、これだ!
しかも、監督の中野量太氏もやってくる!
さらに、まだ劇場でやっているというのに800円!

002チラシ中.jpg

家から、うきうき徒歩で行くことにしたよー。

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道すがら、他人ちの春の花なども鑑賞。(汗)

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家から西武新宿線の航空公園駅まで、徒歩でおよそ20分。

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そこから、駅前通りのオブジェの点在する歩道をまっすぐ10分。

007歩道.jpg

008オブジェ.jpg

きたきた、屋外に設置されたポスターボード。

009掲示板.jpg

施設の隣は、日本の航空発祥の地「所沢航空記念公園」。

010公園.jpg

011ホール.jpg

お、なんだかお洒落なカフェレストランが!
まだ、開演まで早いので、ちょっと休憩、休憩。

012レストラン.jpg

ほう、「食材の生産者」や「加工業者」、「料理人」の紹介が。
地産地消と食の安全をPRしているんだね。

013メニュー.jpg

わはは、所沢のクラフトビールのテイスティングセットがあったので、
それにしたったー。
1種130mlなので、計520mlかあ。
ちょっと量が多かったかなあ、これから映画を観るのにー。

014ビール.jpg

左から、ペールエール、セッションエール、IPA、スモークポーター。

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いざ、出陣!





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むむむー、映画を観てこんなに泣いたのは初めてだよー。
この映画はなんだあ。

フツー、映画の「泣けるポイント」って、
多くても3カ所か4カ所くらいだよね。
この映画は、それが10カ所くらいあるぞ。
こんなにたくさん「泣かせる爆弾」が埋めてある作品は、初めて観たよ。

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上映後のトークショーで、自ら原作・脚本を書いた中野監督が言ってたけど、
「これでもかってくらいやりました。なんせ、長編商業映画のデビュー作だから、
コケたくないでしょ?」。

それにしても、始まって数分でいきなり泣かせて、
10分に一度くらい目頭が熱くなって、
そのスキマスキマで、くすくす笑わせるもんだから、
5分に一度くらいキュンキュン来るようにできてるんだな。

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やー、お見事!
最初から最後まで、ぐいぐい引き込まれてしまったわー。
キネ旬ベストテンの表彰式で、フジテレビアナの笠井さんが
「昨年の日本映画で、一番良かった」と言ってた
だけのことはあるわ。

中野監督いわく、
「いろいろこだわって自主制作映画を何本も撮ってきたけど、
ある時からお客さんに伝わらなきゃ、やってる意味がないって
思うようになったんですよ、あざといと言われようと、
やり過ぎと言われようと、ばっちりウケるように意図的に作ったんです」、
「そもそも、関西生まれですし」、とのこと。



内容は、「すばらしい母と家族の物語」とでも、言っておきましょう。
ストーリーは言わない。(笑)
いじめのこと、夫婦のこと、親子のこと、家族のこと、
いまどきの若者のこと・・・。

そして、驚きのラスト!



中野監督は、6才の頃から母子家庭で育ったんだそうだ。
だから、「母親」を描くことや家族を描くことに熱いものがあるんだろうね。

「僕は、家族の定義なんてないと思っています。
たった一つ、個人的な解釈で言えば、
いつも一緒にご飯を食べる人たちのこと、だと思っています」
とも言っていたねー。

そんな経験や想いが、なるほどたくさん詰まった映画だよ。
失礼になるかもしれないけど、文芸作品じゃないし、
芸術作品でもないし、難しいこともない。
監督本人も言っているように、ちょっとだけあざといと感じられるくらい
きっちりおもしろさや感動が作り込まれているんだな。

でも、それがわかっていても、バツグンにいいなー。
中野監督自らの原作&オリジナル脚本!
マンガが原作の映画やテレビドラマがほとんどないま、
監督の思い入れが強ければ、ホントにいい映画が出来上がるんだなー
って思い知らされたよ。


022サイン.jpg

思わずパンフ買って、サインと握手してもらったよー!

所沢市さん、ぴあさん、ありがとう!





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●湯を沸かすほどの熱い愛
2016年 日本
上映時間:125分
監督:中野量太
脚本:中野量太
エグゼクティブプロデューサー:藤本款、太田哲夫、村田嘉邦、篠田学、板東浩二
プロデューサー:深瀬和美、若林雄介
アソシエイトプロデューサー:柳原雅美
キャスティングディレクター:杉野剛
撮影:池内義浩
照明:谷本幸治
録音:久連石由文
美術:黒川通利
装飾:三ツ松けいこ
音響効果:松浦大樹
ヘアメイク:千葉友子、酒井夢月
衣装:加藤麻乃
編集・題字:高良真秀
音楽:渡邊崇
主題歌:きのこ帝国『愛のゆくえ』
助監督:塩崎遵
ポストプロダクションプロデューサー:篠田学
ラインプロデューサー:大熊敏之
制作プロダクション : パイプライン
製作:「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会(クロックワークス、テレビ東京、
   博報堂DYミュージック&ピクチャーズ、パイプライン、ひかりTV)
配給:クロックワークス
出演:宮沢りえ、杉咲花、オダギリジョー、松坂桃李、伊東蒼、
   篠原ゆき子、駿河太郎 ほか
受賞:第40回 日本アカデミー賞(2017)
   ・優秀作品賞
   ・優秀監督賞/中野量太
   ・優秀脚本賞/中野量太
   ・最優秀主演女優賞/宮沢りえ
   ・最優秀助演女優賞/杉咲花
   ・新人俳優賞/杉咲花
   第90回キネマ旬報ベスト・テン
   ・日本映画ベスト・テン/7位
   ・主演女優賞/宮沢りえ
   ・助演女優賞/杉咲花
   第41回報知映画賞
   ・作品賞
   ・主演女優賞/宮沢りえ
   ・助演女優賞/杉咲花
   ・新人賞/中野量太
   新藤兼人賞(2016年度)
   ・金賞/中野量太
   第29回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞
   ・主演女優賞/宮沢りえ
   第59回ブルーリボン賞
   ・助演女優賞/杉咲花
   第31回高崎映画祭
   ・最優秀監督賞/中野量太
   ・最優秀主演女優賞/宮沢りえ
   ・最優秀新進女優賞/杉咲花
   ・最優秀新人女優賞/伊東蒼
   第38回ヨコハマ映画祭
   ・監督賞/中野量太
   ・脚本賞/中野量太
   ・助演女優賞/杉咲花
   HIHOはくさいアワード(2016年度)
   ・10位
   第26回東京スポーツ映画大賞
   ・主演女優賞/宮沢りえ
   ・新人賞/杉咲花
   おおさかシネマフェスティバル2017
   ・日本映画ベストテン/6位
   ・助演女優賞/杉咲花
   ・新人監督賞/中野量太
   第40回モントリオール世界映画祭
   ・Focus on World Cinema部門 正式出品
   第21回釜山国際映画祭
   ・アジア映画の窓部門 正式出品
   第29回東京国際映画祭
   ・Japan Now部門 正式出品







♪ 愛のゆくえ / きのこ帝国





♪ ルネのテーマ / ラリー・コリエル & 渡辺香津美




すべての地方出身者へ ~ 『ブルックリン』


どこ出身だっけ?
沖縄?宮城?熊本?福岡?五島?高知?・・・

どこかの地方から出てきて、いまは都会に住んでいる人、
または、どこかの地方から出てきて、どこかの地方で住んでいる人。
そういう人はきっと、一度くらいは考えたことがあるんじゃないかなあ、
「故郷に留まって生きていた場合と、いまの暮らしと
どっちが幸せだったんだろう?」
って。

僕は、北海道から出てきて、東京の多摩地区に住んで
いまは所沢に住んでいるんだけど、
想像してみると、んー、友達付き合いや、親や親類との関係や、
仕事のことや、恋人との出会い、生活環境、などなど・・・
まあ、どっちもどっちかなあ、って感じ。

でも、未知の可能性のでかさ、ということで言えば
こっちに出てきたいまのほうが、見られる夢の数は多いかな。


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時代は1950年代
アイルランドのさびれた街で生まれ育ったエイリッシュは、
自分の可能性を試しに、アメリカへ一人で移住するんだな。
仕事と恋と自分探し。

まだまだ女性の就職もままならない時代で、
まじめで思慮深いエイリッシュの才能をみた
キャリアウーマンの姉のすすめでそうすることにしたのだ。


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それで、エイリッシュは、母と姉を故郷に残して、
アイルランド人が多く住むブルックリンで新しい生活を始めることに。
アパートは、たぶんアイルランド人が営む若い女子ばかりが住む
下宿のようなところ。
敬虔なカトリック教徒で小言ばかりを言うおかみさんを囲んで
みんなでご飯を食べて、バス・トイレも共同の生活。
ほら、日本の昔の学生や独身者の下宿とおんなじだよね。


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おとなしめで訛りもあるエイリッシュは、
始めはなかなか仕事や人付き合いもうまくできなかったけど、
もともとまじめで思慮深いので、ニューヨークの街で少しずつ成功を
手に入れていくんだな、仕事も恋も。


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そんなある時、家庭の事情でアイルランドに一時帰国することに。
いくつかの事情が重なって、予定より長く故郷にいることになるうちに、
故郷に帰って生きていくのも悪くないと思い始める・・・。


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新天地のアメリカか、あったかい故郷アイルランドか、
エイリッシュは、選択を迫られることになる。
物語は、どっちがいいと言わずに締めくくっているように僕には見える。
そう、そういう問いかけで終わる物語なんだろうな。



ところで、1950年代のアイルランドって、
どんなんだったんだろう?

アメリカって移民の国だから、そりゃ、アイルランドやスコットランドや
イタリアなんかからの移民がたくさんいるよねぇ。
でも、それがアメリゴ・ヴェスプッチ以後入植が盛んになった16世紀や
17世紀のことならわかるけど、20世紀の第二次世界大戦後に、
アイルランドから移住って、どういうことだって思ったわけ。

アイルランドって、17世紀頃からイングランドに侵略・支配されていたんだよな。
1801年には、グレートブリテン王国に併合された。
それで、日本の江戸時代の小作農よろしく、食物の耕作や羊の酪農をやらされて
年貢を納めさせられるような生活を送っていたんだな。

当然、アイルランド人の生活は貧しかったんだけど、
1800年代半ばにイングランドによる「囲い込み」などの圧政や飢饉が相次いだりして
いよいよアイルランド人はイギリスの一部であることに憤りを感じるようになった。
で、この頃からアイルランドから新天地アメリカへの移住が盛んになったんだね。
1840年から1911年の間に、人口が半分に減ってしまうほどだったそうだ。

その後、1919年~1921年にアイルランド独立戦争。
1922年に北部アイルランドをイギリス領として残したまま
アイルランド自由国(イギリス自治領)として独立。
これが、内戦勃発のもととなって、のちにIRAなんかを産む原因になったんだね。

そして、1949年にとうとうイギリス連邦から離脱
(北アイルランドはイングランドのまま)
アイルランドには、そんなイングランドの植民地支配に対する深い恨みがあるんだな。



この映画の時代設定は、このアイルランドの完全独立の後のハナシなのだ。
イギリスから独立して政情は安定したけど、やっぱり経済状況はよくない、
エイリッシュのような頭のいい女性だって、なかなかいい職がない、
「そうだ、アメリカ独立以前からたくさんの同胞のいるアメリカへ行こう」
というわけだ。

その後アイルランドは、1990年代に入って「奇跡の経済成長」を遂げたんだよ。
EUの統合やアメリカを中心とする外国からの投資で、工業の発展が進んで、
今では一人あたりのGDPの大きさでEUの中でもトップレベルなんだそうだ。

それでも、リーマン・ショック以降は成長は減速。
いまもなお、貧困率や失業率は高いというのが現状だそうだ。
うん、いいのか悪いのかわからない、という状況。

かたや、アメリカに移住したアイルランド人の生活といえば、
風変りなカトリックの風習やケルト訛りやイギリスで被征服民として
差別されていたことなどから、入植当時から差別にさらされてきたんだな。

それでも、ひたむきに働いて少しずつ地位も向上していって、
ジョン・F・ケネディやロナルド・レーガンみたいなアイルランド系の
偉人を生んだりもしてきたんだね。

'50年代あたりまでは、アメリカの景気は絶好調で、
アイルランド移民もたくさんの恩恵を受けたはずだよね。

でも、アメリカもベトナム戦争以降少しずつ景気が下降していって、
とどめは金融恐慌。
いまでは、トランプ政権のようなゴリ押しの保護主義
しなければならないほどの状態になってしまったよね。
こちらもまた、いいのか悪いのかわからない状態というわけだ。



この映画は、一人のいたいけな女性がアメリカの新しく夢のある暮らしと
故郷のやさしさ、居心地のよさの間を行き惑う物語なんだけど、
当のアイルランド人にとっては、上に書いたような政治に翻弄されてきた
先祖や自分たちのことが心をよぎる物語なんだと思う


自身の努力で夢も希望もつかめるけど、いまは暗雲が立ち込めるアメリカと、
豊かになりつつあり、親しい人がたくさんいるけど
いまだに不自由な因習やイギリスへの憎しみを抱えるアイルランドと、
どっちがいいんだろうか、
自分たちの居場所は?アイデンティティは?
って問いかけが含まれているんだろうなってこと。

まあ、なんだかんだ言って大昔から移住を受け入れてくれて、
'90年代には産業の発展に投資を通じて貢献してくれたアメリカへの
親愛の気持ちを込めた映画なのかもしれないなー。

'91年にアラン・パーカーが監督した映画に『ザ・コミットメンツ』
というのがあるんだよ。
時は、U2、エンヤ、ポーグス、ヴァン・モリソン、ウォーター・ボーイズ、
クラナド、チーフタンズ、ホットハウス・フラワーズなんかが人気を博していた
アイルランド。

素人の若者たちがバンドを結成するハナシなんだけど、
その中のセリフで、
「どんなバンドをやるって?そりゃ、ソウルに決まってる。
なぜなら、俺たちゃヨーロッパの黒人だからさ」

というのがあったなあ。

あれから、25年以上経ってアイルランドもすこーし変わったんだろうね。

バニーマンさんが記事で書かれているけど
(http://oukei1963.blog90.fc2.com/blog-entry-594.html)、
『シング・ストリート 未来へのうた』なんかは、
そういう観点で観るとどんななんだろうなー。



まあ、そんな小難しいことなんか考えなくても、僕は好きだなー、この映画。
田舎から出てきて、夢と刺激にあふれた都会と
親類や気の置けない友達がいて、あったかさと安住のある故郷と
いまだに心が行ったり来たりする自分と重なるものがあるもの。

自分のホントの居場所は、どこにあるんだろうか。

この春、故郷を出て新しい生活が始まる人や
かつて都会か故郷か選んだことのある人には
ちょっとくらいは響く作品だと思うよ。

それと、シアーシャ・ローナンちゃんのファンなら
当然観るべきでしょう。
だって、22才の美人で実力派の彼女の魅力が満載だもの!
まるで、彼女のプロモーションムービーみたいな作品なんだから。
(いまは、ちょっと太めだけどねー)





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●ブルックリン(Brooklyn)
2015年 カナダ、アイルランド、イギリス、アメリカ
上映時間:112分
監督:ジョン・クローリー
原作:コルム・トビーン『Brooklyn』
脚本:ニック・ホーンビィ
製作会社:BFI、BBCフィルムズ、HanWay Films、TSG Entertainment、Wildgaze Films
プロデューサー:アマンダ・ポージー、フィノーラ・ドワイヤー、Thorsten Schumacher、
        Beth Pattinson
撮影:イヴ・ベランジェ
編集:ジェイク・ロバーツ
音楽:マイケル・ブルック
美術:フランソワ・セギュアン
衣装:オディール・ディックス=ミロー
配給:フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
出演:シアーシャ・ローナン、エモリー・コーエン、ドーナル・グリーソン、
   ジム・ブロードベント、ジュリー・ウォルターズ ほか
受賞:英国アカデミー賞 ・英国作品賞
   英国インディペンデント映画賞 ・女優賞/シアーシャ・ローナン
   カナダ映画賞 ・撮影賞/イヴ・ベランジェ ・作曲賞/マイケル・ブルック
   ダラス・フォートワース映画批評家協会賞 ・Top 10 Films
   デンバー映画祭 ・観客賞
   デトロイト映画批評家協会賞 ・女優賞/シアーシャ・ローナン
   ダブリン映画批評家協会賞 ・アイルランド作品賞
   イブニングスタンダード映画賞 ・作品賞
   ゴールデングローブ賞 ・ドラマ映画女優賞ノミネート/シアーシャ・ローナン
   ゴールデン・トレーラー・アワード ・外国ロマンス作品賞/"Two Worlds"
   ハンプトンズ国際映画祭 ・新人賞/エモリー・コーエン
   ロンドン映画批評家協会賞 ・イギリス/アイルランド女優賞/シアーシャ・ローナン
   ミルヴァレー映画祭 ・観客賞
   ニューヨーク映画批評家協会賞 ・女優賞/シアーシャ・ローナン
   ニューヨーク映画批評家オンライン賞 ・Top 10 Films
   パームスプリングス国際映画祭 ・International Star Award/シアーシャ・ローナン
   ケベック映画賞 ・美術賞/フランソワ・セギュアン ・撮影賞/イヴ・ベランジェ
   サンディエゴ映画批評家協会賞 ・プロダクションデザイン賞/フランソワ・セギュアン
   サンフランシスコ映画批評家協会賞 ・女優賞/シアーシャ・ローナン ・脚色賞/ニック・ホーンビィ
   サンタバーバラ国際映画祭 ・演技賞/シアーシャ・ローナン
   サテライト賞 ・映画女優賞/シアーシャ・ローナン
   バンクーバー国際映画祭 ・観客賞
   バージニア映画祭 ・観客賞
   ワシントンD.C.映画批評家協会賞 ・女優賞/シアーシャ・ローナン
   第88回アカデミー賞 ・作品賞・脚色賞・主演女優賞 ノミネート







♪ Brooklyn (Owes the Charmer Under Me) / Steely Dan




Mへ ~ 2017 春


♪ This time / Earl Klugh





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健康に生まれて来れば、それだけでいい、
と願っていた。




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しかるべき時に立ち上がれて、
人並に声を出せればそれでいい、
と願っていた。




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もうちょっといい点数がとれて、あと少し早く走れたら、
と願っていた。




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もっと賢くなって、もっと丈夫になって、
もっときれいになって、
他人もうらやむほどになってほしい。




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僕がキミにできることは、“もっと” と願うことばかり。



こんな春が、いつまでも続きますように。




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県警広報担当官が見たもの ~ 『64 -ロクヨン-』


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ド渋な映画だわ。

原作は読んでいないので、実のところはわからないんだけど、
「推理小説」となっているんだね。
でもね、この映画のほうは僕に言わせれば、推理ものじゃないねぇ。
これは、ヒューマンドラマだなー。

前・後編合わせて240分を一気に観たけど・・・
ぶん殴り合いアクションなし、カーアクションなし、爆発なし、
ガンアクションなし、流血なし、スリルなし、謎解きなし、
色恋沙汰なし
・・・でおもしろいんだからすごいよなあ。

ちなみに、映画やテレビドラマのヒットの三大要素は、
「金」、「暴力」、「恋愛・エロ」。
女性誌の三大テッパン記事は、
「ダイエット」、「占い」、「芸能ゴシップ」(最近は記事より「付録」)。

もとい
そう、謎が謎を呼ぶ推理ミステリーというより、
実力派俳優の名演を味わいながら、警察組織というものや
被害者、加害者の心理を探る人間ドラマなんだな。
そして、やっぱりテーマは、「愛」なんだろうな。

そもそも、設定がフツーと違うんだよ。
主役が、県警の広報担当
つまり、マスコミに事件の様子をアウフトプットするという
役割を果たすために、警察の動きと被害者や加害者の動きの両方を
半ば第三者として客観的な目で追う、といったスタイルになってんだよ。

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その視点は、きっと、僕ら映画の観客と同じ感情を持っているんだろうね。
だから、淡々、粛々としたストーリー展開なのに、グイグイ引き込まれるわけだ。

警察の、都合の悪いことを隠蔽する体質、出世のための事なかれ主義、
上司と部下の確執、県警と警視庁の争い、
警察上部からの押さえつけとマスコミの突き上げの板挟みに合う広報官・・・
そういった困難を乗り越えながら進めなければならない捜査、
被害者の悲しみ、恨み、執念、加害者と広報官の家族を思う心のリンク、
そんな事象と心理が入り混じりながら、物語の歯車が重々しく回り続ける。


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うむ、ド渋。
節制のきいた、ザ・邦画。
いい作品ですー。

日本のポルノ映画畑で苦労してきた
瀬々監督にも、拍手ですー。





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●64-ロクヨン- 前編/後編
2016年 日本
上映時間:121分/119分
監督:瀬々敬久
原作:横山秀夫
脚本:久松真一、瀬々敬久
製作:映画「64」製作委員会(TBSテレビ、東宝、電通、CBCテレビ、WOWOW、
   朝日新聞社、毎日新聞社、TBSラジオ、毎日放送、RKB毎日放送、KDDI、
   コブラピクチャーズ、北海道放送、東北放送、新潟放送、静岡放送、山陽放送、
   中国放送、GYAO、TCエンタテインメント、日本出版販売)
エグゼクティブプロデューサー:平野隆
企画:越智貞夫
企画協力 - 文藝春秋
プロデューサー:木村理津、大原真人、渡邉敬介、浅野博貴、伊藤正昭
共同プロデューサー:藤井和史、山田昌伸
ラインプロデューサー:武石宏登
制作プロダクション:コブラピクチャーズ
撮影:斉藤幸一
編集:早野亮
美術:磯見俊裕
照明:豊見山明長
録音:高田伸也
音楽:村松崇継
スクリプター:江口由紀子
装飾:柳澤武
スタイリスト:纐纈春樹
ヘアメイク:那須野詞
VFXスーパーバイザー:立石勝
サウンドエフェクト:北田雅也
助監督:海野敦
制作担当:篠宮隆浩
配給:東宝
出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、緒形直人、窪田正孝、
   坂口健太郎、筒井道隆、鶴田真由、赤井英和、菅田俊、
   烏丸せつこ、小澤征悦、金井勇太、芳根京子、菅原大吉、
   柄本佑、椎名桔平、滝藤賢一、奥田瑛二、仲村トオル、吉岡秀隆、
   瑛太、永瀬正敏、三浦友和 ほか
受賞:第8回TAMA映画賞(2016年)
   ・最優秀男優賞/三浦友和(『葛城事件』とあわせて)
   第41回報知映画賞(2016年)
   ・助演男優賞/綾野剛(『リップヴァンウィンクルの花嫁』『怒り』とあわせて)
   第29回日刊スポーツ映画大賞 石原裕次郎賞(2016年)
   ・作品賞
   ・主演男優賞/佐藤浩市







♪ Dirty Work / Steely Dan




わかっちゃいなかった ~ 『クレージー黄金作戦』


最近、覚せい剤やら、タレントの独立問題やら、就業問題やらで
何かとタレント事務所の物騒な話題が多かったよねぇ。
で、しぜん、そんな観点でネットの映画評なんかも見ていたら、
こんなのがあったんだよねー。

検索でひっかかったのは、渡辺プロダクション
いわゆるナベプロと言えば、1960年代 '70年代の有名タレントや歌手の
ほとんどが所属していたと言ってもいいくらいの会社なんだねー。

僕が子供の頃の大スターをちょっと挙げてみても・・・
ミッキー・カーチス、ハナ肇とクレージーキャッツ、浜村淳、ザ・ピーナッツ、
中尾ミエ、伊東ゆかり、園まり、ザ・ドリフターズ、沢田研二、布施明、森進一、
小柳ルミ子、天地真理、キャンディーズ・・・だもんね。
あのジャニーズだって、結成当初はナベプロと業務提携していたんだね。

悪いこともいっぱいやったみたいだけど、
タレントのマネージメントが主体だった芸能プロが
番組制作や楽曲出版、映画製作なども行なうようになり、
芸能人や芸能界の待遇や地位の向上のためのビジネスモデルを
日本で最初に作ったのがナベプロと言われているみたいだね。



で、映画といえば、“クレージーシリーズ” でしょ。
で、今回観たのが『クレージー黄金作戦』。

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確か、子供の頃に観たことがあったはずなんだけど、
ほら、クレージーキャッツの映画って、似たような感じだから
どれがどれだったのか、こんがらがっていたんだけどさ。

この映画も、植木等がすっとぼけた破天荒なキャラで、
思いつきでなんやかんやドタバタやらかして、
大成功しそうでしそうで、最後に失敗するんだけど、
結果オーライ、ってパターン。

でもね、いま観ると、こりゃいいねー!
すげー作品だわー。
尺が2時間半以上もあるんだよ。
なんたって、あの東宝の創立35周年記念作品だもんね。

カリフォルニア郊外でのロケでしょ、
ラスベガスのメインストリートを封鎖してのミュージカルロケ・・・

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ハワイのワイキキビーチロケ・・・

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歌あり、ダンスあり、ギャンブル、水着、旅・・・
壮大なスケールのミュージカル・サスペンス・コメディ・ロードムービー
とでもいうのかな。

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加山雄三とか、ドリフ、ジャニーズ、ブルコメ、藤田まこと、
E・H・エリック、藤木悠、藤岡琢也あたりだって、
ほんの一瞬出てくるだけのちょい役だからね。

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こういう、有名なタレントや俳優がドバドバ出てくる作品
ってのもいいよねー。
最近では、『シン・ゴジラ』とか『64』とかあったけど、
すごい俳優がいっぱい観られると、それだけでも豊かな気分になるよねー。

やー、「いざなぎ景気」まっただ中!で、明るさ爆発!
ナベプロパワー全開!
クレージー映画なんてわかっている、と思っていたんだけど、甘かった。
なかなかの映画だったわー。



アミューズやジャニーズ事務所が、アーティストを全員集合させて
年末とかにコンサートをやったりしてるけど、
この映画みたいに全員集合映画を作ったらおもしろそうだよなあ。





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●クレージー黄金作戦(Las Vegas Free-for-All)
1967年 日本
上映時間:157分
監督:坪島孝
脚本:笠原良三、田波靖男
製作:渡辺晋
撮影:内海正治
編集:武田うめ
音楽:宮川泰、萩原哲晶
美術:竹中和雄
スチール:岩井隆志
配給:東宝
出演:植木等、ハナ肇、谷啓、犬塚弘、桜井センリ、石橋エータロー、安田伸、
   浜美枝、園まり、ペギー・ニール、有島一郎、藤木悠、石山健二郎、
   十朱久雄、人見明、藤岡琢也、石田茂樹、藤田まこと、飯田蝶子、
   桐野洋雄、沢村いき雄、アンドリュー・ヒューズ、E・H・エリック、
   塩沢とき、ジョージ・A・ファーネス、ザ・ドリフターズ(いかりや長介・
   加藤茶・荒井注・高木ブー・仲本工事)、加山雄三、
   ザ・ピーナッツ(伊藤エミ・伊藤ユミ)、ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、
   ジャニーズ ほか







♪ つれてって / 園まり




♪ 五万節・スーダラ節・ハイそれまでよ / クレイジーキャッツ