FC2ブログ

ゆらゆら草

もう少し感受性を働かせれば、毎日がスペシャルになる。そう自分に言い聞かせて、 いろいろ感じたことを書きとめてみよっと。

痛いアメリカの詰め合わせ ~『スリー・ビルボード』  


001ポスター1.jpg


これは、難しいわー。
いやね、ストーリーとかが難しいというんじゃなくて、
そのおもしろさを理解するのが、ってこと。
ストーリーはいたってシンプルなんだよ。

でも、微妙に人物像がはっきりしなかったり、
ハナシの筋がスッキリしなかったり、
メリハリがぼんやりしてたり・・・。

ま、ひと言で言うと変な映画。
良く言うと、映画マニア、批評家ウケする映画だなー。
映画の観方・観え方が多元的というか、
いろいろなコンセプトといろいろな表現タッチが
混然一体となっている
とでも言うんだろうか。
“脚本の妙” を楽しむ映画とでも言うのか。



★以下、ネタバレ。
これから観ようと思っている方は、
観てから読んだほうがいいに違いないのですが、
おもしろがるにはけっこう難しい作品だと思うので、
読んでから観たほうがおもしろく観られる
場合もあるかもしれません。

観た人は、ぜひどうぞ↓。



------------------------------------

■社会派映画

この映画の多元的な側面のひとつは、
社会派としての側面、というか正面。
この作品は、誰が見てもわかる通り、
「社会派映画」に違いないわなー。

日本人にはわかりずらいかも知れないけど、
そもそも、“ミズーリ州” と聞いただけで、
アメリカ人は「社会派のヤバイ映画だろうな」って
くるらしい
んだよ。

ミズーリ州と言えば、アメリカ中西部。
中西部といえば、アメリカの悪いところをいろいろ集めた
ようなところというのが、一般的なアメリカ人のイメージ
らしいんだな。(ミズーリ州の人たち、すんません)

たとえば、2014年に起きた、黒人青年が白人警官に
射殺されて、その後、暴動に発展した事件

あれは、ミズーリ州セントルイスの郊外に位置する
ファーガソンという街で起きた事件。
黒人差別だよね。
KKKの活動も元々は、中西部が盛んだったらしいし。

人種差別は黒人ばかりではなくて、インディオや白人にも。
元々住んでいた白人と、後から入ってきたアイルランド移民や
ドイツ系移民との対立もあったりする。

それから、“ヒルビリー” と呼ばれる低所得者層。
この人たちは白人なんだけど、アメリカ中の人から
田舎者扱いされて、“White trash(白いゴミ)”とまで
蔑まれているんだそうだ。

そのせいでひねくれているのか、ひねくれているから
蔑まれているのかわからないけど、
その人たちのコミュニティはとても差別的で暴力的
女性差別も激しい土地柄なんだそうだ。

そういえば、主人公のおばさんや警察署長の部下の警官や
歯医者のてんかん気質的な攻撃性・暴力性、主人公の元夫の
女性差別的な態度、そもそもレイプ殺人そのものが女性蔑視、
街の人々の主人公に対する閉鎖的な仕打ち・・・
ヒルビリーの特徴を描いているんじゃないだろうか。

だから、あのおばさんが、自分の娘がレイプ殺人された事件を
糾弾して、3枚のビルボードを出した時点で、
日本人の想像を超えた、ピリピリとした緊張感が
アメリカ人には伝わる
んだな。


002三つのビルボード.jpg


ここまでで・・・

●人種差別(黒人差別事件、ヒルビリー差別)
●女性蔑視
●暴力


それから・・・

●DV=主人公の元夫。DVが理由で別れた。
●聖職者による児童レイプ事件
●医療問題=署長はなぜ末期ガンなのに働いていたのか
      なぜ自殺したのか
●同性愛差別=あの短気な警官は、ゲイであることを隠していた
●身障者差別=主人公は小さい知人の善意・好意に目もくれない
●戦争問題=イラクで起こった事件
★〇〇問題=犯人は誰か、最も悪いヤツは誰かの答えに関わる問題
      後述


・・・と、ミズーリ州は、いま思いつくアメリカの社会問題を
全部1か所に集めたようなところ
だという内容。
つまりこの作品は、アメリカの社会問題を全部集めたような
「社会派映画」
だということ。


003ディクソンと口論.jpg



■ブラックコメディ

音楽の使い方がコミカルなんだよな。
(町山さんの評を読んで知った)

主人公のミルドレットおばさんが登場するところでは、
西部劇調の曲。

警察署長のテーマは、讃美歌的な曲。

乱暴なディクソン巡査が聴いている曲は、
ABAの『チキチータ』(ゲイの人たちにウケる曲)。



■ヒューマンドラマ

看板屋さんが暴力ディクソンを許すシーン。
オレンジジュースを渡すシーンは、
作品全体の尺でみれば一瞬だけど、泣かされる。



■哲学的・文学的示唆

このハナシの “変なトーン&マナー” の基調になっている
要素だと思うんだけど・・・
登場人物、特に3人のキャラの見え方が、
観ている人の思い込みを裏切って、変わっていく
んだよね。

あのおばはんは最初、正義感にあふれた人物だと思っていたのが、
とんでもなく頑迷な人間に。
あのレイシストで短気なディクソンは、けっこういいやつに。
善人の署長は、最後まで善人に見えるけど、
実は内に秘めた反骨心(たぶん)の人に。

『スリービルボード』の “スリー” は、この3人にひっかけて
あるのかもしれないね。
看板が燃えてしまって、張り替えられてから、
3人のキャラの見え方が変わっていく
もんね。

つまりこの映画では、人間の二面性、あるいは多面性、
心のダイバーシティ
とでも言うのかな、
そんなことを伝えているのかも。
この世には、完全なる悪人も善人もいないんだ、
完全なる強者も弱者もいないんだ、って。


004ウィロビー署長と.jpg



■もちろん、ミステリー(サスペンス?)

そう、「社会派ミステリー」なんだね、この作品。
最後まで、犯人は誰なのか?ってツカまれてしまう。

そして、上で書いた「〇〇問題」
これが、犯人よりもホントは誰が一番悪いヤツなのかの答え。
よく考えると、この映画の最もコワイところ。
でも、最後までわからない、もしくはわかりにくい。

こういう、サクッとしない終わり方、流行っているのなかあ?
日本でも、西川美和監督の『ゆれる』、『ディア・ドクター』、
是枝監督の『三度目の殺人』みたいな、誰が犯人なのか
誰が悪いのか、その後どうなんのか、もしあれだったらこうに
違いない、なんて観た後に考えさせる作品。



はい、そういうことです。
この作品は、たくさんのアメリカ社会問題と
映画としてのたくさんのニュアンスが、
絶妙な脚本によって、くんずほぐれつ
緻密に詰め込まれた作品
なんだとみたねぇ。

でもね、緻密によく練られてできたものが、
すべておもしろいとは限らないわけで・・・ぶつぶつ

ところで、誰が犯人で、誰が一番悪いヤツだと思う?





005ポスター2.jpg

●スリー・ビルボード(Three Billboards Outside Ebbing, Missouri)
2017 アメリカ、イギリス
上映時間/115分
監督/マーティン・マクドナー
製作/グレアム・ブロードベント、ピート・チャーニン、マーティン・マクドナー
製作会社/ループリント・ピクチャーズ、フォックス・サーチライト・ピクチャーズ、
     フィルム4・プロダクションズ、カッティング・エッジ・グループ
製作総指揮/バーゲン・スワンソン、ダーモット・マキヨン、ローズ・ガーネット、
      デビッド・コッシ、ダニエル・バトセック
脚本/マーティン・マクドナー
撮影/ベン・デイヴィス
編集/ジョン・グレゴリー
音楽/カーター・バーウェル
配給/フォックス・サーチライト・ピクチャーズ(米)、
   20世紀フォックス映画(日)
出演/フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、
   アビー・コーニッシュ、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ ほか
受賞/第42回トロント国際映画祭 ・観客賞
   ベネチア国際映画祭2017 ・脚本賞
   英国アカデミー賞2017 ・作品賞 ・英国作品賞
   ゴールデングローブ賞 映画部門 ・作品賞 (ドラマ部門)
   第24回全米映画俳優組合賞 ・主演女優賞 ・助演男優賞 ・キャスト賞
   第90回アカデミー賞 ・主演女優賞 ・助演男優賞





♪ Mildred Goes To War / Soundtrack


ミルドレットのテーマ



♪ Monsters of Folk / His Master's Voice


ウィロビー署長のテーマ



♪ Chiquitita / Abba


ディクソン巡査のテーマ







006花.jpg



007葉っぱ水滴.jpg



008葉っぱ雫.jpg



009サッポロクラシック2018.jpg



010赤い葉っぱ.jpg



011柔らかい葉っぱ.jpg


じてんしゃ話。  


少し前に、ふゆこさんとこ
(http://fuyunofuyko.blog.fc2.com/blog-entry-798.html)で、
自転車で「一時停止無視」して、警察にキップを切られた
というハナシを読ませていただいて驚いたねー。
自転車でも、違反キップを切られるんだねー、いまどきは。

いまんとこ、自転車には免許制度がないから、
「減点」はないだろうけど、罰金もないみたい。

でも、そのキップがたくさん貯まると、
Tポイントから減点されるらしいよ。
・・・というのはウッソー。
講習会の案内が来るかも、ということらしいわ。

でも、ずいぶん前だけど、
酔っぱらって自転車に乗ってた人が罰金とられたって
ニュースになってたことがあったよね。

あと、事故を起こせば当然道交法で罰せられるはずだから、
自転車乗る人も、なんかの方法で道交法を学んだほうが
いいということだよなー。
軽車両だもんな、リッパな。



へぇー、とか言っていたら、ふと思い出した!
自転車がらみの「ウソみたいなホントの話」。
久々に、一席。

当時は、自転車に乗ってて交通違反してキップを切られるなんて
ことはなかったんだけど、でも、警官のお世話になるというのは
ドキドキもんなもんで、グッサリ記憶に残っているんだわー。





001防犯登録ステッカー.jpg


友達のヒロシはその当時、中野坂上(東京都中野区)に
住んでいたんだよ。

あの辺は、実はとても便利なとこで、
青梅街道も環6(山手通り)も近いし、自転車があれば、
渋谷だって原宿だって、池袋だって、ちょっとがんばれば
御茶ノ水だって東京駅だってホイホイ行けちゃうんだよ。

ヒロシくんも自転車を手に入れて、都内ペダリングライフを
楽しんでいたんだなー。
まだ、ハタチくらいの時のこと。


ある時、ヒロシんちへ遊びに行っていた時に、
「新宿に、飲みにでも行くべー」
ということになったんだわさ。

「中野坂上」から「新宿」までは、地下鉄・丸の内線で駅一つ。
その当時は、「西新宿」駅がまだなかったんだよ。

ちなみに、東京都庁もなかったな。
草野球場みたいな野っ原や、住宅展示場だったんだよ、あの辺。
なんせ、淀橋浄水場の浄水池の跡地だかんね。
淀橋って地名だったから、地場のカメラ屋が「ヨドバシカメラ」
なんだよ。

徒歩でも、25分くらいだったかな、新宿まで。
それを、「自転車で行くべ」ということになって、
ママチャリみたいなやつで二人乗りして行ったんだった。

5分程度走って、新宿西口のあたりに着いて、
自転車違法駐車地帯みたいな所に停めて、
今度は徒歩で駅方面へ向かおうとしたら、その時、
お巡りさんが寄って来たんだわ。

「やべー、二人乗りが見つかったかー、こりゃ、怒られるなあ」
って思ったんだけど、ちょっと違って
「キミたち、その自転車、キミたちのかい?」
ときた。

「はい、そうですよ」
そしたら、お巡りさん、
「またまたあ、あっちのほうに停めてあったやつに
ちょいと乗って来たんじゃないの?」
だと。

なんだとー!
ヒロシは胸を張るようにして言ったよ。
「そんなことしませんよ、ボクのですよ!」
ホントにヒロシんちから乗ってきたんだからさ。

ボクも心の中で、(そうだそうだ、オレが証人だ)って
二人乗りしてたくせに増長して、お巡りさんを睨んでやった

お巡りさんは、僕らの強い視線を避けるように首を垂れて、
車体を点検するみたいにしてる。
どれどれ・・・
「じゃ、照会してみるけど、いいかな」
フレームに貼ってある黄色い「防犯登録ステッカー」を指さして
お巡りさんは言ったね。

ボクは(ちゃんと登録してるに決まってるだろー)って、
ヒロシの顔とお巡りさんの顔を順番に眺めたっけ。

「ああ、いいですよ」
ヒロシは勝ち誇ったように言う。
「これは友達からもらったものなので、
住所は高田馬場、〇〇コーヘイという名前です」

ヒロシは凱旋歌を歌うように、高らかに言ってのけた。

コーヘイとは同郷のよしみ、共通の友人。
そう、この自転車は確かに高田馬場に住んでるコーヘイからもらったのだ。
(おう、コーヘイ呼んで確かめるかおい、
ざまーみろ、このおっちょこちょい警官めー!)

自分でも、自分の上がったアゴがお巡りさんのほうに向いているのが
わかったさ。

お巡りさん、しばらく無線機でごちょごちょ照会してから
言ったね。

「この自転車、〇〇コーヘイさんのじゃないみたいだよ」

「・・・・・・」



今週、政治家になったコーヘイと、新聞社のデスクになったヒロシと、
みんなで集まって旧交を温めることになっているんだけど、
このハナシをすんのはやめとっか。





「ウソみたいなホントの話」過去ログ ※テキストリンクです

● 上石神井駅のトイレ
● 謎の境界線
● ボディコンの性質 ①
● ボディコンの性質 ②
● きゃっち話。
● 大腸内視鏡検査でわかったこと
● ゾーッ話。~ ホントにあったコワイ話
● なまりを隠すのは、むずかしいっぺよ
● しょくしつ話。








♪ 黒いカバン / 泉谷しげる





♪ 人類の深刻な問題 ~ ブーム ~ ビンジョウ / THE TIMERS









002地下道.jpg



003花.jpg



004EARTH.jpg



005花.jpg



006ハズキ.jpg



007キャベツサイダー.jpg


▲Page top